• ライブフォトや風景写真、映像作品でフジロックの素晴らしさを伝える!オフィシャルフォトグラファー/ビデオグラファー座談会


    ついにタイムテーブルも発表され、フジロックまで3週間を切りました。みなさん準備はいかがでしょうか?苗場の大自然の中で体感するライブの熱狂や、あれやこれやとさまざまな光景を想像すると、ワクワクが止まりませんよね!そんなフジロックの素晴らしい体験の数々は、SNS投稿や各メディアのレポートなどで見かけるライブや風景の写真、アフタームービーを中心とした映像作品の数々でも、多くのフジロッカーに親しまれています。読者の皆さんも目にしたことがあるんじゃないでしょうか?

    そこで今回は「オフィシャルフォトグラファー/ビデオグラファー座談会」と題して、フジロックでライブフォトを撮影している成瀬正規さん、風景写真を撮影している宇宙大使☆スターさん、そしてアフタームービーなどの映像作品を制作する映像チームリーダーの藤井大輔さんにお話を伺いました。当日の速報サイトFUJIROCK EXPRESSの撮影チームリーダーの森リョータも交えながら、それぞれの活動内容やこだわり、ちょっとした裏話も飛び出すざっくばらんなお話をお届けします!

    左から、宇宙大使☆スターさん、藤井大輔さん、成瀬正規さん

    左から、宇宙大使☆スターさん、藤井大輔さん、成瀬正規さん

    宇宙大使☆スター
    フジロック、 朝霧ジャム、 ライジングサン、 ロッキンジャパンなど日本各地のフェスのオフィシャルカメラマンを務め、 自らも世界中を飛び回る、フェスティバルフォトグラファー。 その日その場所でしか起こり得ない情景、 出会いを感じながら、あらゆるシーンでシャッターを切り続けている。

    藤井大輔
    映像ディレクター。フジロックや国内フェスのアフタームービーを始め、ライブハウスからホール、アリーナ、屋外フェスまで大小さまざまな場所で、音楽ジャンルを越えて、多くのライブ・コンサートステージ映像の収録を手掛けている。

    成瀬正規
    邦楽から洋楽、クラブミュージックまで、国内外多数のミュージシャンの撮影を手掛けるフォトグラファー。ライブ会場の躍動感、オーディエ ンスの熱気、照明や演出、それら全てが融合する一瞬を逃さず、色彩豊かに切り撮るのを得意とする。フジロック・サマソニ・ウルトラ等のフェス、国内主要クラブ、Bilboard Live TOKYO等、様々なシーンで活躍。

    影響し合いながらそれぞれの角度から描き出すフジロックの魅力

    ーー:早速なんですが、皆さんがフジロックの撮影に関わるようになった経緯を簡単に聞かせてください。

    成瀬正規(以下、成瀬):僕は2005年からライブ撮影で関わってるんですが、当時はHAWAIIAN6が好きでライブを撮ってて、そこで知り合ったカメラマンの岸田哲平さんが「フジロックが若いカメラマン探してるよ、やってみる?」みたいな感じで紹介してくれて、そこからですね。

    宇宙大使☆スター(以下、スター):僕も成瀬くんと同じくらいの時期からで、最初はフジロックじゃなくて朝霧JAMに行ったんですよ。そこには想像と全然違う素晴らしい世界が広がっていて、「これを伝えたい!」って思って勝手に写真サイトを作ってたら、主催の方が声をかけてくれて。当時はフェスの事後レポートがライブ写真しかなくて、どんな雰囲気でどんな場所なのかってことが全然伝わらないなって感じてたので、お客さんや風景の写真を撮るようになりました。

    ーー:藤井さんは元々fujirockers.orgで活動してたんですよね。そこからどういう経緯でオフィシャルと関わり始めたんですか?

