• あの会場は今〜フジロック97の舞台、天神山スキー場編〜


    今年はなんだかとんでもないラインナップが次々と発表される、年に一度のお祭り・フジロック。その開催は、今年でもう16年目にもなるわけです。初開催の年のことをもう覚えていない、どころか参加者の中には当時まだ生まれていない人すらいるんですよね…。ということで今回は初回となる1997年の会場、富士天神山にかなり久々の訪問を果たしました。

    台風直撃による2日目の中止、参加者の準備不足やオーガナイズ面の課題、公式BBSの大炎上などなど、昨今の「夏フェス」文化成り立ちの礎になったであろう伝説の天神山、当時の体験者目線で散歩します!(取材:2011年6月)

    東京から西へ約2時間ほど行ったところにある富士天神山。「さすがにもう当時のことなんて全く思い出せないんだろうなあ…」と思っていたのですが、国道139号線をひた進み、カーナビが「そろそろ目的地です」と案内するあたりの交差点でいきなり「おおおおこれは!」とフラッシュバックが。この会場から一番近くにあるセブンイレブン、当時ゴアテックスなど当たり前のように持たず、Tシャツ半ズボンしか持っていなかった僕。ここで500円の雨ガッパを購入したり、あまりの寒さに缶コーヒーを買い求めたりした記憶が蘇ります。あのころはセブンイレブンだけが雨の中でぽつんと建っていましたが、今は向かいにガストができていました。もし当時もあれば大繁盛したでしょうね。

    思い出のコンビニで深呼吸などしつつ、「天神山入口」の交差点を曲がり、会場へとつづく一本道に入ります。…ああ、忘れないもんなんですね、15年前なのに。

    まだケータイはおろかインターネット人口も一部の人のものだった1997年、それまでライブハウスか椅子付きのホールしか選択肢がなかった日本に突如「フェスティバル」という言葉が、そうそうたるメンツとともに発表されました。出演者すべてがヘッドライナークラスというすごい野外イベントという甘い認識で、それでも「何かがはじまる」というあふれそうな期待感があった初回のフジロック。開催前夜、この一本道に入った瞬間、窓を開けてニルヴァーナをガンガン流しているような車たちの長い列を成し、その横を異様なテンションで道を進んでいくTシャツ短パンのフジロッカーズを目の当たりにして、「日本中のロックな人たちがここに集まってきているんだ!」という最初の感動に震えたのが、この道でした。

    その期待感をあらわすとこんな感じ!ということで我々だけしかいませんがエア開場待ちにて当時を再現。このゲート前にたくさんの人が集まり、ワクワク感を隠すことなく待機していたものです。

    無事にエア開場した我々は会場に突入。いまは「ふじてんリゾート」という名前に改名した天神山スキー場。オフシーズンはこうして春頃から会場を公園として開放し、マウンテンバイクなどのアウトドアスポーツを楽しめる場所にしているそうです。何もないところで見てみると、さすがスキー場っていう感じの斜面です。ちなみにこの写真の奥のほうで恵比寿みるくが前夜祭DJパーティをやっていましたね。

    セカンドステージにきました。…なんだこれは。

    「ピエール瀧の富士山着ぐるみ」「謎の熊と、小屋の中から終始でてこなかったエイフェックスツイン」などなど、終わらないダンスミュージックのピークタイムがそこにあったというセカンドステージは跡形も無い状態でした!当たり前か。このふじてんリゾート、夏場はユリの花園にもなるそうで、これからメイン会場の方に移設され咲き誇るであろうユリ達がずらりと待機していました。

    それではもう一つのステージに参りましょう。運営本部が置かれ、台風直撃時には避難所にもなっていたロッジを横目に、メインステージへと向かいます。

    ああ…あのリフト小屋覚えてる!メインステージを背にした正面、おそらく当時のライブレポート写真にも掲載されているあのリフトの建物は、当時と同じように建っていました。けれどその周辺はユリが植わっていたり…ってなんだあのピンク色。

    「恋人の聖地」…だと…?リフト小屋の隣に、ピンク色のX字を柱にした謎のブランコがありました。なんでも、地域活性化や少子化対策を目的にこうしたスポットをNPOが「恋人の聖地」として選定したものだそうです(国内にはほかに105ヶ所あるそう)。「恋人の聖地メインモニュメント」という名のこのブランコ、夏には周辺を花々が飾る記念撮影スポットになるのだそうです。…俺たち男三人で来たからどうしようもなかったけどね!

    この写真の右側に、当時メインステージはありました。右手には富士山が見えて(取材日は生憎の天気でNG)、文字通りの「富士ロック」だった天神山。あの時は、はじめてのひらけた野外に圧倒されたのですが、今こうして再訪してみると苗場よりひと回り小さく見えます。当たり前ですがここにあの97年の壮絶な光景の面影は全くありません。

    とはいえこの始まりの地で気持ちがこみあげないわけがなく、エアレイジアゲンストザマシーンなどをしながら天神山を堪能して参りました。フリーーーダムッ!!

    ふじてんリゾート夏の営業は9時から17時の間で開放されており、11月初旬までこうした自然を堪能できるそうです。あの頃の思い出に浸りたくなったらぜひ行ってみるといいでしょう。

    ■98年の会場はこちら
    http://fujirockers.org/11/?p=1867

    ■ふじてんリゾート
    http://summer.fujiten.net/pc/

    写真:北村勇祐
    ライター:ryoji

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