• ラインナップ第7弾、個性あぶれる4ステージ出演者一挙に発表!フジロックの神髄はここにあり!?


    フジロックの開催まで6週間となりました。前回のステージ別ラインナップ発表を受け、私の周りではまだタイムテーブル発表前にもかかわらず、どう効率的にライヴを観て回るかで盛り上がっています。フジロッカーの気持ちはもう苗場に向かっていますね。今回、個性豊かな4つのステージの出演アクトが一挙に発表されました。GAN-BAN SQUAREの復活という嬉しいニュースとともに。自由で遊び心にあふれ、それでいて筋が通った意思がある。そんなフジロックの神髄は今回紹介するステージでこそ体験できるのです。それでは、ステージ別に見ていきましょう。

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    Gypsy Avalon

    会場全体の電力をバイオディーゼルや太陽光などのソフトエネルギーを使用するとともに、自然環境や社会の課題を考える機会を提供する。フジロックが掲げる「自然との共生」を最も体現しているステージがGypsy Avalonです。ステージ前に並ぶ、鮮やかなひまわりの花も印象的。2002年にパティ・スミスが広島と長崎の原爆に対する謝罪を含む反戦の熱いメッセージを伝えた場所として記憶に焼き付いています(当時は「AVALON FIELD」というステージ名でした)。80年代から継承される反核・脱原発イベント「アトミック・カフェ」の開催をはじめ、アーティストがミニマルなセットで出演することも多く、出演者による生のダイレクトなメッセージや表現を最も身近に体感できる場と言えるでしょう。

    Rickie-G with 90's Honch Session (Photo courtesy of SMASH)

    Rickie-G with 90′s Honch Session (Photo courtesy of SMASH)

    今回の発表の中で見つけてひときわ嬉しくなったアクトが、Rickie-G with 90′s Honch Session。2020年のキャンセルを経て2021年のフジロック復活の1発目に晴れ渡ったピラミッドガーデンで観たのがRickie-Gのステージでした。当時演奏されていた曲も含まれる新譜にして2ndフルアルバムの『Roots in Sync』を引っ提げての苗場帰還ステージは必見です。爽やかな音・声ともにポジティブに場をアゲてくれることでしょう。同じ系譜だと、Rickie-Gとコラボ歴のある児玉奈央もいるYoLeYoLe tengusaによる自由なジャムセッションにも期待大!CHAN-MIKAとバンドが繰り出すレゲエグルーヴもこの場にドンピシャ。OASIS BOB MAREY SONGS DAYで最優秀賞を獲得したという非凡な彼女の声を堪能しましょう。和久井沙良が流麗かつ情熱的に繰り広げるジャズセットも気になるところ。ハードロッキンに迫りくるギターのイシイトモキとの掛け合いも見どころですね。この流れで京都からのピアノトリオ、kottも押さえておきましょう。元jizueのドラマー粉川心、岡田康孝、髙橋賢の3名が奏でるフリージャズのような実験的でエキセントリックな激しさが込められた音像には圧倒されることでしょう。そして、ご存知の佐藤タイジとKenKenによるComplianS。アヴァロンならではの二人の卓越したスキルが生み出すギターとベースの音を思う存分に楽しめるステージになるはず。タテタカコの“宝石”の静謐な弾き語りもここでこそ聴きたいですねぇ。イタリア生まれイタリア育ちだというRyu Matsuyamaのシティポップの影響を感じさせる暖かみのある歌声と軽快なビートがこの場の雰囲気にピッタリ。音楽活動のみならず、文藝誌「園」の主宰・執筆、王舟、藤森純とともにはじめたインタビュープロジェクト「DONCAMATIQ」の編集、写真撮影やデザイン、映像作品の美術監督などマルチに手掛ける鬼才、mei ehara。昼下がりに彼女の緩やかな歌声と音世界に包まれ、みんなで身体を揺らしているのを思い浮かべるだけで最高ですね。鹿児島県奄美大島出身、奄美民謡「シマ唄」をルーツに持つシンガーの城 南海。心に響く歌唱はもちろんのこと、ABBAの“Dancing Queen”まで飛び出すエンターテインメント性の高いステージは見ておいた方がいいでしょう。ソロ・プロジェクトである浮(ぶい)として活動する米山ミサ率いるトリオ、浮と港が奏でる生楽器による優しい世界観は本ステージにうってつけ。そして、子供から大人までみんな大好き、ケロポンズ。笑顔で一緒に歌い、踊るっきゃないでしょう!演奏が始まるや否や場が盆踊り会場と化すであろう民謡ユニット こでらんに〜も絶対に楽しい!フレディ塚本の唄、津軽三味線、太鼓、篠笛が織りなす、民謡クルセイダーズよりも本格的な民謡には、踊らにゃ損々ですわ。2016年ぶりの出演となるOKI DUB AINU BANDの一部のメンバー、 OKI & Rekpo with 沼澤尚 + 内田直之。ここではどんなステージが繰り広げられるのでしょうか。彼らにしか生み出せないアイヌ音楽ベースの幻想的なグルーヴに酔いしれましょう。民謡クルセイダーズのMUUPYこと小林ムツミ率いる、東京発ハイブリッド・クンビア・バンドのMumbia Y Sus CandelososからMUUPYHYDRO as BNJによるデュオセットの登場も嬉しいし、3日目における怒涛の世界音楽博覧会っぷり、楽しいに決まっています!

