• フジロック2018最初の挨拶 後編: 20回目の苗場にグラストからアレが!


    「キューバ」「ボブ・ディラン(のヒント)」と様々なトピックをお届けしてきたSMASH日高社長メッセージ。最後は、もうひとつだけフジロックを彩る新たな要素と、1999年から毎年フジロックの舞台であり続ける苗場についてのお話です。苗場開催20回目を記念し、新潟ゆかりのアーティスト情報もお伝えします。

    フジロック2018最初の挨拶 前編:大将、カリブ海を泳ぐ。
    フジロック2018最初の挨拶 中編:大将いわく最終ヘッドライナーは****系

    移動遊園地も海を渡って

    Glastonbury Festival 2017 | Photo by Masahiro Saito

    Glastonbury Festival 2017 | Photo by Masahiro Saito

    Glastonbury Festival 2017 | Photo by Masahiro Saito

    Glastonbury Festival 2017 | Photo by Masahiro Saito

    Glastonbury Festival 2017 | Photo by Masahiro Saito

    Glastonbury Festival 2017 | Photo by Masahiro Saito

    今年のフジロックの話、まだまだあるよ。グラストンバリーフェスティバルにある「The Unfairground(アンフェアグラウンド)」ってエリアがあるんだけど、それが海を渡って日本に来る。

    アンフェアグラウンドは、とっても大掛かりな遊びの空間なんだ。機材は10トントラック2台くらいのボリュームだし、スタッフも50人ぐらい。DJ、パフォーマー…とにかく色々だね。当日はすごいものが観られると思うよ。

    場所はオレンジコートがあったところで、カフェドパリやパレスオブワンダーとは別のものとして3日間やる。毎日昼間から夜の25、26時までずっとやろうかな。だからヘッドライナーやクロージングバンドが終わっても、アンフェアグラウンドに行ってパーティー三昧で楽しめるっていうね。

    Glastonbury Festival 2016 by Taio Konishi
    ※ 02:13〜02:15がアンフェアグラウンドのようす

    20回目の苗場開催を祝おう

    アンフェアグラウンドはもともと、パレスオブワンダーでオブジェとかを作ってるイギリスのメンバーがやってるんだよ。それで、あるときリーダーのサムが「今年、グラストンバリーの機材を持っていけないかな?」って言ってきたんだ。アンフェアグラウンドはイギリスからの機材輸送など考えると開催前後1ヶ月くらいスケジュールが必要なんだけど、今年はグラストが会場の土地を休ませるために開催しないから運べるんだって。だから今年だけだよ、苗場のアンフェアグラウンド。もう行くしかないよな!(笑)

    で、アンフェアグラウンドをやろうと考えたとき、地元の人たちに相談したんだ。フジロックの苗場開催は今年で20回目。ずっと付き合ってくれた地元の人たちに「一緒にやりませんか?」って。フジロックに、湯沢町に、苗場に来てくれてありがとうって企画を一緒にやろうって話をしたら、彼らは歓迎してくれたよ。

    でも実は去年、地元から何人かグラストに行ってたから、この話をしたときは最初「だから去年連れてってくれたのか」と勘ぐられて(笑)。そんなつもりは全然なくて、今後のフジロックへの取り組みを深く知ってもらうためのお手本としてグラストンバリーを観てくださいって話だったんだんだけどね。

    まあ、そうやって考えを勘ぐられるくらい地元の人たちと仲がいいよ(笑)。やり始めた1999年の頃は「なんだ?」って思ってただろうけど、ニュースになったり話題にもなったりして、自分らもいっしょにやってるっていう気持ちが膨らんできてくれたんだろうね。温泉とスキーっていう冬のものが主な観光資源だった苗場や湯沢でフジロックは大きな観光収入にもなってきたしね。

    そういえば地元の方に相談したとき、うちの社員も何人かいたんだけどそいつらも言ってなかったから「えっ・・・ちょっと待ってください」って感じだったよね(笑)
    地元の人が社員に何か聞いても「自分たちも初めて聞きました。。。」って言って答えられないわけ(笑)

    壊したり築いたりの1999年

    1999年にどこでフジロックをやるかって考えてたとき、最初は苗場も候補に出たけど一度諦めてたんだよ。一人で見に行ったときプリンスホテルの裏側のゲレンデにステージを組むとして考えたら、5,000人しか入らねえなって。

