Glastonbury Festival2025いちフォトグラファーの視点から
- 2026/01/22 ● REPORT

2025年6月にイギリスで開催されたGlastonbury Festivalでは様々な人に出会うことができた。
「最高だよ・とてつもなく広い」と聞き及んで日本からイギリスに向かった。目的地はロンドンから車で高速道路も利用して約2時間半程の場所に位置する、サマセット州のWorthy Farm。そこで開催されているGlastonbury Festivalだ。日程としては6月25日(水)から29日(日)での開催だった。会場からの新鮮なレポートは、同行のライターである阿部光平さんが現地で綴った『初めてのGlastonbury Festival DAY1〜6』ですでに公開中である。ぜひ、そちらもご覧いただきたい。そして、こちらはいちフォトグラファーがGlastonbury Festival を歩いて、見て、人々やステージにカメラを向けた雑感的レポートである。
Glastonbury Festivalの開催前夜にあたる24日火曜の夜は、スタッフ関係者のために開放される。火曜日の午後に会場入りしたので、6日間会場に浸ることができた。その日程だけでもとてもワクワクして日本を出発する前からスマートフォンにいれた公式アプリを開いては、開催日までのカウントダウンを眺めて「あと何日!」と数えていた。
到着後、拠点となるテントを張ってから会場内を巡ると賑やかさとわくわくとしたムードがすでに流れはじめているように感じた。特にOTHER STAGEの近くにフラッグが立ち並んでいるエリアの光景は圧巻で、風にはためくフラッグに目を奪われた。広大な空間に何本も何本も巨大なフラッグが立ち、悠然とはためいている光景を、私はこれまでに見たことがない。Glastonbury Festivalにやってきたのだと実感する。
この日会場内にいるのはスタッフや関係者とのことだが、ビールを飲み交わす姿に和やかさを感じた。至る所で仲間との楽しげな会話や笑顔が溢れていた。


夜10時近くなって日が落ちてきたあたりで、会場の奥の方のエリアを目指していく。この時点ではまだまだ会場内の地理に慣れていないので、何度もGlastonbury Festivalに来ていて位置関係を把握している仲間に着いて行かないと迷子になってしまいそうだった。

夜になると装飾に明かりが灯って、幻想的な雰囲気を纏っていた。翌日にはキャンプ地になるというエリアもまだこの日は、がらんとして広々と見える。

はじめての光景に驚きや感動を覚えると同時にFUJIROCKや朝霧JAM、UNKAI NATURAL CAMPCの源流がここにあるように感じて、はじめて訪れたのに不思議と懐かしさも感じた。

夜が明けて、25日の朝。8時近くに人々の歓声が上がったかと思うと、周囲には徐々に徐々にテントが増えていく。

気温は約20度。朝10時ぐらいに入場ゲートを見に行くとキャンプ道具を携えた人々が続々と入場し、後から来る仲間や家族のために目印を高く掲げたり複数でひと塊りになったりしている。

入場ゲートでは、Glastonbury Festivalのトートバッグを貰うことができる。こちらのトートバッグ、会場内では結構持ち歩いている人が多く大活躍だ。PYRAMID STAGEやOTHER STAGEなどの大きいステージではまだLIVEは行われないが、この日から各所でDJが立ちはじめ賑やかさが増していった。


日が暮れはじめるころにはセレモニーが行われるということで、南西の斜面に位置するSACRED SPACEに向かった。約1mほど、ものによってはそれ以上の高さの岩が円を描くように設置された場所だ。その中心では焚き火が焚かれていた。セレモニーが行われると聞いてきたが、何が行われるのかといった詳細は知らずにやってきたので、焚き火の周りでなにかが始まるのではないかと思い、その周囲をぐるぐると歩き回ってみることにした。

SACRED SPACEには、シャーマンのような妖精のような装いの方々がたくさん集まっていた。最初は岩の上に子供たちなども登っていたが、白い装束を身に纏った人々がそれぞれの岩の上に立ちはじめ、ステージでの演奏とともにいつの間にやらセレモニーは始まっていた。

