• キャンプよろず相談所から見たフジロック


    先日インタビューでお伝えしたアウトドアメディア「Akimama」の中の人たち。彼らは「キャンプよろず相談所」ということでもちろんそちらのお話も聞かないわけには!ということで彼らからのフジロックのキャンプサイトのお話やアイテムのオススメをご紹介します。

    前回ニュースサイトAkimama(アキママ)のお話が中心でしたが、後編では彼らのベースとなったよろず相談所のお話です。キャンプサイトの入り口で苗場初年からフジロッカーを見守る彼らと、そこに集まる人たちのアウトドア姿勢の変せんを探ります。

    福瀧:よろず相談所のメンバーはもともと山と渓谷社という出版社で働いていた同僚だったんです。「アウトドア」という雑誌を当時やっていたんですが、その時にスマッシュさんから「フジロックのキャンプサイトを見てくれないか」って言われて、そこでキャンプよろず相談所が生まれました。最初は長テーブルひとつで、会社の書籍を並べて真面目に座って本売るとか、そんなんだったんですよ(笑)。

    _YK13224株式会社ヨンロクニでAkimamaを運営し、フリーランスとしても活動する福瀧さん(左)と宮川さん(右)

    宮川:フリーペーパー「Festival Echo」もぼくらがずっと編集をやっています。そこからアウトドアチームができて、アウトドアとフェスが繋がっていって…みたいな。フェスエコも最初は山と渓谷社からだったんですが、今はみんな退社してるんですけどフリーランスとして関係が続いている。フジロックの日は集まって現場を、っていう。

    宮川:そんな活動をしていたらそのうち現場がフジロックだけじゃなくなってきましたね。apbankとか、あと朝霧JAMも1回目からスマッシュに「ちゃんとキャンプインでやりたいんだ」って話がきたし。そんな感じで増えていき、去年は14箇所やったのかな。最近は運営に関わる仕事、製作会社的な仕事も担ってきたりしてますね。純粋にキャンプサイトだけの面倒を見る仕事もあれば、そのイベント全体の製作によろずが入っていって、駐車場の誘導もするし、チケットも売る(笑)とか、アーティストを空港まで迎えに行ったこともあった。でもまぁ本当の得意分野はキャンプとかそういったことなんですけどね(笑)。

    成熟したフジロッカーのキャンプスキル

    120727frf0002―長い歴史があるんですね(笑)。そのベースとなったフジロックに話を戻します。今年もブースが出るそうですが、年を追うごとの変化ってあるんでしょうか。

    福瀧:よろず相談所も最初の頃は「テントが立てられない」とか、そういう初歩的な相談がすごく多かったですね。「これどうしても立てられないんですけど」って言ってきて、見てみたらタープだったとか(笑)そんなこと普通でしたからね。もちろん今でもブルーシートをテントにできると思ってる人とかたまにいますけど…。

    —会場を見回すと、装備とかも含めてフジロックに来る人のアウトドアの形はかなり成熟したなと思います。

    宮川:完成していると思いますよ。実際、よろず相談所にくる人は激減しているし。みんな自立してるんですよね。着ているものも履いているものも、いいモノを用意してきているようになった…僕らいらないんじゃないの?(笑)みたいな。だから最近は「ポールが折れた」とか相談がくると、よろず側が燃える(笑)

    —07年によろず相談所にお話を伺ったとき「安くてすぐ壊れるものを使い捨て的に買う人がいる」と伺ったのですが、そういう人も減ってきている?

    _YK13212宮川:うーん、みんなすごい道具をもっている印象ですね。でも去年、ポールが折れるっていう相談がすごく多くて、それはたぶん推測すると3〜4年前に量販店とかで買った安いテントが、ここにきて経年劣化で一斉に折れだしたんじゃないかと。だからここ何年かはそういうトラブルと同時に、ちゃんとしたテントを買い換える人が増えるんじゃないかと思います。

    よろず相談所直伝!フジロック版アウトドアガイド

    —そこでよいテントはなんだ? って思って開くのがアキママなわけですね?

    宮川:そういうことです(笑)でも過去にフェスエコで2年前くらいに記事にして、おすすめ道具を紹介したりしてたんですが、僕らのメディアとしての情報が変に影響してしまったのか、晴れているのに長靴を履いている人が去年やたら多い印象を受けました。長靴を推しすぎたことによる変な現象が去年おきてましたよね。スタイルになってしまったというか。

    ―去年ずっと灼熱、でしたもんね…。

    福瀧:ただ初日は長靴履いてた方がいいですよ。マダニとか、虫がすごいから。普段誰もいないところに人が入っていくわけだから、初日は虫が多いんですよ。長靴までいかなくても、肌の露出は控えめにした方がよいと思います。

    —ではちょっとアイテムの話をしましょう(笑)フジロックの準備をきっちりするなら、まずどこにお金を?

