ザ・ボゥディーズ、堂々のホワイトステージへ!
7月 13th, 2010

ザ・ボゥディーズが苗場に帰ってきた! 彼らは2007年のルーキー・ア・ゴーゴー以来、3年ぶりのフジロックである。 今までルーキーにでたバンドが次に場内のステージに出演するのは、まずはレッド・マーキーからというのが恒例だったのだけど、ボゥディーズはいきなりホワイト・ステージにでるのだ。アジアン・カンフー・ジェネレーションやサンボマスターですらルーキーの次はレッド・マーキーだったことを考えると快挙といっていい。それだけ今、勢いがあるし、人気も実力も経験も3年前より積み上がっている。
フジロッカーズorgでは、3年前にルーキー出演直後にインタビューをおこなっている。それから数々のツアーをこなし、フェスの場数も踏み、成長して、フジロックにこぎつけた。そこで、orgでは、高まる今回のフジロックにかける意気込みを聞いてきた。取材した日は、ゲッティング・ベターというDJパーティの14周年を祝うイベントのため渋谷のO-EASTに出ていた。出演バンドが4組あった中で、ボゥディーズは堂々のトリである。歓声もお客さんたちの盛り上がりも、トリにふさわしい貫録を見せつけたのだった。インタビューは本番前の楽屋でおこなったのだけど、3年前とは出てくるオーラが違いすぎて妙に緊張してしまった。
【フジロックを振り返って】
2007年のフジロック、ルーキー・ア・ゴーゴーにでたボゥディーズは、初日のしかもトップの演奏順。初めての野外フェスというプレッシャーもあったけど、ルーキーにでたバンドの中では一番最初にプレッシャーから解放される立場であることを存分に生かして楽しんだようだ。バンドはキャンプサイトにテントを建てて3日間をすごした。「(テントだと)暑くて目が覚めて、とりあえずビール買って、ずーっとビールを飲んでいた」とJIM(ジム、ギター担当)。「ライヴ観ない時間も川で遊んだり」とTAXMAN(タックスマン、ギター&ヴォーカル担当)。
ステージの様子はROY(ロイ、ベース&ヴォーカル担当)が振り返る。「ホントにホントなんですけど、生きていて一番うれしかった瞬間がアレなんです。今でも鮮明に覚えています。フジロックは学生のころから遊びにいってましたから、そこのステージに立てるという特別な思いがあって、自分たちの音楽が受け入れられるかっていう不安もあったんです。だけど僕らの音が鳴った瞬間にすごくストレートに返してくれて、鳥肌が立って、初めての野外だったし、あれだけ大勢の人に観てもらったのも初めてでしたし、自分たちの音楽が伝わっているという実感を、あんなに感じたことがなかったんで、ステージ上で涙ぐんでしまったんですね。だからこそ次はゲートの中をくぐってやりたいと思って、今回それがかなって最高です」。
そのときのフジロックでは、ユア・ソング・イズ・グッド、マーヴァ・ホイットニー、イギー・ポップ&ザ・ストゥージズを楽しんだようだ。「基本は4人一緒ですけど、僕はお酒飲まないので、お酒タイムに入ると僕はひとりでウロウロしていました」(ROY)。
【ホワイトステージへの思い】
今回のフジロックで演奏するのはホワイトステージである。ROYは並々ならぬ思いを持っていた。
「ルーキーのときに、力を頂いたユアソンがやっていたのがホワイトステージなんですね。あそこで力を貰って『僕らもやらなきゃ』ってなったんです。もしかしたら今回逆の立場かもしれないし、そういう思いで観てくれる人もいるかもしれないし、なんか運命的なものを感じるなぁと思っていて。僕らもあそこに立ちたい、と。ホワイトって一番好きなんです。一番いいところじゃないですか。すごく人が歩いているので、そういうところでみんなの足を止めて聞かせたいと思っています」。
また初日の一発目に出演という予定に対しては、「やっぱり(景気づけの)打ち上げ花火ですよね。僕らをきっかけにフジロック始まるっていうくらいの気持ちでやるし、お客さんも、たぶんそういう気持ちで見に来ると思うんで、全力で楽しんで最高のフジロックにしたい」(TAXMAN)。
