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午前4 時になっても会場は奇妙な熱気だ [1997.7.26/5:00]
午前4時になっても会場は奇妙な熱気に包まれている。東京のクラブ、MILKのテントではかなりの音量で音楽が流れ、インスタント・クラブのようになってしまった。集まっているのは200人弱か。一方、本部前に設置したコンピュータの前には徐々に赤リボン軍団が集まりかけていた。
ボードの常連、石田兄弟とDiannaが顔を見せ、謎の26歳OLがあのボードで知り合った仲間と一緒にやってきている。あるいは、千葉の松戸から来た二人組などなど... 彼らは書き込みをしたり、他の人からのメッセージをチェックしたり... あるいは、家を出てから見ていなかった会場からのレポートを読んでいる。面白いことに、"Let's Get Together" Boardのおかげで初めてという感じのしないのがいい。話がどんどん進んで、アッと言う間に仲良くなってしまう。インターネットってのは実に面白い。
ああでもない、こうでもないとは成しながら、気がつくと東の空が徐々に淡いブルーへと変化している。残念ながら、ここで筆者を襲ったのが睡魔。我慢できず、コンピュータの前を後にして、プレス関係の部屋の、なんと机の上で数時間の睡眠をとる。いつものように大いびきをかいて周囲の人間に迷惑をかけたようだが、とりあえずは2時間ほどの睡眠がとれた。
目が覚めて大きなショックを受けたのは、寝たときとの状況の違いだ。かなりの雨が降り、気温はめちゃくちゃ下がっているようだ。その中で寒そうに震えるからだを抱えるように座り込んでいるのが観客。あれほどハッピーだった明け方がウソのようで、悲壮感さえ漂わせている。かといって、それでこちらになにができるのか? 本部前の屋根の下では雨宿りしたいという人たちがラッシュ・アワーの山手線のような状態で寝込み、制作本部は会場へのルートで起きている異常な渋滞への対応を迫られている。違法駐車が重なり、大型バスがすれ違うこともできなくなりつつあるというのだ。下手をすると、ステージで演奏するミュージシャン達でさえ会場にたどり着けない可能性が出ている。わかりきったことなのに、なぜこんなバカなことをするんだろうと思うのだが、どうしようもない。わずかな人が引き起こした違法駐車が大きな混乱を引き起こしているのだ。
一方、河口湖駅では会場にいくバスに乗るために1時間半も待たなければいけないというニュースが飛び込んでくる。会場で働いているスタッフからも、「ここを出たら、二度と戻ってこられないだろうな」という会話が聞こえてくる。やっぱり、一番いいのはテントを張って、のんびりとここで過ごすことだろう。雨が降っていれば、テントの中で友達と話をしているのもいいだろうし、酒を飲んでいるのもいいだろう。昨年のフェニックスだったか、あまりに雨が降り続くので、バンドの演奏は全然見ないで、ずっとテントの中で遊んでいたという友人もいた。高いお金を出して演奏が見えないというのは辛いだろうが、自然の力にはかなわない。もちろん、雨の中でもごごえながらミュージシャンの登場を待っている観客も全然少なくなくて、彼らの音楽への愛情をいたく感じるのは確かだ。
「こんな雨の中、ここまでやってきてくれてありがとう!」
朝9時半頃だったか、スマッシュの大将がそう観客に語りかけていた。それは、フェスティヴァルで働いている全てのスタッフの気持ちだろう。そして、同時に、会場でできるだけゴミを出さないように語りかけている。
そうこうしているうちに雨が小降りになって、なんとか人が動けるようになってきた。かといって、これから雨がやむのか、あるいは、もっとひどくなるのか... 想像もできないというのが本当の所だ。山の天気は変わりやすい。加えて、直撃こそ避けられそうだが、台風の影響はまぬがれないのだ。このコンディションの中でこれからどんなドラマが始まるのか? もうしばらくしたらミュージシャンがステージに登場する。突然晴れ間が見えだして、奇跡のようなことが起きるのか、あるいは、このまま雨まみれのライヴになるのか?それは天のみぞ知る。
ちなみに、会場で見つけたこんな人の写真もアップしておこう。最近ミッチ池田がはまっているというポラロイド写真によるアートなんだが、これが誰かは、想像におまかせしよう。
1997.7.26 Reported by hana
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