焚き火の周りで何かが生じるわけではなく、本当にいつの間にやら儀式のようなものが始まっていて、そして斜面の先でゆらゆらと揺れる女性たち、演奏に合わせての合唱、そして花火が打ち上がって歓声があがり、巨大な木像には火が放たれた。

なんとも不思議な空間であり、出来事であったように感じる。すごくなにかに熱狂するとか、パレードがあるとか、みなで踊り出すとかそういうわけではないが、期待に満ちた空気とわくわくとした期待感、その場にいる人々との一体感が不思議とありフェスティバルが始まったのだという実感が打ち寄せてきた。

26日からは、Glastonbury Festivalの空気を、ここという場所を感じたいと思い、更に会場内を歩き回って、人々やステージにカメラを向けた。



この日に特に印象的だったのは、THE ROCKET LOUNGEのステージ前で踊る白髪の女性。写真を撮ってもいいか尋ねるとOKしてくれた。「このステージは、姉妹のステージなのよ!」とのこと、サングラスまとめ髪からのおろし髪へのスタイルチェンジも素敵だった。そしてステージ中央では、女性の姉妹のバンドSISTER SUZIEがその場を盛り上げていき、バースデーの方を歌で祝うなど温かな時間だった。踊る人、お酒を酌み交わす人など、みな各々で楽しんでいてとても自由だった。



夜は降雨のタイミングもあったが、雨もなんのその。雨具を身につけたりそのままだったり。Glastonbury Festivalでは傘をさせるようで、ちらほらと傘をさす方の姿もあった。そんな中でピザを食べる友人に傘をさしかける微笑ましい光景に遭遇した。声をかけると、「ここのピザ美味しいよ」とお裾分けまでしてくださった。光るレインコートを着た女性も発見。雨の夜のフェスにマッチしている。なんとAmazonで買えるらしい。



27日にはPYRAMID STAGEなどメインのステージでもLIVEがはじまった。PYRAMID STAGEで1番最初のSupergrassの演奏を見に行くとさまざまなフラッグが掲げられ壮観だった。ちなみに、鯉のぼりもあって日本人としてはなんだか喜ばしかった。


観客のみなさまはとてもノリが良く写真を次々と撮らせてくださった。PYRAMID STAGEはとても広いので、寝っ転がって演奏を聴いている方々もいる。空間を楽しんでいるようでそれがとても素敵な印象だった。


その後、会場内南側方面のTHE PARK STAGEに移動して、この年のFUJIROCKにも出演するFaye WebsterとEnglish Teacherを撮影。ステージ規模はFUJIROCKのホワイトステージぐらいのサイズ感で、パッチワークのような色とりどりの装飾がポップな印象だった。



このステージ自体、丘の上にあって見晴らしがいいが、そばにはシンボリックなタワー、更にその上方の丘 ABOVE THE PARKへとオレンジ色のフラッグが連なる斜面がある。登っていくと頂上付近にBARがあり斜面に腰掛けて風景を眺めながらビールを飲み交わしている人が常にいてとても心地が良い空間だった。


周囲ではDJのステージも複数開催、カメラを携えて歩いていると「今、ここに世界的に有名なDJのFatboy Slimが来ているよ、写真撮らせて貰いなよ。」とスタッフの方に声をかけていただきFatboy Slim氏にお声がけしてBARのDJブースとともに撮影させていただいた。私の聞き間違いがなければDJは息子さんらしい。

会場スタッフは気さくな方がとても多く、声をかけてくださった方々だけでなくさまざまな場所でポートレートを撮影する機会をいただいた。

会場を歩いているとパワフルな演奏に惹かれてAVALON STAGEに足をむけた。THE MAGIC NUMBERSの演奏はエネルギッシュで楽しく、また聴衆のみなさまの熱も素晴らしく、最高のステージだねと言葉を交わした。今後も聞いてみたいバンドに出会うことができた。

そして日が暮れて、THE 1975のステージを見るために再びPYRAMID STAGEに向かった。夜のPYRAMID STAGEはまた昼間と印象が変わり、ライティングがとても格好いいというのが第一印象だった。さらにステージ後方に向かうと、会場内の灯りがイルミネーションの様でとても美しい。


