フジ初出演!WUJA BIN BIN(ウジャビンビン) インタビュー
- 2014/07/07 ● Interview
今年ジプシー・アヴァロンにてフジロック初参加を果たす大所帯バンド、WUJA BIN BIN(ウジャビンビン)。ギターレスで歌詞も無い音楽でありながら、そのあふれる遊び心と音楽愛でボーダーレスに音楽ファンを魅了しています。そんな彼らの中心メンバーであるケイタイモ(ベース)、中村圭作(キーボード)、ゴセッキー(サックス)にインタビューしました。海外のフェスから、フジロックの思い出、4月にリリースした新作の秘話まで、他では聞けない話盛りだくさんでお送りします!
それぞれのフジロック経験値
—今回WUJA BIN BINとしては初めてのフジロックですよね。
ケイタイモ:そうなんです。
—これまで別バンドとしてはフジロックに参加していますよね?
ケイタイモ:うん。レッドマーキーかな。ビートクルセイダーズの時はあそこでやったな。
—その時は初フジロックでした?
ケイタイモ:お客さんとしては行っていたけどね。第1回に行っている。
一同:あの伝説の!!
ケイタイモ:本当に死ぬかと思った(笑)。うちの妹も行っていたんだけど、うちの妹の同級生がプレスルームにいて、俺らそこに忍び込んで(笑)。ストーブに当たっていたら、「あれお前らなんだ!?」ってバレて(笑)。出てってくれって言われちゃったけどね。
—ゴセッキーさんはお客として行ったことは?
ゴセッキー:客として行ったことはないけど、 10回近く出ているかも。
ケイタイモ:そういえば俺、スペースシャワーTVの仕事で行ったな。インタビューとかしに。
—どんなアーティストにインタビューしたんですか?
ケイタイモ:えーとね、オーシャン・カラー・シーン!
—その時他のアーティストのライブ見ました?
ケイタイモ:キュアーを見たかな。2005年かな?
—ライブがすごく長かった時ですよね。
ケイタイモ:そう!俺らはやっぱり80年代のバンドにすごく思い入れがあるから、最後まで見ていたんだけど、キュアーが時系列を追って演奏するのね。で、80年代に「キス・ミー、キス・ミー、キス・ミー」ってアルバムが出た時、すごく暗くなるの(笑)。ダラダラすごく暗い曲やりはじめたら、みんないなくなっちゃってさ(笑)。
—結構行く度に色んなアーティストのライブ見ているんですね。
ケイタイモ:むっちゃ見ますね。
ゴセッキー:へとへとになるよね。ドロドロになるしね。
—思い出に残っているライブはありますか?
ゴセッキー:ビョークとマグマ!
ケイタイモ:俺、上原ひろみかな。
中村:俺も見た。オレンジ・コートで。雨降っていたな。フュージョンだったね。ぬかるみにはまりながら、ダッシュして行った(笑)。
ゴセッキー:珍しいね!(笑)圭作さんが走るなんて!
—圭作さんは記憶に残っているライブありますか?
中村:記憶があまりないですね(笑)。
—toeの時にグリーンに出ていますよね。
中村:うん。その前後は見るんだけど、何かっていったら、ピラミッド・ガーデンでずっと飲んでいますね。人混みがちょっと苦手なんですよ。
ケイタイモ:ゴセッキーも圭作もライブ、どっちかっていったら、おまけだもんな。
中村:虫が好きじゃなくてさ、しかもこの間ヤマダニみたいのに刺されちゃって。
一同:それは痛いですね!
中村:山をあまり知らなくて、苗場ならいいだろうと思って、サンダルと短パンで行って、思い切り刺されて。もう足が痛過ぎて。
ケイタイモ:山なめたね。
中村:山神さまのお叱りを受けたね(笑)。だから、ピラミッド・ガーデンにずっといて、優しい音楽に癒してもらって。メインの方はそんなに見てないね。井上陽水さんとか、たまたま前後にプレイしていた人を見たかな。
—今年見たいアーティストはいますか?
中村:セイント・ヴィンセント。
ゴセッキー:俺、ヒカシューが見たい。
ケイタイモ:俺、なにげにベイスメント・ジャックスが見たい。
イラクのバビロン・フェスティバルでの強烈な体験
—海外でフェスに出たことはありますか?