    宮川:まずは靴かな。靴がないとオレンジコートまで歩けないからね。トレッキングシューズまでいかなくても、普通のスニーカーではなくて、できたらアウトドアのブランドが出している靴がよいですね。歩ける靴と長靴とサンダルの3つがあったら最強。雨具はその次ですね。ゲリラ豪雨なんかのためにはポンチョより上下セパレートのものがいいです。たいていみんな下は履かないけど、下もちゃんと履くとずいぶん快適さが変わると思います。

    —ウェア以外にギアで気を付けることは?特にテントまわり、斜面対策などフジロックキャンプでは結構大きいですよね。

    福瀧:キャンプ用品は…寝袋よりも、実はその下のマットの方が大事。上質な睡眠というのが絶対フジロックは必要だと思うので、マットは重要ですよ。あと斜めに寝るのつらいですよね。だから遠くても平らのところまで行った方が体は休まります。斜め対策のアイテムは、テントとマットの間に100円ショップでも売ってるすべり止めみたいなのを背中一枚分用意すれば、斜面から落ちないですね。

    —ありがとうございます!アキママでも出ると思いますが、フジロッカーズでも紹介させてください(笑)

    寄せられる相談内容がマジよろず感たっぷりな件

    ―では最後に、よろず相談所の「珍相談」というかエピソードを教えてください。どんな相談が来ますか?

    福瀧:自分のテントに戻れないって人がいましたね。迷子。似たようなテントがありすぎて戻れなくなっちゃうんです。「色は緑っぽくて…」って言ってもいっぱいあるじゃないですか。前夜祭の日に早く来てテント張るでしょ?張ったその時は覚えているんだけど、でも前夜祭が終わって帰ってみるとみんな張っていて景色が一変してるじゃないですか。それで「私はどこにいるんでしょう…」みたいな(笑)。

    —(笑)それ解決できるんですか?

    DSF3132宮川:まず「風景はどんなだった?」って聞き込みですね。それで結局朝まで見つけられなかった人もいて。月曜日、お客さんが撤収して残ったテントから見つけるって人もいましたね。そういうことを避けるべく最近はテントをデコレートする人が増えましたね。昔は迷子が一番多かったなー。

    宮川:かわいそうだったのが「バイクで来たんですけど、高速下りたらポールがないんです」って人。事情を聞いてみて、こういう深刻な人には、ぼくらも「よし!」ってなって木でつり上げたりして、ここで寝られるよって言ったり。竹があった時はポールの変わりに利用したこともあった。

    宮川:テント開けたら知らない人が寝てたとかもあった。そういう時は、まずは人間力。「自分で声をかけてみよう?」って。まずは自分たちで交渉させて。極力アウトドアだから、自分たちのことは自分たちでやるのがいい。

    —「ゆとり世代」なんてへんな言葉もあります。いわゆるゆとり的な相談はありますか?

    福瀧:フジロックに関して言えば特にないですね…。他のフェスと違って、「フジロックのキャンプサイトに行く!」っていう意気込み、覚悟(笑)を持ってきているから他のフェスと比べて特にたくましい、鍛えられている感じがします。

    宮川:昨年のキャンプサイトは18000人、テントの数は8000くらい。何回も何回もフジロックに来て、痛い目にあって、装備が充実して、たくましくなって。なんだったらお隣さんも助けますみたいな。そんな人達が育ってきているので、よろずにも人が来なくなってるんだと思います。でも去年フジロックデビューした人ももちろんいる。そういう人はフジロックちょろいって思ってると思うんですよ、雨無かったから。今年装備が甘いままで来てたら、よろずが忙しくなるかもしれないですね!

    —よろず相談ってことは…人生相談なんかも受けたり?

    宮川:ありますよ(笑)「わたしはこれからどうしたらいいんでしょう?」って。そういう時はまぁ「中入りなよ」(笑)で、お酒と一緒に「よし…じゃあ何から話す?」ってね。

    —色々な方がいらっしゃるんですね。バーベキューのところも監修されてるんですよね?人数は結構入るんですか?

    宮川:はい。その中でも一番すごいのは、やっぱり最終日の夜。ライブ見ないで全然あそこから動かない人もいる。あとどしゃぶりの中で、肉焼いてる強者もいますよ(笑)それを「おおまだ焼いてる!」とか見守っていますよ(笑)。よろず相談所の場所に座っていると、いろんな人が見える。それが楽しいんですよ、人間観察ですね。

    (了)

    いかがでしたか?いよいよもう来週には半分近くの人たちが苗場に向かっていると思われるシーズンですが、装備の最終チェックのヒントも得られたのでは?と思います。「不自由を楽しもう」のフジロックですが、助けあいもホント重要、どうしても困ったときは彼らに救いをもとめ、実りあるキャンプライフを目指しましょうっ!

    ■INFO
    Akimama アウトドアカルチャーのニュースサイト
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