Previous Fuji Rocks
天候はいっこうに良くなる気配を見せない [1997.7.26/20:00]
続々とプレス関係者が入ってきたのは午後を回ったことだろうか。次第に顔見知りの写真家やライターなどが続々と入ってくる。渋谷陽一、室矢憲治といった馴染みの顔に、ジェイ井上といった写真家... おそらく、ここには有名無名の音楽業界仲間がほぼみんな集まっていっていると言っていいだろう。
ただ、残念なことに、天候はいっこうに良くなる気配を見せてはいない。ずっと会場にいるので外の世界でなにがどう起きているのか全然わからないのだ。が、ネットでチェックしてみると、台風が徳島に上陸したような。しかも、かなりの被害をもたらしているとか。となれば、こっちでも雨が続いていても不思議ではない。時折小雨になることもあるのだが、基本的にはずっと雨。緑でおおわれていた会場も、数多くの人々が歩く場所では泥沼化が始まっている。
もちろん、観客達もずぶぬれだ。体調を崩す人が続出し、緊急救護班がスタンバイしている本部1階はまるで避難場所のようになっている。ヒーターを前に毛布にくるまってぐったりしている人たち、うつろな目つきをしている人たち、あるいは、身体を方々震わせているながら膝を抱えている人たち... 数え切れないほどの人たちが1階を占拠しているといった感じさえする。同じく、そんな人たちに完全に占拠されたのがダンス・テント。この有り様ではクラブどころの騒ぎではないような気がするのだが、このためにやってきた○秘ゲストはいったいどうするんだろうか?
友人の写真家、ジェイ井上君曰く、「なにがどうあっても最高なのは、ファンだね。寒さに震えながら、ずぶぬれになりながら、音楽を楽しんでいるんだもの」 確かにそうだろう。そして、そんな人たちの体温がまるでスモークのような効果を作りだす湯気となってステージ前をおおっている。やはり主役はミュージシャンではなく、観客だという想いがますます強くなる。これほどの観客に見つめられているからこそ、ミュージシャンは、文字通り、誰もがここですばらしい演奏を披露してくれているに違いない。
1997.7.26 Reported by hana
|