FUJIROCKのボードウォークを彷彿とさせる装飾の森を抜けて向かった先はWOODSIES。FOUR TETのステージは屋内タイプのフロア内に人がみっちり入った上に、みながみな踊っているので、なかなか中に進むのが大変だったが、ミラーボールに反射した光と翻る旗がとても印象深い空間だった。



そして夜の会場を大道芸がさらに盛り上げていた。

28日最初は、青葉市子のステージのためにTHE PARK STAGEに向かう。森の様な自然を感じる装飾の中で音を紡ぐ姿は美しかった。また、集まった観客もその音に身を委ねるかの様にくつろぎ、曲に合わせて拍手をし優しい空気が広がっていた。


PIER-10ACES STAGEを通りかかった際、賑やかな演奏が聞こえてきて立ち寄ってみた。タイムテーブルで確認するとAMBERLIGHTSが演奏していたようだ。好みの音楽のステージに遭遇できることがとても楽しい。

GLASTO ON SEAというエリアは特に遊園地のような印象のエリアで、パフォーマーが沢山!とてもノリのいい方が多く、私が会場内で持ち歩いていたFUJIROCKの手拭いを掲げてくださった。おしゃれな親子にも遭遇。


UNFAIR GROUNDのFLYING BUSに立ち寄ると会場内に車が入ってきたと思ったらサンバ隊が登場して、ステージ前の人々も巻き込んでの演奏は活気があった。



THE COMMONのTHE TEMPLEへ行ってみたら、入場までに行列ができていた。入場するとDJステージに向かって席があり、鉢状の構造はまるでコロシアムのようで圧巻だった。踊っている方々に「日が暮れて寒くなってきたらどうするのか?」と尋ねると、「朝までずっと踊ってるから大丈夫なのよ!」とのこと。JYOTYのDJステージでも同じ様な答えが返ってきた。みなさまたくましい。



夜になっても人々はみなとても元気で、輪になってお酒や談笑を楽しんでいる。


夜にはトンボのような装飾のARCADIAへ向かった。昼間通るととても広く感じる場所だが、夜になると前に進めなくなるほど人が集まり迫力に圧倒される。



夜明けに再び同じ場所を通ると足元に落ちた缶などが踏み潰されて圧縮されたていた。踊る人々の圧縮力は凄まじい。

この場所からABOVE THE PARKへ向かおうとすると渋滞が発生し通り抜けるのに30分以上かかったが、そんな中で一緒にテントを張っている仲間と遭遇することができた。それはとても奇跡だと思った。渋滞を抜けて、ABOVE THE PARKの丘の斜面に座って会場を眺めると、PYRAMID STAGEから眺めたのとは異なる夜景でずっと眺めていられた。

眺めているうちに夜から朝へと移り変わっていった。その変化も美しく、ここに来られて本当によかった、楽しいと心の底から思った。

テントへと戻る道すがら、「私はまたこの場所に、Glastonbury Festivalに再び来るのだ」という思いが満ちてきていた。今回の旅も奇跡みたいなもので、Glastonbury Festivalにやってくることができたこと自体にも感謝しても仕切れないくらいラッキーなことなのだが、不思議とまた再びここに来たいという願いではなく、おこがましいかもしれないが再び来るという気持ちが湧き上がっていた。そんな思いを胸にしながら道を歩いていると、道端で眠っている人に幾度も遭遇した。この自由な雰囲気が本当に心地いい。

最終日の29日の最初は、FUJIROCKでもお馴染みのDJ GONCHANを見にSTRUMMERVILLEへ。

なんと、FUJIROCKや朝霧JAMなどで顔馴染みの方に遭遇することができた。特にBeBeさんはFUJIROCK EKPRESSに初めて参加した2018年にMOREFUNのPEOPLEで撮影させていただいたことがあるので、イギリスの地でお会いするのはなんだが不思議な感覚であり、同時にとても嬉しかった。

日本から遠く離れた場所でDJ GONCHANや前日FLYING BUSでのCUMBIA KID(苗食Tシャツは特に)のステージは楽しさと共になんだが安らぎを感じた。


