• GUNMA ROCK FESTIVAL企画運営、Hoth!COLOSSEUM小池秀明氏インタビュー前編


    フジロックをきっかけに飲んで喋ろうよ、という飲み企画「フジロッカーズバー」を我々フジロッカーズオルグは東京や大阪を中心に超不定期で開催しています。今年の1月、群馬県高崎のブエナビスタカフェというバーで開催したこの会に、群馬のフェスを主催(企画・運営)しているという方が来てくれました。その群馬のフェスというのが、昨年グリーンドーム前橋で産声を上げたGUNMA ROCK FESTIVAL(以下、GRF)のこと。各地で生まれては消えてゆき、開催もままならず終ってしまうほど音楽フェスが乱立し、淘汰されている昨今、今年から継続を決めたという力強いフェス精神は一体どんなところから沸き起こっているのでしょう。GRF企画・運営を担当し、はたまた高崎の屋台村「中山道恋文横町」の運営もしている小池秀明氏にインタビューをしました。

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    ーーまずは自己紹介をお願いします

    GRFでは、主催者側の中のHoth!COLOSSEUMというチームの一員として企画・運営を担当しています。本業は家業の小さな燃料販売店を経営しています。

    ーー高崎に初めて降りたのが1月のフジロッカーズバーで、新潟には祖母の家があるので新幹線では何度か通過してはいたんですけど、ここに降りたことがなかったんですよ。

    通過点。ハハハハ(笑)

    ーー高崎に来たのが今回で3回目なんですが、駅降りたらラジオのブースを見つけて、それからライブを駅前でやってたりと、高崎って活気のある街なのでは?という印象を受けました。

    いや、そんなに活気があるって地元の人間は思っていない。どこの街もそうだけど全盛期って平日でも夕方の街に学生とかサラリーマンとかでその辺の道なんてごった返していたし、みんな好き勝手やってた。別にわざわざ盛り上げようと思わなくても、勝手にやれてた。一番ダメな時期ってやる人が減って来ている中で、駅や施設を管理する人達ににやめなさいって言われて止められちゃったりとか、駅前とかで鳴りものがない時期って結構あった。

    高校卒業して、県外で仕事して2000年に群馬に戻って来たのが13年前。もうほんとびっくりしたのが人がいない。もちろんビブレとか、ああいう中にはそこそこいるんだけど、歩いてないの人が。ほんとびっくりして。

    ーーやはり子供のころの記憶から減ってるって感覚はあるんですか?

    減った。
    俺らって第二次ベビーブームの3つ下ていう世代で、常にその3コ上の人たちに憧れるような存在の人たちがすげーいた時代なのね。いまのちょうど40歳の人たちが、第二次ベビーブームの人たちで、必然的に意識してるものは常に何か物量的に多くて。逆に言ったらそんだけの子供を育てられるいい時代の親たちがいて、街も元気だった。

    この道なんか(※取材したクルカフェが面した通り)強面のパイセン達の縄張りみたいになってて、知らずに入り込んだらぶっとばされちゃうような道で、いわゆる老舗の古着屋さんとか食堂とかそういうところはある種、顔が、面が割れてる奴じゃないとびびっていけないようなとこだってあった。

    ーーそれってある意味、街として健全というか。

    そうそうそう。ちゃんと存在感とか、普段からいる人たちがちゃんと形を作ってたんだよね。群馬に戻ったばかりの頃、俺も正直あきらめかけてたというか期待もしてなかった。仕事だけして面倒くさい付き合いとかは一切断ったり、気の合う友達とか家族とか、同じ趣味の人たちとだけ遊んでりゃいいやって本当に思ってた。

    不況といわれてた2005年くらいの時なんてみんなもうあきらめちゃってて、会社が悪いとか社会が悪いとか時代が悪いとかね。

    だけど仲間であきらめてない人がいたんだよね。「なんとかしようぜ」って。で、俺も屋台をやることに(これが恋文横町です)。あそこは2009年にオープンだけど2006年くらいから企画調整を始めてて、(GRFの前身イベント)コロシアムも2008年に初開催されたけど2006年の冬くらいから企画を始めてて。いろんなことやれる人がいるから同時に進めて、それぞれのことをよくしていって、理解さえしていれば、形になった時にリンクできるんじゃないかって思っていて。

    2009年コロシアム@Club FLEEZ(Smashing Magより)

    2009年コロシアム@Club FLEEZ(音楽サイトSmashing Magより)

    いわゆる音楽、ロックってコアな部分と、街。平たく言えば活性化だったり、賑わえばいいんじゃなくて賑わってる街で仕事してる人がちゃんと暮らせていけて、子供を育てたりとかね、いろんな趣味をできることを同時に目指しながらここまできて、みんなやってることは全然違う畑の人たちなんだけど、接点が出来てきて、コロシアムも初回のときはライブウスの中の、昔カレー屋だった場所を使ったりしたなぁ。

    ーーカレー屋ですか?

