• 「ロック・ラティーノ」仕掛人、JAPONICUS・小宮山ショーゴ氏インタビュー


    毎年、ラテン界隈のアーティストを送り出しているのがジャポニクス。今回お応えいただいた小宮山ショーゴ氏に、ミミ・マウラのこと、チェ・スダカのこと、果てはフジロックやリコの裏話などをお訊きしました。

    ー 今年のミミ・マウラは、お付き合いが長いそうですね。

    90年代からだね。アルゼンチンにいた頃、シエンフエゴスというバンドがいて、彼らのところに遊びに行くうちに、僕がマネージャーをするようになった。そのヴォーカルのセルヒオ(ミミの夫でもある)、パーカッション、ドラムのフェルナンドがロス・ファブロソス・カディラクスだね。

    ミミ・マウラはお父さんがプエルトリコの有名なシンガー(マイク・アセベード)で、子供の頃から歌ってる。だから、大ベテランだよ。「ロック・ラティーノ」の女性シンガーとしては3本の指に入る。今回の日本ツアーではキーボードがいないんだけど、ギター2本で、昔ながらのスカのスタイルでやるよ。メンバーにはカディラクスのメンバーも2人いるから、アルゼンチンに日本の音楽シーンのことがより伝わることになるんじゃないかな。

    カディラクスは、ラテン・グラミー賞が作られる原因となったバンド。アメリカのメインストリームに、リッキー・マーティンやジェニファー・ロペスが話題になったとき、彼らも一緒に流れこんだんだ。でも、彼らだけはスペイン語で歌うことをやめなかったんだよ。

    ー なるほど。

    チェ・スダカのメンバーも、南米が中心だよね。カディラクスに憧れているんだよ。だから、今回のツアーは彼らにとって大きな体験になるんじゃない? もちろん、バックをつとめる石川道久セッションにとっても大きなことだよ。うまくいけば、アルゼンチンとか、南米ツアーの可能性もあるよ。

    ー ミミのバックとしてライヴをするにあたって、どのくらいリハをするんですか? 例えば、クール・ワイズ・マンや石川道久セッションが初めてリコ・ロドリゲスのバックをつとめた時など、どのような感じだったのか教えてください。

    リコは特別な人。リハでは、自分のバックにつくバンドの確認をするだけなんだよ。こっちも一応準備はするんだけど、一度も吹かなかったね。リコは、コンディションさえ良ければ、とんでもないプレイが出てくる。あとは、バンドの才能にまかせるんだよ。そのかわり、本番ではどんどんアドリブを入れて、バンドにも突然それを要求してくる。

    クール・ワイズ・マンはリコに相当鍛えられたし、気に入られた。だから、タンタンと海外に行けるまでになった。今回のミミは、短いけど2回ほどリハをやる。年もそれほど離れてないから、仲良くなってもらうという意味もあるし。

    ー フジロックで強く印象に残っていることはありますか?

    昔、クイーンシーバで、毎週火曜日にミュージシャンが集まってセッションをしていたんだけど、その延長で、フジロックのワールドレストランのところでもやったね。ちゃんとアンプとマイクが用意されてて、セッションには、バンダ・バソッティ、元トドス・トゥス・ムエルトゥスフィデル(・ナダル)、あとはマヌ(・チャオ)と、そのベースのガンビートも参加してた。2002年かな、あれは凄かった。

    あとは、トドスがグリーンステージに出た時だね。お客さんが大暴れをして、砂ぼこりが舞い上がってた。雲みたいになってたんだよ。南米のロックが日本という「地球の裏側」を大騒ぎさせてたから、本当に感動したね。

    ー フジロックは慣れましたか?

    慣れてないね。外国のバンドとのやりとりは、毎回状況が違うから。「パターンを作ってもいいんじゃないかな?」って、数年前に考えたこともあったけど、それをやっちゃうと、油断してしまうからやめた。僕にとって、フジロックは特別。慣れてはいけないものだとも思ってる。

    ー ここ数年は、パレスとも連携してます。

    ジェイソン(・メイオール:UKスタッフであり、「クンビア・キッド」としてDJ出演)と話しあってるね。パレス・オブ・ワンダーで、「変わったアーティストがたくさん見られる」っていう期待がお客さんの中には出来上がってるんじゃないかな。今年のパレスで僕が関わるのは、DJスクラッチやチェ・スダカだけ。今までのウチの流れとは少しだけ違うんだけど、ランディゴや、オンダ・バガがいて、世界の音楽がちゃんと紹介される場所になってる。良いことだね。

    面白いのが、スクラッチがイタリアに行った時、去年来日したロード・ササフラスと一緒のイベントに出たんだけど、そこでササフラスがミミの”No No No“(オリジナルはドーン・ペン)をかけたんだよね。それを聞いたスクラッチが駆け寄って、「誰これ? スペイン語? ヤバいじゃん!」って訊いたらしいんだよ。それで、スクラッチがミミ側にメッセージを送って、連絡をとるようになった。初めて会うのは来週……日本なんだよ。実は、いろんなきっかけが日本で生まれてるんだよ。

    ー 2002年のフジで、バンダ・バソッティが憧れのジョー・ストラマーと会ったような感じですね。

    そういうこと。ヨーロッパのクンビアの流れも日本を経由しているんだよ。エスネ・ベルサも、フジロックでジェイソンやヴェリー・ビー・ケアフルと会ってから、クンビアを取り入れるようになった。南米の音楽が陸続きの北米に流れ込むのは当たり前。でも、あの大陸から出てくるのはなかなか難しい。日本を経由するのは、クンビアマニアのジェイソンがスマッシュにいたからこそだね。

    チェ・スダカは、僕がプッシュしなくても、人気者になれそうだね。あいつら、日本にも友達がいるし、いろいろな人と関わっていこうとしている。僕らはほんの少し手伝うだけだよ。

    __________________________________________

    「ロック・ラティーノ」は、根こそぎ踊らせてくれます。いま一度、フジロックのタイムテーブルを再考してみるのも、良いかもしれませんよ。

    ■JAPONICUSイベント情報

    2012.7.25(wed) RADICAL MUSIC NETWORK 2012 @ AOYAMA CAY

    Open/Start DJs: 18:30 / Start: 19:00
    Tickets:Adv ¥4,000 / Door ¥4,500 (+1D)
    22時以降は20歳未満の方はご入場出来ません。入場時にIDチェックを実施します。
    LAWSON TICKETS/CAY/JAPONICUS/ZOOT SUNRISE SOUNDS/NOW ON SALE!
    Info:CAY 03-3498-5790 / http://www.spiral.co.jp/f_guide/cay/

    MIMI MAURA (アルゼンチン・プエルトリコ)
    CHE SUDAKA (アルゼンチン・コロンビア)
    DJ SCRATCHY (U.K)
    石川道久セッション
    渡辺俊美 (TOKYO No1 SOUL SET・THE ZOOT 16)
    etc…

    イベント詳細はこちら→http://www.japonicus.com/rmnspe7.html




    JAPONICUSホームページ:http://www.japonicus.com/

    写真:西野太生輝
    文章:西野太生輝

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