    毎年冬にプリンスホテルでユーミンがコンサートやってるんだけど、このコンサート制作をやっているホットスタッフにホテル側から「フジロックていうの、やりませんか」って話が来た。一度諦めたけど、それならということで再度見に行って、今のグリーンステージの場所を見たら「ここなら」と思ったんだよ。でもそのときはゴルフ場とテニスコートがあったから「ここをブチ壊して広げてくれたらできる」と言った。そしたらブチ壊してくれた(笑)。あとで奥の駐車場も見て「ここも」と言って壊してもらったら、それがホワイトステージになった。そしてオアシスエリア、フィールドオブヘブンと決めて。それからもう20年だもんな。

    最初は反対している地元の人も多かったよ。でも俺はほとんど苗場に住んでるような感じで、毎日酒飲んで反対派の人と意見を交わしたりした。そういう人たちはロックってものに強い拒否反応があった。まあ仕方ないよね。その人達へ俺は「金髪銀髪のガキが来ます。鼻にピアスした人もいます。でも中はみんないい子で本当にいいお客さんなんですよ」って話してた。

    そしたら当日、みんなめちゃくちゃマナーよかったんだよ。あのとき俺はブログで「苗場で何かあったらもうフジロックは終わりだ」って書いたけど、99年は事故もなかった。地元の人達も「国道に落ちてるゴミを拾ってくれてた!」とか言って感動してたぐらいだよ。そうやって付き合いが深くなって、俺たちは単なる場所の借り手、貸し手っていう関係じゃなくなってきたんだ。

    年々規模が大きくなったことで「もっと泊まるところを」って感じで観光収入としての範囲も苗場だけじゃなくて湯沢町全体や石打(南魚沼市)にも広がっていったね。そういうのがあってここまで来れたよ。まあ、泊まるとこなかったらみんなキャンプやれよとは思うんだけどさ(笑)。

    新潟代表アーティストが苗場フジロックに

    その湯沢町から提案のあったアーティストとして、今年は佐渡の鼓童※1が出るよ。和太鼓のグループで、俺も大好きでさ。1980年代に初めて観て「こりゃあすごい!」って思った。そこからメンバーはいろいろ変わったけど、鼓童は結成した佐渡でトレーニングを続けてて、海外でもたくさんやっている。もう腹筋だってすごいし(笑)、パワフルなんだよね。そんな彼らが新潟を代表するアーティストとして出演するよ。

    鼓童 | FUJI ROCK FESTIVAL'06 | Photo by yusuke

    鼓童 | FUJI ROCK FESTIVAL’06 | Photo by yusuke

    新潟の鼓童と、グラストンバリーのアンフェアグラウンド。幅広くいろいろあるけど、2018年も元気にいこうや!色々楽しみにしててよ!

    ※1 太鼓芸能集団 鼓童(正式名称)

    (完)


    以上が大将からのコメント全文です。なお本場グラストのサイトにはこんな形でアンフェアグラウンドの情報が載っていました。当日は実際どうなるでしょう…?

    http://www.glastonburyfestivals.co.uk/the-unfairground-at-glastonbury-2015/

    そして文中にも出てきたアンフェアグランドのディレクター・サムからのコメントも届いています。オルグ代表の花房浩一のコメントと併せてどうぞ!

    ■Sam Haggarty
    今年のフジロックにアンフェアグランドとして参加できることはとても光栄なことです。何年にも渡り、パレスオブワンダーに関わって来ましたが、アンフェアグランドとして再び戻ってこれることを心待ちにしていました。
    アンフェアーファミリーとしてジプシーフェスティバルムーブメントやUKのカウンターカルチャーを先導して50年。混沌と秩序が入り乱れるアシッドハウスビートで届けるアートとパフォーマンス。
    どんな人にも必ず楽しめる何かが見つかるはずです。
    音楽が人を集わせ、芸術が人をひとつにする。

    ■フジロッカーズオルグ 花房
    グラストンバリーが映し出すのは歴史を通じて根を張り、着実に広がるオルタナティヴな文化。それを体験できるのがこのフェスの魅力だ。一般的に騒がれる音楽に使われているのは会場の10%程度。が、アンフェアーグランドからシャングリラ、アヴァロン、アーケイディアといった異次元の世界こそがその魅力を伝えてくれるのです。なかでも、その中核となるのが主催者、マイケル・イーヴィスも開催の挨拶に姿を見せるアンフェアーグランドを生み出しているのはグラストの中核スタッフといってもいい。そんな彼らがどんな『不思議の国』を生み出してくれるか?

    とにかく情報収集に余念がないフジロックの春という具合ですが、もろもろ続報に期待しましょう!

    写真提供:SMASH
    聞き役:本人(@biftech

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