    ブエナビスタカフェのまこっさんに、元カレー屋(当時楽器屋?)の場所で、フードとドリンクの店をやってもらったり。(※ブエナはフジロッカーズバー高崎編をやったバーです。)

    ーー昨年からの開催ということですが、お客さんはやはり群馬の方が中心なんですか?

    だいたい6割が群馬の人。

    それってほんとに一番望んでいたことっていうか、変な言い方するとメンツフェスになっちゃったらさ、群馬でロックフェスだっていってるのに、現場では群馬の人が2割とか3割しかいないのって、来た人が群馬を感じることなんて出来ないでしょ。例えばだけど、旅したら地元の人の人気スポットに行ってみたいって思うじゃない。超ローカルっぽいところに行ってみたら、全部県外のお客さんで、地元の話が聞けないとか、なんかつまんないじゃん。群馬でやる現場は群馬の人たちである程度占めてて欲しいと思う。

    そうすることで県外から来た人に対して、群馬の良さを伝えることも出来るし、端から見た群馬県民のかたまりが、マナーが良いとか悪いとかそういうことも多分わかっちゃうし、よくしていかなきゃって気持ちに繋がったら。と。
    人間ってホーム・アンド・アウェイで自分のホームだとおもてなしをしようと思うでしょ。そういう環境を作りたい。

    ーーGRFは群馬の人をまずは集めたいっていうのがあるんですね。

    いろんなことを企画する時に考える。大事なことって何だろうって?よく企業も行政も「発信力、発信力!」っていうけど、発信力って何に下支えされてるかっていったら受信力なんだと思う。

    だからまず自分たちを知るってことが一番大事。上っ面で群馬ってだいたいこういうもんだよねって、雑誌とか新聞に書いてあるような「知名度最下位」とか並べていったら、発信力が強ければ強いほど嘘が伝わっちゃう。

    でもリアルは違うわけで。現場は凄い熱かったり、数百人、数十人かもしれないけど、地元にこだわってる人がいるってことをどうやったら伝えられるんだろうって。それは自分のひとり隣の人にちゃんと伝えられるかっていう作業だって思ってる。

    コロシアムって言うイベントも、一番最初のチケットは店頭でしか売らなかったです。とにかくそれをやる現場にまず1回は来てくれっていう。(※コロシアムの会場は高崎のライブハウス、フリーズでした)そこまでしてチケットを買ったって思いがみんなに伝わるわけ。群馬はものすごい仲間意識が強いから、イベントやると全部友達のとりおき、予約、ゲストになっちゃうんで、イベントが来月あります。って事がわかっても、みんなその前の週くらいからしか動かない。着券が遅い。主催者とかは毎回ヒヤヒヤ(笑)。ハコ代払えるのか?みたいなことがよくある。

    ーーチケットの先行は今でも同じスタイルなんですか?

    いまは規模的なものもあるし、一度そのニュースとして飛ばすってのもあるし、情報告知は一斉にやっているけど、先行が終って一般が始まるとすぐ地元店頭販売をやってます。まあ今回は前回があったおかげで、地域内店舗管轄だったのが、本部が協力してくれることになって、北関東一円ではチケットを扱ってもらえるようになった。でも基本的には、群馬でそれなりの集客が欲しいと思う。

    ーー群馬の人たちにまずは来てもらいたいってことなんですね。

    そうですね。あとは一生ライブハウスの入口をくぐらないで大人に成って死んでいく人もいっぱいいると思うんだ。もしかしたら娘に頼まれたお父さんとか、彼氏に頼まれた彼女とか、不意に行くことがあるかもしれない。それだけでもすごい一歩だと思っていて、まず少しでも間口を広げたい。

    ーーGRFのお客さんは、20代や30代が多いですか?出演には若手のインディー系のバンドが多かったりしているので、注目するのはやはり若い子ですよね。

    男女共に20代半ばから30代半ばが、ぶっちぎりで多くて、ただそれって興味があるレベルの人で情報がたくさん行ってる人。実際、GRFの現場に来てくれるてるのはもうちょっと若い子になるかと。キッズたちが多い。ただその音質とか偏らないようにしたいとも思ってる。

    GRF2012の模様(GRF公式フェイスブックより)

    GRF2012の模様(PHOTO : kiraba GRF公式フェイスブックより)

    ーージャンルをばらけさせるということも意識しているんですか?

