70代からのフジロック〜前夜祭からフルに楽しむための装備・体力作り〜
- 2023/06/26 ● Interview
先日のコラム「フジロックに行かなくなった理由」読んで頂けました?子供連れのフジロッカーズが増えてきたものの、子育て世代としては夏休みに何を優先させるか頭を悩ませますよね、わかります。一方、子育てを終えた世代が我が子に誘われてフジロックに足を運ぶようになる事例もあるんです。矢沢永吉の第4弾追加発表には、同世代のフジロッカーズが色めき立ったのではないでしょうか?今回インタビューを行った三浦さんご夫妻はYAZAWAと同世代。ORGライターの息子さんに誘われて2017年からの皆勤賞です。前回のインタビューを経て70代になったフジロッカーズに根掘り葉掘り聞いてみました。
─ フジロック初参加は、2017年にフジロッカーの息子さんから誘われたのがきっかけとお聞きしました。
お父様:2017年に苗場プリンスホテルに泊まれることになり、泊まるところがあるんなら行ってみようかと。そこからキャンセルになった年以外、ずっと参加しています。前夜祭から最終日までいて月曜日に帰るという日程です。
─ 現地ではどういうタイムスケジュールで回られているのですか?
お母様:いつも息子がお薦めを教えてくれるんです。知らないアーティストがいっぱいいるので、お父さんにはこれ、お母さんにはこれとお薦めをもらってます。私はヘブンとレッドが大好きで、ヘブンにくるアーティストがしっくりきます。
お父様:私はだいたいホワイトに常駐していて、タイムテーブルを見ながらグリーンでいいのがあれば移動する。ホワイトにいても大体知らないバンドなんだけど合うんだ。でも、お昼ご飯は家族揃って一緒に食べます。
お母様:私は一応お薦めを聞いて移動しようとするんですけど、グリーンの前を通っていこうとすると「あれ、なんか引っかかる、これ凄く好き!」と思うと、ヘブンに行くのをやめてね、それがすごく良かったりするんです。雨の様子でヘブンやめとこうかなとかそういう変更はありますね。
─ そういうのフジならではの出会いですよね!中でも思い出深いアーティストってありますか?お母様は賑やかしいロックンロール系もお好きとのことですが。
お母様:2018年のMORE THE MANの時、外で食べながら座っていたらレッドの中から格好いいのが聞こえてくるんですよ、すごく良さそう!と思って。
お父様:血が騒ぐから行ってくるねって言ってね(笑)
お母様:聞いたことなかったんですけど、格好良くて大好きです。
─ この記事、息子さんが書かれていますが、お母様がライブに飛び込んでくるシチュエーション想像するだけで最高ですね。お父様はいかがですか?
お父様:私は2017にホワイトでQueens of the Stone Ageが最高だったかな。びっくりしてそれからホワイトがいいなと思った。こんなのがくるんだ!と思って。ホワイトは音響も良くて、最初に行った年に基本どのステージも外にも関わらず音がいいのに惹かれました。それも魅力の1つですね。あと、意外とよかったのがスガシカオ。TVで聴くよりずっといい、それがLIVEの良さですね。
◆「ホワイトステージ、脅威の音像の謎に迫る!」〜第1回 ㈱トライオーディオ代表 東雅明さん
◆「ホワイトステージ、脅威の音像の謎に迫る!」〜第2回 サウンドエンジニア・佐々木幸生さん サウンドエフェクト・中村宗一郎さん
◆4万キャパを豪快に揺るがすフジロックのグリーンステージ、音響の秘密 ─ 株式会社クレア・ジャパン シニアエンジニア西村正衛さんインタビュー
─ 何かあった時のために次男さんがお母さんに付いていらっしゃるそうですが、服装などどのような点に気をつけられていますか?まず、雨対策としてされていることがあれば教えてください。
お母様:濡れない靴、ズボンも濡れても乾きやすい登山用を履いています。レインウェアも初参加の時はタウンユースのものだったため、1度の雨で濡れてダメになってしまって。それからは登山用を選んでいます。
【レインウェアを選ぶ基準】
濡れると体温が奪われ、身体が体温を上げようエネルギーを使うので、結果体力が奪われます。濡れない、蒸れないのが体力温存にとっては大事です。三浦さんも装備はバージョンアップされてきたそうです。苗場は標高が約900mあるので登山用で揃えるのがベストですね。
レインウェアを賢く選ぶコツ①
上下分かれたレインウェアを選ぼう!
