• 搖滾台中的故事 ~台湾のロック・フェスに行きたいわん~


    *結語*

    「血肉果汁機 Flesh Juicer」の演奏を観終えて、MRTの文心森林公園站までのびるこれまた長蛇の列を尻目に、目ぬき通りの文心路でタクシーをひろって宿へと帰る。台湾のタクシーには『迎車』の表記がないのか、『空車』と表示されていても配車アプリで呼ばれた客まちだったりして、2度ほど断られもしたけれど。夜市は23時で閉店の店や屋台も多いので、宿にもどってすぐ「逢甲観光夜市」へと足ばやに向かう。夜市の入口には5分とかからずに着くけれど、そこから奥が深くて、すべて見てまわると1時間はかかる。もともと逢甲大学の門前市として発展したといい、飲食店以外に衣料品や雑貨をあつかう店も多く、ちょっとアメ横のような雰囲気も。

    逢甲観光夜市_1

     台中最後の晩餐は、初日に目星をつけていた海鮮のお店へ。初日もこの夜市のべつの店で、アサリの麺と牡蠣のお粥、青菜炒め、冬瓜茶の晩ご飯だった。5月に訪れた台北の寧夏観光夜市とちがって、逢甲夜市は海鮮系が充実していて、今夜も焼き牡蠣、アサリのにんにくスープと生姜スープ、台湾名物の蚵仔煎(牡蠣のオムレツ)、それに茹でた川海老を一斤(1ポンド)、そしてお茶とビール。だいたいのお店がラミネートのメニューに水性ペンで注文する数を書きこんで、調理場へと持っていき、会計を済ませるスタイル。このお店はメニューに英語表記もあり、テンションが上がって値段も見ずに注文したら、2人で1千元(約5千円)を超えていた。最後に散財した気分だけど、日本だと1人で5千円かかりそう。

     昨日のお店もそうだけど、台中の料理は基本薄味で、素朴で優しい味。この日のお昼に食べた中国東北料理の羊肉麺と牛肉の水餃子も、やっぱり素朴な味つけ。関西人の舌にはぴったりで、どれも美味しい。もちろん調味料でカスタムもできて、台湾で定番の唐辛子と八角のペーストや醤油、酢、魚醬なんかはどのお店にも置いている。茹で海老には胡椒と八角が混ざったような独特のスパイスがかかっていて、鼻腔と食欲を刺激する。半斤を2人前たのんで、出てきた量に仲間とたじろいだけれども(1人前に12尾!)、身が小ぶりなのもあって意外に余裕でたいらげられた。無言でひたすら殻をむいたけど。

    逢甲観光夜市_3

     宿の目のまえが朝食屋さんで、伝統的な「永和豆醬」というより、バーガーやサンドウィッチも提供する今風なお店なのもよかった。台北では朝から台湾おにぎり(もち米の具が油條=揚げパン)とかニラ饅頭を食べて、夜まで胃もたれしていたから。まわりを見ると、地元の人はサンドウィッチを食べていたけど。今回は二日目の朝はツナ入りの蛋餅(ダンピン=オムレツ)、帰国する日はサラダとスクランブルエッグ、ベーコンとパイ生地のプレートを注文。毎朝、そのまえに通りの角のカフェでコーヒーを飲む。蒸気でドリップした本格的なアメリカンで、美味しい。こうして旅先で朝、ゆっくりコーヒーを飲めるのが、ほんとうに贅沢な時間だ。

     帰国は午後の便。午前中は時間があるので、台中随一の映えスポットだという彩虹眷村へ。ちょうど宿のある西屯区と高鐵台中站のあいだにある。9時にチェックアウトして(エレベータのまえにある郵便受けに部屋の鍵を返した)、通りでタクシーをひろい、運転手にスマホの地図アプリを見せると「彩虹眷村、本日公休」と表示されている。あらま、とりあえず行くだけ行ってみるか。もともとは日中戦争後の国共内戦に敗れて台湾島に逃げてきた国民党軍の兵士とその家族向けの長屋で、その跡を1人の老人が数年がかりで極彩色にペイントしたのが、いまは芸術村として観光名所になった場所。意外と小ぢんまりとしている。ほかの観光客とおなじように外から記念撮影して、またタクシーで高鐵台中站へと向かう。

    彩虹眷村_1

     その10分ほどの道中、郊外の田んぼの一本道をとおったのだけれど、二期作でこの時期でも青々と茂る稲に囲まれたのどかな風景に、なんだか見憶えがあった。先月に観たばかりの映画の一場面じゃないか! 『本日公休』という台中の昔ながらの理髪店が舞台で、かの山田洋次監督も激賞したとか。鉄道のせまい高架を車でくぐるのもまったくおなじ。不意に聖地巡礼を果たして、今回のフェス旅でいちばん興奮した瞬間だったかも。高鐵台中站のとなりの広大な空き地では、台北に向かうMRTの車窓の景色とおなじく、ビルだろうか工場だろうか、なにやら建設中で、国立歌劇院や台中市庁舎のあるハイソな地区でも、まだまだタワーマンションが建ちそうな感じだった。次に訪れたときにはもう、めまぐるしく景色が一変しているかもしれない。

     いや、そのまえにはやくまた、台湾のロック・フェスに行きたいわん!

    〈了〉

    Text & photo by ken.

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