フジロック20th完全勝利宣言!!大森靖子×あたそ フジロック最強ガールズ対談【前編】
- 2016/08/27 ● Interview
「もうあなたとは関係のない芸術をやります」っていう意味もあるんです
─ そんな2014年を経て、大森さんが今回2年ぶりにフジロックに出演、RED MARQUEEという大きなステージでした。
大森:嬉しかったです。2回目が決まるってことは1回目を評価してくださってたってことなので、やっぱり嬉しいと思いました。
─ 先ほど「外は陽差しが…」という話がありましたけど、今回は一番陽の入らない大きな場所。
大森:そう! 屋根のある(笑)。私、今年いろんなとこでめっちゃ屋根あるんですよ(笑)!
あたそ:良かった~!
─ フジロックとしては20周年を迎えて、第1回に登場したレッド・ホット・チリ・ペッパーズが出たりと歴史的にも縁のあるラインナップをガッツリ揃えてきました。大森さんもステージ中「ベック、レッチリ、シガーロス…みんなの歌は誰の歌?」と曲にフレーズを混ぜ込んでましたね。
大森:はい。そうだ、めっちゃ観に行きたいのいっぱいあったんだ。
─ あたそさんは今回も“Fujirock Express”でライターとして参加しましたけど、20周年だし例えば「自分はこう頑張ろう」みたいのってあったんですか?
あたそ:えええーーーー!? 全然ないです。(即答)
大森:「頑張ろう」的なのはないと(笑)。ライターとしては3回目ってことですか?
あたそ:3回目です。なので、要領は掴めていて。なるべく早く終わらせていっぱい遊ぶぞって思ってました(笑)。
大森:職場の仕事と同じノリになってるっていうわけね。
あたそ:そういう意気込みで。「20年目だからこそ遊ぶぞ!」みたいなそういう感じで行きました。
─ (笑)。本番始まる前のサウンドチェックのときに大森さんのバンドでBUMP OF CHICKENの「天体観測」を演奏して、それに即座に反応したあたそさんがツイートしたんですよね。
大森:あ! そうだ! ハートがいっぱいのやつだ。
リハで大森靖子がBUMP OF CHICKENの天体観測歌ってる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!❤️❤️❤️❤️!!!!!!❤️❤️❤️!!!!!!!!!!!!!!!!!!❤️❤️❤️!!!!!!❤️❤️❤️❤️❤️
— あたそ (@ataso00) July 23, 2016
あたそ:そうそう! そうなんすよ! なんかすいません…。あ、悩んだんです! 対談するし“「さん」付けないとアレかな…?”とか思ったんですけど!
大森:いいよ(笑)。
あたそ:“大森さん絶対観たい”と思いながらライヴ直前まで記事を書いてて、リハのギリギリくらいに着いたんですけど“「天体観測」じゃん…!”って思って…。嬉しかった……“はぁー…!!!”って思って。
大森:「天体観測」みんな好きなんでね、私も好きだし(笑)。あの曲はお客さんもみんな好きなはず。
あたそ:しかもその前の週がちょうどバンプのライヴだったっていうのもあり、すごく良かった…。
─ 大森さんはRED MARQUEEに大きな白い旗を持って登場しました。バンドメンバーも畠山健嗣さん(Gt./H MOUNTAINS)、小森清貴さん(Gt./壊れかけのテープレコーダーズ/ex.大森靖子&THEピンクトカレフ)、奥野真哉さん(Key./ソウル・フラワー・ユニオン)、tatsuさん(Ba./LÄ-PPISCH)、ピエール中野さん(Dr./凛として時雨)とオールスターみたいな陣営で臨みましたね。
大森:いろんなパターンがあるんですよ、照明がいないパターンとか。今回は「全ブッコミ型で行きます!」って言われて“そんなに金ブッ込むのか…”ってなって。力強く「ブッコミますから…!」みたいに言われ“じゃあ頑張んないと”と。マネージャーからは「元取んないと~…」という威圧が(笑)。
─ まずそこからの威圧!?
