• ROOKIE A GO-GO特集 Part3 〜 月夜に奏でた、最終日


    rookie15_3

    三夜連続でお送りしてきたルーキーアゴーゴー特集も最終回です。ほとんど雨に降られることなく毎晩素敵な月が姿をみせてくれた今年のフジロックですが、来年も天気がいいことを願うばかりです。

    未来のヘッドライナーが出るかもしれないこのステージでどんなライヴが繰り広げられたのか、ライヴを観た人も観られなかった人も要チェックです!

    tempalay 23:00~23:30

    tempalay | Fuji Rock Festival ’15

    tempalay | Fuji Rock Festival ’15

    “Don’t Look Back in Anger”でグリーンステージの演奏が全て終わったころ、同曲をSEにして登場したのはテンパレイ。彼らの晴れ舞台を観るべく、ノエルを早々に切り上げてきた者にとっても、嬉しいサプライズとなった。まるで演奏を終えたノエルから、奏者のバトンを受け取ってきたかのよう。とても素敵な演出だ。

    浮遊感のある中性的なヴォーカル、やがて轟音となっていくギター。昨年ルーキーステージに出演したヨギー・ニュー・ウェーブスや、同日苗場食堂に出演したネヴァー・ヤング・ビーチとも似た、西海岸の匂いを感じる。ローファイなサウンドが会場を包み込み、フジロック最終日の夜にしっとり響く。疲れた体を癒してくれる、チルアウト・ミュージックであった。

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    taiko super kicks 00:00~00:30

    taiko super kicks | Fuji Rock Festival ’15

    taiko super kicks | Fuji Rock Festival ’15

    フジロック最終日、テンパレイに続き、よりしっとりとした世界観を見せてくれたのはタイコスーパーキックス。ミツメや吉田ヨウヘイgroupといった、過去ルーキーに立った親友たちと同様、彼らもルーキーステージに立つことができたのは非常に喜ばしい。

    “kids”の甘くノイジーなギターや、締まりのよいドラム、”霊感”のどこかおっとりとしていて柔らかなヴォーカル。いずれも浮遊感があり、意識ははっきりしているのに、まるで夢の中にいるよう。AM0:00という時間の遅さも、ほどよい覚醒状態を維持するための演出にさえ感じられる、心地よいステージだった。

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    ampel 01:00~01:30

    ampel | Fuji Rock Festival ’15

    ampel | Fuji Rock Festival ’15

    彼らのプレイを一言で言うならば、大人のロックだった。ルーキーとしての出演ではあるものの、その佇まいの丁寧さや、落ち着きはどのルーキー出演バンドよりもワンランク上に感じる。

    テレキャスターの鋭いカッティングがきいた”口遊び”のようなダンス・ナンバーも演奏されたのだが、特筆すべきは最後に演奏された”スペント”。ハイトーンのヴォーカルがコーラスと掛け合い、どこか90年代チックな心地よさを生み出している。まるで、日本人が好むメロディをのツボを熟知し、そこにめがけて鳴らされているよう。拳を挙げ、ともに盛り上がるステージもまた楽しいが、今年選ばれたバンドたちはいずれも、ともにクールダウンするための音楽が多かったような気がする。そんなことを、アンペルのプレイでもって改めて実感した。

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    umber session tribe 02:00~02:30

    umber session tribe | Fuji Rock Festival ’15

    umber session tribe | Fuji Rock Festival ’15

    通称「路上ファンク」。武者修行のごとく都内の路上での活動を続けるファンクな9人組。まずは、KTwings(MC)が登場する前に、と会場を温めるリズム隊。思わずビール片手に体を揺らしたくなるような軽快なリズムに、ギターやサックス、トランペットの音が活きる。

    aanrii(Ba)のゴリゴリのベースに合わせ、そこにisoken(Gt)のギターが加わり、演奏が開始された”Shuttle”。Shiningtaro(key)の跳ねるようなメロディー、楽曲に華やかな色を付けるMiharu(A.sax)、Amon(T.sax)、Pontaro(Tp)。観客を盛りあげる為の曲の構成や、演奏技術は流石である。

    さあ今からが本番!とでも言うように登場する、Ktwings。ここからは、今までの演奏に彼のラップが加わり、ミクスチャー要素をふんだんに取り入れている。その堂々たる姿には、貫録すら伺える。曲中にも必ず見せ所を作っており、その度に観客からは拍手が巻き起こる。

    「路上出身」という強みを持った刺客、アンバー・セッション・トライブ。野外でこれだけ盛り上がるのだから、彼らのホームである路上での活躍も見てみたい。

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    Two Lead 03:00~03:30

    長いようであっという間のフジロック。大トリを務めるは、名古屋出身の5人組。トゥー・リード。日本語詞をメインに、メロディーがわかりやすいオールド・スカ。永田純一(Vo&Gt)の渋い声がスカ特有の陽気な雰囲気にぴったりとマッチしている。

    Two Lead | Fuji Rock Festival ’15

    Two Lead | Fuji Rock Festival ’15

    フィッシュマンズの“いかれたBaby”のカヴァーでは、大楠利信(Tb)と後藤健太(Key)のメロディーが絶妙に絡み合い、会場もムーディーな雰囲気に包みこまれる。続いて演奏された”Segment”は、肩の力を抜いてゆったりと聴き入りたくなるようなナンバー。曽我部貴志(Ba)と古川康弘(Dr)が軽やかなリズムを刻み、キーボードも切なげな旋律を奏でる。もうすべての体力をここで出し尽くそうと、体を左右に揺らす観客達。

    アンコールで「フジロック最高!」という声と共に、演奏されたのは、ザ・ブームの”星のラブレター”のカヴァー。原曲とは異なり、彼ららしくポップな仕上がりになっている。月明かりに照らされたロマンチックな苗場の夜には持ってこいの一曲で、2015年のフジロックは締めくくられた。

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    Photo by 粂井健太
    Text by 梶原綾乃、あたそ


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