• 進化し続けるITAMI GREENJAM、目指すはフェスの向こう側!


    兵庫県伊丹市の活性化を掲げ、市内の若者が立ち上げた関西最大級の無料ローカルフェスITAMI GREENJAMが今年3回目を迎える。過去には溺れたエビ!や奇妙礼太郎といったフジロックでもお馴染みのアーティストが出演し、無料フェスにありがちな広場にステージがどーんとあるだけの無機質な会場ではなく、森と池のある自然豊かな昆陽池公園に装飾やマーケット、子どもエリアを配したこだわりの空間は、フェス好きの間でも評価が高い。
    会場に流れる空気感は、さながらフィールド・オブ・ヘヴンのようだといえば、参加者の半数が家族連れでやってくるというのもうなずけるだろうか。
    初回は6,000人、2回目は10,000人を動員し、順調に成長してきたフェスについて、実行委員会の中心となる4人に意気込みを聞いてきた。
    順風満帆かと思いきや、そこにはバンドさながらのドラマがあった。
    初期衝動の1回目、プレッシャーと向き合った2回目を経て、やりたいことがみえてきた3回目へ。出演者に竹原ピストル、MOROHAらを迎えて目指すピース×ピースではないフェスのあり方とは?!


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    左から楠本、大原、大塚、A.Jaws

    左から楠本、大原、大塚、A.Jaws

    ─ 今日はよろしくお願いします。さっそくですが、それぞれの役割を教えてください。

    楠本 会場の装飾と土エリアのステージを担当しています。
    大原 全体のマネジメントと、アーティストブッキング、ステージ担当です。
    大塚 大塚です。人生で4回苗字が変わってます(笑)。マーケット統括とキッズ・ジャム(子どもエリア)制作の補助的なことを。
    A.Jaws トータルアート担当です。フライヤーやロゴ、あとメインステージやマーケットの一部の装飾をやってます。

    ─ さっそくですが、それぞれの目線から、今回変わったところは?

    大原 エリア自体は増えてないんですけど、地元のアトリエと幼稚園のコラボした
    アート作品やグリーン・ジャムを通して生まれた活動を紹介する展示が増えます。
    楠本 装飾に関しては、ローカル推しっていうよりはトータルの空間としてのクオリティを高めて、来た人が驚くようにしたいです。
    A.Jaws 同じく、「これ本気のフェスやん!」って思ってもらえるように頑張ってます。
    大塚 あとは、地元のセレクトショップとコラボして、フェスコーディネートに注目した「ナイスフォトコンテスト」をやったり、実行委員以外にも、エリア毎に関わってくれる人が増えてるんで、いい感じになると思います。
    大原 それと、イベント開催前の朝8時から、初回開催時にやってた朝ヨガに加えて朝マルシェ、そして昆陽池公園の周辺を走る朝ランもやります。会場使用制約があって夜はできないんで朝に力入れるっていう(笑)

    ─ なるほど、朝に企画をもっていくと(笑)。ところで、今年3回目ですけど、もう運営や準備には慣れましたか?

    全員 いや、慣れはしないですね。
    大原 実は今年はじめて「来年、再来年と続けていく」ことを考えて制作出来てるんです。
    去年の2回目は「グリーン・ジャムのあるべき姿は…」「次世代のリーダーを育成するためには…」「まちのためには…」、「実行委員メンバーはどう思ってんのかな…」と考え込んでしまって、開催当日までそれを引きずってしまった(編注:前回のインタビュー)。なので、精神的にしんどくて「もうやめよう」と思ったんです。
    でも、今回はそういうもやもやに関しては吹っ切れた状態で動けてます。
    大塚 2回目終わった時点で大原が「やめる」って言ってたから、本当にやめてたらそれはそれでみんな納得したとは思うけど…やっぱり「じゃあ次は何しよっか?」ってなってただろうなぁ。
    楠本 たしかに前回は同じ事をもう1回するっていう感じで。今回は、新しいものをもう1回つくっていくっていう感じですね。
    大原 毎回2〜3割は新しい事を取り入れてバージョンアップしようと。
    楠本 装飾に使う竹を皆で竹藪行って切りに行ったりして。
    大塚 今回は肉体的にしんどいっていう(笑)。

    現地でのミーティング

    現地でのミーティング

    ─ しんどいのに何故フェスを続けようと思えるんでしょうか?

