ROOKIE A GO-GO特集 Part2 〜 才能がよりどりみどりの二日目
- 2015/08/04 ● from fujirockers.org
この夏の暑さに負けない熱いライブか繰り広げられた今年のルーキーアゴーゴー特集第二弾!本日は才能が咲き乱れたルーキーアゴーゴー二日目の模様をお届けします!
未来のヘッドライナーが出るかもしれないこのステージでどんなライヴが繰り広げられたのか、ライヴを観た人も観られなかった人も要チェックです!
THE FULL TEENZ 23:00~23:30
「最高だよ、こんな日があるか!」というヴォーカルの発言は、ルーキー出演アーティストの中で、誰よりも素直な喜びだったと思う。京都より8時間かけて来た苗場だけれど、持ち曲が少ないため15分ほどしか演奏できないと発言していた彼ら(1曲当たりの演奏時間が1~2分と短いことも考えられるだろう)。それでも、ステージ外へのダイヴ・パフォーマンスをばっちり決め、多くの人が拳を挙げていたり、モッシュが発生するなど、人々の心も体も動かした。
音源は多少ローファイ感を持っているが、ライヴ・パフォーマンスはそれよりずっとパンキッシュだ。銀杏・ボーイズのような青春パンクと、スピッツのような甘酸っぱさを併せ持つポップなサウンド。爽やかなギターが駆け抜ける”(500)日のサマーバケイション”は、この夏を代表するアンセムに違いない。
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told 00:00~00:30
東京・吉祥寺発の4人組。0.8秒と衝撃のドラム、有島コレスケがベースを担当していることもあり、すでに彼らを知る多くのファンが集まっていた。日本人だけではなく、彼らのTシャツを着た外国人も嬉しそうに、「もっと曲をやってくれ!」と声をかける一コマも。今年のルーキーにおいて、外国人の観客から一番ダイレクトな反応をもらっていたのは、彼らかもしれない。
90年代のオルタナ・ロックを現代にアップデートしたようなサウンドは、国を問わず人々を惹きこんでいくものがある。中盤~終盤は力一杯のドラムが叩き込まれる白熱のセッションや、ギター・カッティングに惹かれるリズミカルなナンバーも披露されたが、何よりも”ImaginaryLine”が素晴らしかった。ヴォーカルの透き通った歌声は、苗場の夜に涼しい風を吹かせてくれるようで、最高に気持ちよかった。
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D.A.N. 01:00~01:30
今月、デビューE.P.である「EP」をリリースしたばかりなのに、口コミや業界内で評判のバンドとだけあって、リハーサルの時点から超満員のルーキー・ア・ゴーゴー。
ゆったりと、ダウナーな雰囲気の中、始められたかと思えば、音源とは一味違って大音量。そのスリルと、ドープなサウンドが堪らなく気持ちがいい。夢かうつつか。現実世界に居ながらも、彼らの生み出すどこか冷たい空気感が、苗場の地をまるまる非日常の異世界へと私たちを運んでくれる。シンセサイザーやドラムパットを演奏しているサポートメンバーの女性コーラスも心地よく機能し、深みにハマっていく。
“Ghana”では、アレン・ギンズバーグのスピーチに乗せて始まるイントロに、観客からは歓声が起こり、曲から生み出される浮遊感に体を揺らしながら各々の世界に入り込んでいくのがはっきりとわかった。
まだまだ演奏は荒削りなところが目立つが、彼らの生み出す世界観は近い将来、必ずミュージックシーンに影響を与える存在になることだろう。
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Hysteric Picnic 02:00~02:30
凶器のように鋭いオオウチソウ(Vo&Gt)とヤマシタシゲキ(Gt)のサウンドが混ざり合った、冷徹で凶暴な演奏。ネオサイケやポストパンクだと思っていたけれど、実際に聴いてみるとシューゲイザーの要素も含んでいるように感じられる。2013年にドイツツアーを行っているヒステリック・ピクニック。その噂を聞きつけてなのか、外国からの客層が目立ち、英語が飛び交っている。
“カルト・ポップ”、”Chandelier”、”ケース・スタディ”では、ミニマムで特徴的、奇妙なサウンドに乗せられた不思議な質感の日本語ヴォーカルに、不思議なシャウトもいい味を出し、キクチダイスケ(Ba)とオオスミケンセイ(Dr)のリズムがしっかりと演奏を持ち上げている。夜の苗場に響き渡る怪しく艶めかしいプレーに、不気味で怪しい雰囲気を漂わせつつも、やがては魅せられ、彼らの楽曲に会場が丸呑みにされていくことがわかる。
ヒリヒリとした切迫感の中に見せた、今までになかった異色でストイックなサウンド。ドつぼにハマってしまった人も多いはずだ。
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BOMBORI 03:00~03:00
「歴史の1ページを目撃した」という表現が、この時のボンボリにはぴったりだったように思う。爆発を起こすかのように各々の音が気持ちよくぶつかり合い、精神の根底や肉体に訴えかける原始的なドラム。その圧倒的なサウンドに相まった、不気味でサイケデリックな映像。それに加わるTPOGalaxy(Vo&Dr)のシャウトに、会場の空気が震えている。それだけでも、十分に素晴らしいライブだった。
なのに、持ち時間である30分を経過しても、彼らは演奏をやめない。会場の照明が全てつけられ、スピーカーやアンプの音も出せなくなり、責任者やPA等の関係者全員に「演奏をやめろ」と言われても、やめない。その無謀とも後先を考えない馬鹿ともいえる姿勢が、もうかっこよくて楽しくて、ニヤニヤが止まらなかった。客席はざわめきながらも、最後には惜しみのない拍手と歓声が送られた。
途中、MCで「フジロックの2015年のベストアクトになりに来たんでよろしくお願いします!」というHikari Lightning(Dr&Voice)。この時は誰も本気にしていなかったかもしれないけれど、本当にベストアクトをかっさらっていくような、あるいは勝ち取りにいくようなライブを、彼らは平気でしてしまうんだ。「フジロック行ったのに、ボンボリのライブ見なかったの?あれ、ベストアクトだったよ!」と胸を張って言える、常識とかルールを簡単に飛び越えてしまった衝撃の約50分だった。
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Photo by 鈴木 悠太郎
Text by 梶原綾乃、あたそ