■上下セパレートを選ぼう
フジロックは自然の中で行われるフェスの為、雨は上からはもちろんですが、風にあおられることや、地面からの跳ね返りも考慮する必要があります。ポンチョだけでは腰から下がびちょびちょということも!
レインウェアを賢く選ぶコツ②
耐水圧が20,000mm以上あるレインウェアを選ぼう!
■防水性に注目しよう
「撥水性」は素材の表面で水滴がはじかれることで、「防水性」は素材の中に水が浸入してこないことをいいます。野外フェスのレインウェアに必要なのは「防水性」です。なぜ「撥水」だけではダメなのか。吸水性のある生地に撥水加工を施しても、濡れた状態で生地を抑えると、繊維の中に水が侵入してしまうため、長時間・激しい雨量には向きません。GORE-TEXのように生地に圧力をかけても水が繊維に侵入しない、侵入しづらい「防水性」のあるものを選びましょう。
その防水性の基準になるのが耐水圧です。登山で最低限必要な耐水圧は20,000mmと言われています。これは、素材1cm四方が20mの水柱に耐えられることを表します。
レインウェアを賢く選ぶコツ③
透湿度10,000g/㎡/24h 以上あるレインウェアを選ぼう!
■透湿性も重要です
雨の中過ごしているとレインウェアの中も蒸れがちです。蒸れはウェア内部に水分がたまり、濡れた時と同様に体温が奪われ、体力低下につながります。レインウェアの蒸れにくさは「透湿性」で表され、透湿度としてレインウェアに記載されています。透湿度10,000g/㎡/24hは、生地1㎡あたり、24時間で10リットルの水分を放出することを示し、登山で最低限必要な透湿度と言われています。
─ では、晴れ対策としてされていることがあれば教えてください。
お母様:現地では基本UVカットを着ています。疲れ方が全然違います。
お父様:スパッツみたいなピタッとしたのあるでしょ、体感として、晴れた時は暑さというより紫外線の方が疲れる気がしますね。帽子、サングラスももちろん持っています。
UVカットウェアを賢く選ぶコツ
紫外線遮へい率が90%以上あるUVカットウェアを選ぼう!
■紫外線を防ごう
紫外線を浴びると身体の中に「活性酸素」が増えます。活性酸素は増えすぎると正常な細胞をも傷つけ、体にストレスを与える原因となります。活性酸素が増えると体内ではビタミンAやビタミンC、ビタミンEなどで中和しますが、紫外線を浴びると急激に活性酸素が増え、疲労感を溜めないよう免疫力を高める働きのあるビタミンCを大量に消耗してしまうため、全身に疲れが広がっていくのです。
一般的に衣料品には「UVカット」と表記されることが多いですが、日本独自の基準の遮蔽率『紫外線遮蔽率』や世界基準の遮蔽率『UPF数値』が表記されている商品もあります。選ぶ基準ですが、紫外線が弱い日は「紫外線遮蔽率80%以上」「UPF15以上」のものを、紫外線が強い日には「紫外線遮蔽率95%以上」「UPF30以上」)の衣類を選ぶとよいとされています。
─ あとお薦めの持ち物などあれば教えてください。
お母様:防災用のアルミシートは結構役に立ちました。レインウェア出す暇もなく急に雨が降ってきた時にも、さっとポケットから出して使えるし、大きいので広げると皆んなが雨を凌げるんです。寒さ対策にもいいです。羽織ると薄くて軽いです。
─ 防災用で常備されている方も多いかもしれないですね。コンパクトに畳めるし軽いし、1つ持っていると便利ですね、いいこと教えてもらいました!
アルミシートを賢く選ぶコツ
金銀リバーシブルのアルミシートを選ぼう!