大森:まず身内からの威圧が(笑)。
美マネ:そんなことない、まぁ…言ったけどそんなことない(苦笑)。
大森:(笑)。旗を持って来るのはやりたくて。ジャンヌ・ダルク的な感じで旗持ちたいなって。大きいものを持って目立ちたいっていうのがあったんです。夏の魔物では弾き語りで、聴いてくれる人を「こっから私の陣地」って囲むと私のステージになるんです。旗持って走ってタッチした会場の人が“私の組になる”みたいなのをやってて、それが結構上手くいった印象があって。それと同じノリを作っていきたかったんです。“白旗がいいな”っていうのは初めから思ってて、大きいもの持ちたいっていうのは、やっぱり自分を大きく見せないといけないので。
─ 大森さんが白旗を持って入ってきたとき“ドキッ”としたというか、白旗って言ってみれば“降伏”のサインで。
大森:そう、一見負けですから。降伏なんですけど「もうあなたとは関係のない芸術をやります」っていう意味もあるんです。
─ そうだったんですね。ライヴ中、メンバーの皆さんがとても楽しそうでした。特に、ギター陣が取り立ててすごく楽しそうに見えました。
大森:そう…ものすごく小森がっていうか…。元THEピンクトカレフのメンバーである小森清貴を連れてったんですけど、彼のフジロックへの思い入れがまぁ尋常じゃなくて…。
─ なんでそんなにウンザリした顔で喋るんですか(笑)?
大森:あはは! もうこれ…小森からフジロックについて100回くらい訊いてるんで。ほんとに100回くらい訊いてるんで(笑)!
あたそ:あははは!!!
大森:なんかもう「フジロックに命を救われた!」ってすごく純粋な目で100回くらい! 「ずっと10年通ってて…」「フジロックに行っていないと死んでいた」みたいな(笑)。
あたそ:すごい! じゃあ、念願のってことですよね。出演者側に回れるのは嬉しいですよね。
大森:そうなんです。そういう演奏をしてもらえるのかなって思って誘った部分もあり。
─ ちょっと想い強すぎと(笑)。
大森:そう(笑)。だから、もしそれでスベって…逆になんかそういう想いが強過ぎるときって空振ることあるじゃないですか? そうしたら「どうしよう…」って。「小森スベッたらどうしよう…?」って。
美マネ:その可能性…
大森:あるよねー!(美マネと声を揃えて)って。「どうしよっか…」「ううん…」とか言ってて(笑)。
─ (笑)。観客席側から観てて、小森さんは冷静にピエールさんのドラミングや周りを見ながら結構バランス良く演ってられたのかなぁと。畠山さんの方がいつも“ガーッ!”とやってるイメージも。
あたそ:うん。そうですね、そんな感じでしたね。
美マネ:確かにパフォーマンス的にはそうですね。
大森:たぶん、本人的にはまぁ…小森、顔なんで。顔芸なんで(笑)。
あたそ:ぶははははは!
大森:顔が見えないところから観るとそう見えたと(笑)。最近、バンドVer.のときの演奏はメンバーに結構年上の方がいたりとかするので、後ろをガッチリ固めて私が“前出るっ!”みたいな感じになっていて。それだと、たぶんフェスは戦えないなっていうのがあって。自分だけギャーギャー言ってる感じになっちゃうなと。「全員で、どうか行ってください、前に」っていうのは何度もLINEグループで送ったりとか(笑)。そのために小森くんを誘った部分もあります。
─ 同じ世代というか、そこで戦ってたメンバーとピエールさんもいてっていうところで“バンド感”みたいなものを高めたんですね。
大森:そうです。リハからすごく突き詰めてバンドを作っていきました。
あたそ:その意気込みで臨んだRED MARQUEEの、フジロックの雰囲気ってどうでした?
大森:はぁ~~めっちゃ楽しかった、ただただ(笑)。いつもはそんな用意していかないって言ったらアレですけど、弾き語りのときは特にその場の空気に対してやることをやろうという部分にとても比重を置いていて。でも、今回はもう「これをやる」って完全に決めてフジロックに向かったんです。「フジロックっていうところでこの曲をこういう風に響かせて…みんなにこういう風に聴かせる」っていうイメージをそこそこ固めて行ったので、それ通りにできたなっていうのがあります。あんまりそういうことやったことがなくて、それが新しい体験だったかな。
─ これまでよりショー的というか。
大森:そうですね、ちゃんと固めて。「これを魅せるんだ」っていうのを用意していったというか。
─ 1曲目「さようなら」をアカペラの独唱で入りました。アレも決めていたと。
大森:そうですね。結構ライヴやりながら生まれるんですよ。アカペラもギターの弦切れたから歌ったのが始まりで。“おっさんコール”とかも最近やってて勝手に生まれたみたいな。何かのライヴで「おっさんの自覚が足りねーぞ! おっさん! 歌え!」みたいな感じで言ってたら「おっさん!」って返ってきちゃって、“あ、コール&レスポンスになっちゃった!”って(笑)。
あたそ:ああ、そうだ! コールやってましたね!