    藤井大輔(以下、藤井):オルグでは2012年からお客さん中心のダイジェスト映像を作っていて、2014年に忌野清志郎さんの”雨上がりの夜空に”をモチーフにした映像を作らせていただいて、それが主催の方の目にとまった感じですね。その次の年からオフィシャルで映像を撮らせていただいています。

    雨あがりの夜空に – フジロッカーズ バージョン – フジロック’14

    森リョータ(以下、森):そういうのも作ってたね。

    藤井:当時は映像素材を撮るために現地でお客さんに歌ってもらいましたね。それと2023年にレコードの発売に合わせて“田舎へ行こう”のムービーもオフィシャルで制作しました。そちらは毎年撮ってた過去の素材を使ってるんですが、オルグイズムというか、主宰の花房浩一さんもよく言われてる「フジロックはお客さんがつくる」っていうことを共通して表現しています。

    忌野清志郎によるフジロック公式ソング「田舎へ行こう!〜Going Up The Country」2023版PV完成!

    ーー:お話を聞いてると、結構主催の方から声がかかることがあるんですね。以前フジロックでデザインを担当している渡辺明日香さんとお話ししたときも、フライヤーが目にとまったって話をしてて。
    ※アートディレクション・デザイン担当 渡辺明日香さんに聞く、フジロックが広がっていく視覚表現

    スター:いろんな分野の巻き込み方が上手ですよね。

    成瀬:僕は写真を見せに行って、「それでじゃあやってみる?」みたいな感じでした。その当時はオフィシャルのライブフォトグラファーが僕一人だったんですよ。「ちょっと撮って次、ちょっと撮って次」みたいな感じで、全ステージいろいろ行きましたね。帰ってきたら円形脱毛症になってて、それぐらいきつかったです…(笑)

    成瀬正規さん

    成瀬正規さん

    ーー:あの広大な会場で一人だとかなりきつそうですね…。それだとかぶってるステージは撮れなかったり。

    成瀬:このアーティストはマストみたいな感じで優先順位を考えながら撮ってました。今だとライブフォト担当が6人ぐらいいて、スターさんみたいに何人か風景を撮る人もいて。

    ーー:なるほど。それぞれライブフォト、風景写真、映像とやっていることがあると思うんですけど、そういったスタイルを選んだ理由が何かあれば聞かせてください。

    成瀬:僕はHAWAIIAN6が好きでライブ写真が撮りたかったから、その流れで気づいたらずっと撮ってるって感じですね。

    スター:僕の場合はそれぞれのフェスの魅力を誰かに伝えたいのが大きくて、選んだっていうか、自然とそうなりました。成瀬くんや森くんも含めてライブを撮ってる人はたくさんいるから、僕は違った目線でフェスを切り取っていきたい気持ちが大きいです。

    宇宙大使☆スターさん

    宇宙大使☆スターさん

    藤井:僕は元々フジロックがすごく好きで、皆勤ではないけど1997年からずっと行ってて、その延長で12年からオルグに入って、その頃はちょうどアフタームービーっていうものが海外のフェスで作られ始めた時期だったんですよ。その時はまだ日本では今みたいに映像を撮るのが当たり前の時代ではなかったんですけど、こういうのをやりたいって言ったら森さんがいいねって言ってくれて。

    スター:そういう経緯だったんだね。

    藤井:でもオルグもそうだしスターさんや成瀬さんが発信していたから、「フジロックはアーティストはもちろん、お客さんや会場の美しさもアピールしていくものだ」っていうのが、感覚として当たり前にあったんですよ。それで映像に取り組んでいる感じもあります。今お話を聞いていて、みなさんの影響をすごく受けてたんだなって思いましたね。

    20th Anniversary FUJI ROCK FESTIVAL’16 Aftermovie

    過酷なフジロックの4日間を通して学んでいく

    ーー:フジロックの皆さんの活動についても聞きたいのですが、前夜祭から4日間を通してどういう動きをしてるんですか?