残念ながら、広島のフェス出演のために2日目の夕方には苗場を離れてしまう。それまでは、可能な限りバンドを観たいという彼らの気になるアーティストを訊ねると、「前回、ミューズを少ししか観られなかったので、出演発表なった時に、(ミューズは)初日にやってくれないかなと。叶ってよかったです」とMARCY(マーシー、ドラムス担当)。さらに「ギターを始めたきっかけになった人なんで、ケン・ヨコヤマさん観たいですね」(JIM)。
「フジロックってお客さんとして行っている時も、僕らも知らないアーティストもいっぱいいて、たまたま近くでやってるのを見て『あ、カッコいいじゃん』みたいな出会いとか発見とかもある。そういうのってすごい楽しくて、今回もなんかそういう発見があれば。聴いたことない音楽の出会いの場でもあるし、そういう意味でもフェスの楽しみだと思う」(TAXMAN)。
「一昨年だとベティ・ラヴェット、その前だとマーヴァ・ホイットニーとか。奥の方–フィールド・オブ・ヘヴンとかオレンジ・コート–まで足をのばしていただければ。あそこはルーツミュージックが固まっている。ああいうものってやっぱりなかなか触れる機会がない音楽だったりするので、出会ったことのない感覚を味わってもらうというのがフジロックのいいところ。ひとつのジャンルとかそういうことではなくて、いろんなものが出るから、行ってもらう価値が必ずあると思う」(ROY)。そして、ボゥディーズのファンの人たちには、「ジョン・フォガティを僕らの代わりに観てほしいですね」(ROY)。
【フジにかける意気込みを】
「ルーキー出たときは正直緊張もあったし、感動もあったし、覚えてないんですよ。今回は、テンションあがってる状態で、楽しんでライブをやろうということを前提に演奏しようと思っています。全然知らない人でも、楽しそうだなと思ったら入ってもらって、一日目を楽しく飾れるようなライブをしますので、ぜひ観に来てください」(MARCY)。
「フジロックってすごい憧れの舞台で、目標の場所なんですけど、ゲートくぐれてホワイトステージに立てるというのは僕らにとっても光栄なこと。僕らがフジロックのお客さんとして観たときって、すごく『フジロックっていいな』と思ってたんですけど、そう思えるライブをしたいと思いますし、一発目にふさわしい最高のライヴをしたい」(TAXMAN)。
「出てるアーティストも、来てるお客さんも音楽を愛している人が集まってパーティーをする、こんなにハッピーなことはないと思うので、心から楽しんで欲しい。僕らはそうしますので一緒に汗をかきましょう」(ROY)。
「フジロックに来てるお客さんにいうことじゃないのかもしれないですけど、心に素直になって欲しいな、と。純粋に音楽を受け止めて、自分の好きなように楽しんで欲しい。僕たちもそのように音楽をやっているので、それを正面から受け止めて欲しいなと思います」(JIM)。
インタビューの最後に、一曲目からガツンと攻めてくることを約束してくれた。ロックンロールを愛する人、それからまだ彼らを知らない人、特に30代以上の洋楽ファンにぜひ観てもらいたい。ここまで渋くてワイルドな音楽で女の子たちが踊りまくる日本のバンドが存在したなんて驚くと思う。そしてフジで伝説を作ってもらいたい!
オフィシャルサイト
http://thebawdies.com/index.html
旧smashing magにて、2007年〜2010年初頭にかけてのライヴレポートがあります。
http://smashingmag.com/index0.html
新smashing magでのレポート
http://www.smashingmag.com/jp/archives/4137
写真は6月6日渋谷O-EASTにて
text by org-nob, photos by terumi