■アルミシートを使ってみよう
防災グッズに常備していると便利なアルミシート。エマージェンシーシートや、サバイバルシート、レスキューシートとも呼ばれています。これから買うなら金色と銀色のリバーシブルになったものが両方の利点を活かせるためお薦めです。
銀色のシートは熱を反射するため、銀色を内側にして羽織れば輻射熱で暖かくなり、冷たい雨による体温低下を防ぐことができます。また、外側にすると直射日光を防いでくれます。
金色のシートは熱を集めるため、金色を外側にすると太陽光を集めて体温の低下防止になります。
100円ショップなどでも手に入れやすく、防災用としても1つ持っていて損はないと思います。
─ ライブ以外の楽しみ方はありますか?
お母様:現地で美味しいものを食べ、必ずTシャツを買います。ドラゴンドラも気持ちよかったですね、素晴らしかったです。
◆ひとりドラゴンドラのススメ
◆ドラゴンドラはアトラクションだと思う
お父様:フジロックは森を歩けるのがいいですね、昼も夜も景色がいいよね。
─ フジロックでまだやったことがなくて、やってみたいことってありますか?
お母様:パレスオブワンダーに行ったことないので、今年復活するので行ってみたいです。
─ 個人的なライブ以外でのお薦めは、ストーンド・サークルでやっているドラムサークル! 打楽器を持って大人も子供も皆で即興でやっていくのが楽しかったですよ。小さな打楽器も売っていますし、演奏する楽しさも味わえるので、加わる楽しさも体験してみてください。
◆ストーンドサークル大盛り上がり!
◆フジロックをもっともっと楽しもう
─ お元気そうな三浦さんご夫妻ですが、常日頃から体を動かしたり体力作りはされているんでしょうか?
お母様:フジに向けてするんです(笑)。最初の年から息子に、春先から足腰鍛えてねと言われてスクワットをはじめ、運動をやっています。
お父様:スロージョギング1時間、5キロくらいかな、春からしています。
─ 現地で同年代の方っていらっしゃいますか?
お父様:たまに年配の方に見るけどね、この間も70代のご夫婦がいらっしゃいましたよ。
─ そのような同年代の方とコミュニケーションを取られますか?
お母様:すごいお疲れの様子で大丈夫ですか?とお声掛けしましたね。
お父様:やっぱり、山なので足腰弱いと楽しめないので、楽しむためにはまず体力だと思っています。
─ やはり体力重要ですね。では普段、同年代のお友達にフジロックの話をされますか?
お母様:お友達と一緒にフジロックの話もするんですけど、行く行く!って言ってたんだけど結局足引っ張るわって言われて。体力的に鍛えてないし自信ないわと言われます。1回行って楽しみがわかれば早めに鍛えることもできるんでしょうけど、行ったこともないのに、鍛えてっていってもなかなかしてもらえなくて、お友達とはまだ一緒に行けてないんです。声は結構かけているんですけど・・・。
お父様:去年、新潟県の友達が前夜祭に来てくれて、今年も来るって言ってたよ、1度くると楽しさがわかるけど、年齢関係なく体力的に難しいと言われますね。
─ 私の同世代(50代)もそうですね、体力に自信ないと言われます。
お父様:キャンプはちょっと寝られないかもしれないからホテルに宿泊して、朝ごはんをしっかり食べること。70代だからと言ってそんなに体力的に大変だと思わないんだけどね、椅子も持っていくから座ってみられるし。フジロックはいい運動だよ。終わったら来年もいくぞと思うと健康に気をつけるじゃない?体力つけたり、行けなくならないように頑張ろうとするから、高齢者は行くといいと思うけどね。健康のために。空気はいいし場所もいいし。
お母様:楽しみがあるっていいですよね。
フジロックで楽しむ為には、やはり体力が必要とおっしゃる三浦さんご夫妻。でも、ステージ固定で楽しむのであれば、確かに移動の労力は軽減されますね。普段自分が聴かないアーティストのステージがベストアクトだった!というミラクルな出会いがあるのがフジロックです。ステージ固定という過ごし方もまた、贅沢なフジロックの過ごし方ではないでしょうか。三浦さんご夫妻、ありがとうございました。苗場でお会いしましょう!
Interview & Text by 岡部智子