スカ、ラテン、ファンク、ブルース! フジロックにさらなる深みを与える、アーティスト第二弾発表!!
- 2012/03/15 ● from fujirockers.org
第一弾ではヘッドライナーやホワイトのトリあたりが発表され、みなが諸手を挙げて喜ぶようなラインナップとなっていますが、第二弾では、フジロックならではのユニークな視点から選ばれたアーティストが多く、ざっと見ただけでは、「誰だろう」といった感じではないでしょうか。
しかし、実はこの第二弾で発表されるアーティストは、あまり日本に情報が入って来ていなかったり、知られていないというだけで、かなりの実力派が揃っています。世界の縮図を苗場で展開させる、フジロックならではのラインナップといってもよいでしょう。いつぞやのレーヴェンのような動きをしそうなアーティストもいますから、チェックはぬかりなく。
今回は、スカにまつわる4つの時代が、苗場で一同に会することとなります。アーネスト・ラングリンは、ジャマイカのスタジオ兼レーベル、「スタジオ・ワン」にて、スカの成立に大きく関わったレジェンドです。いうなれば、セピア色の第一世代か、それより前ということになるかもしれません。第一弾で発表されたザ・スペシャルズは70年代後半結成の第二世代、こちらはイギリスのコヴェントリーから、白人と黒人の融合を掲げ、モノクロで統一された「2トーン」という一大ムーヴメントを巻き起こしました。
そのスペシャルズですが、結成のきっかけとなったのが、ザ・トロージャンズとして参加するギャズ・メイオールの存在。話は前後しますが、元々スペシャルズやマッドネスは、彼が経営していた古着屋の客で、店では当時廃れつつあったスカがBGMとして流れていたため興味を持つようになったそうです。
ギャズは、パレス・オブ・ワンダーのはっちゃけDJとして覚えている方も多いとは思いますが、トロージャンズはアイルランドの香りをとりいれたり、”リンゴ追分”をカバーしたりと、遊びのあるバンドです。極上のメロディに乗せて、ギャズの一挙手一投足に酔いしれる……そんなご機嫌なライヴが展開されること間違いなし。こちらのデビューは、クラブ中心の活動を経た80年代後半。これが第三世代、世界中でスカが見直され、土地ごとの様々な色がついてきた時期です。
現在、スカの要素は、マヌ・チャオやそのファミリーの影響のもと、ラテンの世界で大きく花開いています。ラテン世界の3大歌姫のひとりと呼ばれるミミ・マウラ、チェ・スダカといったアーティストによって、新しい波が今まさに生まれています。ほとばしるラテンの原色が入ったということでしょう。
ミミのバックに抜擢されたのは、スカ・フレイムスのサックスとしてキャリアを重ねてきた石川道久が立ち上げた石川道久セッション。昨年のリコ・ロドリゲスのツアーでは見事なまでにその大役をつとめあげました。
一方のチェ・スダカは、マヌ・チャオのマノ・ネグラや、ミミ・マウラと共に活動していたグラミー受賞アーティスト、ロス・ファブロソス・カディラクスら、「ラテンミクスチャー」の影響を強く受けています。初期メンバーは、アルゼンチンからマヌ・チャオの誘いを受けてバルセロナへと移り住んで覚醒、今では、キューバからもたらされたルンバのリズムをフラメンコの楽器と技法で賑やかに奏でる、「ルンバ・カタラーナ」中心の音を展開しています。今回発表につき、バックの写真が変わっているかと思いますが、これは昨年に、レオとカチャファスの、フロントマン2人(ロス・エルマーノス・マカナ=「チキチキマシン猛レース」のタメゴロー&トンチキ)が来日した時の様子です。
チェ・スダカ、ミミ・マウラともにアルゼンチンとの関係が深いわけですが、もうひとつ、オンダ・ヴァガというバンドも、ブエノス・アイレスを拠点に活動しています。彼らが面白いのは、それぞれが演奏するのはもちろん、みな一緒にヴォーカルをとるということ。アコースティックセットのため、いつでも、どこでも演奏できるのも魅力です。きっと、様々なステージに顔を出してくることでしょう。
演奏の舞台は、必ずしもステージだけではありません。ダーティ・ダズン・ブラス・バンドは、「黒い音」をすべて吸収した、ニューオーリンズを代表するバンド。彼らが最も得意とする、セカンドライン(・ファンク)は、葬儀の帰り道で奏でられ、悲しみを振り切るかのように楽しく、賑やかに展開する音楽スタイルのこと。苗場でも練り歩きが起こり、ドンドンダカダカ響くドラムと、突き抜けるラッパの音と共に行進することもできるはずです。
中日のヘッドライナーかどうかは定かではありませんが、「オヤジ世代の歓喜」枠とでもいいましょうか、玄人が泣いて喜び苗場に駆けつけそうな、エルヴィン・ビショップが発表されました。ポール・バターフィールド・ブルース・バンドから、ソロにいたるまでの時代を背負ったブルース・ギタリストが苗場にやってくるのです。バディ・ガイもおりますし、ブルース好きにとっては、とんでもない夏の週末となりそうです。
フィールド・オブ・ヘヴンに生息するフジロッカーにとってたまらないブッキングも。デッド・ファミリーの一員であり、故ジェリー・ガルシアの意思を受け継ぐギタリスト、スティーブ・キモックが決定。そして、第一弾のアット・ザ・ドライヴ・インと同じく、再結成のバンドが一組。90年代に活躍したスウェーデンのポストハードコア・バンド、リフューズドが、14年のブランクを経て初来日を果たします。
他には、エレクトロニカ・ポップ・ナンバー “ ファイアー・フライ“で全米No.1を獲得したアウル・シティー、モリッシーを彷彿とさせるボーカルが話題のザ・ハートブレイクス、バトルズやグリズリー・ベアに続くWARPレーベルの刺客マイ・ベスト・フィーンド、ターンテーブルではなくパッドを駆使し、ポスト・ダブステップを構築するエイラブ・ミュージック、イーライ・ウォークスも合わせて決定しています。
さて、いかがだったでしょうか。並んだ名前に派手さはありませんが、好き者が集まる「フジロックならでは」のブッキングとなっているのではないかと思います。
春が近づく第二弾に、他にはないフジの魅力が詰まっているのは、今に始まったことではありません。次回はおそらく春真っ盛り、気持ちも温かくして、お待ちください。
今回発表分は、以下の14組となります。
ARAAB MUZIK / CHE SUDAKA / THE DIRTY DOZEN BRASS BAND / eli walks / ELVIN BISHOP / ERNEST RANGLIN / THE HEARTBREAKES / MIMI MAURA feat. 石川道久セッション / MY BEST FIEND / ONDA VAGA / OWL CITY / REFUSED / STEVE KIMOCK / THE TROJANS
and more artists to be announced アルファベット順