    スター:僕は木曜日のキャンプサイトがオープンするくらいに苗場に着いて、キャンプサイトや前夜祭をゆっくりまわるところからです。まあ一番元気な時なので前夜祭でも遊びながら(笑)。主催からリクエストもあるので、当日はメインに使えるようなグリーン・ステージのビジュアルを天気を見ながら撮ったり、マストなのは早めにおさえますね。あとは気分であっち行ってみようみたいな感じで歩きつつ、一応全エリア撮る必要があるので、ピラミッド・ガーデンとか後回しになりがちなところを後日埋めていく感じです。歩き続けるので万歩計を見たら1日で25kmとかになって。

    成瀬:1日で!?

    スター:歳と共に体力的にはキツくなってきてます(笑)。昔キャンプをしていてマダニみたいなのに刺されて、土曜日丸一日歩けないこともありました。医務室に行って抗生物質をもらって日曜日はなんとか動けたけど、その時は焦りましたね。まあ朝の風景を撮りたいと思ったら朝から始めるし、前の日に遊び過ぎちゃったらゆっくりスタートしたり、ライブみたいに何時にって決まってるわけじゃないので、多分他の人よりは伸び伸び活動してますね。

    photo by 宇宙大使☆スター

    photo by 宇宙大使☆スター

    ーー:ライブフォトだとシフトを事前に決めてって感じですよね。

    成瀬:人数が増えるまでは2人で回してた時期もあったんですが、グリーンとレッド担当と、ホワイトとヘヴン担当みたいな感じで割り振ってました。それで撮りたいライブがあればホワイトで撮って、次はヘヴンで撮ってみたいに繰り返して。あと僕は結構深夜が好きなので、それで27時ぐらいまで撮ってます。今は1人1ステージ担当なので当時よりはゆとりがあって、深夜はちょくちょくパレスで飲んでる人もいるし、それぞれの動き方をしてますね。

    藤井:僕は映像チームで10人くらいで分担してやってるので、そういう意味では誰かしらが活動していて24時間体制です。火曜日の夜に着いて水曜日から準備風景を撮って、その日ごとのダイジェストの映像を作ったり、テーマごとのショートムービーを作ったり、撮影する人と編集する人もいるので、誰かしらずっと何かやってます。ダイジェストはその日のヘッドライナーまで入れてるので、例えば24時ぐらいまでは撮影してそこから編集するんで、次の日のライブが始まる前には完成させてリリースすると。

    ーー:そう聞くとだいぶ過酷ですね。藤井さんのチームではどういう風に分担してるんですか?

    藤井:基本的には場所ごとで分担しています。ただステージ固定にしちゃうと面白くなかったりもするので、多少変えたり。アフタームービーは僕が編集するんですけど、「ゲートオープンしました!」とかテーマごとのちょっとした映像担当の人と、一日のダイジェストを編集する人って感じで、3人体制で編集していて、僕も多少は撮るし、トラブルの対応もしたりするのでなかなか忙しいです。

    森:ちなみに過酷なのはどういうところ?

    藤井:僕個人としては寝れないことですね。みんなで動いてると「このステージが撮れなかった」とか、やっぱりいろんなイレギュラーや変更があったりするので、そういうのに対応したりしてるとなかなか時間が…(笑)。うちは大体朝まで起きてそれから午前中少し休むんですけど、あんまり寝れないですよね。

    藤井大輔さん

    藤井大輔さん

    森:そうだよね。俺も大体1日3時間とかになるし、トラブルがあるとなかなかね。

    成瀬:僕も朝方に帰ってきて9時前に起きる感じです。

    スター:朝までずっとやってるからね、フジロックって。もちろん楽しいんだけどね。

    藤井:あとやっぱり、フジロックだといつ何が起きるかわからないですからね。「この時間だったらおいしいことは起きないだろう」みたいなことはなくて、いつでもシャッターチャンスというか。

    ーー:苦労しつつも楽しんで活動してるんですね。その中でどういうところがやりがいに感じるか聞かせてもらってもいいですか?