ゴセッキー:WUJA BIN BINでは無いよね。
ケイタイモ:前、モンハンは、イラクのフェスに出たことあります。
中村:この話だけで3ページくらい行くよ(笑)。
ケイタイモ:モンハンで2回目にアメリカ行った頃、赤坂の飲み屋で働いていたんだよね。当時「ここがヘンだよ日本人!」って番組があって、あそこに出ていたハッサンというイラク人もその飲み屋で働いていて、イラク大使館でも働いていて。 「実はアメリカ行くんだよね」って言ったら、「アメリカ行くんだったら、イラクにも来いよ」って(笑)。そんな経験滅多にできるもんじゃないから、行こうって話になって。まずイラク大使館に行ってビザをもらって、その足で外務省に行ったら、とりあえず行くなって言われて(笑)。
—危なそうですしね。
ケイタイモ:でも行きますけどねって言ったら、「我々は行くなと言いました。この先何かあっても自己責任でお願いします」って言われたね。とりあえずモスクワ経由でヨルダンのアンマンまで行ったな。 それからバスでアンマンから20時間くらいかけて、砂漠を走って、西側から国境越えたんだよね。
ゴセッキー:まだイラク着いてないね(笑)。
ケイタイモ:当時みんなまだそんなに携帯電話とか持ってなかったんだけど、持っている人は全部国境で没収されて。それでまた砂漠の中を走ってくんだけど、ものすごい竜巻とかそこら中に見えるわけ。しかも砂漠って昼間は極暑でさ、夜は死ぬほど寒いって聞くけど、本当にそうで、だから冬服も持ってかなきゃいけなくて。で、死ぬ思いでイラク着いたんだけど、着いた時に安堵しすぎて、俺バスの中にベース置きっぱなしにしちゃって(笑)。
—それどうなったんですか!?
ケイタイモ:バスが発車した時にベースが無いってことに気づいて、思い切り走ったんだけど、間に合うわけがなくて(笑)。もうだめだ〜って、バスももう小さくなっていた時に、Uターンして戻ってきてさ。
—おー!
ケイタイモ:どうやらそこでUターンして来た道を戻るらしくて(笑)。それでベースを取り戻したっていう。それから何日間かバグダッドに滞在したんだけど、当時イラク情勢ってニュース番組からしか入ってこないでしょ? そうすると、独裁政権によって民衆が虐げられているイメージがあったんだけど、全然そんなこと無くて.街中すごく明るくて。 アメリカ憎いって言うけれど、マライア・キャリーのテープ売っていたり、NBAって書いてあるタンクトップ着ている奴がいたりとか、普通に明るい国民性だから、音楽があるとすぐ踊り出すし。だからライブも盛り上がったよ。
—どんな場所でやったんですか?
ケイタイモ: 遺跡跡みたいなところがちょっと舗装されていて、レンガでできた広場みたいなところにあるステージ。椅子がセッティングされていて、一番前は財閥の偉い家族とかが陣取って座るんだよね。でもPAがね、生きている回線が少な過ぎて(笑)。 鍵盤もベースも音出ないから、とりあえずドラムとパーカッションに頑張ってもらって、BAさんと俺で踊るっていう(笑)。
ゴセッキー:それウケた?
ケイタイモ:すごいウケた(笑)。で、あっちの新聞に載ったんだよ。「日本から来たモンハン、大いに踊る」みたいな(笑)。
—他はどんなアーティストが出ていたんですか?
ケイタイモ:文化交流的な意味合いのフェスだったから、東欧とか東南アジアとかが多かったね。西側諸国とかアメリカとかじゃなくて。アルメニアとアゼルバイジャンって国としてはすごく仲が悪いんだけど、フェスの前日かなにかにホテルのロビーで集まってパーティーみたいな感じになって、アゼルバイジャンの奴らが、アルメニア人とは仲良くやれない、みたいな感じだったんだけど、音楽をそこでやっているうちに、結局みんなで踊るみたいな感じになって。
—素敵ですね。
ケイタイモ:素敵でしょ? 音楽は国境を越えた瞬間を目の当たりにしたよ。
フジロックだから行ってみたい
中村:海外は楽しいよね。もちろん日本も楽しいけど、海外はやっぱり独特の雰囲気があるからね。
—海外と日本の観客ってやっぱり違います?
