【舞台はフランス!オルグスタッフが潜入調査!】第2弾!パリの反セクシズムのデモに参加 ~音楽と政治について~
- 2024/12/12 ● Report
フェス文化って何だろう?イベントって何だろう?今年フジロックに初めて参加し、フジロックでしか味わえないあの感覚はなんだったのか思い巡らせています。そこで、その疑問を明らかにするべく、異国の地フランスまで潜入調査に行ってきました!フジロッカー目線からフランスのフェスやイベントについてレポートしていきたいと思います。
今回は第2弾!パリの反セクシズムのデモに参加してきました。
音楽と政治に関する論争を政治イベント側から覗く
フジロックでは環境に配慮したステージづくりやリサイクル、分別の他に、アトミックカフェ、NGOヴィレッジなど、音楽だけには留まらない、俗にいう”政治的”な活動が行われています。2016年のアトミックカフェではSEALDsの奥田愛基さんを招き、今年2024年のヘッドライナーのクラフトワークの反原発の演出で物議を醸す結果になりました。フジロックに参加している知人から「音楽に政治を持ち込まないでほしい」という非常に“政治的”な意見を耳にすることも少なくありません。そこで今回はパリの反セクシズムのデモに参加することで、政治イベントから音楽と政治の関係性、フェスにおける“政治的”なものについて考えていきたいと思います。
8万人以上が参加する反セクシズムのデモ
国際連合は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」を11月25日に定めており、その日を前に2024年11月23日(土)に8万人以上が参加する反セクシズム、性差別、性暴力反対のデモがパリで行われました。デモ行進する場所は車の通行止めをするほどの規模なので、どのような感じなのかドキドキ。会場に近づいていくと、警察が通行止めしており、なんだか緊張した雰囲気です。
集合場所に到着するとさっそく、様々な政党や団体が旗を掲げて待っています。
参加者の方たちがだんだん集まってくると、女性がどれだけ被害に受けているのか、なぜデモが必要か、立ち上がらなければならないのかといった内容の演説が行われ、いよいよデモ行進がスタート。流れてくる音楽をみんなで歌いながら歩いていきます。Clara LucianiのLa Grenade、AngèleのBalance ton quoi など、女性が立ち上がり、権利を主張する内容の歌詞の曲が多い印象でした。他にもLady GagaのBad Romance、ABBAのDancing Queenとどんどん盛り上がっていきます。また、楽曲を流すだけではなく演奏する人たちも見受けられました。鼓笛隊やブラスバンドの方も行進しながら演奏しています。
私たち参加者たちも、「So-so-so-solidarité avec les femmes du monde entier !」(ソ、ソ、ソ!ソリダリテ!アヴェックレッファム!デュモンドンティエール!意味:世界中の女性たちと連帯!)といった内容を、リズムにのせて訴えます!そして、デモに参加しているのは女性だけではありません。老夫婦や男性はもちろん、ベビーカーに乗せられた赤ちゃんや小さな子どもたちなど、性別年齢関係なく幅広い層の方が見られました。
デモの空間とフェス
今回、反セクシズムのデモに参加して、私はフェスに近い感覚を覚えました。反セクシズムを訴えながらも、音楽が常に流れた華やかな雰囲気。解放された空間で、隣にいた方とフェミニズムについて、私たちに何ができるかお話しできました。たくさんの音楽を流し、その音楽に意味を持たせて自分たちの声に変えていく姿を目の当たりにし、デモにおける音楽の重要性について身に染みて理解するきっかけにもなりました。政治のイベントからすると音楽が十分な役割を担います。もちろん、全てのデモが今回のように平和でお祭りのような空間であるとはいえません。近年でも、場合や状況によって、デモが暴力的な形になってしまう事例もあります。非暴力的に訴えていたとしても警察が介入した場合、暴力的なことが勃発してしまう事例はいくつもありますし、日本においても1960年代の暴力を伴ってしまった運動の印象などから、“政治的”な運動に対するアレルギーのようなものが染み付いている方が多いかもしれないですね。ですが、今回のデモに参加して、政治的な訴えをすることは民主主義の国において必ずしも危険ではないともいえます!さらに、今年のフジロックに参加した私からすると、フジロックで行われている政治的なイベントやアーティストの発言や演出は暴力的な要素なしに行われていますし、今まで知らなかったことについて考えるきっかけにもなると感じました。なんとなく、政治的なことが怖いなと考えている方も、次のフジロックではアトミックカフェやNGOヴィレッジに足を運んでみてはいかがでしょうか?
Photo & Text by こっこ