【FRF’25 ARTIST PICKUP vol.1】TOMOO – 7/25(金)出演
- 2025/05/07 ● Column
今年、フジロックに初出演( 7/25(金)出演 )を果たす、1995年生まれ、東京都出身のシンガーソングライター、TOMOO(ともお)。歌詞で詠われる感情を表現するアルトヴォイスなヴォーカルと表現豊かなピアノ演奏が特徴的な彼女。そのルーツは、6歳から始めたピアノと、大きな影響を受けたジブリ映画やディズニー映画だ。作曲に興味を持ち始めたキッカケは、既存アーティストの曲の曲名だけを見て想像で即興のメロディーをつけて歌いながら遊んでいた経験に基づいていて、中学に進学してからオリジナルの曲を作り始め、高校時代にはYAMAHA主催のコンテスト「The 6th Music Revolution」ジャパンファイナルへの進出を果たした。
2021年8月に発表されたシングル曲 ”Ginger” は、YouTubeで509万回再生、Spotifyで784万回再生の大ヒット。同曲はOfficial髭男dismの藤原聡(Vo/Key)やVaundy、マカロニえんぴつのはっとり(Vo/Gt)、キタニタツヤなどの名だたるアーティストや、業界の著名人からも絶賛の声、そしてオーディエンスの背中押しを受けていて、彼女を一気にオーバーグラウンドへと押し上げた。
そして、2023年9月には待望のメジャーファーストフルアルバム『TWO MOON』をリリース。昨年12月にはパシフィコ横浜 国立大ホールで初の大規模ホールでのライブを行い、見事に大成功におさめた。その公演中には5月23日(金)に自身初の日本武道館公演を行うことも発表され、夏にはフジロック初出演を果たすTOMOO。この記事では、そんな破竹の勢いで成長を続ける彼女とその魅力的な楽曲をピックアップして紹介していきたいと思う。
実体験から生まれた歌詞とバウンシーなポップサウンドが混ざり合って弾けた最大のヒット曲
まずは、TOMOO最大のヒット曲にして現時点のマスターピース・アンセム “Super Ball”。この曲は、まるで「スーパーボール」のようにバウンシーでダンサブルなポップソングで、ファンキーなギターとベースフレーズが印象的に混じり合ってくるサウンドがとにかく最高。TOMOOのヴォーカルと楽曲全体にブラック・ミュージックみを感じさせるところもまた一つの聴きどころだ。それ故に自然に踊れるし、身体は問答無用でゆらゆらと揺れてしまう。ライヴで盛り上がること必至な曲である。
この曲で歌われる歌詞は、彼女の中にある「まるで立方体のような洗練された都会(シティポップ)の人にはどうしたってなりきれなくて、まだ開発されきっていない丸みのある街にあるような”遊び”や”余白”がいいんだ」──そんなことを感じさせる(かく言う東京都23区外出身の筆者には刺さりまくった(笑))。さらに、この歌詞からは、まるで「完全ではない僕らを許容する」そんなことを歌ってくれているようでもあり、その辺がアンセムたる所以でもあると感じる。
Super Ball【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
TOMOOをオーバーグラウンドに押し上げた”Ginger”
彼女を一躍オーバーグラウンドに押し上げたのが、メジャーデビュー前の2021年にリリースされたシングル曲 “Ginger” である。冒頭にも書いたが、この曲をフェイバリットに上げる数々のアーティストや耳の肥えたリスナーは非常に多い。
そんなこの曲は、チアフルでアップリフティングなメロディに乗せた ”まるで猫みたいな人” に向けたラヴソング。時に自由奔放に動きまわり、時に静かで落ち込んでいるような様子を見せたり、心配だけど、けどそんな姿が愛おしい。それは人間の明るい部分とシリアスな側面との照らし合わせのようでもある。
「傍から見たら、良いところも悪いところもあるけど、そんな人を良し悪しで測らず、全部ひっくるめて愛したい」《ねえ darling like a ginger cat! / やばんなままでいてよ / Oh もう誰もきみを / ケージの中に閉じ込めてなんかいられないのさ》そんな歌詞に詰まった愛を感じながら聴くと、気分は高揚するし、同時にホッと心が温まる、そんな曲だ。
Ginger【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
様々なモノゴトの「間(あわい)」を感じる歌
昨年リリースされたシングル ”あわいに” は、優しくも弾むようなピアノのフレーズと、気分を躍らせるリズムギター、心を温かくつつむストリングスとホーン、それらのアンサンブルが相まって「間」の心地よさが伝わってくる名曲。
この曲を聴いていると、彼女のクリエイティヴにおける一つのテーマが見えてくる。それが「間(あわい)」だ。人間は様々な物事に対して「何かと何かという両極」のどちらかで見てしまいがちな生き物である。人の感情の中にある「白」と「黒」然り、なかなか分かり合えない人と人との関係性然り、「自身の理想の立ち位置」と「現実の立ち位置」とのギャップもそうだ。
けれど、そんな両極の二つには当然「間」があって、その間を完全に埋めることはとても難しいことだったりするけれど、僕らは人間だから、完全なる両極はない(と信じたい)。だからこそ、「両極の二つのどこかが少しでも重なりあっていればいいんだ」「その状態があるからこそ人間同士なんだ」そう思えるようになること大切なんだと感じさせてくれる、ある意味人間の揺れ動く心を「祝福」してくれるような曲でもある気がする。
あわいに【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