「絶対彼女」Music Video
─ 「絶対彼女」の演奏中に“おっさん! おっさん!”とコールがありましたね。確かに男性のお客さん多かったですよね。
大森:おっさんってね(笑)。前もフジロックは男性が多かったですね。
あたそ:なんかね…もう良かったです! “絶対女の子 絶対女の子がいいな”をおっさんに歌わせるっていうのがすごく面白かったです(笑)。大森さんの「おっさん!」ってコールに会場が沸いて、おっさんたちがみんな歌ってて!
大森:あー! 歌ってて! 嬉しい。
─ 「このコたち、みんな女の子になりたいんだ!?」って。
大森:みんな可愛いから。そういうところはね、みんなあるはず(笑)。
あたそ:そういうところが(笑)。
─ 逆にあたそさんはおっさんコール中、何をやってたかですよね?
あたそ:私、見守ってました。
大森:うふふふ!
あたそ:おっさんではないんで(笑)。笑ってましたね。
大森:(笑)。フジロックでも最後マイクを渡して、みんなに叫んでもらうのとかも即興で。即興演奏のところって意外とヴォーカルやることないんです。だから客席降りて「はい、喋って」みたいなのをずっとやってて。基本的にみんなマイク使って歌うとかやりたい・参加したいじゃないですか?…まぁみんなか分かんないんですけど(笑)、“参加したいはずだ”と勝手に思ってて。
あたそ:ふふふふふ!
大森:“みんなで音出したら面白いのにな”って。だって、客の方がギター上手いときもあるじゃないですか? それをグチャグチャにするみたいなのをやりたいなっていうのがその場では大いにあって(笑)。即興自体もギターの弦が切れて何かしょうがないからやって…そういう1つ1つのライヴで生まれたものとか“それが良い”って言われたものを全部寄せ集めてきた感じだったので。
─ 「マジックミラー」や「ミッドナイト清純異性交遊」でも一緒に歌っている人がたくさんいました。
大森:ほんとですか!? 意外に私の曲なんかみんな知らないと思って行ったくらいなんですよ。そんなに知らないだろうなと。フジロック来て名前見て名前聞いたことあるから行ってみようかなくらいの人がいっぱいいるノリで行ったんで。「絶対彼女」とか、YouTubeで回転数が多いヤツがやっぱり「フゥーッ!」ってなるんですけど(笑)。YouTubeくらいは観ててくれるんだ、良かった~みたいな。
─ むしろ安心感というか。
大森:そう。「知ってるんだ…!」みたいな。やっぱり知ってる曲をやるっていいんだなって。フェスとかみんなが知ってる曲をやってほしい派なんで。
あたそ:それをちゃんと自分も実行したんですね。
「マジックミラー」MusicClip
─ 個人的には「マジックミラー」が会場ですごく響いていた気がして。この曲自体、大森さんの伝えたい想いがかなり込もった曲です。それが広がってるというか、伝わってるなって感じはありました?
大森:それを最近知ってビックリしました。
─ 最近!? 意外な感じです。
大森:あ、こんなにちゃんとみんな知ってくれてるんだみたいな、ね?