    Photo by 白井絢香

    Photo by 白井絢香

    今年も、3日間それぞれのテーマでアトミック・カフェが開催されます。1日目のテーマは、「気候危機と原子力」。原子力市民委員会座長の大島堅一氏と一般社団法人リディラバ代表の安部敏樹氏が「気候危機に原子力発電は有効なのか?」についてトークし、あっこゴリラが気候危機の問題に取り組むClimate Live Japanとの共同企画でライヴを繰り広げます。2日目は「気候危機と環境問題」というテーマのもと、古着屋「DEPT」の経営者かつ環境アクティビストのeri氏と『君ニ問フ』編集長であり文筆家のジョー横溝氏が語り、1984年に日比谷野外音楽堂で開催された初回のアトミック・カフェにおける父・尾崎豊の伝説のパフォーマンスから40年を経て、息子は尾崎裕哉の出演が決定。最終日は、社会学者の宮台真司氏とジョー横溝氏が招かれ「社会とテクノロジー」というテーマでトークを、数々の映画の音楽を手掛けるシンガーソングライターの世武裕子が姿を見せます。この世に生を受けた以上、自然環境や社会課題と我々の人生は切っても切れない関係。ですが、世の中で起きていることについてあまりに知らないのではないでしょうか。アトミック・カフェには新しい発見の機会があります。今年、足を運んでみませんか?

    PYRAMID GARDEN

    Photo by 古川喜隆

    Photo by 古川喜隆

    キャンドル・アーティスト、Candle JUNEプロデュースによるPYRAMID GARDEN。ツアーバス利用者専用キャンプサイト内にあり、朝イチのヨガにはじまり、多数のキャンドルが幻想的に揺らめく夜までピースフルな雰囲気が漂い、1日を通して本当に心地がいい場です。ここの心地よさの裏には、Candle JUNE自身が代表理事を務める一般社団法人「LOVE FOR NIPPON」の活動をはじめ、2011年3月11日の東日本大震災後に毎月11日に福島で支援を続けてきた優しくも熱い精神が宿っています。フジロックにとってかけがえのない場所と言えるでしょう。

    原田郁子 (Photo courtesy of SMASH)

    原田郁子 (Photo courtesy of SMASH)

    江ノ島の海辺の集落から生まれた3人組バンド、maya ongakuが醸成する浮遊感満載のサイケデリア、並外れた才能がタッグを組んだMarihiko Hara & Polar Mによるシンプルかつ深淵なアンビエントは心地よさの極致であること間違いなし。今回でフジロック出演が13回目となる大御所シンガー、おときさんこと加藤登紀子が昨年に引き続き本ステージに登場です。“百万本のバラ”をはじめとした数々の名曲に何度触れても目頭が熱くなります。クラムボンでお馴染みの原田郁子も登場。もうすぐリリースされる、谷川俊太郎さんが書き下ろした詩を歌にした新曲“いまここ”を核としたソロ・アルバム『いま』中心のセットになるのでしょうか。楽しみです。PolarisのオオヤユウスケとROVOの勝井祐二の二人が表現する歌と即興演奏は、我々を異世界へと誘ってくれることでしょう。ASA-CHANG & 巡礼GOMAが奏でる、アブストラクトで唯一無二の音像はこの場所でどう映えるのか体験したいですし、日本テレビの朝番組「DayDay」での熱い生ライヴも記憶に新しいMOROHA、アフロによる魂の叫び・言葉と本気で対峙したいところ。初日はグリーンステージに合奏形態で登場する君島大空がここでは独奏。ストレートで生々しい個の表現を存分に堪能できることでしょう。本ステージ出演陣の中で唯一の海外アーティストと思われるEddie Chacon。90年代に400万枚を超えるセールスを記録した大ヒット曲“Would I Lie To You”を持つネオソウル・デュオ、チャールズ & エディで活躍した後、長期の音楽活動休止を経て2020年に復活し2枚のアルバムをリリースしています。何とそのアルバム2枚のプロデュースを手掛けたのが、今年レッドマーキーに出演するJOHN CARROLL KIRBY。それぞれ同日の最終日に出演予定とあっては、いやでも互いのステージへの飛び入り共演を期待してしまいますね!

