• 困難を乗り越えともに来年へ。第65回ボードウォーク・キャンプ『フジロックの森 秋の紅葉祭り』レポート


    (Photo by おみそ)

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    未曾有のコロナ禍でフジロックも延期となった2020年ですが、夏の配信に続いて大晦日の『KEEP ON FUJI ROCKIN’II “On The Road To Naeba 2021”』を発表するなど、来年に向けた動きが活発化しています。そして、それは現地苗場でも同じ。秋の紅葉も深まる10月24日(土)と25日(日)の2日間、第65回ボードウォーク・キャンプ『フジロックの森 秋の紅葉祭り』が開催されました。

    感染対策として150名限定で、今年唯一の開催となった今回のボードウォーク・キャンプ。クラウドファンディングによりたくさんの人の援助によって完成したみどり橋の竣工式も行われ、困難な状況の中でも前を向く人々の想いが溢れる時間でした。そんな当日の様子をお届けします。

    (Photo by おみそ)

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    無理なく楽しく汗をかこう!みんなでボードウォーク補修作業!

    今回は老朽化したボードウォーク用の木材を運び出す作業と、板に釘を打ち付ける作業がメイン。グリーン・ステージの裏側から、ホワイト・ステージ、フィールド・オブ・ヘヴンに繋がるおなじみの道を、木材を担いだり台車使ったりしながら人力で運びます。フジロックでは「さっきのバンドよかったな」なんて考えながら何の気なしに歩いていた道ですが、いざ運搬をしてみると長いのなんの。秋風が少し肌寒い時期でしたがすぐに汗びっしょりに。広大なフジロックの森を渡るボードウォークを作るのも楽ではありません。

    Photo by おみそ

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    でも作業をする中で何より印象的だったのは、ここに集ったフジロッカー達の気持ちのいいマインド。初めてボードウォーク・キャンプに参加した筆者の僕は、最初のうちは「ちゃんとやらなきゃ」と横着して少し無理をしようとしていたのですが、周りの参加者や地元の方々と作業をするうち、決してそうではないんだということに気づきます。自分のできる範囲で周りを気遣いながら無理なく楽しむ。そんなフジロックに溢れる精神を持った皆さんとの作業は、大変ながらも清々しいものでした。

    それにしたって大人数で半日ほどかけても、広大なボードウォークを前にほとんど進んだ気がしません。「自然と共生する」と一口で言ってもそれは生半可なことではないと強く実感。それだけに2002年から始まって延べ65回を数えるこのキャンプの中で、多くの人たちが地道に積み重ねてきた重みも感じます。フジロックでしか苗場を知らなかった僕ですが、単なるフェス会場としてではない、苗場と一生を添い遂げんとする人々の強い矜持を感じた時間でした。

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    夜は苗場食堂でライブ!この地のグルーヴと共鳴するひととき

    作業がひと段落して、夜はお待ちかねのライブの時間です。世界的なデジタル・アーティスト長谷川章さんによる『D-Kデジタル掛け軸』の幻想的な光が木々に投影され、キャンドル・ジュンさんのキャンドルが優しくともる苗場食堂。フジロックの喧騒とは一味違う空気が辺りを包むなか、神雅氣-shinki-の面々が登場しました。

    Photo by 粂井健太

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    能を思わせるスタイルで言葉を紡いでいく様は、とても厳粛な雰囲気。時に優しく時に荒々しく琴や尺八を奏でる姿はまるで木々のざわめきと呼応しているようで、見ている僕らも引き込まれていく。そんな祈りのような空気の中に、ブルースやジャズのフィーリングを織り交ぜていく神雅氣-shinki-の表現。緊張と弛緩が緩やかに調和した演奏に、僕らも身体を揺らしたり手拍子をしたり。このままならない自然とともに手探りでグルーヴを掘り起こしていくようなライブは、改めて自分自身に立ち返って苗場の地と繋がれたような、そんな時間でした。

    Photo by 粂井健太

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    ライブの後は、オアシスエリアの焚き火を囲みながら思い思いに過ごす夜がやってきました。居合わせた参加者の方にお話を聞くと、フジロックよりボードウォーク・キャンプが好きで毎回参加しているという声も。慌ただしく過ぎ去ってしまうフジロック当日とは違い、とてもおおらかに流れる時間の中で苗場の大自然を一身に感じられる格別なひととき。見渡せば赤黄色オレンジと混沌とした木々の美しいグラデーション。小さなお子さんもたくさん参加されていましたが、フジロックだけではなく、この時間の中でゆったりと自然と戯れてみるのもいいかもしれません。

    終点ではなくて新たなスタート。みんなの思いを乗せみどり橋竣工!

    ひんやりした空気が気持ちいい秋の苗場の朝。2日目はみどり橋の竣工式です。みどり橋はグリーン・ステージの裏手からホワイト・ステージやフィールド・オブ・ヘヴンに向かうボードウォークに掛かる橋(日高大将いわくグリーン・ステージだからみどり橋とのこと)。大雨による増水の影響などで、毎年仮設の橋が改修されていましたが、今年の3月から実施されたクラウドファンディングによって、ついに通年使える頑丈な橋が出来上がりました!

    Photo by おみそ

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    湯沢町長の田村さんや南魚沼地域振興局長の松田さん、プリンスホテル苗場地区総支配人の徳永さんが竣工の想いを語り、行政と民間の枠を越えて育んできたボードウォークとフジロックの森。その中でも実行委員長の金澤龍太さんが言った「終点ではなくてスタートとなる橋に」という言葉が印象に残ります。

    同じように「まだまだ伸ばすつもり」と語るのは日高大将。「湯沢町の居酒屋でお酒を飲みながら「こんなことができたらいいな」と話したところから始まった」というボードウォークは、その時はまだ夢物語だったかもしれませんが、長い年月をかけ多くの人々の協力の中でここまできました。それでも立ち止まらず前を向き続ける。その気概と想像力がフジロックという素晴らしいフェスに結実しているのだと素直に感じました。

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    そして神雅氣-shinki-の面々を迎えた竣工の儀と、ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA / 苗場音楽突撃隊のドラマー、池畑潤二さんによる祝いの餅つき。思えば池畑さんはボードウォークの補修作業でも誰よりも率先して働き、ライブでもPAを担うという獅子奮迅の活躍。苗場でともに生きる人間としての姿に、アーティストとしてのつながり以上のものを感じました。そんな池畑さんをはじめとした多くの人々の想いを乗せみどり橋も無事竣工のテープカット。とても晴れやかな雰囲気が秋の苗場に溢れます。

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    フジロック以外でははじめて苗場に行った筆者でしたが、フジロックや冬のスキーシーズンだけではなく、春の桜や水芭蕉、今回堪能した秋の紅葉など、四季折々の姿をみせる苗場の森。日高大将も「こんな場所は日本にほとんどない」と言っていたように、ただ「フジロックに行って楽しかった」だけでは到底体験しきれない素晴らしい自然がそこには広がっていました。

    先の見通しが立たない昨今の時勢の中、日高大将の「来年はやっからな!フジロック!」という力強い言葉にどれほど勇気づけられたことか。僕らも強く生きて絶対に来年のフジロックで再会しましょうね。そしてフジロックだけではなく、この豊かな自然を体験しに苗場の森に足を運んでみませんか。またここで会いましょう。

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    ■ ドラゴンドラから一望した苗場の秋の紅葉レポートはこちら!

    Text by Hitoshi Abe

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