THE PARK STAGEでのROYEL OTISのステージ撮影へ向かった。明るい印象のステージで聴衆のテンションが上がっていくのを撮影しながらも感じた。


会場内を移動しているとパワフルな声に惹かれてGLADEステージへ。OMEGA NEBULAというElectronic future-dub duoを知ることができた。女性ボーカルがとても格好良く、表情もポーズもどんどん変えて観客を盛り上げていた。


さらに会場内を散策していると車が塔のようなモニュメントが印象的なCARHENGEからPYRAMID STAGEへ向かうエリアで、日本人の方が開くSHOPを発見した。袋帯をフーディーに組み合わせたデザインのものやキャラクターものなどを販売していて、通常はブリストルのマーケットに出したり、フェスを回ったりしているとのこと。



最終日にして、私にとっては今回最大のステージ規模であるOTHER STAGEで、WOLF ALICEとTHE PRODIGYのライブを撮影する機会を得た。OTHER STAGEは、ステージ下から眺めるだけでも規模の大きさに圧倒された。アーティストの熱量も観客の熱量もとても高く、そして目まぐるしくステージ上の演出も変わっていく。撮影しながら気持ちが高揚していくのを感じた。


THE PRODIGYの演奏中に観衆の間で発煙等のようなものが上がったりと熱狂的だった。



最後の最後に、26日に出会った女性のボーイフレンドがDJをすると聞いていたSAN REMOに向かった。ここは会場内からテントに戻るためによく通るため、連夜人が溢れ賑やかな場所という印象だったが、ステージ前まで入って行ったのは初めて。DJのブースだけでなく複数の人々がステージに上がっていて少し不思議な感じもした。人も多いので再会は難しいかとも思っていたが、先日の女性にも再び会うことができた。Glastonbury Festivalで嬉しかった思い出の一つだ。メインステージがフィナーレを迎えたのか花火が上がったのに合わせて老夫婦がダンスを踊り始めた。とても素敵な光景で記念に一枚撮影をさせていただいた。


Glastonbury Festivalでさまざまな物事を目にしたが印象的だったことがいくつかある。1つは、やはり老若男女本当に年齢層関係なく、友人同士で素敵な衣装に身を包んだマダム、お腹にベイビーがいるご夫婦、ドレスを身につけてライブを楽しむ女性、最前列キープの満面の笑みの少年、とってもノリの良いスタッフの方々などそれぞれが満喫している姿がとても素敵だったこと。





もう一つは、パレスチナの旗をさまざまなところで目にしたこと。人道的支援と抗議を表していたそうだ。


光景としては、朝夕にカモメが飛んでくること。特に朝はめちゃくちゃ鳴いている。牧草地でカモメを見たことがないので不思議な心地がした。


ちなみに私は英語がからきしなので、会場内ではGoogle翻訳をひたすら活用してコミュニケーションをとっていた。Vodafoneの回線につながっていた楽天モバイルは回線の繋がりがよく、日本と遜色なくネット回線を使うことができたのはとても助かった。
まとめ
Glastonbury Festivalに行くことができたことは本当にとても素晴らしいことだったと数ヶ月を経た今でも思う。文字を書き始めるとあんなことがあった、こんなことがあったと思い出し、つらつらと書き連ねていくうちに文章が長くなってしまったので、書いては消しまとめては読み直しを繰り返して、やっと文章をまとめることができた。それくらいとても濃密な日々だったと今でも思う。ここに掲載した写真はほんの一部のため、ポートレートなどはFUJIROCKERS.ORGの公式インスタグラムにも合わせて掲載を行なっていくので、そちらもぜひご覧いただきたい。Glastonbury Festivalにて出会ったみなさま、そして現地へと導いてくださったみなさまに多大なる感謝をお伝えしたい。本当にありがとうございました。
Photo・Text by HARA MASAMI(HAMA)
FUJIROCKERS.ORGの公式インスタグラム
https://www.instagram.com/fujirockers_org/
Glastonbury Festival 2025のレポート
・初めてのGlastonbury Festival DAY1
・初めてのGlastonbury Festival DAY2
・初めてのGlastonbury Festival DAY3
・初めてのGlastonbury Festival DAY4
・初めてのGlastonbury Festival DAY5
・初めてのGlastonbury Festival DAY6〈完〉
文章:阿部光平(https://x.com/Fu_HEY)




