もうひとつの「賑やかし枠」、ESNE BELTZ(エスネ・ベルサ)の最後の雄姿をフジロックで
- 2024/07/22 ● from fujirockers.org
フジロックの「賑やかし枠」については先日、US(アス)についての記事があった通りだけど、フジロックはまだまだ賑やかし枠の弾がある。ESNE BELTZA(エスネ・ベルサ)というスペインのバスク地方出身のバンドがそれにあたる。今回のフジロックでは、土曜日深夜のクリスタルパレス、日曜日のホワイトステージ(ちょうどレッドマーキーのUSと完全被り……悩む!)に登場する。
USの記事でも賑やかし枠についての定義があった。
「まず「賑やかし枠」とは、苗場の数々のステージにまるでジプシーの如く上がりまくり、文字通りオーディエンスを賑やかすアーティスト枠のことです。過去出演したアーティストで言うとレーヴェンやオンダ・ヴァガなどが代表的なところですね。」
ここではさらに掘り下げて賑やかし枠の定義をしたいと思う。だいたい4つの条件に当てはまる。
1.複数のステージに出演
2.英米以外の国出身
3.音楽性はミクスチャー
4.フォルクローレ(民族音楽)の要素が強い
まず1については、過去の賑やかし枠バンドがグリーンやホワイト、レッドというメインのステージだけでなく、クリスタルパレスや苗場食堂などにでることが多い(オレンジ・コートや木道亭があったときはそこにもでる)。スケジュールが合えば前夜祭にでることがあるし、ステージですらないJリーグサポーターの集まりに参加したバンドもある。
2はマストではないけど、ONDA VAGAはアルゼンチン、Räfvenはスウェーデン、DOCTOR PRATS(ドクター・プラッツ)はスペインのカタルーニャ、TXARANGO(チャランゴ)も同じカタルーニャ。Banda Bassotti(バンダ・バソッティ)はイタリア、Fermin Muguruza(フェルミン・ムグルサ)はスペインのバスク地方だし、今回出演するESNE BELTZAはフェルミンのバックバンド、と英米以外のバンドが多い。もちろんRED HOT CHILLI PIPERS(パイパーズの方ですよ)はスコットランド、Ozomatli(オゾマトリ)はアメリカでありますが。
3はいわゆるジャンルとしてのミクスチャー・ロックでなく、さまざま音楽の要素が混ざっていることが多い。バンドによって、音楽の基礎はパンクだったり、ヒップホップだったり、スカだったりする。そのうえでハードなギターが鳴ったり、デジタルな打ち込みのリズムがあったりする。Ozomatliはブラック・サバスの「アイアン・マン」から「からすの勝手でしょ(童謡「七つの子」の替え歌)」までやっていたし、DOCTOR PRATSはアヴィーチーのカヴァーを演奏していた。音楽的に柔軟性がある。
4は3を踏まえてそれぞれのバンドの個性を際立たせているのは、民族的な楽器やメロディを用いていることだろう。エスネベルサはバスクのアコーディオンのような民族楽器であるトリキティシャの音色が特徴的だし、レーヴェンは東欧の民族音楽に影響を受けたメロディがある。
というとで、今年はUSだけでなくエスネベルサも注目したい。今回のフジロック出演を含めたツアーの後に解散することが決まっていて、その勇姿をフジロックでみるのは最後となる。その雄姿を目に焼き付けよう!
INFORMATION
ESNE BELTZA
Japan Final Tour 2024
バスク音楽界の至宝、ESNE BELTZA最後の来日公演!
http://www.japonicus.com/esne2024.html
7.26(fri) SHINJUKU @ MARZ
7.27(sat) NAEBA @ CRYSTAL PALACE 「FUJI ROCK FESTIVAL 2024」
7.28(sun) NAEBA @ WHITE STAGE「FUJI ROCK FESTIVAL 2024」
https://esnebeltza.eus/
https://open.spotify.com/intl-ja/artist/2XPWNtVJSENbUVjYZSPnUP
https://music.apple.com/jp/artist/esne-beltza/314589205
Text by イケダノブユキ