    成瀬:音がいいのが一番好きなポイントで、グリーンのスピーカーの前とかで撮影してると、もう本当にゾクゾクするんですよ。ホワイトのダンスミュージックやヒップホップの低音もやっぱりすごいし、そういう環境で撮影するのが醍醐味です。

    photo by Masanori Naruse(SKRILLEX / 2018年)

    photo by Masanori Naruse(SKRILLEX / 2018年)

    スター:カメラマンも柵の前で楽しそうだもんね。ある意味最前列で。

    成瀬:普段ライブハウスだと大体1現場1人なので、フォトピットで他のカメラマンさんと絡めるのも楽しかったりします。最初の頃はやっぱり先輩の動きとか、「ここからこうやって撮ってるんだ」っていうのを見て参考にしながら撮ってたことも結構あったので。

    藤井:一流のカメラマンの方々が全国から集まってるので、僕もすごく勉強になります。動きを見られるし、同じステージを撮ったものをあとで見て、「同じところにいてスターさんはこれが撮れるのか」みたいに、勝手に勝負してますよね(笑)。アフタームービーやダイジェスト的に撮るのは感覚として写真に近いんですよ。ワンカットで切り取る意識があって、映像だけど写真のかっこよさで撮りたいっていうのを目指してるので、だから動きや写真はすごく見させてもらってます。

    成瀬:「こっちに結構カメラマンがかたまってるけど、この人だけ別の方にいるな」とか、「いないと思ったらPAのあたりにいるな」とか結構意識しますよね。

    FUJI ROCK FESTIVAL’17 Aftermovie

    終わりのない雨対策とフジロックが育むチャレンジ精神

    ーー:それで言えば撮影の準備として何かフジロックに向けてしていることはありますか?

    一同:雨対策(笑)

    スター:終わりのない準備というか、いつも正解がわからないので。

    成瀬:それしかないですよね。

    森:2019年はカメラが一つ壊れたんだけど大丈夫だった?

    藤井:あの年はうちのチーム内でも機材が壊れたし、雨だけじゃないですけどかなりの数があるのでいつも何かしら壊れてますね。雨自体は防げても、濡れた手でバッテリー交換したりすると…。

    森:まずカメラレインカバーじゃ全然防ぎきれない雨だったじゃない。2019年にグリーンステージでSIAを撮ってるときに、200-500mm望遠レンズの内部にまで雨が入っちゃって。撮影後に下に向けたら雨水がどしゃーって出てきて(笑)

    スター:ちょっとでも乾かすためにドライヤーは持ってくよね。あとジップロックにレンズと乾燥剤を入れたりとかも、何もやらないよりはマシだったり。そういうのも繰り返しながら学んできた感じがするし、フジロックでだいぶ勉強させてもらってますね。

    成瀬:フジロックで撮影していれば他の現場で雨が降ってても全然余裕というか、「これとこれをつければいいか」みたいな感じになりますね。

    スター:他のフェスだとちょうどいいところに、スタッフのエリアがあって、行ったり来たりできるんだけど、フジロックは広いから宿から出ると帰れないんですよ。今は天気アプリの雨雲レーダーである程度予測はできるけど、雨も降らないって聞いたのに降ったりするじゃないですか。晴れてても一応雨具とか全部入れていかないといけないから、それが面倒。

    藤井:これだけやられてるはずなのに、油断しちゃって機材がやられたり。

    スター:でも雨は嫌なんですけど、雨が降ってくれた方が後々見返してみるとなんかいい写真が多いんですよね。嵐のような辛い状況が、フジロックの非日常感をさらに増してくれるのか、ドラマチックな場面に出会うことがあるんです。ずっと晴れてる方が圧倒的に楽だし嬉しいんですけどね(笑)

    photo by 宇宙大使☆スター

    photo by 宇宙大使☆スター

    ーー:そういえばちょっと気になってたんですけど、アフタームービーが一昨年、去年と年々長尺になってるなと。それは何か意図があるんですか。

    藤井:僕もそれに気づいてなかったので、それは曲によりますね。でも材料としてはすごく盛りだくさんなので時間の中に入れるのは大変で、できるのなら20分とかで作りたいんだけどってところもあるんですけどね。

    ーー:本当に全部網羅ってのはできないと思うんですけど、その中で選ぶ基準はあるんですか?

