• ステージ割り、スペシャルゲストを加えた一挙66組が新たに決定!


    出演アーティストの全貌が見えてくるまで、あと少しとなりました。今週いっぱいは現地の動きに頭を悩ますこととなりそうな、一挙66アーティストの発表です。「発表されて嬉しい」というプラン重視の人、はたまた、「小出しで次の発表までワクワクしたい」という人など、今回の発表に関してはいろいろな意見があることでしょう。どちらにせよ、夏はすぐそこまで迫っています。

    まずはみなさんお待ちかねのグリーン・ステージから。初日には去年より登場したルート17ロックンロール・オーケストラと、佐野元春&ザ・ホーボー・キング・バンド、電気グルーヴなど邦楽勢が3組が決定しています。佐野元春は30年前に発表された、ニューウェーヴやファンク、ヒップホップを取り込んだ『VISITORS』再現ライヴとなります。トリはフランツ・フェルディナンド。ヘッドライナーを彼らがつとめるのはこれで3回目となります。

    2日目には、ザ・クロマニヨンズやウルフルズら熱さあふれる邦楽勢と、トラヴィス、デーモン・アルバーンのUK勢、そして待望のアーケイド・ファイアが決定しています。3日目は、去年の上半期にはすでに今年のフジロック出演が内定していたといわれるザ・ストライプスからザ・ルースターズへ、パブロック&ブルーズを芯としたロックンロールの流れが待ち構えています。さらにフレーミング・リップスからのジャック・ジョンソンを経て、「スペシャル・ゲスト」へと繋がっていきます。

    pogues_kitamura

    フィエスタで終わる今年のフジロック

    最終日グリーン・ステージの「スペシャル・ゲスト」枠には、アイリッシュ×パンクのザ・ポーグスが決定しました。酔いどれ天使と評されるヴォーカル、シェイン・マガウアンを筆頭に、すこぶる愉快な人たちが、ご機嫌な調子で踊れる曲を演奏することでしょう。そしてなにより、シェインの独特でかわいらしい振る舞いにもご注目。思わず笑みがこぼれてくるはずです。

    そんなザ・ポーグスですが、昨年の秋にギタリストのフィリップ・シェヴロン(以下、フィル)が他界しました。バンドにとって重要なレパートリーのひとつに”サウザンド・アー・セイリング”があり、これはフィルの手により創られた曲です。音源に吹き込まれているヴォーカルこそシェインですが、亡くなる直前のライヴにおいてはフィル自身が歌っていました。現在は再びシェインが歌い、亡きフィルに捧げる曲となっています。

    多種多様な楽器の音に揉まれてフジロックを終えるとなると、ひさしぶりに「クロージング・アクト」時代の雰囲気が蘇りそうです。フィルとアイルランドに想いを馳せての大騒ぎで、苗場の祭りは派手に打ちあがるのではないでしょうか。すべてのビア樽を空にしてやりましょう。

    色がないのがホワイトの「色」

    ホワイト・ステージは、大きなステージに映えるアーティストが揃っており、ステージそのものに色というものがありません。MIYAVIの弾くとも叩くとも引っかくとも言い切れない唯一無二のギタープレイで幕が開き、ディスクロージャーからベースメント・ジャックスへと至るダンス・ミュージックのコンボが初日に用意されています。2日目の夜はビッフィ・クライロからのマニック・ストリート・プリーチャーズとなっており、グリーンステージを重ねて見てみれば…インディ—ロック好きにはなんとも贅沢な悩みを抱える時間帯となるやもしれません。

    そして3日目、前回は場外のクリスタル・パレスだったユア・ソング・イズ・グッドが場内への返り咲きを果たし、トリはグラミー受賞のヒップホップデュオ、アウトキャストとなっています。過去にホワイトのトリで出演したヒップホップ勢として、パブリック・エネミーとジュラシック5がいますが、どちらもかなりの盛り上がりだったと記憶しています。今年のアウトキャストにも期待が持てそうですね。

    三番手ステージという位置づけに、もはや意味なし?

    去年の場外ルーキーステージから場内のレッド・マーキーに歩を進めたのが、溺れたエビの検死報告書でした。円谷作品から抜け出てきたかのようなエビの群れは、その奇抜な姿だけでなく、テクニックに裏打ちされた変態ビートを叩きだして話題をさらいました。甲殻類たちの出番はレッドが巨大なダンスホールと化す深夜ですが、ブラックライトに反応したり要所で目が光ったりするので、意外とクラブに通じているのかもしれません。

    話題沸騰のテンプルズやインスペクター・クルーゾ、ヨーコ・オノ・プラスティック・バンドと、他のステージが予想されたこれらのアクト。それぞれサイケ、変態デュオ、アート出身ということで、レッドならではの映像と絡めた展開があるのかもしれません。グラミー賞を総なめしたロードも驚くことにレッド。彼女に関してはその話題性から入場規制となりそうな予感がします。タイムテーブルを念入りに確認し、余裕を持った行動をするべきかもしれません。

