• 【朝霧JAM2017】子連れフェス体験記


    親のエゴが家族の喜びに変わった瞬間

    Photo by 志賀崇伸

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    普段は呆れるほど朝が弱いのに、遠出しているときだけは早起きになるのはなぜだろう。この日も、6時くらいには目が覚めた。

    眠っている家族を起こさないように外へ出ると雨はすっかり止んでいて、空、バーベキューコンロ、タイムテーブルなど、どこを見ても楽しい1日になる予感に満ちていた。

    昨晩遅くまで遊んでいた娘たちは、さすがに疲れたのか、いつも起きる時間になっても夢の中。夜の寒さで寝れないことが一番の心配だったので、いつも通りの寝相と寝顔を見てホッとした。

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    朝食は、同じく運動会を終えてから朝霧に来ていた保育園の友達家族と一緒に食べた。お互いに2人の子どもがおり、保育園のクラスも一緒ということで、以前から仲は良かったが、朝霧に来てからは誰がどこの子とかは関係なく面倒を見たり、時には叱ったりもして、気分はもう大家族だった。

    どうせ朝はバタバタするからということで、朝食はあらかじめ握ってきたおにぎりに、卵とウインナーを焼く程度の簡単なメニューだったが、実際に食べ始めると、上の子たちは食事そっちのけで遊びだすし、下の子たちはボロボロとこぼすしといった具合で、想像以上に収拾がつかない朝食になった。

    よくよく考えてみると、食べている途中でご飯に飽きて遊びだしたり、飲み物を派手にこぼしたりというのは日常的にあることで、家であっても子どもの食事にはそれなりの苦労を伴う。それが外に行ったら、もっと大変だということは少し考えればわかりそうなものだが、なぜか僕は簡単なメニューにすればスムーズにいくと思い込んでいた。できることなら、過去に戻って楽観的すぎる自分をひっぱたいてやりたい。

    保育園の友達とキャンプに来ているというだけでもテンションが上がっている子どもたちが、落ち着いてご飯を食べてくれるはずがなく、ウインナー片手に走って行ったと思ったら、数十秒後にはズボンを泥だらけにして帰って来るといった有様だった。たった数十秒で、なぜそこまで泥だらけになれるのかと呆れつつも、笑って済ませられるのは、良くも悪くも子連れフェスに慣れてきた証拠なのかもしれない。

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    そうこうしているうちに、気づけばラジオ体操の時間が迫っていた。慌てて身支度をして出発するも、草を見つければ次々とひっぱり、橋を渡っては列車ごっこを始め、巨大なシャボン玉に遭遇すれば夢中で追いかける子どもたちをコントロールすることなどできるはずもなく、やっとの思いでレインボーステージに辿り着いた頃には、すでにラジオ体操は終わり、お目当ての『DJみそしるとMCごはんのケロポン定食』のライブが始まっていた。

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    大勢の人がいて恥ずかしかったのか、最初はもじもじしていた長女だったが、肩車をすると笑顔が復活。足をバタバタさせながら、ステージに熱い視線を送っていた。お待ちかねの“エビカニクス”では、曲に合わせて掛け声をあげるなど、終始ご機嫌な様子。親のエゴが、家族の喜びに変わった瞬間だった。

    Photo by 志賀崇伸

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    子どもの読めなさと、母親の覚悟

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    今年のメインイベントを終えた我々は、さらなる楽しみを求めてキッズランドへ足を運んだ。
    受付の奥には『たんけんトンネル』なるものがあり、森の中に手作りのガーランドやオブジェが飾られていた。次々と目の前に現れる奇妙なアートに、子どもたちは興味津々。まさに探検気分で、「ライオンいるかも!」、「クマも!」、「きゃー!」なんて言いながら進んでいく様子がとても微笑ましかった。

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    たんけんトンネルを抜けると、視界が一気に開け、目の前にはカラフルなテントや竹で作られたジャングルジムが現れる。

    トンネルの冒険で度胸がついたのか、子どもたちは弾むように駆け出して、絵を描いたり、丸太に飛び乗ったりして遊び始めた。

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    キッズランドには、授乳やオムツ交換のスペースもあるので、小さい子を連れていても安心して遊ぶことができる。その上、ムーンシャインからの音楽も聞こえてくるので、親も退屈しないという文句なしの環境だ。

    朝霧らしいのんびりした時間を取り戻し、しばらくは子どもたちと遊んでいたが、昼頃になると次女が「おっぱい、ねんねー!」、「おっぱい、ねんねー!」と言ってグズりだした。要するに空腹と眠気の波が一気に襲いかかってきたのだ。長女はまだまだ遊び足りない様子だったが、一旦キャンプサイトへ戻り、昼ごはんを食べることにした。

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    「お腹がいっぱいになれば、すぐにでも寝るだろう」という予想に反し、昼ごはんを食べると次女は急に元気になった。こういうときの子どもの読めなさには、目を見張るものがある。

    結局、長女たちと遊び始めるも、転んだショックで号泣。そのまま妻に抱きかかえられたと思ったら、次の瞬間にはスイッチが切れたように寝てしまった。子どもは自由奔放だといわれるが、本当にその通りだと思う。

    僕は昼食後にライブを見に行こうと思っていたが、長女の顔にも明らかな眠気の色が漂っていたので諦めることにした。矛盾するようだけど、子連れでフェスを楽しむには、諦めが肝心な気がする。