    藤井:盛り上がりや話題だったり、実際にチームで話を聞いて「このアーティストはすごいライブだった」って場面はピックアップして入れてますね。例えば去年だと「CORY WONGがベストだったかもしれない」っていう声も聞いたので入れたり、ベストアクトだってお客さんが思ってるようなライブは、入れるようにしてます。

    ーー:楽しかった場面がちゃんと入ってるとお客さんとしても嬉しいですよね。

    藤井:あとフジロックの特徴でもあると思うんですけど、いろんなジャンルの音楽があって、お客さんもいろんな人が来てて、ノリや踊り方もそれぞれあって、お客さんとアーティストでステージ全体を作ってる感じがあるんですよ。そういうのを全部含めて「ライブの風景」っていうものができる。パンクバンドの盛り上がりもあるし、座りながら眺めてるライブもあるし、ファンキーなライブで踊ったり、いろんな音楽といろんなお客さんがいるっていうのが面白いなと思うんです。

    FUJI ROCK FESTIVAL’22 : Aftermovie

    ーー:多分映像制作だとより技術の進歩をダイレクトに感じてるんだろうなって思いまして、やれることも広がってきたなって実感はありますか?

    藤井:どんどんいろんな撮り方ができるようになってきて面白いですよね。FPVっていうんですけど、小回りが利く競技用のスポーツドローンで高速で回ったりとか、どこに行っても絵になって立体的に見ても面白いフジロックだからこそ、試し甲斐もあります。やっぱ雨とか天候で風が強くて飛ばせなかったりもするんですけど、「ここだったらお客さんが多いんじゃないか」とか「このタイミングだと照明が綺麗なんじゃないか」とかはある程度予想して狙っていきますね。

    成瀬:風とかダメなんですね。雨もNG?

    藤井:もう駄目ですね。「これぐらいだったらいけるかな」って思う時でも全然駄目で。かなり繊細というか。あと関係各所との調整も大変で、怒られたりもしながらできる範囲で飛ばしてます。結構いろんな失敗もしましたが(笑)

    ーー:いろんなことにチャレンジしてるんですね。遠慮してやらないよりは、やって失敗して学ぶマインドなんだろうなと。

    藤井:ドローンの場合は法律の関係もあるし、事故があると危険なのでそこは気をつけてやってますけどね。飛ばし始めたときもやっぱり反対とかもあったけど、多分他のフェスより早かったと思うんですよ。フジロックはチャレンジしたいことを受け入れてくれるのでありがたいです。

    FUJI ROCK FESTIVAL’23 : Aftermovie

    やっぱりみんなフジロックが好きだから

    ーー:皆さんがフジロックの撮影で特にこだわってる部分があれば教えてください。

    成瀬:アーティストにもよるんですけど、いろんな角度から撮ろうとしたり、一脚でカメラを高く上げてちょっと視点を上にするとか、そういう工夫はしてますね。でも僕のスタンスとしては割と気が向くままで、その時に感じるままが一番みたいなところはあります。

    スター:僕はフジロックだからっていうわけじゃないけど、一瞬を見つけることですね。そこに出会えるようにアンテナをはっています。あと結構待つことが多いです。「きっとあの人がこうきて、こうくるだろう」みたいな動きを予測して待ってる。

