初めてのGlastonbury Festival DAY4
初めてGlastonbury Festivalを体験するオルグスタッフが、現地からレポートをお届けします。途中で力尽きたら、続きは後日書きます。(DAY1はこちらから)
多彩な表情を見せるピラミッドステージ
グラスト4日目。ピラミッドをはじめとするメインステージがオープンした。前日以上に気温が高く、肌がジリジリと焼ける。キャンプサイトでは裸で寝転びながら日光浴をしている人がたくさんいた。

Photo by Koichi Hanafusa
そんな気候を味方につけて、ピラミッドにはBurning Spearが登場。ゆったりしたリズムと、腹の底に響く重低音が、暑さを気持ちよさに変えてくれる。
目の前には、風にはためくジャマイカやパレスチナの国旗。同じ場所で同じ音楽を聴いていても、そこで感じることはひとつではない。グラストが持つ多様性と、レベルミュージックのエネルギーを体感する光景だった。
ステージ脇の丘に登ってみると、そこからはピラミッドエリアが見渡せた。ステージの遥か後方まで無数の群衆で埋め尽くされている。これがグラストで一番大きなステージか。写真どころか視界にも収まりきらない広大さと、人が作る景色の美しさに、しばし言葉を失う。
人の間を縫いながら、ピラミッドの周囲を歩いてみる。ステージ前、後方、丘の上と、場所によって見え方は違うが、その存在感は揺るぎない。どこから見てもとにかく広くて、その度に新鮮な驚きがある。
ようやく日没を迎えた22:15。定刻通りに登場したのは、初日のヘッドライナーを務めるThe 1975だ。タバコとビールを持ったマシュー・ヒーリーがステージ上に現れると、嵐のような大歓声が巻き起こった。

Photo by MITCH IKEDA©️
ライブは“HAPPINESS”で幕をあける。さすがはホームのイギリス。待ちかねていたオーディエンスの大合唱は、日本のフェスでは体験したことのないボリュームと熱気だ。ポップなサウンドと力強いメッセージに、会場のボルテージが引き上げられていく。
時に虚空を見つめ、時に笑顔を浮かべながら愛を語るマシュー・ヒーリー。ステージで様々な表情を見せる彼からは、ずっと目が離せない。

Photo by MITCH IKEDA©️
The 1975は、グラストでのステージが今年唯一のライブになることを明かしている。バンドの演奏や表情からも、この日に照準を合わせてきた気迫がひしひしと伝わってきた。
最後に“ABOUT YOU”が演奏され、すべてを出し切ったようなマシュー・ヒーリーの目に涙が光る。グラストの歴史として長らく語り継がれていくであろう感動的なステージだった。
ピラミッドステージのヘッドライナーが終わっても、グラストは続く。むしろ、まだ折り返し地点にきたところだ。一度テントに戻ってラーメンを食べ、夜は奥地へ出かけることにした。
心と体を突き動かす音楽の衝動
グラストでは、数え切れないほどたくさんのステージで夜通し音楽が鳴っている。体力さえあれば、遊ぶ場所には困らない。
最初に訪れたのはARCADIA。昼間は広い芝生の上にトンボのオブジェが設置されている公園のような場所だが、夜になると雰囲気が一転。顔と胴体だけだったトンボにレーザーの羽が与えられ、コックピットのようになった口の中ではDJが音楽をかけている。周囲からは炎が吹き上がり、ド派手なパーティ会場へと様変わりしていた。
前日は入場制限で入れなかったThe Templeは、今夜も満員だった。そうなると、ますます行ってみたくなる。覚悟を決めて列に並び、1時間ほどで場内へ。壁に囲まれているので中の様子は窺い知れなかったが、フロアからすり鉢状に席が連なるスタジアムのような造りになっていた。すべての場所から見える中央部には古代遺跡の石像を思わせる巨大なオブジェが飾られていて、動く絵画のようにカラフルな光を撒き散らしている。
グラストのステージは、どれも造形だけで圧倒されるインパクトがある。そこに音や映像の演出が加われば、心と体を突き上げる衝動には抗えない。仕事を終えた解放感も手伝って、朝まで踊り明かした。
The Templeを出ると、もう空が明るくなっていた。疲れ切った体に充実した気持ちを詰め込んで、日の出と共にテントへ帰る。靴下を脱ぐのも忘れて眠りに落ちた。
・初めてのGlastonbury Festival DAY1
・初めてのGlastonbury Festival DAY2
・初めてのGlastonbury Festival DAY3
・初めてのGlastonbury Festival DAY5
文章:阿部光平(https://x.com/Fu_HEY)