Why BoardWalkCamp? ぼくらがボードウォークキャンプに行く理由
フジロッカーズオルグのSNSをフォローしてくれている方は定期的に見聞きするであろう「ボードウォークキャンプ」というイベントについて、みなさんはどれくらいご存知でしょうか。
フジロックの森の、あのボードウォークを修繕する活動に参加しながらキャンプするやつでしょ?くらいな感じで横目に見てくれている方も多いと思います。その通り、ボードウォークキャンプ(以下BWC)は自然を慈しみながらフジロック会場の一部を作り上げることに参加できる、とても清々しいイベントです。
なんだかとってもクリーンなイベントですね、もしかして意識が高そうな人が行くやつ?なんて思ったあなたに筆者はちょっとだけご紹介したいのです。「楽しいこととおいしいものとおトクなことが何より大好き!」といういやしい気持ちにまみれて生きている私のような人間が、何度も行きたくなるその理由を。5月に行われた第27回も大満喫してきたので、その時の様子を交えつつほんのちょっとその魅力をおすそ分けしたいと思います。
自由なキャンプ。連泊できてしかもタダ!
まずは何はともあれこれにつきます。昨今のアウトドアブームによってキャンプの敷居もちょっと高くなったというか、予約を取るのが大変だったり、費用も結構かさんだり、滞在中はキャンプ場の決めたルールでガチガチに縛られたり…ということが少なくなくなりました。頑張って予約を取った人気キャンプ場に行ってみたら辟易した…という経験が筆者にもあります。それに相反するのがBWC。申し込みこそ必要ですが、何ヶ月も前から予約する争奪戦はないし、決められた区画もない。金曜夕方から日曜の昼まで最大2日半ほど滞在できて費用は無料。そして(節度は必要ですが)音出し禁止ルールや就寝時間の強制なんてもちろんなし!
フェス参加を発端に、気付けばゆるっと十数年くらいキャンプ歴のある筆者基準で、これらが叶うキャンプ場ってけっこうレアかなと思います。そんなわけで、自由度の高いキャンプをしたい人にはとてもおすすめ。商業的なキャンプ場ではないので炊事場も無く、トイレなども最低限なので、慣れない方には不便なところがあるかもしれませんが、その代償に味わえる自由さを楽しみながら、関係者さんたちの焚火トークに混ざって貴重な話を聞いたり、フジロック友達ができたり、なんていう体験もできるかもしれません。
いつもと違うフジロックの会場の景色に興奮
取材やキャンプで何度もフジロック期間中以外の苗場を訪れていても、毎度新鮮に感動してしまう、ステージもお店もない会場の景色。BWCは春先や紅葉の時期など年に4回ほど開催されていますが、いつ来ても魅力的な表情を見せてくれます。5月の今回は天気も良く、新緑まっさかり。どこもかしこもこれでもかと青々していて「グリーンステージもキッズランドも何もないと意外と狭いんだなあ。」なんて思いながら散歩するのがなんと気持ちいいことか。
普段は人通りが激しくて横目に見るだけの、グリーン〜キッズランド間の道にある、野性味あるゴンちゃん群と写真を撮ったり、そんなことをしながらフジロックに思いを馳せてワクワクする時間は、当たり前だけど会期中は味わうことが出来ないとっておきの時間です。
そして、ところ天国の川に辿り着いたら、ついついいつも通りに靴を脱ぎ始めてしまう衝動に共感してほしいのです。
運動不足解消&フジ本番前の体ならしにもってこい
散歩して楽しんだのは束の間、BWC参加の最大の意義であるボードウォーク修繕作業はなかなかの重労働でもあります。ここでとっても現実的な話をしていきますが、このときは5月、フジロックまであと2ヶ月もない段階。「フジロックまでに◯kg痩せる!」とか、「フジロックまでに腹筋割ってやるんだから!!」とかいう宣言が、この界隈のそこらじゅうから聞こえている時期です。筆者もまさに年末年始を経て戻らなくなったゆるふわボディにカツを入れている真っ最中だったりしますが、そんなときこそBWC!(某エステみたいなひびき。)
主に行われるのは、古くなったボードウォークの廃材を運び、板に残っている釘を抜く処理作業。タイミングによっては新しい板を設置することもあります。それぞれが適材適所で動ける配慮もあるので、ハードワークばかりではありませんが、ごっつい板を担いで何往復もするのはかなりキツいし、現場間をちょこちょこ移動しているだけでもあっという間に日常生活では稼げない運動量になっていたりします。