美マネ:確かに言われてみればそうですね。私どもはもちろん想いの強い曲っていう認識はしてるんですけど、強い分確実に伝わる曲だとは思ってはいつつ、その広がりは思いの外、広いところまで届いている気がします。
大森:あとで言われて知ります。ちゃんと伝わってるんだって。
─ “あたしの有名は君の孤独のためにだけ光るよ”というフレーズがとても強いですよね。
大森:そう、自分としてはメジャーデビューのときに“とにかく目立たなきゃ!”と思って、なんか頑張っていろいろやっちゃったんで(笑)。「マジックミラー」は“これ、このタイミングでやんないともうこれ以降どうにもならんぞ!”と、その地固めというか、説明をしなきゃいけないなって「こういう気持ちで音楽活動してますよ」というのをちゃんと書こうとしたんです。説明するのが苦手っていうか、“お前がどう思っているかとかどうでもいいわ!”とか結構思っちゃうタイプで説明的な歌詞が好きじゃないんですけど、説明的にギリならないように書いて地盤を固めるみたいな作業だと思ってたんです。私に集まって興味持ってきてくれた人を固めていく曲だから“広がらないだろう”ぐらいに思っていたのに、“みんなこんなに知ってくれているんだ”と最近実感しています。
─ それこそ、大森さんが最初に言っていたジャンヌ・ダルクのように旗を持ってきて、それに相応しいくらい観客に伝わっている感じはあったと思います。驚いたのは、どちらかと言えばストレートに女性の方に届きやすい歌詞ですが、男性客の反応も本当にすごかった。男性にもちゃんと伝わっているんだなっていうのが分かりました。
大森:ほんとですか! グッと来てたって(笑)。でも、元々男性の方が多かったんです。昔からすごく追ってくれているのは音楽ファンの男性だったんですけど、最近どんどん女の子が増えてきてて、ワンマンでやったら女の子の方が多いかな? さすがにライヴ全部来てるとかフジロックまで来るとかはもう男性。やっぱり経済力(笑)。
あたそ:お金……。
大森:興味持ってくれている若い子たちは女子中学生や女子高生とかなので、音楽にお金を使うっていう習慣ももうあんまりないくらいの子たちがモデルのSNSや音楽を聴けるサイトで何々を聴いてとか、いろんなチャンネルを通じて知ってくれて。ワンマンになると来てくれるけど、フジロックにはなかなか出てこれないよね(笑)。
私もみんなも“勝ったー!”って、そのときは“1つだ!”、“我々は勝利だ!”と思えた
「ピンクメトセラ」MusicClip (short ver.)
─ WEBアニメ『逃猫ジュレ』のテーマソングである新曲「ピンクメトセラ」もフジロックで披露されました。メトセラが神話の“ノアの方舟”を作ったノアの祖父で、すごく長寿な…
大森:メトセラ…へー。
─ …って、あれーっ!?
大森:初めて知った。『逃猫ジュレ』の脚本に書いてあったんですよ。作品に登場する木馬の名前なんです。
あたそ:あ、そうなんですか!?
─ またちょっと違うんですか?
大森:たぶんその意味もあるんじゃない。
美マネ:作家さんはそこから付けたんでしょうね。
あたそ:えー! 調べたらアトピーの何とかって出てきましたよ。
─ アトピー!?
大森:全然違うよ(笑)!
あたそ:薬かなんかで? “あれ!? これかなー!?”って思って(苦笑)。
美マネ:あったとしても100%そっから付けてはないと思う(笑)。
あたそ:“何でだろう? 何でこのタイトルなの!?”ってすごく思って。
─ ピンクのアトピーだったらそれ普通に症状じゃないですか!!?
あたそ:“薬の名前なんだぁ”って思ったんですけど(メトセラATP ES-27クリーム/ゲンナイ製薬株式会社、のことと思われる)、歌詞とか見ても何か全然…(笑)。
大森:ウケる! 薬じゃないなーみたいな(笑)?
あたそ:“関係ない…あれー!?”と思ってちょっと不思議に思っていたんですけど全然違いましたね。“あれー!?”とは思ったんですけどね。
大森:あははははは! でも確かそれ塗って逃げるみたいな話でしょ、方舟とかに常備されてると思います(笑)。
あたそ:あははははは!
─ (笑)。969歳まで生きたっていう神話の人で、理由は分からないんですけど、神様はメトセラが死ぬのを待ってから洪水を起こして、その子孫…メトセラの孫であるノアだけ生き残るっていうストーリーみたいですね。
大森:じゃあ、たぶん脚本と繋がっています。猫の種族の話なので。
─ なるほど。曲を会場で聴いてて、アルバム『TOKYO BLACK HOLE』出してからの新しい船出のようなイメージを受けました。
大森:作品を出す度に“広がる”、それを“封じ込める”、破壊する、ちょっと直して構築する、破壊する、構築する…という風に新しいものを得ていく感覚があって、今回はもう破壊側っていうか(笑)。制作の感じで言うと3作シングルを出すんで、いろんな人とやることによって、いろんなものが生まれていって、また新しいところに行ければいいなっていう“側”の時期です。
─ フジロックで演ってみて手応えは。
大森:新曲は「新曲だ! 聴こう!」ってみんな聴いてくれるんで、“新曲を聴いてくれている”って感じでした。
あたそ:あははは! そういえば私、普段から大森さんの曲を結構聴いてて。会場で「あ、知らない曲だ…新曲かな?」って思ったんですね。なので、私も「新曲だ!」と思って聴いてました。
大森:そうそう、みんなそういう感じ(笑)。ありがとうございます!