    大原 やめる・やめないの時に、「グリーン・ジャムがなくなったらどうしよう」と考えて。やっぱり、今の生活サイクルの中にグリーン・ジャムがないことを考えると寂しいですね。
    楠本 それはよくわかる。めちゃ大変だけど、1年間トータルで考えてみると、ないと不完全ですね。
    大塚 結局1年通じてグリーン・ジャムのことを考えてるから。いつも遊んでる仲間と面白いことを共有して、それを1万人っていう来場者の方に提示する気持ちよさを知ってしまったっていうか。
    楠本 他のフェスに遊びに行っても、見方が変わったよね。
    A.Jaws 表現ですよね。自分のことアピールできる場。
    楠本 自分たちが1年間みてきたものや考えたこと、面白いと思ったものを提示できる。

    ─ なるほど。そうしたなかで理想のフェス像みたいなものも見えてきましたか?

    楠本 今までもイベント企画はやってたんですけど、その集大成ですよね。さらに多くの人に知ってもらうっていう意味で。おもしろいコンテンツをどんどん増やして、次の世代が自分達もやりたいってなればいいなと思います。
    ただ、たくさんの人に来てもらうって言っても、「大衆性」っていうのとはちょっと違う。たとえば、人が増えてくると窮屈に感じる。それを解消するためにエリアやコンテンツを増やすと自分たちの能力以上のものが必要になってくる。その時にいろんな人を巻き込んで、いろんな面白い人の力を借りられるようにしたいですね。
    大塚 非現実的な空間ですよね。土を触ったり、昔の遊びをする一方で最新の音楽やテクノロジーを感じられるっていう雑食なフェスにしていきたいです。
    A.Jaws 1日だけ現れる夢の国。1個1個が確立されたテーマパークで大人が子どもになって楽しめるところ。昔、僕の家の近くにお菓子を売りに来るトラックがあったんですよ。それがホントに楽しみで「まだかな」って待ってる感じ。そういう風にワクワクしてこのイベントを待ってて貰えたら嬉しいですね。
    大原 僕はあえて違うことを言いますけど…
    全員 出た(笑)
    大原 今のよくあるフェスのイメージはキレイすぎる気がしてて。ピースな雰囲気を打ち出しすぎで嘘っぽいところがある。で、ピースにピースを掛け合わせてもさらに嘘臭くなるだけなんで、そこはブッキングで攻める。
    全員 おおー!

    ─ ここでブッキングの話が出ると(笑)

    大原 普段あまり音楽を聴かない人には濃いメンツだと思います。「ロックンロールは悩みから解放なんかしてくれない、ただ悩んだまま踊らせるんだ」っていう名言があるんですけど、ピースで平和な空気が流れている中でふと現実的な事を考えて、生活を思って、
    楽しいのか苦しいのか、幸せなのか不幸なのか訳わからなくなる一瞬があっても良いと思う。
    グリーン・ジャムという空間の中で音楽を聴いて、イベント開催中の7時間の中で
    10分でもそんな気持ちと向き合う様な時間があれば嬉しいです。

    greenjam2016

    関西最大級の無料ローカルフェス!
    ITAMI GREENJAM 2016

    WEBサイト:http://itamigreenjam.com
    開催期間:2016年 9月18日(日) 10:00〜17:00
    開催地:伊丹・昆陽池公園 (〒664-0015 兵庫県伊丹市昆陽池3丁目)
    入場料:無料
    出演者:竹原ピストル / MOROHA / 踊ってばかりの国 / Ten with DJ YOKU(A Hundred Birds) / バーカーズ / チャー絆 / BLONDnewHALF / AFRICA / 清水あつし / THE HillAndon/ SARM / ウミネコ楽団(オトラク) / mona(オトラク)
    主催:ITAMI GREENJAM実行委員会
    協賛:伊丹市
    Twitter:@ItamiGreenJam
    Facebook:https://www.facebook.com/itami.greenjam

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