• 【FRF’22 Pickup vol.4】ROUTE 17 Rock‘n’Roll ORCHESTRA入門!


    ここ数年フジロックのグリーンステージのタイムテーブルに必ず名前が載るのは、ROUTE 17 Rock‘n’Roll ORCHESTRAである。「ルート17」とは会場近くを通る国道17号にちなんでいて、フジロックに行く人たちは必ず利用する道なのだ。ドラマーの池畑潤二がバンドマスターとなり、ルースターズのときの仲間や凄腕のミュージシャンが集め、総勢10人以上の「オーケストラ」を結成。ゲストヴォーカルを迎えてステージを繰り広げる。

    ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA | Fuji Rock Festival ’18|Photo by 粂井健太

    ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA | Fuji Rock Festival ’18|Photo by 粂井健太

    始まりは2013年

    2011年から苗場食堂ステージでおこなわれるようになった「苗場音楽突撃隊」を母体に、2013年にROUTE 17 Rock‘n’Roll ORCHESTRAは始まった。2014年の記録があるので当時のメンバーを挙げると、池畑潤二(Dr)、松田文(Gt)、井上富雄(Ba)、花田裕之(Gt)、ヤマジカズヒデ(Gt)、梅津和時(A.Sax)、田中邦和(T.Sax)、タブゾンビ(Tp)、青木ケイタ(B.Sax)、細海魚(Key)、丈青(Pf,Key)、スティーヴエトウ(Per)であり、年によってメンバーの入れ替わりがあるものの、このメンバーが基本的な編成となっている。それぞれのミュージシャンは素晴らしく、特に自分はヤマジカズヒデの「ヌルいセッションじゃねぇんだよ」といわんばかりのソリッドで攻撃的なギターが楽しみであった。

    常連出演者は

    ここにゲストヴォーカルが参加するのだけど、RCサクセションでは忌野清志郎の盟友だった仲井戸“CHABO”麗市(以下、チャボ)が全部の年に参加して皆勤賞の8回。次いでウルフルズのトータス松本が7回、ザ・クロマニヨンズ(ex.ザ・ハイロウズ、ザ・ブルーハーツ)の甲本ヒロトが4回、ユニコーンの奥田民生が3回となっている。

    2017年まではバックコーラスを務めるミクニドールズ(3人の女性ヴォーカルであるが年毎に入れ替わる)が1曲リードヴォーカルをとる見せ場があった。

    多彩なゲストたち

    豪華なゲストはそれだけでない。80歳を過ぎた「若大将」こと加山雄三は2回出ている。演歌界からは八代亜紀、J-WAVEからクリス・ペプラーも参加。クリス・ペプラーは普段はMCを務めているけど、2017年にはデヴィッド・ボウイ追悼として“The Jean Genie”で堂々とヴォーカルを披露していた。海外からポール・バターフィールド・ブルースバンドのエルヴィン・ビショップ、ホットハウス・フラワーズのリアム・オ・メンリィが登場している。おじさん懐古のメンツだけでなく、OKAMOTO’Sのオカモトショウがゲストで登場した年もあった。

    コロナ禍の2021年は特別で、「忌野清志郎 Rock’n’Roll FOREVER」と題してゲストも多く、これはいろんな意味で特別な年だった。

    選曲は

    選曲は、それぞれヴォーカリストの持ち歌とカヴァーで、カヴァー曲は洋邦問わず古めのものが中心。ロックンロールやソウル・R&Bのスタンダードな曲、もちろん忌野清志郎関連の曲も非常に多い。

    2013年 目覚ましの一発

    それでは各年を振り返ってみよう。まず初年度2013年。もともとはフジロックの朝イチに目が覚めるようなことをやりたい、というSMASH日高社長(当時)のアイデアから始まったこのバンド。初日のグリーンステージの1発目におこなわれた。ルースターズの大江慎也が“ロージー”を歌い、甲本ヒロトが“YMCA”と“情熱の嵐”と西城秀樹の歌を2曲も歌っていた。

    2014年 雨上がりの夜空に

    ブラフマンのTOSHI-LOWが参加してスライ&ザ・ファミリー・ストーンの“I Want To Take You Higher”などを歌った。最高潮に盛り上がったのはチャボがRCサクセション時代の名曲“雨上がりの夜空に”を歌ったときだった。

    2015年 泉谷しげる登場

    吉川晃司がエルヴィス・プレスリーの“Hound Dog”と自身が持つ最高のキラーチューンである“Be My Baby”を歌うというのも名場面であるけど、不機嫌な顔のまま登場した泉谷しげるが“国旗はためく下に”と“春夏秋冬”を披露した。