感情がシンクロし合う歌詞と曲そしてピアノの音色
彼女の楽曲のど真ん中にあるのは「感情」である。そんな感情を表現するファクターとなっているのが当然ながら歌詞と楽曲であり、そこに自然と入っているのがTOMOOが幼少期から触れてきたピアノである(彼女は作曲をピアノで行っていて、それも相まってかもしれない)。
昨年10月にシングルでリリースされ、藤原竜也主演のドラマ『全領域異常解決室』の主題歌となった ”エンドレス” 。イントロから柔らかなタッチのピアノから始まるこの曲は、ピアノ弾き語りを主体とした非常にシンプルなピアノバラードナンバーである。
これは筆者の勝手な推測ではあるが、この曲で歌っているのは「多様な人がいるこの世界で、互いに寄り添おうとすることの尊さ」のような気がしている。多様な価値観を持つ人たちが完全に分かりあうことは不可能かもしれないが、それでも人間として他者に近づき寄り添おうとすること、そうやって人間は共生していく──そんな人間の永遠のテーマが、TOMOOの歌とピアノによって優しく奏でられるこの曲は、理屈抜きに胸にくるものがある。
ライブ演奏では、ピンスポットライトを浴びながら弾き語る彼女の姿がとても印象的で、もし夜の時間帯での出演になった際はその点も注目だ。
エンドレス【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
シンガーソングライターとしての成長、その先に結実した名曲
ここまで様々な角度からTOMOOの楽曲を紹介してきたが、個人的に初聴きで最も衝撃を感じたのが『TWO MOON』にも収録されている “Grapefruit Moon” だった。TOMOOの実体験が元になっているこの曲。5月ある日の夕方、その日は暑く、喉が渇いて無性にグレープフルーツジュースが飲みたくなった彼女は、ジュースを買いに外へと出かけた。外に出て、ふと彼女の視界に入ってきたのは、新社会人と思しき新しげなスーツを着た若者や、初々しさがある学生たちの姿。そこで彼女が体験したのは、自分が「(TOMOO曰く)何者でもない」という感覚だった。
「喉が渇いている」という自分、「まだ何者でもない」自分、それらふたつの自分の中にある感情が混ざり合って顕在化された枯渇感や憔悴感は、人間誰もが生きていれば誰もがいつかは感じ得る感情な気がする。それを見事に歌詞に落とし込まれたこの曲は、歌詞にある感情の動きが見事に表現されている。一方サウンドは、儚さのあるピアノの音色が軸となったメロディをよりふくよかにしていくホーンやストリングスアレンジが印象的で、それらがバフとなり、空間に広がっていくTOMOOのソウルフルなヴォーカルが最高にエモーショナルで、空間に広がっていく様がドラマティック。
前述の”感情”が身体に染み渡っていくのを全身に感じさせるような体験は、簡潔に言うなら人間が持つ「普遍的な感情の揺らぎ」で、そんな様を「純抒情的な楽曲」と「ケレン味のないポップソング」を違和感なしに同居させながら歌う彼女の才能こそが、「令和の中島みゆき/松任谷由美」と称される理由がここにあるように感じた。
Grapefruit Moon【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
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今回の記事では紹介しきれなかったが、TOMOOの曲たちには、時に胸を熱くさせ、時に胸を躍らせる──喜怒哀楽の様々な感情が込められている。それらは総じてヒューマン・エモーショナルでオーガニック。これが苗場の空間に映えないわけがない。
朝のグリーン・ステージで壮大にオーディエンスのハートを鷲掴むもよし、レッド・マーキーの閉じられた空間でダイレクトに感情を共有し合うもよし、フィールド・オブ・ヘブンをチアフルでハッピーでエモーショナルな空間で包み込むもよしだ。ちょっと贅沢にピラミッド・ガーデンでピアノ弾き語りをするのもアリだろう。まずはステージ割りが発表されるのを待とう!
なお、5月に行われるTOMOO初の日本武道館公演の模様はライブ後日ライブレポートとして公開予定だ。TOMOOを知るファンはもとより、初めて彼女のステージを観るファンにとっても、このレポートを通じてフジロックで観るライブアクトのいち選択肢になったら幸いである。
text by 若林修平
公演情報
TOMOO Live at 日本武道館
OPEN 17:00 / START 18:30
全席指定 ¥9,900(税込) SOLD OUT
ステージバック席(追加席):9,900円(税込)
※チケットの転売/譲渡禁止。転売/譲渡が発覚した場合は、いかなる理由があろうともご入場をお断りします。
※ご当選されたご購入者様以外は、いかなる理由でもご入場頂けません。
※チケットの転売/譲渡行為防止の観点から、ご入場時にIDチェック(本人確認)をさせて頂く場合がございます。ご来場の際は、顔写真付き公的身分証(運転免許証、パスポート等)を必ずご持参ください。顔写真付き身分証をお持ちでない方は公的身分証を2点(学生証、健康保険証、住⺠票、等)ご持参ください。
※ステージバック席は、ステージ後方の席となりますので、出演者及びステージ演出の一部が見づらい場合がございます。
<チケット販売(イープラスのみ)>
ステージバック席 一般発売 5月3日(土) 10:00〜
https://eplus.jp/sf/detail/2420280001?P6=001&P1=0402&P59=1
※購入にはイープラスの会員登録(無料)が必要です。
<日本武道館公演 特設ページ>
https://tomoo-budokan.ponycanyon.co.jp/