搖滾台中的故事 ~台湾のロック・フェスに行きたいわん~
- 2025/01/08 ● Report
*序章*
5月、台北某所で数年ぶりに開催されたfujirockers bar in Taiwanで訪れて以来、すっかり台湾熱にほだされてしまった、そんな折…「フジロック・フェスティバルが今年、台湾のフェスとコラボして、Rookie A Go Goに出演したバンドがRock In Taichung 2024に出演する」という情報が。これは行くしかない!と仲間と顔を見あわせ、折をみてネットで情報収集。10月最後の週末、中部の台湾第2の都市、台中市の都心の公園が会場だと。
まずはチケット。海外から台湾の公演のチケットを購入する場合、ネットで台湾のプレイガイドに登録して決済、現地のコンビニの端末で発券、というのが一般的みたいだけれども、代表的なプレイガイドのサイトをいくつか検索しても、『搖滾台中』がどれもヒットしない。どういうこと?と、あらためて台湾語のサイトを巡ってみると「免責入場」の文字が。つまり、入場無料なのか! 台湾フェス初参戦のハードルがいっきに下がった。あとはアプリで宿を予約して…。
台中駅からも近い都心だけに、会場周辺のホテルはどれも三ツ星以上でそこそこいいお値段。地図アプリをなんどもなんども鳥瞰して、少し離れた西屯区で一泊6,500円(※円換算はすべて当時のレート)ほどのよさげな宿を発見。ゲストハウスならもう少し安いけれど、諸事情で今回は除外。会場の文心森林公園まではたぶん、タクシーで10分ほどだろう。宿から駅まで少し歩くけれど、MRT(ライトレール)で3駅だ。しかも台中最大規模の夜市、逢甲観光夜市のすぐそば。夜は食い倒れるぞ!と、がぜんテンションも上がる。でも、これが今回のフェス旅最大の障壁に。
日本各地から台湾へのフライトは、よりどりみどりなくらいLCCが充実していて(※2025年4月18日からは新たに神戸~台北、台中便が就航!)、往復5~6万円前後が各社の平均的な値段。深夜発・早朝着の便だと1万円代のチケットもある。旅行アプリを上手く使えば、フライトと宿のパッケージでお得に予約できる場合も。まさか1年のうちに2度も訪台するとは思ってもみなかったけれど、搭乗口を降りてすぐ係員から「入国審査で面倒なものは持ちこんでませんよ(意訳)」というカードを受けとり、半年ぶりの入国もスムーズに、税関を出て別便で到着した仲間と落ちあう。さて、ここからは未知の領域。台北とは反対方向に、桃園国際空港から高鐵(新幹線)桃園駅までMRTで6駅。ちなみに台湾のMRTは飲食厳禁だ。プリペイドの悠遊カードが使えないので、2,700円ほどのチケットを駅の窓口で買い、そこから高鐵台中駅まで約40分。
郊外の高鐵台中駅から西屯区の宿までタクシーで20分。自動車道の高架で筏子渓をわたる遠望の高層ビル群は、淀川越しに見る梅田の風景とどこか似ている。FMラジオからは90年代のJ-POPが流れている。「ここだよ」と、台湾のタクシーでは珍しく英語の通じる運転手が示して、降りた通りにはだがホテルらしい建物は見当たらず、台北よりはゆっくり流れる時間のなかで、日常の喧騒が行き交うばかり。原付バイクにまたがってたたずむ兄ちゃんにスマホを見せてたずねると、「ここまっすぐ行ったとこやな」と細い路地を指さす。だがそれらしい建物はなく、地図アプリをたよりに辺りをぐるぐる回って、また元の位置にもどり、それを3周くり返して、路地で談笑していたおばちゃんにまたたずねると、「この隣やわ」。
たしかにスーツケースをひきずった若い子たちが出入りしているが、ごくふつうの古ぼけたアパートか雑居ビルらしき建物には、それらしい看板もなにもない。おまけにガラス扉の玄関はオートロック。どうやってなかに入るねん⁉︎ とまどっていると、見かねたさっきのおばちゃんがやってきて台湾語でまくしたてる。結局、彼女に宿に電話してもらい(それもwebには3つのちがう番号が載っていて、2つは不通だった)、アカウントを聞いたからLINEアプリでやりとりしろという。さっそく仲間のLINEに、アプリで日本語に翻訳されたらしき説明が届く。いわく、玄関の隣の通用口に郵便受けがあって、その暗証番号を教えるから、なかから部屋の鍵をとるように、と。
ふつうのアパートの4~6階を客室に改装した一室で、真っ白な壁に描かれたミッキーマウスが迎え入れてくれた。仲間の部屋にはでっかいトトロがいたらしい。冷蔵庫、ドライヤー、使い棄ての歯ブラシとひととおりのアメニティはそろっている(※2025年1月1日より、台湾の全宿泊施設で使い棄てアメニティの無料提供が停止になります)。浴槽はなくシャワーだけで、配管が古くてトイレに紙を流せないのは台湾あるある。16時過ぎに着いて、チェックインするのに結局2時間かかってしまった。とりあえず会場に急がないと。荷ほどきもそこそこに、通りまで出て流しのタクシーをひろう。渋滞というほどでもないけれど、夕刻の車列の多さもあいまって、会場まで15分ほどかかった。料金は1千円弱と台湾の交通機関の料金は総じて安い。タクシーを降りるとすっかり日が落ちていた。