ケイタイモ:俺ね、絶対的に違うと思うのは、アメリカ行った時に思ったんだけど、口コミがすごい。
中村:実際CDとか出てないのに来てくれるわけだしね。
ケイタイモ:そう。だからモンハンが来るってなったら、なんかジャパンから変なのが来るぞってみたいな感じで、2回目行った時は、客数倍だったからね、どこの街も。
中村:日本って、ライブハウスでこのバンドがやるから見に行こう、みたいな感じだけど、向こうはそんなにきっちりしてなくて、ただ単に飲みに行こうかぐらいの感じなんだよね。まあ全部海外がそうかは分からないけど、海外が日本と大きく違うところは色んな目的で客が来ているってところかな。もちろんライブが好きで見に来ている人もいれば、バーの常連で来ているって人もいる。各地域で、このライブハウスだから行ってみよう、とか、このバーでこの人が企画しているから行ってみようとか、そういう横のつながりもあるし、場所のパワーもあるし。そういうのを考えるとフジロックは、フジロックだから行ってみようっていうのがあるよね。他のフェスってこのメインアクトが見たいから行く、みたいのがあるけど、フジロックってこのために1年がんばって3日間来るっていう一大イベントにしても応えてくれるようなフェスだよね。そんなフェスはやっぱ日本広し、といえどもなかなか無いのかな、と思いますね。
ゴセッキー:さすが!(笑)模範解答だね。
ケイタイモ:今のやつ、俺が言ったことにしといてくれます?(笑)
中村:やっぱフジロックって、他のフェスとは一線を画する、そういう敷居があるよね。
ケイタイモ:確かに。
中村:そんなところに我々が出て大丈夫なのかと(笑)。
—まさにフジロック向きな感じがします。
ケイタイモ:オーストラリアにあるビッグデイ・アウトっていう移動型のフェスに取材で行ったことがあって、 そのフェスの主催者にインタビューしたら、その人フジロック来たんだって。で、フジロックに出ているアーティストにオファーしているって言っていた。
中村:フジロックで日本来たから、アジアの他の国でも呼べるみたいな。
ゴセッキー:センスのいいセレクトショップみたいだね。
溺れたエビの検視報告書とは仲いいよね。
—今年、フジロックに溺れたエビの検視報告書も出ますね。
中村:そう。もう一緒に何回も溺れていますね。
—よく一緒にライブやっていますよね。
ケイタイモ:10年くらい前から一緒にやっているね。
中村:そうそう。WUJA BIN BINは最近、対バンは溺れたエビの検視報告書としかやってないよね(笑)。
—仲良しですね(笑)。
中村:仲良しなんだけど、お面かぶっているから、誰が誰だか全然分からない(笑)。
—メンバーの顔知らないっていうのは意外ですね(笑)。
中村:リーダー以外はよく分からないよね。みんないい人そうだけどね 。ちなみに、WUJA BIN BINの湯浅ちゃんも海老の一味です。
—そうなんですね!
中村:湯浅ちゃんはもう海老かぶっているから、外したらって言ってもなかなか外さないんだよね(笑)。
ゴセッキー:湯浅さん、パンチありすぎるからなあ。
中村:普段の顔がね、ちょっと海老に近いっていうか(笑)。赤らんでいて、キュートなの。海老がボイルされたみたいな(笑)。
—ブラックジョークですね!(笑)
ケイタイモ:あれ、まだ海老つけている?みたいな(笑)。
中村:ブラックジョークっていうか、ブラックタイガー的なね。
一同:うまい!(笑)
中村:これもbyケイタイモでいいですから(笑)。
ちょっとケニーGディスっているよね(笑)。
—4月に新譜が出ましたね。
ケイタイモ:そうなんです。
—「INAKA JAZZ」ってタイトルですけど、どんなコンセプトがあったんですか?
ケイタイモ: トロンボーンの湯浅ちゃんが成田出身でね。成田って田舎でしょ? コンセプトっていうほどのたいそうな話じゃないんだけど、湯浅ちゃんがことあるごとに、「アーバンなフレーズ」って言うんだよね。
ゴセッキー:「私だって本当はアーバンなんです」みたいなね。
ケイタイモ:そうそう、「アーバンってモテるんです」みたいなことを言っていて、「なんじゃい、それは?」って思っていて(笑)。曲を作る時はPCのデータで作って、ゴセッキーの家でデータを整理して、ゴセッキーに譜面にしてもらうっていう作業があるんだけど、その作業の時に1回湯浅ちゃんが来たことがあって、休憩時間にケニーGのVHSがあったからそれを見ようってなったんだよ。それがもう本当に笑っちゃうの(笑)。もちろん上手だし、第一人者っていうのは分かるんだけど、曲が終わった後にメンバー同士でハイタッチとかするの。「俺たちサイコー!」みたいな感じで、俺それ見て「ぷっ」ってなっちゃって(笑)。そしたらパッとケニーGのインタビュー映像に変わって、それが自家用ヨットで揺られながらの映像で。
ゴセッキー:白いタンクトップでね(笑)。
ケイタイモ:「あれ待てよ、湯浅ちゃんが言っているアーバンってこれかな?」って思って、だとしたら本当に嫌だなと思ってさ(笑)。それに対する「INAKA」みたいな。
—なるほど!(笑)
中村:要はちょっとケニーGをディスっているよね(笑)。まあもしケニーGと対バンってなったら、出るけど(笑)。
ゴセッキー:ちょっと面白いもんね。こっちから誘ったら、もしかしたら出てくれるかな?
中村:でもフジロックに呼ばれないってことは、フジロックがもうケニーGに対して、ちょっと違うって思っているってことじゃない?(笑)サマソニなら分かるけど。
ゴセッキー:いやサマソニはもっとびっくりでしょ!(笑)
中村:ケニーGとラッセンが一緒に来るとか。
一同:爆笑
—最後にフジロックへの意気込みやメッセージがあれば聞かせてください。
ケイタイモ:ファンになってください(笑)。
中村:こんだけたくさんのアーティストが出ている中で、WUJA BIN BINを見に来る人に会いたいですね。
ケイタイモ:確かに、選んで来るんだもんね。
中村:東京でも見ようと思えば見られるのに、高いお金払ってフェス来て、見に来てもらえるんだったら、こちらもなんとかケニーG以上の演奏をしないとね(笑)。
ケイタイモ:頑張ります(笑)。
■WUJA BIN BIN
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文:パウラ
写真:小西泰央