    そう。コロシアムをやった時にメインステージにラッパーに立ってもらった。群馬でヒップホップやってる奴はこういう奴だぜ。っていうのをちゃんと伝えたくて。これから名を知らしめて行くぞと思っている彼らにしてみても、HAWAIIAN6のように化け物みたいな先輩と同じ場所でやれるっていうのはすごい経験になったみたいだし、周りの人の評価も全然変わったと思う。そういうことがアーティストにも起こる。後はお客さんもそうで、大好きなスカパラを見に来たり、大好きなエゴラッピンを見に来たり、大好きなホルモンを目当てにしてるんだけど、実はほかのアーティストも見れちゃう。フジロックもそうだと思うけど、好きな音楽を楽しみにきてるのに実は自分の好きなジャンル外のミュージシャンに刺さっちゃったりとか、ぜんぜん大げさなことでなく、出会いが人生変える事もあると思う。

    で、食と音楽と芸術、スポーツとかを絡めたいなって。食には旬があるし、スポーツだって基礎的な力が強い人が必ず勝つわけじゃない。音楽なんて2度と同じ音鳴らせないし、絵だってそう。だからそういう“人”が作るライブって言うのは絶対面白いんだっていうのが核心だと思う。

    ーーフジロックと通じるところがあると思うんですよね。

    フジロックってほんとに永遠の憧れっていうか、それを丸コピーなんてできないけれどそういうフジロックが持っているエッセンスを自分たちもやってみたいって気持ちは凄く大きいと思う。

    ーーフジロックに行かれた経験はあるんですか?

    他のスタッフはあるんですが、僕はまだないんですよ。

    佐俣:意外と群馬の人ってフジロック行くイメージ強そうだけど、行った事ない人多いと思うんだよね。勿論コアなファンは毎年必ず行ってるけど、近過ぎるのかな?

    ーーたしかに近すぎるからってのもあるかもしれないですね。

    逆にいつでも行けそうっていう気持があったり、嫌で行かないわけじゃなく、毎年「行きたい行きたい」って言っているのに。夏フェス後の、ある意味穴場だと思って日程を9月にしたから自分も行けない事が続いてるんです。

    いまなんて9月もフェスだらけ。以前は9月のフェスなんて数えるくらいしかなかった気がする。フジロックの頃は出演者発表とかあと先行発売の日程とかがほぼ一緒にきてたりするから、いつか行けたらいいなって思ってます。

    ーーお目当てのアーティスト以外にも新しい発見がGRFの中であると思うんですけど、今年のGRFで仕掛けようとしている寄り道企画はあるのでしょうか?

    去年が初めての開催って言う中で正直、もうこれでしかできません。っていうくらいいっぱいいっぱいの状態だったので、今年に関して言うと、奇をてらうよりもゴミの問題とかいろんなところをしっかりして行こうっていう方向に動いてます。あんまり奇抜なことはやらないかも知れない。

    普段ライブハウス、クラブとかコンサートにいかない人にも来て欲しいってのがあるんで、なるべくそういう意味でもハードルの高さというか、俺らその音楽にこんなこだわっちゃってますよとかいう雰囲気をなるべく下げて、お祭りだからみんなで行こうよ。っていう空気感は大事にしてる。そのところでフェスのもうひとつの魅力って、ライブ以外にもブースだったりもするから、勿論そこも楽しんでもらいた。GRFではフード、食のところでものすごく気持ちを入れていて・・・

    ーー食ですか?

    食・・・!?当サイトでもフェスごはんMAPを作るほど、フジロッカーにとってはフェスを過ごす上で欠かせない食情報。実は群馬の食事情ものすごく熱いんです。続きは後編で!

    ■GUNMA ROCK FESTIVAL
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    【CNプレイガイド】http://www.cnplayguide.com/
    ※チケット店頭販売は終了しております。

    写真:佐俣美幸 取材:千葉原宏美

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