─ あたそさん、何故今それ自信満々で言ったの(笑)?
あたそ:その後に新曲の音源をいただいて「あ、聴いた。コレ聴いたわ」って、今日もお昼休みにお弁当食べながら聴いたんですけど(笑)。生音で聴いたからかもしれないんですが「フジロックのライヴと印象が違う?」っていうのを感じました。
大森:そうですね、たぶん音源だとまた違いますよね。
─ 違う印象というのはどういうところで感じました?
あたそ:えー?? ライターなんですけど私、応用力ないんですよ。こうやって話すときにね、結構すぐポンポンポンポン言っちゃうんですけどーーー!!!
大森:言葉数多い(笑)。打数が。
あたそ:あはは! お酒ないとねー、喋れないんでホント…。
大森:えー! 持ってくればよかったのに(笑)。
あたそ:ライヴ観てて、そのときにもう対談決まってたじゃないですか? 結構もう…なんか…なんですか、命の輝きみたいなものをすごく感じて。
大森:暴れすぎた(笑)?
あたそ:そこで「対談大丈夫かな…?」ってちょっと結構不安になりましたね。“こんなすごい人と喋れんのかな私…?”と思って。
大森:ええ!? でもちょっと待って、私ライヴ中にしか放出しないタイプなんだけど(笑)。普段はこういう感じでフラーッと生きてるんで。
あたそ:(笑)。やっぱり2回目でステージが大きくなったのもあると思うんですけど、すごく張り切ってるというか、意気込みというか、覚悟を感じました。めちゃめちゃ良かったです。
大森:ああ、良かった(笑)。
─ 大森さんとしてはフジロックで演った曲の中で一番印象的なものはありますか。
大森:フジロックで「音楽を捨てよ、そして音楽へ」の“音楽は魔法ではない”の歌詞を連呼する自分をすごくイメージしてたんですよ。もう“気持ちいいだろうな”って、“こっちを見ろ!”みたいな気持ちになれるなぁっていうのをずっと妄想していて(笑)。「わぁー! きたー!」って気持ちでした! 歌詞の“邦楽洋楽夢のよう”を経て“んなわけあるわけねーだろ!”って歌ったときの気持ち良さったらなかったです! ふふふ!
─ 大森さんが中野サンプラザで初めてライヴをしたときと同じく、また1つ思い描いていた景色が見れたってことですよね。
大森:はい。最後に旗を持って前に出たら、みんなが「おー!」って来て“勝ったー!”みたいな感じだったんですよ。私も旗持ってて“勝ったー!”と思って。“あ、1つだ!”と思いました(笑)。あんまり“1つだ”って感じることないんですけど。
─ 会場が一体になる感覚が?
大森:ないです。会場を1つにすることなんてないです、私。個人だと思ってるんで。
あたそ:うん。1人1人に向けて。
大森:全員個人であって、別に1つになる必要がないと思っていて。でも、そのときは「1つだ!」って思えた(笑)。「我々は勝利だ!」と、そういうことを考えてましたね。「やったー!」って(笑)。
あたそ:あははは!
─ じゃあほんとにフジロックでは“1つになれた”という感覚が。
大森:そうですね。別にそうなりたくもなかったんですけど。でも、フジロックとしては正解っていうか。自分の、その日やりたかったこととしては正解って感じでしたね。
─ そういう空気があの会場にはあったと?
大森:ありました。みんな、熱量がありましたね、やっぱり。
─ あたそさん的には印象に残っているパフォーマンスってあります?
あたそ:はい、やはり最後の「音楽を捨てよ、そして音楽へ」ですね。
大森:考えてきてくれてんの(笑)?
あたそ:考えてきてますよ(笑)! あんときにもうなんか、ホントに、ああ、すごい……私、この人と対談するんだって。
─ さっきからそればっか!
大森:あはははは!
