「2回目のほうがしんどい」:いたみこやいけフェスGREENJAM実行委員代表大原智インタビュー
- 2015/09/16 ● Interview
昨年、地域の若者たちがゼロから立ち上げた、兵庫県伊丹市昆陽池公園でおこなわれるローカルフェスGREENJAM。溺れたエビの検死報告書をヘッドライナーに迎えた第1回は予想を遙かに上回る6000人以上の来場者を集め、成功のうちに幕を閉じました。
当日の昆陽池公園は子供達が走り回り、散歩やジョギング中のお年寄りが気軽に立ち寄るという独特のゆったりとした雰囲気のなか、細部にこだわった空間づくりが功を奏して、小さいながらもとても初開催とは思えない完成度の高いフェス空間となっていました。
生まれたばかりのフェスは1年を経てどのように成長するのか?
1年間を振り返りつつ、9月27日に迫った第2回の見どころについて代表の大原智氏にお話を伺ってみました。
─ 去年のフェスをやってみて、手応えはどうでしたか?
おかげさまで、いろんな方々から反応をもらいました。反省点もたくさんあるんですけど、「また楽しみにしてるわ」とか「去年は知らなかったから今年は絶対行く」とか言ってもらって。まぁ、こういうのって基本的には良い反応しか耳に届かないんでしょうけど(笑)
─ じゃあ、今年は1回目に比べて準備も順調ですか。
順調といえば順調なんですけど、でもぶっちゃけると、2回目の方がしんどいですね。
去年は本当に何も分からなかったんで、がむしゃらにやって肉体的にはキツかったけど、「夢が叶う」っていう初期衝動で実行委員も自然と盛り上がったんですね。
で、今年は、言い方は変かもしれないですけど、「昨年の再現作業」になってしまうところがある。もちろんルーティン・ワークになっちゃうとつまらないので、そうならないようにしながら、実行委員のテンションを高めていかなきゃいけないっていうところで、精神的には今回の方がしんどいですね。「実行委員の皆はどう思ってるのかな?」って、頭の中の7割ぐらいはそればかり考えてますね。
─ なるほど。たしかに何事も続けるのは大変ですもんね。
「フェス 継続」とかってめちゃくちゃネット検索しましたもん(笑)
実行委員会あってのグリーンジャムなんですけど、みんなボランティアでやってくれてるんで、なるべく強制はしたくないんですね。だって、別にどうしてもやらなきゃいけないことじゃないし、めちゃくちゃしんどいんですよ。そういうなかで、「なぜやるのか」っていうのを各自が持ってくれてたらいいなと思います。
─ フェスをやったことで変わったこととかってありましたか?
いろんな声をかけてもらえるようになって、まちとの関わりは深くなりましたね。
たとえば、「ことば蔵」っていう図書館が伊丹市にはあるんですけど、そこで「蔵フェス」っていう地元の高校生たちの音楽イベントのお手伝いをさせてもらったり。それについてもただの発表会じゃなくて自由度を高めたいと思って、空間の装飾をあれこれ考えたり、子どもが遊べる露店ゲームコーナーの様なものをつくってみたり。
図書館って普段は騒いじゃいけないところなんですけど、やっぱり図書館ならではのことができないかと考えて、図書館に大量に余ってた雑誌の付録を使ってヨーヨーつり的な事をしたり、本の帯が大量にあるって聞いたんで、それを使って子供達にちぎり絵アートの様な事をしてもらったり。
─ そういう経験は今年のGREENJAMに反映されそうですね。
空間やシチュエーションの持つ空気感の大切さが分かって、すごく勉強になりました。
会場については、もちろん進化すべきところはさせます。たとえば今年はKIDS JAMという(エリア?)を新しく作りました。去年の来場者の4割が家族連れだったんですけど、それならばもっと受け入れ体制をちゃんとしたい。なので、あえて「キッズエリア」とは言わずに子どものフェスを同時開催しているっていうイメージでKIDS JAMという名前にしました。
