「ホワイトステージ、脅威の音像の謎に迫る!」〜第2回 サウンドエンジニア・佐々木幸生さん サウンドエフェクト・中村宗一郎さん
- 2015/04/12 ● Interview
基本的にミキサーはその日のヘッドライナーのリクエスト
─ 基本的にホワイトのセッティングは決まってると思うんですが、アーティストによって変えるものもあるんですか?
佐々木 : スピーカーは基本的なものが仕込んであって、ただミキサー卓は、その日のヘッドライナーが例えばデジタルミキサーがいいって言ったら、それにするしかないわけで。
─ それは3日間通してですか?
佐々木 : それも場合によっていろいろあって、基本はアナログを使って、ヘッドライナーの時にデジタルに入れ替えることもあるし、ヘッドライナーが使うものがみんなも使えるような一般的なものだったら最初からそれにする時もありますよね。去年のOGREに関してはデジタル卓でした。アナログのほうが好きなんですけどまぁそれでも全然できます。
─ 東さんがメンテしようとしてるあのアナログ卓は相当な年季ものに見えたんですが。
佐々木 : 今はあれの後継機種でHeritage3000(MIDAS社)っていう、アナログではMIDASの最終版なんですけど、それは今でも使ってます。
─ 音響におけるデジタルの魔法は映画「ハリーポッターとアズカバンの囚人」でのコーヒースプーンを持たずに回す程度という話が、東さんの取材で出てましたけど、そういうことなんですか?
佐々木 : まぁそうですね。アナログがまずあってのデジタルなんで。デジタルって一つのツマミで違う機能がいろいろ割り当てられてるし、メーカーによっても違うんで。アナログ卓っていうのは基本、全部同じなんですよ。しかもアナログの場合、すべてのものが見えている、音の通り道が盤面に出てるから、見れば分かるんですよ。デジタル卓っていうのは見えないところにいろいろあるので、そこまで探しに行かなきゃいけない。基本、見えないところっていうのはあまり気が回らないんですよ。で、なんか変なことになった時も、そこに行くまでに時間がかかる。「あ、ここでこういうことになってたのか、失敗した!」と思うことがよくあるんで。アナログの場合、裏に何もないというか全部見えてるんで、何かおかしいと思っても原因がすぐ見える、すぐ分かるっていう違いが一番デカイですね。デジタルは便利な分……便利なのか?あれ(笑)、と思っちゃいますね。
─ (笑)。佐々木さんはほぼ全ステージでのミキシングを経験されていますがグリーンの雰囲気はホワイトとは全く違うものですか?
佐々木 : グリーンになると、ちょっと緊張感というか。キャパが全然違うし、昔は邦楽のアーティストはほとんどいなかったので若干の疎外感があるというか(笑)。
─ じゃあ緊張感の理由は…。
佐々木 : 外人の多さ。ゲストもいっぱいいるでしょ?卓の近くで見てたりするんで。
─ それに引き換え、ホワイトでは東さんが持ち込んだ冷蔵庫やホットプレートが活躍しているという(笑)。
佐々木 : なんかそういう空間(笑)。
中村 : ホワイトは佐々木さんち、みたいな感じはありますね(笑)。なんにも言わないけど、パパパッとちゃんと進むというか。他のフェスだと「え?これどうすんの?」ってこと、たまにあったりするんですけど、そういうのがないですね。
─ お互い勝手知ったる人同士で、さらに良くしていこうという?
佐々木 : うん。そうですね。若干、お祭り感もありますし。
─ ところで、もしホワイトに誰を呼んでもいいよってことになったらどんなラインナップを見たいですか?
中村 : 大体、死んでますね。
─ (笑)。
佐々木 : グリーンには出たんでしたっけ?PJハーヴェイをホワイトで見たい。あと、フェラ・クティは見たいですね。これも死んでますけど(笑)。あ、ポール・マッカートニーをフジで見たい。でも、それはグリーンで。あとレッドマーキーの特集もぜひ組んでもらって(笑)。
─ では、また新たなラインナップが決まったら、今年は誰を佐々木さんが担当してらっしゃるか気にしながら見に行きたいと思います!
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今回も科学的な解明はならず…というか、結局、ヒューマンパワーと裏方スタッフの方々のセンスに起因する部分が多いことがよーく分かりました。ホワイト好きの皆さん、ぜひラインナップと機材の組み合わせにもご注目あれ。
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取材・文:石角友香
インタビュー写真:宮腰まみこ
ライブ写真:fujirockers.org