    ーー:待つんですね。

    スター:そこはこだわって時間を割いてます。結構そういう展開になってくれるんですよ。例えば「もうちょっとこの子がこっちに来て、お母さんと遊んでるところ」を想像すると、そうなってくれたりするんです。うまくいかないこともあるんですけどね。

    photo by 宇宙大使☆スター

    photo by 宇宙大使☆スター

    藤井:今の話はすごくカメラマンとして大事な話で、同じことを違う言い方をすると、何かが起きてからシャッターを切っても遅いんですよね。狙っているものしか撮れない。

    スター:逃して悔しい時もあります。構えてなくて、カメラを向けたらその瞬間はもう終わってたとか。

    藤井:当然そういうシーンに瞬時に反応する瞬発力も必要なんですけど、一番いいのはやっぱり狙って撮ることだろうなって思います。そういうアンテナを成瀬さんもライブの時も持ってるんじゃないかなって。

    成瀬:あまり意識してないけど、言われてみるとそうなのかも。

    photo by Masanori Naruse(OK GO / 2014年)

    photo by Masanori Naruse(OK GO / 2014年)

    藤井:フジロックだと、どこで何をしていてもすごく良い瞬間がいっぱいあるので、それを撮るためにはやっぱり無意識のアンテナを働かせなきゃいけないなって。「こういう瞬間があったよね」ってみんなが思ってるシーンをオフィシャルが撮れてないのはすごく残念だから、そういう瞬間を逃さないことにこだわってます。さっきも「24時間いつ何が起きるかわからないから寝られない」って話をしましたけど、例えば僕が好きなのはパレスの朝の終わるくらいの時間で。

    スター:いいよね。気だるい感じの。

    藤井:夜も明けたのに馬鹿みたいに盛り上がってて、すごく幸せな時間ですよね。あまり知られてないけどそういう瞬間が大きい会場の中でいっぱいあって、それをできるだけ逃がさないようにしたいです。

    ーー:そのアンテナや嗅覚みたいなものはどう鍛えられたのか、何か思いあたるところはありますか?

    スター:フジロックが好きだからだよね。いい瞬間がいっぱいあって、それを見つけ出して「フジロックってこんなに素晴らしいんだよ」みたいに発信したい気持ちがあるんじゃないかな。

    ーー:フジロックに自分自身が魅了されてるからこそ、アンテナも研ぎ澄まされていくような。

    成瀬:フジロック愛ですね。

    スター:つまりそういうことなのかな(笑)。でも友達も装飾とか飲食をやってたりいろんな人がいるけど、フジロックに関わってるいろんなスタッフって、やっぱりフジロックが好きだから来てて、そういう人たちの気持ちでできあがってる感じはしますよね。だから頑張らなくても勝手に頑張ってるみたいな、そんな感覚がある気がする。やりすぎちゃうこともあるけど、いい意味で「もっとこうしたい!」ってどんどん思っちゃう。

    ーー:すごくよくわかります。不思議なパワーがありますよね。苦労する話もたくさん出ましたけど、睡眠時間が少なくても全然いけるみたいな。

    成瀬:ライブもそうかもしれないですね。フジロックはすごく特別感があってロケーションもいいからアーティストも気合いが入ってるし、そんな気合いが演奏からも伝わって、カメラマンもいいところを撮りたい気持ちになってくる。

    photo by Masanori Naruse(電気グルーヴ / 2021年)

    photo by Masanori Naruse(電気グルーヴ / 2021年)

    スター:アーティストもセットリストとかバンド編成とか、フジロック仕様で来たりするもんね。あと地方のいろんなフェスに行って、装飾だったりとかステージの舞台監督だったり全国各地に知り合いがいるんですけど、フジロックに行くとその全員がいるんですよ。みんなとここで会うような感覚もあるし、お客さんにとってもそういう部分はあるんだろうなって。

    森:フォトピットで会うって話もそうだし、FUJIROCK EXPRESSの取材チームもそういう機会だったりもするよね。

    ーー:よく「フジロックはお正月」とか言ったりしますけど、ここを目指してくるお客さんやアーティストと、スタッフの皆さんや撮影してる皆さんの相乗効果みたいなものがあるんだろうなって感じますね。今年も楽しんでいきましょう!

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    text by Hitoshi Abe
    photo by 森リョータ(インタビュー写真)

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