    DAY DREAMING

    Photo by HARA MASAMI

    Photo by HARA MASAMI

    日本最長のゴンドラ、ドラゴンドラから一望する一面の緑が拡がる絶景を望みつつ揺られること約25分。たどり着く先は天空に広がる高原エリア。ここにはダンサブルな音楽が鳴り響くステージのDay Dreamingと、子供と大人が一緒になって愉快なキャラクターたちと大縄跳びなどをして触れ合い楽しむSILENT BREEZEがあります。私も当初は山ほど観たいアクトがある中で往復するだけで1時間弱も要するところに行く暇はないと思っていたものでしたが、これは大きな間違いでした。自由さ、遊び心、いい意味での無駄さ、そんなフジロックらしさがこれでもかと凝縮されている最高の空間でした。親子連れも多く、子供たちもいっぱい笑顔で遊んでいて、あまりの心地よさにいつまでも居たくなってしまうことでしょう。

    ここのステージは「踊れる音」が満載。ヒップホップ系と打ち込みダンス系のアクトが出演する印象です。Creative Drug Store所属のラッパーにしてプロデューサーのJUBEE、11年ぶりのライヴだった2021年来2年ぶりに同じこの場所に戻ってくるスケボーキング、ハードコアスタイルの雄ラッパ我リヤとくれば、ヘッズたち!初日は間違いなく行っとくべきでしょう。この流れで、海外のプロデューサーたちとコラボし絶賛拡大中の注目株のなかむらみなみも要チェックです。かつてパーティー老若男女をアゲまくったオールナイトフジ・ステージで言わずと知れたBryan Buton-Lewis。彼がプロデュースするここ、Day Dreamingのダンス系アクトはやはり間違いない!軽快なポップな音が絶品なソウル生まれ東京育ちのDJでシンガーソングライターのYonYon、2010年にオールナイトフジ出演歴を持つMASAYASU、グミ山とN-RoachによるミクスチャーボカロユニットのキツネリとトラックメイカーA4のコラボステージ、活動10年目を迎えるOpen Air Music&Art Festival「Brightness」も手掛け、サイケデリックでスペイシーな音が十八番なDJのTAICHI KAWAHIRA、世界各地のトライバルビートをミックスした疾走グルーヴがたまらないsuimin…。多種多様な音が混ざり合うここは、今年随一のダンスフロアと化すことでしょう。

    GAN-BAN SQUARE

    多くの飲食店が軒を連ねるOASIS内に併設されたステージがGAN-BAN SQUARE。今年、待望の復活を果たし、様々なジャンルのアーティストたちがオーディエンスの耳目を刺激し、深夜の苗場を朝まで沸かし続けます。

    砂原良徳 (Photo courtesy of SMASH)

    砂原良徳 (Photo courtesy of SMASH)

    3人体制となったエクストリーム・ノイズ・バンドのENDONがVJの斉藤洋平による不定形実験的活動ユニットのrokapenisとともに登場。深夜の疲れた身体に襲い掛かるノイズまみれの音と咆哮はヤバすぎるでしょう。タイ出身のシンガーソングライター、The Toysとステージを共にするIchika Nitoがここではソロセットを繰り広げます。爪弾かれる流麗なフレーズは必聴もの。JAZZDOMMUNISTERSのN/K(a.k.a菊地成孔)と元SIMI LABのQNによるユニット、Q/N/K、2日目にTESTSET名義としてはフジロック初出演となる、まりんこと砂原良徳、DYGLとDeadbeat PaintersのギターボーカルNobuki Akiyama、D.A.N.の櫻木大悟によるソロプロジェクトのTimephazer+、一筋縄ではいかぬ名うての表現者たちの音を眼前で存分に浴びて踊り明かせるのも本ステージならではでしょう。独特のアンニュイな歌声とドープなグルーヴが癖になるZOMBIE-CHANGは昨年のレッドマーキーに引き続き、今年はこの地でクラウドを盛り上げることになりました。3ピースバンドのTHE ALEXXが2019年に公式音源リリース前の初ライヴを披露したのはここGAN-BAN SQUAREでした。本ステージ復活に伴い、期せずしてのカムバックとなります。彼らの原点回帰たる見逃し厳禁のライヴになることは言うまでもないでしょう。

    以上、多種多様な出演者の顔ぶれから、4ステージがフジロックらしい「面白いこと」が起きる場であるかが見て取れます。これまでに行ったことがないエリアやステージも、流れてくる音に誘われ足を運んでみれば、新しい世界への扉を開いてくれることでしょう。苗場の大自然のもと「たった今、生きていること」を実感させてくれる年一度のお祭りが目前に迫ってきました。今後発表されるであろう追加アクトの情報やタイムテーブルを片手に仲間たちとワイワイ盛り上がりつつフジロック本番当日に向かっていきましょう!

    Text by 三浦孝文

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