あたそ:“全然もう勝てないじゃん!”と思って。観てました、なんか。
大森:勝つ意味は!? 勝たんでいい(笑)。
あたそ:“もうダメじゃん!”と思って。もうライヴすごかったですよね。
─ 自然と一体感が得られたというフジロックでのライヴは面白い体験だったんですね。
大森:面白かったですね! はい。
(中編はこちら)
●大森靖子(おおもりせいこ)
弾き語りスタイルを基本に活動する、新少女世代言葉の魔術師。FUJI ROCK FESTIVAL、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、RISING SUN ROCK FESTIVAL、TOKYO IDOL FESTIVALなど数々のフェスに出演。アイドルファン、特に道重さゆみファンであることを公言しているハロヲタ。小室哲哉が制作した「rêver」(ファッションブランド『SEPT PREMIÈRES by Kenzo Takada』のイメージソング)にゲストボーカルで参加。
Official Site: http://oomoriseiko.info/
Twitter: @oomoriseiko
大森靖子スタッフTwitter: @oomoriseiko15
Facebook: https://www.facebook.com/oomoriseiko
●あたそ
フォロワー数が7万人を突破した大人気“非モテ”系ツイッタラー。音楽やモテない女子ネタツイートで注目を集め、ついには“ニュー卑下アイドル”“非モテ代表”などの気高き冠をいただくに至る。ミュージシャンとの交流も多く、近年ではイベント主催やコラム執筆なども手がけている。よく飲む、よく喋る。思ったより若い。9月2日には自身の生誕祭も兼ねたトークイベント『あたそナイト4』を開催。
Twitter: @ataso00
マイナビウーマン『非モテ代表・あたその恋愛相談』 http://woman.mynavi.jp/profile/150115/
【リリース・ツアー情報】
大森靖子
New Single「ピンクメトセラ / 勹″ッと<るSUMMER」
ON SALE
CD+DVD ¥2,500(税抜)
CD only ¥1,000(税抜)
CD+DVD【ファンクラブ限定盤】 ¥3,500(税抜)
【CD】
M1:ピンクメトセラ
M2:勹″ッと<るSUMMER
M3:ウエディング・ベル
【DVD】
1:ピンクメトセラ(Music Clip)
2:勹″ッと<るSUMMER(Music Clip)
3:ウエディング・ベル(Music Clip)
【DVD(ファンクラブ限定盤)】
大森靖子2016前半ライブ映像【海を割るおっさんのパンティ】
●大森靖子2016年全国ツアー『TOKYO BLACK HOLE TOUR』
10月1日(土) AKITA ● 湧太郎 國之譽ホール <弾き語り>
OPEN 16:00 / START 17:00
10月8日(土) NAGASAKI ● 旧香港上海銀行長崎支店記念館 <弾き語り>
OPEN 18:00 / START 18:30
10月9日(日) OITA ● 別府ブルーバード劇場 3F <弾き語り>
OPEN 18:00 / START 19:00
10月14日(金) NAGOYA ● CLUB QUATTRO <バンド>
OPEN 18:00 / START 19:00
10月15日(土) SENDAI ● MACANA <バンド>
OPEN 18:00 / START 18:30
10月22日(土) OKAYAMA ● CRAZYMAMA KINGDOM <バンド>
OPEN 17:00 / START 18:00
10月23日(日) FUKUOKA ● BEAT STATION <バンド>
OPEN 17:30 / START 18:00
10月29日(土) SAPPORO ● PENNEY LANE24 <バンド>
OPEN 17:30 / START 18:00
11月4日(金) HIROSHIMA ● LIVE JUKE <弾き語り>
OPEN 18:30 / START 19:30
11月10日(木) OSAKA ● BIGCAT <バンド>
OPEN 18:15 / START 19:00
11月11日(金) MATSUYAMA ● サロンキティ <バンド>
OPEN 18:30 / START 19:00
11月18日(金) TOKYO ● ZEPP TOKYO <バンド>
OPEN 18:00 / START 19:00
●あたそトークイベント
『あたそナイト4』
9月2日(金)TOKYO ● LOFT9 Shibuya
OPEN 18:30 / START 19:30
【出演】
あたそ
松本誠治(FINAL FRASH / Migimimi sleep tight / the telephones)
是永亮祐(雨のパレード)
スダユウキ(Suck a Stew Dry)
取材・文:ノグチアキヒロ
写真:Yuto/びーとる(Twitter)