子供たちや力仕事が難しい人には、廃材に残った釘をバールのようなもので抜く作業を任されることが多いのですが、これもなかなか力とコツがいります。
ちょっと地味な作業に没頭してスポッと抜けたときの爽快な感じ、運動不足解消とともにストレス解消もできている自分がいました。
苦戦しているとどこからともなく手を貸してくれる猛者がやってきたりするのもフジロックっぽくていいなあと感じる瞬間。
そもそもフジロックって、砂嵐舞う灼熱の下や、笑えないレベルの暴風雨の中、あっちこっちのステージを行ったり来たりして、ざらに1日30000歩は歩いていたりするスーパーハードモードな催しなわけで。十数年足を運んで慣れてはいても、行く前の体力的な気がかりは年々大きくなるわけで。冗談抜きで体作りは超重要項目です。そんななか事前に会場を練り歩ける機会は体ならしにもってこい。体力がもつかちょっと怖い中年の仲間たちや初参加で不安な人にとって絶好のトレーニングイベントとも言えるのがBWCなのです。
ひとしきり汗をかいた後に歩く、張りたてのボードウォークの特別感は最高ですよ。
おいしいごはんと温泉がふるまわれて、タダっていうかもはやプラス
そしてせっかく消費したカロリーは、振る舞われるお昼ごはんですぐに補っていきましょう。地元の食材を使った苗場食堂番外編スペシャルメニューともいえるヘルシーなごはんたちを目の前にすると、普段糖質オフしてることとかは完全に記憶から消して「ごはんちょっと多めでお願いします!!」と口走っている自分がいます。いいの、運動したから。
山菜をふんだんに使った炊き込みごはんとお漬物とけんちん汁のセットは定番で、BWCの労働とセットでしか味わえない特別な美味さがあります。地の味、自然の風味をもってして、人の手で丁寧に作られたごはんは、何度いただいても身に染みる味でほっこりするんですよね。
午後の作業がなく、この後開催されるイベントにも参加しない場合は、昼ごはんを食べて落ち着いたら、配布された入浴優待券を持って雪ささの湯へ。会場から程近くてフジロック中は大混雑している雪ささの湯も、BWCの参加者がちらほらいる程度で、ゆったりとほどよい温度のカフェオレ色の温泉を楽しめます。疲れと日常の面倒なことはこれで綺麗さっぱり。
大自然の中の非日常体験で徹底的に癒されよう
午前中だけでも十分すぎるくらい体を動かし、自然に癒された後ではありますが、午後には普段なかなか体験できないようなワークショップが開催されていました。今回行われたひとつは、環境省の方々による「ルーペを使って自然を観察するツアー」。フジロックの関係クレジットに「環境省」があるのが数年前に話題になったりしていましたが、それはなぜかと言うと、この場所が環境省が定める「国立公園」だからなんですね。
「地元の観光資産をより大切にしていきたい。」と語っていたガイドのみなさんが用意してくれた小型ルーペをスマホのカメラに設置して、グリーンステージあたりの草を観察したり、キッズランド脇の木の枝を這う虫を撮影したりしている光景は、はたから見るとなかなかシュールで笑ってしまいました。とは言え、植物を愛でるっていいですね…と朝ドラを見ながら振り返っています。
一方ではバードウォッチングの先生を招いて森を歩くツアーも行われていました。筆者のような都会で疲れた人間に向けて、癒しの非日常体験をこれでもかと畳みかけてくるBWC。お疲れ気味のあなた…そこのあなたですよ…これを見て癒されたなら次回は現地へいかがですか…?
今回はなかったけれど、参加者特典のプレゼントが振る舞われることもあります。自由なキャンプ、普段は見られないフジロック会場ツアー、大自然と隣り合わせの非日常体験、苗食スペシャルごはんに極めつけは温泉(ここまで大体タダ)、そして夜は星を見ながら焚火を囲んで乾杯!これが私がBWCにいく理由です。
次回は7/1〜2の日程で予約受付中。なにやら今回だけの特別なパーティーもあるという噂です。ゴンちゃんも待ってるよ。
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Text by 東いずみ
Photo by HARA MASAMI、Fujirockers Org