2015年のフジロックはどんな内容に?日高正博社長に聞いた
- 2015/06/05 ● Interview
フジロックの主催者である大将ことスマッシュの日高正博社長にインタビューしました。19回目の開催を迎える今年は一体どんなことが行われる予定なのでしょうか。アーティストのこと、ステージのこと、そして大将が今どんなことを考えているのか、いろいろ聞いてみました!
2015年の大きな変化
─今年のフジロックはどういったものになるのでしょうか?
昨年との大きな違いとして、今年はオレンジコートがなくなる。理由としては水ハケの悪さやいつ行っても泥だらけっていうことと、フィールドオブヘブンと音がぶつかるっていう問題。音に関しては出演アーティストのマネージメントから何度も言われていて、そういうマイナス要素から思い切ってオレンジをなくすことにした。
─それはかなり思い切った決断を……。オレンジをなくすことに合わせて何か変更点はありますか? さらに奥地のカフェドパリ周辺とか。
カフェドパリの位置は、これまでオレンジコートがあった場所の裏手ぐらいまで近付ける。まあほかにもいろいろ考えているんだけど、オレンジがあったところで音楽をやる場所として使用することは考えてないな。
─これまでオレンジに出ていたようなタイプのアーティストはどうなるのでしょうか?
ヘブンに出演してもらう。というのも、当初オレンジを作ったときは「ジャズ&ワールドでやろう」ってコンセプトがあったんだけど、だんだんとアーティストの選択肢が狭くなったりして、結局ヘブンのアーティストと似てきてしまってたんだよね。アーティスト数が多いだけで、区別がない。だったら一度ヘブンとオレンジを統合してコンセプトをハッキリさせようって思ったんだよな。
─初日深夜にオレンジでやっていたオールナイトフジはどうなるんでしょうか?
今年はなし。いろいろ考えたんだけど、場所がないからね。だけど、今年はレッドマーキーとコラボレートして金曜の深夜を盛り上げてくれるよ。
(※詳しくは欄外参照)
─なるほど。
オレンジをなくすことであのエリア一帯の地面の状態は良くなるよ。今まで開催前の水、木曜日にオレンジを設営する作業のために大きなトラックを入れてたんだ。雨が降ったときなんかはぬかるんだところを走るだろ?それによってフジロックが始まる前から地面がボコボコになっちゃってたんだよね。そこに雨が降ると、もうどうしようもない状態になってた。アーティストが移動するための車両の出入りもなくなるし、地面の状態はかなりよくなるんじゃないかな。
─それにしたってステージの1つをなくすというのは正直インパクトがデカいです。
うん、ガッカリするお客さんもいるかもしれない。でもこれはコンパクトにするという意味じゃなくて、音がぶつかるという問題をはじめ、よい設営の仕方を考えた上でのこと。ずっと同じことばっかりやってきてそれを繰り返すんじゃなくて、一度ちょっと違う角度からものを見てみようと思った上でのことなんだよ。
出演アーティストの流れは「すっげぇ面白え」
─ほかのステージはどうでしょうか?
そこに関しては今までどおり、ホワイトステージはホワイトなりのもので、レッドマーキーはレッドマーキーなりのものでいくよ。あと、いつものことだけどグリーンステージは頭を悩ませたね。グリーンステージのヘッドライナーの前に誰を出すかとか、そういう並びを考えるのが一番大きな…楽しくもあり、悩ましいこともありっていう感じ。プロデュースする側として最初に考えるのは誰をどう出すのかっていう流れ。「ここにこれがあったらカッコいいよな」っていうね。
─グリーンステージの流れは日高さんが考えているんですか?
皆で話してるよ。例えば、FOO FIGHTERSの前に誰を出すか、とかをさ。今年は、まあだいたい検討つくと思うけどね(笑)。
─ああ、そうですね(笑)、念のため教えてください。
MOTÖRHEADだな。FOO FIGHTERSの前に彼らが出てきたらカッコいいだろうっていうね。FOO FIGHTERSとはまたひと味違うヘヴィさで、っていう流れだよね。俺、フロントマンのレミーのことはよく知ってて、20年前はよくロンドンで酒飲んだりとかもしてたんだ。もう70歳近くになるけど、いつ観ても一緒よ。黒の革ジャンで、飲むのはビールとかじゃなくてハードリカーなんだよな。ブランデーとか。
─ははは、ロックですね(笑)。
この前、腰を痛めてアメリカのライブをキャンセルしたらしいんだけど、今は全然問題ないって言ってる。とはいえやっぱり歳をとってるから、そういうこと聞くとドキッとするよ。
─ほかの日のトリ前のアクトも教えてもらえますでしょうか?
2日目のMUSEは、あれだけスケールが大きいバンドの前に、どういうのをって考えたら悩んじゃうよね。それで「ちょっとダンス系、deadmau5でいくのもアリなんじゃないかな」って。EDMというか、そういうエレクトリックなダンスって感じでいこうと。MUSEの前にバンバン踊ってもらってから、MUSEの圧倒されるようなライブパフォーマンスを体感してもらいたい。
─楽しみにしています。そして3日目は。
NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDSの場合はブリティッシュでギターバンドっていう流れを考えてRIDE。この組み合わせ、ミュージシャン本人がめちゃくちゃ喜んでるんだよな。「すっげぇ面白れぇ」って言って。ノエルもめちゃくちゃ喜んでたよ。ヘッドライナーは時として、組み合わせに対して「NO」っていうときもあるからね。自分の前に出すのは誰か判断できる権限を持ってるから。でも今回は喜んでくれたよ。たぶんバックステージは面白いことになるんじゃないかな。出る前も出たあとも。
国内アーティストの配分について
─さきほど出た年齢の話で言うと、MOTÖRHEADと同じ大きさでピックアップされているONE OK ROCKは客層が変わり、若い世代に支持されているバンドですね。そのあたりも幅広く織り交ぜた流れに?
そう、午後から夕方の部分は年齢的にも音楽的にもミックスさせる。このあたりは皆と話し合ってやってみようということになった。
─日にちは違いますが、ゲスの極み乙女。キュウソネコカミといったバンドをはじめ、例年に比べて国内のアーティストが多いラインナップになった気がします。円安の影響…?なんて想像をしていたのですがいかがでしょうか。
そんなことはないよ。例えば来年こういう感じになるかどうかは分からない。ミュージシャンにはミュージシャンのスケジュールがあるし、こちらもそのときそのときの流れっていうのがあるから。こういうのって、海外のアーティストも含めて、電話してすぐ決まるってもんじゃないんだよね。検討を重ねて、あーでもない、こーでもないってやりながらやってきているわけで。そこに円安だのオイルが安いだのなんて考えてないよ。それに日本でやっているフェスティバルだから、国内のアーティストには出てほしいっていうのがあるんだよね。だから、そういった観点からも今年はこれでやってみるという感じかな。そもそも彼らは十分に活躍してるわけだから。