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どでかいスピーカーが爆裂してる! [1997.7.26/13:00]
遂に...遂に...メイン・ステージのどでかいスピーカーから、CDではない、本当のバンドの音が流れてくる.. いや、はじき出されてくる... あるいは、爆裂してくるといったほうがいいかもしれない。
が、すぅっとここに至ったわけではない。まずは演奏が始まる前に舞台監督からオーディエンスへのお願いがあった。こんなことを聞くと想像するのは、都会のコンサートで、例によって例のごとくといった感じで流れてくるテープ。が、ここではそんなちんけなものではない。なにせ人の命がかかっているのだ。ステージ前のセキュリティ&フォト用のピットを除けば、ここには柵なんて作ってはいない。ロックで踊り、ダイヴをするのが当然のようになって初めての、とてつもなくでかいフェスティヴァルなのだ。だからこそ、一人一人の観客の助けが必要であることを訴えかけなければいけない。大きな荷物を持っている人は、その荷物を手渡しでステージ前に送り込み、足場を自由にする。そして、具合の悪い人がいれば、その人を助け出さなければいけない。そんなことのお願いをするのだ。なにせ、昨日会場に入って、雨の中でこのフェスティヴァルを待っていた人がいっぱいいる。疲れも出ているだろうし、ちょっとしたことがきっかけでなにが起こるかわからない。主催者が責任を追及されると言うことではなく、ここまでせっかくやってきてくれたみんなの命を大切にしたい。それが理由なのだ。おそらく、そんな気持ちが通じたんだろう。文句を言うことなく、観客は舞台監督、そして、大将の話を聞いてくれた。
そして、やっと、本当にやっとという感じで始まったのがSouthern Culture On The Skidsのライヴだ。考えてみれば、それほどメジャーなバンドでもないのに(たいていはそれが理由で一番最初に登場するのだ)彼らが登場したとたん、待っていたものがが一気に解放されたんだろう。まるでヘッドライナーが登場したような大騒ぎだ。最前列は後ろからのプレッシャーもあるんだろう。もう少しで押しつぶされるような状況だ。おそらく、これほどの規模のスタンディングには慣れていないからなんだろうが、あまりにも危険な状況が想定できたためにライヴを一端止めることになる。倒れそうな人たちをごぼう抜きにしていくのだが、その時100人近くもが最前列を離れていった。彼らの言葉を聞いていると「ホント、これだったら、殺されかねないよ」ということなんだが、まさにそのとおり。その危険性がないとはいえないのだ。自分たちの身体も命も自分たちで守らなければいけない。バンド側も「もっと下がってくれ」とオーディエンスにお願いし、大将や舞台監督が「ゆっくり、ゆっくり、一歩でいいから下がって」と語りかけ、5分以上のインターバルの後にライヴ再開だ。
「おそらく、これで大丈夫だろう」
と、この後、大将が語っていたのだが、当然ながら、ステージ前から目を離すことはできない。雨が降っているというのに、最前列あたりの客には水をぶっかけて、火照った彼らの身体を冷やそうとしている。それが湯気となってステージ前に拡がっていくのだ。それだけでも、彼らのライヴのすごさがわかるだろう。わずか30分ほどの演奏だったが、サザンカルチャー・オン・ザ・スキッズはこれでも十分すぎるほどのインパクトを日本のロック・ファンに与えたはずだ。
彼らのライヴが終わって再び雨足がひどくなる。本部前は雨を逃れようと集まってきた子供達で溢れかえっている。が、ステージの前では雨なんぞ気にすることなく、万を越える数の人々が次のバンド、サマーキャンプの登場を待っている。ところが、この原稿を書いている間に始まったのが彼らの演奏。その様子ははまた次のレポートでお送りすることにしよう。
1997.7.26 Reported by hana
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