    苗場でしか見られないバンドたち

    ルート17ロックンロール・オーケストラ、ビッグ・ウィリー・バーレスク・フジ・レビュー、そして苗場音楽突撃隊、これらはそれぞれグリーン・ステージ、カフェ・ド・パリ、苗場食堂を象徴するバンドとして、苗場で欠かすことのできない存在となっています。

    ルート17ロックンロール・オーケストラは、「田舎へ行こう」をSE代わりに、フジロックという「世間を忘れる三が日」の幕開けを告げるバンド。かつての忌野清志郎が受け持っていた、大所帯でドカドカうるさいロックンロールが盛大に鳴り響きます。それぞれの持ち曲とカバー曲が「パンキーなロックで、ファンキーに」アレンジされれば、こちらの寝ぼけまなこはどこかへ吹き飛ぶこととなるはずです。

    ビッグ・ウィリー・バーレスク・フジ・レビューは、ストリップと音楽の絡みで魅せる大人のバンドです。元々はパレス・オブ・ワンダーの深夜帯に登場していたのですが、「ムーラン・ルージュ」のイメージと合致したことで、カフェ・ド・パリの「ハコバン」に。拠点を得たこのバンドは、かつて夜限定の活動だったのですが、昼にも遠慮なく色気を振りまくことができるようになりました。彼らは全日出演となっています。

    苗場音楽突撃隊も、苗場食堂において全日出演します。ギターの松田文と、グリーンで復活するザ・ルースターズのオリジナルメンバー(ベースの井上富雄、ドラムの池畑潤二)からなる3人組…となっていますが、現場の勢い、酒、偶然といった横の繋がりから生まれるゲストの乱入がキモとなります。予測不可能のセッション、カバー、オリジナル曲と、邦楽ロックンロールが気になる方は、要チェックです。見逃すと後で後悔することにもなりかねません。

    全日出演のアーティストといえば…?

    全日出演といえば、「にぎやかし」を呼ぶレーベル「アンクルオーウェン」の存在も忘れてはなりません。今年の秘蔵っ子はバーバレラス・バン・バン。本国ではジプシーの匂いを放つライヴバンドとして精力的に活動しています。現時点で、木道亭、クリスタル・パレス、苗場食堂、ジプシー・アヴァロン、カフェ・ド・パリが決定していますが、他にもブース出演がちらほらあるとのこと。本人たちとレーベルは、苗場でのCD売り上げ更新を虎視眈々と狙っています。

    バンドではありませんが、サンディーもピラミッドガーデンの守り主として全日出演します。ピラミッドは、柔らかな風に吹かれてまったりできる特別な場所となりつつありますし、予告なしで著名なアクトが決まることがありますから、アンテナは立てておくべきかもしれません。

    「奥地」にはまると抜けられない

    マジェスティック・サーカス、再始動を果たしたダチャンボ、モー、そしてなによりこれら全てのバンドに影響を与えたと言っても過言ではないグレイトフル・デッドのベーシスト、フィル・レッシュらがフィールド・オブ・ヘヴンに決定。ROVOにシステム7の組み合わせも話題を呼びそうですが、なんといっても最終日でしょう。スカのオリジネーターであり、その存在が「スカそのもの」と言えるザ・スカタライツに、彼らが認めたスカ・フレイムスがフィールド・オブ・ヘヴンにそろい踏みします。かつてここにリコ・ロドリゲスとデタミネーションズが加わり「スカ祭り」となりましたが、今年のヘヴンは限りなく当時の雰囲気に近いものとなりそうです。

    オレンジ・コートには、ホーンセクションを入れたパンクバンドのタルコ(イタリア)、ロマ音楽の代表的バンド、ファンファーレ・チォカリーア(ルーマニア)、地震の報も記憶に新しいナラシラト(ソロモン諸島)に、ジャングル・バイ・ナイト(オランダ)と国際色豊かな面々となっています。初日のラストには「大友良英スペシャルビッグバンド・フェスティバル FUKUSHIMA!オールスターズ大盆踊り大会」が決定。これは果たして、福島土着の民謡を交えた盆踊りとなるのか? なんにせよ、サプライズがありそうな匂いがしますね。

    また、吉田美奈子に憂歌団、加山雄三が国内の実力派ミュージシャンと結成したザ・キング・オールスターズら昭和のベテラン勢が名を連ねつつも、マーク・リーボウ率いるヤング・フィラデルフィアンズにヒカシューといった、ライヴそのものが実験のようなバンドまで違和感なく混在しています。そんなさまざまな個性ばかりが集まったオレンジの最後を飾るのは、いつの年も「王道」であったりします。シル・ジョンスン、ボビー・ラッシュ、ラヴェル・ホワイトらR&Bの巨人たちが締めくくるという事実は、黒人音楽ファンにとって夢の時間となることでしょう。

    小規模ステージでは新たな発見があるかも?

