電気グルーヴ26年の歴史を紐解く!映画『DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~』の見どころを紹介!
- 2015/12/11 ● from fujirockers.org
まず最初に。この映画は、ぜひ映画館に足を運んで観て欲しい。冒頭からラストまでたっぷり収められた貴重な過去映像、なんといってもそのライブシーンが圧巻なのだ。電気グルーヴ(以下電気)のライブ会場の熱気を知る人、昔のライブを見てみたい人、あるいは今後行ってみたい人、そんな全ての電気ファンを興奮させる圧倒的な臨場感。こんな凄いもの家でDVDで観てはもったいない。映画館の大画面と音響で体感してほしい。この映画はそれだけクオリティの高い映像作品なのだ。
『DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~』と銘打たれた本作は、電気のデビュー以来26年に渡る活動を、過去のライブ映像や、彼らとゆかりの深いスタッフ、アーティストら総勢17名のインタビューとともに振り返るドキュメンタリー映画だ。二人から指名を受けて監督を務めたのは、『モテキ』『バクマン。』などで知られる大根仁。サブカルチャーの面白さ、カッコ良さを映像作品で表現させたら右に出る者はいない稀代の名手である。その大根氏に「いちばんカッコ良い先輩たちが、怖い批評家であることも知っているオレは、この仕事に確実に「地獄」を予感しました。」と言わしめた電気の二人。その予感通り今回の作品は監督にとってかなりハードな課題だったようで、2014年のフジロックから撮影を開始し、実に250時間もの過去映像との格闘を経て、当初2015年夏公開の予定が半年押してようやく封切りとなった。
収められている過去の映像は、めったにお目にかかれないレアなものばかり。特に1989年の大阪・十三ファンダンゴでのデビューライブは本邦初公開だ。それらの膨大な映像資料とともに、彼らが創ってきた作品の制作背景が語られていく。
初期のヒップホップやラップを中心としたサウンドと毒のあるコミカルな歌詞という作風から、テクノを取り入れた新しいサウンドへの転換、その後『ORANGE』で見せた変化、“Shangli-la”『A』での覚醒、活動再開以降の近作まで、電気の音楽性の変遷がその時その時の二人を取り巻く環境とともに解説されていて、彼らの音楽がいかに進化の連続だったかがよくわかる。
ただ過去の映像と楽曲を時系列で並べただけではないのがこの映画の奥深いところ。電気をよく知るアーティストや関係者がごく個人的なエピソードも交えながら彼らについて語ることで、ただのヒストリー紹介に留まらない、リアルで人間くさいドキュメンタリーになっている。今や不動の人気と地位を獲得しているように見える彼らだけれど、この26年の間には、『ORANGE』期の苦悩やままならなさ、レーベルとの軋轢、メンバーの脱退、活動休止など、数々の苦難があった。本作では、世の中一般に持たれているであろう”面白おかしく飄々としている”電気グルーヴのイメージからは遠い、シリアスな部分に深く迫っている。
FUJIROCKERS.ORGとして特筆すべきはやはり映画の随所に登場するフジロックのシーン!初開催だった1997年、10周年の2006年、電気のデビュー25周年にあたる2014年のステージが収められていて、中でも2014年のグリーンステージの模様は映画全編を通して何度も登場し、本作を象徴する重要な要素となっている。そして冒頭述べたように、そのライブの臨場感がとにかく凄い!熱狂うずまくグリーンステージの上空から、フロアの人垣の中から、ステージ袖から、オーディエンス総盛り上がりの現場を余すことなく映しとっていて、まるで今現地でライブを観ているような高揚感が沸き上がってくるのだ。一度でもフジロックに行ったことがある人なら「そうそう、この感じ!!!」とあの場所特有の興奮をリアルに思い出すことができるはず。
さらに、フジロック初開催の97年、今や伝説となっている天神山でのパフォーマンスもたっぷり見ることができる。この映画には電気ファンだけでなくフジロックを愛する人たちも思わずアツくなるシーンが満載だ。初開催、10周年とフジロックを盛り上げてきてくれた電気。これはもしや来年の20周年も…!?なんて淡い期待が湧いてくる。あらためて、フジロックにとって電気は欠かすことのできない存在なのだ。
『電気グルーヴとは、果たして何者なのか?』――本作の大きなテーマとして提示されているこの問いに、明確に答えられる人はおそらくいないだろう。ただ、そのヒントとなり得るたくさんの要素がこの映画には散りばめられていて、上映終了後にはそれぞれの中にある「電気グルーヴ像」がアップデートされているはずだ。めちゃめちゃ格好良いライブパフォーマンスをしたかと思えば、裏の楽屋や移動の道中ではしょうもないことをやってゲラゲラ笑っている。次に何が飛び出すかわからない。そんな予想の二歩も三歩も先を行ってくれるところがファンを長年惹きつけ続ける電気の魅力なのかもしれない。『電気グルーヴとは、果たして何者なのか?』。その答えを探るため、そして電気の歩んできた26年の軌跡をその目で確かめるために、ぜひ映画館へ足を運んでほしい。
■2006 FUJIROCK EXPRESS ライブレポートはこちら
■2014 FUJIROCK EXPRESS ライブレポートはこちら
『DENKI GROOVE THE MOVIE? ~石野卓球とピエール瀧~』
公開:2015年12月26日(土)全国2週間限定年越しロードショー
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
© 2015 DENKI GROOVE THE MOVIE? PROJECT
http://www.denkigroove.com/themovie/
監督:大根仁
キャスト:電気グルーヴ(石野卓球、ピエール瀧)
天久聖一/Andi Absolon(元ヨーロッパ ブッキング エージェント)/ANI(スチャダラパー)/
Bose(スチャダラパー)/CMJK/DJ TASAKA/日高正博((株)スマッシュ 代表取締役)/
ケラリーノ・サンドロヴィッチ/道下善之((株)ソニー・ミュージックアーティスツ)/
中山道彦((株)ソニー・ミュージックアーティスツ 代表取締役)/小山田圭吾/
SHINCO(スチャダラパー)/砂原良徳/山口一郎(サカナクション)/山根克巳(LIQUIDROOM)/
山崎洋一郎(rockin’on JAPAN 総編集長)/WESTBAM (A to Z)
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上映劇場
東京・新宿バルト9|大阪・梅田ブルク7|愛知・109 シネマズ名古屋|北海道・札幌シネマフ
ロンティア|福岡・T・ジョイ博多|宮城・MOVIX 仙台|広島・広島バルト 11|神奈川・横浜
ブルク 13|千葉・T・ジョイ蘇我|新潟・T・ジョイ新潟万代|京都・T・ジョイ京都|兵庫・
109 シネマズ HAT 神戸|静岡・静岡東宝会館 ほか
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全国共通前売券
¥1,500 (特典付き)
10 月 23 日(金)より、上映劇場及びプレイガイドにて一斉発売
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お問い合わせ
配給:ライブ・ビューイング・ジャパン
宣伝:ELECTRO89(佐藤・寺沢・小澤)TEL:03-6279-9696/FAX:03-3791-8381
info@electro89.com
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文 :山本 希海
写真:© 2015 DENKI GROOVE THE MOVIE? PROJECT