あと、土のグラウンドの飲食エリアに櫓を組んで、DJブースを作ったのがけっこう好評で、こちらのエリアはもっとおもしろくできると思ってます。
そういう会場の環境や空気感がバンドでいえばドラムとベースっていう土台、その上にアーティストやライブというウワモノを載せるというイメージでラインナップにはこだわりました。
─ たしかに野外というか池のほとりの芝生の風景にハマリそうな出演者が多いです。
奇妙礼太郎さんをはじめ「あの会場でやってる絵が想像できるかどうか」っていう基準でブッキングはすすめていきました。ただしベタなだけではなくて、「意外と合う、おもしろいはず」「これは受け入れられるかな?」っていう冒険をした部分もあるので、それも楽しみにして欲しいです。
─ フェスがその場限りで終わるんじゃなくて、1年の間にいろんな事があって第2回に繋がっている感じですね。
やってみて分かったんですけど、残務処理とかもあって、結局ほとんど1年中 GREENJAMに関わってるんですね。何もしなかったのは2ヶ月くらいで。
個人的にはやっぱり櫓とか土のエリアの伸びしろが気になるんで、地域の盆踊りとか夏祭りとかめっちゃ勉強しに行きました(笑)
そういうなかでたとえば、Aジョーズ君っていう若い絵描きがいるんですけど、彼は昨年のGREENJAMに出店してくれて、そこで初めて自分の絵が売れたんですよ。それからカフェで個展をやったり、お店の壁に絵を描いたり、それを元手にオーストラリア行って現地でまた絵を描いてっていう1年だったみたいで。
そんな風に若者が外に出ていくきっかけになると嬉しいですね。
そうかと思えば応援してくれる人もどんどん増えてきて。GREENJAMは無料フェスなんですけど、ありがたいことに支援したいと言ってくださる方もけっこういらっしゃるので開催前からグッズ付き個人協賛受付というのをHP上ではじめることにしました。
本当に運営キツイので宜しくお願いします(笑)
─ 最後に今後の展望とか、GREENJAMの理念とかがあれば教えてください。
GREENJAMの最大の武器はやっぱり昆陽池公園という会場だと思ってます。
この会場で無ければ昨年の様な、あそこまで3世代が1日中楽しめる空気感にはならなかったと思うんです。だからそういう意味でどんな環境のどんな人でも家の近くの公園に行く感覚でサラッと来れてしまう、でも内容本格的!っていう
「日本一敷居の低い【本格野外音楽フェス】」を目指すことにしました。どんどん僕達の感性で面白い遊び場にしていくと同時に若い子達がまちと関わるきっかけの場になればいいなと思います。
取材・文 : 永井純一・永田夏来
写真 : 永井純一
ビジュアルデザイン : Peephole artwork office
阪神間最大級の無料音楽フェスティバル!
「日本一敷居の低い【本格野外音楽フェス】」
GREENJAM2015~いたみこやいけフェス~
WEBサイト:http://itamigreenjam.com
開催期間:2015年 9月27日(日) 10:00〜16:30
開催地:伊丹・昆陽池公園 (〒664-0015 兵庫県伊丹市昆陽池3丁目) [MAP]
入場料:無料
出演者:奇妙礼太郎 /rega / Sundayカミデ(ワンダフルボーイズ/ 天才バンド) / 太陽のくしゃみ / バーカーズ / NOTIIBELIKESOMEONE / nayuta / クスノリョウis世界平和 / Tatsuki Agena / 今村モータース / hotel chloe/ 清水あつし
主催:GREENJAM実行委員会 / 伊丹商店連合会 / 伊丹商店連合会青年部worlds
協賛:伊丹市
協力:大阪芸術大学短期大学部
Twitter:https://twitter.com/ItamiGreenJam
Facebook:https://www.facebook.com/itami.greenjam