    エセタイマーズは、全体からたちのぼるイモっぽさが特徴です。アマチュアを自称していますから、ステージでなにを言い出すのか知れたものではありません。冷やかしで出ている可能性も捨てきれませんが、夏の暑さと相まって強烈なブルースを喰らうことがあるとかないとか。とにもかくにも謎につつまれたバンドです。

    苗場食堂に出演するリディメイツ、彼らは元々はスカバンドでしたが、いつしかラテンにアフロと雑多な音を生みだすこととなり、去年の朝霧出演を経ていよいよフジロックに。アヴァロンに出演のカセットコンロスはいなたいカリプソ、オレンジのトリをつとめる大友良英の別ユニットもこれまたアヴァロンに名を連ねているので、小規模のステージだからといって侮ることはできません。

    加藤登紀子とタッグを組むのはソウルを歌うガールズバンド、ズクナシ。小西英理ピアノトリオはブルーノート横浜で単独ライヴを行うほどで、両者共に苗場食堂の出演です。ハスキーでありながら透き通った声色で人気を集める阿部芙蓉美は木道亭、バリトンサックスを力強く吹き鳴らす浦朋恵はカフェ・ド・パリと、小さなステージはさまざまな女性の実力派が揃っているように思われます。

    パレス・オブ・ワンダーは香ばしい

    クリスタル・パレスではバーバレラス・バン・バンに、ナラシラト、ジャングル・バイ・ナイト、ウィルコ・ジョンソンの盟友ノーマン・ワット=ロイなど、通好みのアーティストが顔を揃えています。日本勢ではジェントル・アイとジャリブ・アフロビート・アーケストラが抜擢されました。ロカビリーやバルカン、ラテン、スカ、アフロビートなどなど、オレンジ以上にさまざまな世界の音が放たれてゆくことでしょう。

    パレスの重要な要素として、「出しもの」があります。ルチャ・ヴァヴームという名前に、プロレスファンはピクリと反応するはず。ルチャはメキシコの空中技をメインとしたプロレスで、ルチャ・ヴァヴームはそこにエンターテイメントの要素を盛り込んだ愉快なものです。

    今までのパレスのエンターテインメントに物騒な面があったのは否めませんが、プロレスとなれば「ハラハラはちょっと…」という方も観られるはず。宿への帰りしなにでも、ちょいと覗いてみてください。

    7/25 fri
    ROUTE 17 Rock’n’ Roll ORCHESTRA (feat. 仲井戸”CHABO”麗市、甲本ヒロト、トータス松本、TOSHI-LOW) / DISCLOSURE / The Birthday / H ZETTRIO / BRYAN BURTON-LEWIS / WUJA BIN BIN / カセットコンロス / 大森靖子 / エセタイマーズ / 【 津田大介・加藤登紀子・後藤正文・TOSHI-LOW 】 / CARIBBEAN DANDY / YOSSY / DJ GO From Tokyo / TXAKO (JAPONICUS) / LUCHA VAVOOM / 加藤登紀子&ズクナシ / ERI KONISHI PIANO TRIO / 苗場音楽突撃隊(池畑潤二/d、松田文/g、井上富雄/b) / 阿部芙蓉美 / GOMA / GOCOO + GoRo / SANDII / 光風&GREEN MASSIVE / BIG WILLIE’S BURLESQUE FUJI REVUE

    7/26 sat
    THE STARBEMS / GRANT NICHOLAS / MAJESTIC CIRCUS / Muff / mabrock / 山本精一+勝井祐二+沼澤尚+内田直之 / 大友良英スペシャルバンド / 【 津田大介・大友良英 】 / Upendra and friends plus Mr.Sunil and Babu / GAZ MAYALL / GENTLE I / NAOKI IENAGA / NICK MANASSEH / JARIBU AFROBEAT ARKESTRA / DJ BABY SOUL / LUCHA VAVOOM / 苗場音楽突撃隊(池畑潤二/d、松田文/g、井上富雄/b) / せいかつサーカスTRIO&YAOAO / 片想い / Steve Hillage (System 7) and 勝井祐二 (ROVO) / SANDII / BIG WILLIE’S BURLESQUE FUJI REVUE / 浦朋恵

    7/27 sun
    THE POGUES / THE MAN / OK GO / OWEN PALLETT / GAZ MAYALL / bonobos / THE LIPSMAX / 久和田佳代 / バセルバジョン / 【 津田大介・田原総一郎 】 / ケロポンズ for Kids / SHUYA OKINO (KYOTO JAZZ MASSIVE) / DJ HIROKO OTSUKA / BIG WILLIE’S BURLESQUE FUJI REVUE / RYUHEI THE MAN (universounds) / HIRO & TAKU SALSA DANCE TEAM WITH JVC FORCE TYO / DJ JIM / LUCHA VAVOOM / blues.the-butcher-590213 / RIDDIMATES / ロックンタスケロール&ザ・キャプテンスウィング / JINNY OOPS / 苗場音楽突撃隊(池畑潤二/d、松田文/g、井上富雄/b) / UPENDRA AND FRIENDS / 猪股 and the Guitar (Dr.DOWNER) / Blueside of lonesome with Ozaki Brothers / SUNIL AND BABU / SANDII / BIG WILLIE’S BURLESQUE FUJI REVUE

    ※7/27(日)に出演が予定されていたロンドン・グラマーはキャンセルとなりました。

    アーティストの詳細はこちらでご確認ください。

    Photo by Yusuke Kitamura

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