    2016年 女王降臨

    この年は金曜日朝イチのグリーンステージでなく、午後に時間が移った。前日におこなわれた前夜祭で「NON STOP PUNK」として、奥田民生、浅井健一、甲本ヒロトが奇跡のステージをみせてくれたのだけど、このときのバックバンドを務めたのがROUTE 17 Rock‘n’Roll ORCHESTRAの面々だったのだ。

    その熱気が続くかのように奥田民生が登場したり、クリス・ペプラーがデヴィッド・ボウイの追悼で歌ったりもしたけど、この年はなんといっても八代亜紀の登場だった。ブルースナンバー、B.B.キングの“The Thrill Is Gone”を歌ったあと、自身の大ヒット曲“舟唄”をフジロックで聴けるという奇跡的なものだった。ちなみに同じ日の夜に苗場食堂でおこなわれた苗場音楽突撃隊でも八代亜紀は登場し、“なみだ恋”と“雨の慕情”を歌った。

    2017年 苗場の若大将

    ミクニドールズが“Please Mr. Postman”を歌っているときにジョン・メイオール(イギリスのブルースシーンの中でレジェンド中のレジェンド)の息子であるジェイソン・メイオールが郵便局員に扮して寸劇を披露するという見せ場もあったし、ポール・バターフィールド・ブルースバンドのエルヴィン・ビショップが登場したということもあったけど、この年は何といっても当時80歳の若大将、加山雄三がステージに立ったことだった。エレキギターが炸裂した“Misirlou”などを演奏し、さらに“お嫁においで”と“君といつまでも”まで歌ったのだ。チャボはザ・タイマーズの“デイ・ドリーム・ビリーバー”を歌うし、レジェンドが渋滞した年だった。

    2018年 RCサクセションの遺伝子

    この年はチャボ、ヒロト、民生、トータス松本と常連のメンバーで安定感あるステージだった。奥田民生が“スローバラード”を歌ったのと、チャボがボブ・ディランの“hurricane”を日本語詞にして歌ったのが見せ場だった。ボブ・ディランの“hurricane”はアメリカで起きた冤罪事件を元に作られた曲で、チャボはそれを日本語詞にして歌った。RCサクセションの名曲とRCサクセションが社会と対峙した精神を受け継ぐカヴァーで清志郎の遺伝子を感じられるステージだった。

    2019年 バラエティ豊かに

    加山雄三が82歳にして再びステージに立ったのも特筆されるべきできごとであったけど(もしかしてフジロック最高齢出演者?)、OKAMOTO’Sのオカモトショウ、 GLIM SPANKYとそれまでの常連に対して比較的若いゲストが登場したのが特徴である。ホットハウス・フラワーズからリアム・オ・メンリィも参加してカーティス・メイフィールドの“New World Order”やドアーズの“Break on Through”を歌う。常連のトータス松本はこの年のクロージングであるG&G Miller Orchestraでヴォーカルを取っていたからだろうか、この年の出演はなかった。結果として年齢の幅と洋邦混じったバラエティ豊かな年になった。

    2021年 特別なフジロックで特別な祭り

    コロナ禍で開催自体が危ぶまれた年であったけど、無事に開催された2021年。「忌野清志郎 Rock’n’Roll FOREVER」と題し、日曜日のヘッドライナー前の時間に移動して、例年以上のお祭りをぶちかましたのだった。

    清志郎らしき人が関わっているザ・タイマーズに敬意を表して、ブラフマンのTOSHI-LOWらしき人やアジアン・カンフー・ジェネレーションのゴッチらしき人たちによるエセ・タイマーズの他、常連組以外では、UA、GLIM SPANKY、チバユウスケ、Char、トーキョー・タナカ/ジャンケン・ジョニー、YONCEと今までの中で最多のゲストだった。このメンツで清志郎関連の曲を歌いまくるわけで特別な年の特別なフジロックを体験できたのだった。

    2022年 ????

    さて、今年はすでにUA、エゴラッピンから中納良恵、トータス松本と発表されている。注目は初登場の中納良恵、一体何を歌うのかが気になるところだ。

    text by イケダノブユキ

Fujirock Express
フジロック会場から最新レポートをお届け

フジロッカーズ・オルグ盤『フジロッカーズの歌』7インチアナログEP

フジロッカーズ・オルグ盤『フジロッカーズの歌』7インチアナログEP

bnr_recruit

bnr_recruit
PAGE TOP
301 Moved Permanently

301

Moved Permanently

The document has been permanently moved.