嗚呼、フジロックが恋しい…、フジロックからはや一週間が過ぎてしましました。
フジロックが恋しい症候群、いわゆる「フジロス」のみなさまに少しでも喪失感を解消してもらうべく、今年のフジロックでもっとも勢いのあるライヴが続出したルーキー・ア・ゴーゴーの特集企画を3夜にわたってお送りいたします。

未来のヘッドライナーが出るかもしれないこのステージでどんなライヴが繰り広げられたのか、ライヴを観た人も観られなかった人も要チェックです！

SABANNAMAN　23:00～23:30

SABANNAMAN | Fuji Rock Festival ’15

「楽しもうぜ！フジロック！」という吉田涼(Vo)の声で始まったルーキー・ア・ゴーゴーのトップバッター、サバンナマン。バンド名の通り、20歳そこそことは思えない野生味溢れる演奏が、胸を躍らせる。

苗場の舞台に立った緊張感と高揚感を漂わせつつも、上田雄(Gt)の激しくかき鳴らすギターを、糸数航平(Ba)と与那城直記(Dr)が20代そこそこの演奏とは思えない演奏力とセンスでしっかりと支える。時折見せる、吉田が客席側をゆっくりと見下ろし、その風景を噛みしめながら歌うシーンが非常に印象的であった。

“Gnus On Parade”の後、立て続けに演奏された”Spice Of Your Life”は、ゴーゴーカレーの応援ソングとして公式認定されている楽曲。バッキバキの演奏に吉田のシャウトが生きる。ステージ上を縦横無尽に動き回り、楽しそうにライブをする彼らの雰囲気に見事に飲み込まれ、体を上下に揺らしながら見ている観客が目立つ。

ミクスチャーロックの新星と呼ぶには相応しい、荒々しくも凶暴性抜群のライブをぶちかましてくれた！

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DAM　00:00～00:30

DAM | Fuji Rock Festival ’15

リハーサルから、普段のライブハウスと変わらぬ落ち着いた雰囲気で、各々の作業をこなしていくダム。今から始められるライブのプロローグかのように、ゆっくりと演奏が始められる。「お前が、いつでもこの場所に帰って来れるように、俺は苗場で、フジロックで、歌うよ！かかってこい！」という熱い言葉を聴かせてくれる駿平(Vo&Gt)。

そこからは、火がついたかの如く、お得意のエモーショナルで重厚感のあるジェームス(Ba)と集(Dr)のサウンドに、駿平の激情的なシャウトが乗せられていく。「初めて見る人が多いから」という理由で、普段とは異なるセットリストで挑んだ彼ら。フジロックに対する意気込みが伺える。

最後の曲では、駿平がステージを飛び出してマイクスタンドごとフロアに飛び出し、観客に囲まれながら感情一杯にギターを弾き倒すというラストシーンであった。感情の全てをさらけ出し、己の持てる物を全てそこに置いて行こうという強い意志の感じられる、まさに事件のような、見る人の心を掴んで離さない、素晴らしいライブだった。

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オールドローズ　01:00～01:30

オールドローズ | Fuji Rock Festival ’15

DAMからバトンを受けて登場したのはサイケ・ロック・バンド、オールドローズ。突き刺さるようなギター／ヴォーカル、波打つドラム、それを安定的に運ぶベースと、メンバー3人すべての個性が際立つが、ヴォーカル・村上ちひろ(Vo&Gt)には特に惹きつけられるものがあった。アイラインを黒く引き、唇を赤く染めた彼女。”mosaic”をはじめとする歌い回しは、語尾を上げ独特な色気を放つ。長い髪を振り乱し、パフォーマンスもアグレッシヴだ。舌を出してみせたり、叫び声をあげてみたりと、どこかおどろおどろしい様子を見せる。

そんな彼女だが、MCでは2度にわたり「みなさん、愛し合っていきましょう」と発言していた。おそらくこれは、音楽への愛、そしてフジロックへの愛を込めた言葉。サウンドだけでは発見できなかった、彼女たちのおちゃめな内面にも強く惹かれたライブだった。

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Atomic stooges　02:00～02:30

Atomic stooges | Fuji Rock Festival ’15

大阪出身のガレージ・ロック・バンド、アトミック・ストゥージズ。女性メンバーの鳴らすパンチの効いたドラムと、骨太なベースによるがっちり決まったリズム隊が頼もしい。

”Elephant Parade”では、そこに渋みのきいたギターリフがのっかり、最初はクールに歌っていたヴォーカルが、やがて咆哮する様子が印象的だった。

また”traveling circus”は、ベースやギターの動き方にレッチリの匂いを感じるし、他の曲についても、ブルースはもちろん、ファンク、ミクスチャーなど、生み出されるジャンルは幅広い。さらなる躍進の可能性と、3人から生み出される、とてつもないエネルギーを感じる熱いステージであった。

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Walkings　03:00～03:30

Walkings | Fuji Rock Festival ’15

一見、下北沢とか高円寺に大量発生していそうな、いわゆるサブカルチャーチックでひ弱な見た目の3人組。開始早々、「こんばんは。Walkingsです。」というシンプルな発言をした直後の、骨の太いたくましい演奏と、セクシーともアバンギャルドとも取れる高田風(Vo)のしゃがれ声には思わず腰を抜かしてしまった。ライブバンドというのも頷ける。

深夜3時の酔っ払った馬鹿しか集まらないこの場所で、こんなにかっこいい音楽を聴かされてしまったら、もう狂うしかないじゃないか！と言わんばかりにオーディエンスは踊り、飛び跳ね、愛のあるヤジも飛ぶ。

“台風”や”無駄”では、高田の枯れたサウンドに吉田隼人(Ba)のウネるビート、井上拓巳(Dr)の弾丸のようなリズム。曲のテンポに違いはあれど、個々の見せ場を曲中のどこかに必ず作り、会場はヒートアップしていく。

大げさな表現ではなく、あの場にいた人全員がWalkingsの思惑通り、虜になってしまったのではないだろうか？もう、なんなんだよ！かっこよすぎ！！！

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Photo by サイトウマサヒロ
Text by 梶原綾乃、あたそ