    その感覚は、僕よりも普段から子どもと接する機会の多い妻の方がはっきりと持っており、楽しみにしていたUAのライブが近くなっても片付けの手を止めず、「行きたかったけど、子どもが眠そうだし仕方ないよね」と一言。内心はともかく、その話ぶりは実にあっさりしたものだった。

    母親になるということは、自分よりも子どものことを優先する覚悟を持つことなのかもしれない。

    朝霧の満足度を、もう一段階高めてくれた最終夜

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    夕方、子どもたちが長めの昼寝から目を覚ますのを待って、我々はライブの見納めに向かった。

    荷物運搬用のキャリーに乗り込んだ子どもたちは、「バスだー!」、「出発進行—!」とご機嫌そのもの。そうかと思えば、光るブレスレットの色が気に入らないと言って大泣きするなど、レインボーステージに着くまでの短時間に喜怒哀楽が何度も入れ替わった。子どもっぽいと言えばそれまでだが、感情と態度が直結しているのは、見ていてとても面白い。

    小さい頃の記憶はあまり鮮明に覚えてないが、思い返してみれば自分にもそういう時期があったような気がする。

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    サチモスの曲に合わせて手を振り回している次女に対し、長女の関心はライブよりもゴミにあった。

    食べ終わった後の紙皿を捨てに行った際、スタッフのお姉さんに「えらいねー!」と言われたのが嬉しかったようで、音楽そっちのけで「ゴミ、ポイしに行こう!」、「ゴミ、ポイしに行こう!」とせがんでくるのだ。

    「何も捨てるものがないよ!」と言うと、「ヤーダー!何か買ってー!」なんて声を荒げるから、もう可笑しくてしょうがなかった。

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    規模感や人の多さ、キッズエリアの充実度などなど、朝霧が子連れに優しいフェスだと感じる要素はいくつもあるが、最後のライブが19時に終わるというのも嬉しいポイントだなと思う。ヘッドライナーを見てからでも、ゆっくりご飯が食べられるというだけで、心の余裕はずっと大きくなる。

    夜はみんなでバーベキューをして、フェスティバルが終わってしまうのを惜しむようにたくさん話をした。ご飯を食べる子どもたちは、相変わらず肉を落としたり、コップをひっくり返したりしていたが、ふと思い立って地面にブルーシートを敷き、テーブルスタイルから座敷スタイルに移行してみると、ほとんど食べ物をこぼさなくなった。

    僕は、そこで初めて、慣れないアウトドアチェアが食べ物をこぼす一因になっていたことに気づく。なぜ、こんな単純なことに気がつかなかったのだろうか。きっと心のどこかに、「せっかく椅子を用意したんだから座ってよ!」という気持ちがあったんだと思う。もしかすると、普段の生活でも、無意識に子どもに押しつけていることがあるのかもしれない。気をつけよう。

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    最終日の夜ということで、どのテントからも楽しそうな話し声が聞こえてくる。うちのテントにも、いろいろな友達がやってきた。

    僕はウトウトし始めた娘たちを寝かしつけるために一旦テントに帰還。子どもが寝たら再び宴会の輪に戻るつもりだったが、すやすやと眠る娘たちの寝息を聞いていたら、いつの間にか一緒に寝てしまったようで、気づいたら外が明るくなっていた。

    友達が持ってきてくれた自家製サングリアをお目当てに酒の席へ戻った妻は珍しく深夜まで飲んでいたらしい。自分が寝落ちしてしまったことは悔やまれたが、いつもは子どもと一緒に寝ている妻が久しぶりに友達と飲み明かしたという話は、不思議と僕を嬉しい気持ちにさせた。最後に妻もゆっくりできたようで、そのことが家族行事全体の満足度を、もう一段階高めてくれた。

    「〝来年〟も来たい!」

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    3日目の朝は、それはそれは見事な快晴だった。

    今年はステージの方にあまり行かなかったこともあってか、ほとんど富士山を見ることができなかったが、最後にしてようやく、しかも勇壮な日の出を拝むことができた。

    急いで家族を起こそうと思ったが、既のところで思い止まる。楽しみを来年に取っておくのも悪くない計画だと思った。

    子連れでフェスに参加することには、今後も賛否両論がついてまわるだろう。しかし、そこに明確な正解・不正解はないはずだ。少なくとも、それは他人が決めることではないと思う。

    子どもがどれくらいの体力で、どんなことに興味があるかは、近くにいる親がよくわかっているはずだ。それを踏まえて遊びに行けば、よっぽど過酷な環境下でない限り、親にとっても子どもにとっても楽しい時間を過ごせると思う。

    フェスの会場で疲れ切って眠っている子どもを見ると、つい「かわいそうに…」と思ってしまうこともあるが、疲れた顔をしているからといって親の都合に振り回されているとは限らない。一方的に決めつけず、「存分に遊んできたのかな」と想像を巡らせてみるだけでも、見え方は大きく変わってくるだろう。

    帰りの車中、長女に「楽しかった?」と聞くと、「〝来年〟も来たい!」という言葉が返ってきた。

    きっと来年は、次女もよく喋るようになっているはずだ。やかましさは倍増するだろうし、きっと荷物も増えるだろう。それでもやはり、来年も家族で遊びに来たいと思う。

    願わくば、運動会と重ならない日程で開催されますように!

    Photo by 志賀崇伸

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    Text by 阿部光平(@Fu_HEY)

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