• フジロッカーズの歌「田舎へ行こう! Going Up The Country」アナログ7インチ・シングル発売決定!


     なんと、レコード・レーベルでもないってぇのに、フジロッカーズ・オルグがレコードを出します。しかも、フジロッカーズの歌と題したアナログの7インチ・シングル。A面に忌野清志郎の『田舎へ行こう! Going Up The Country』を、そして、裏のAA面には『苗場音頭』をカップリングですぞ。

    Photo by トゥッティーニ

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     発端は… 東京や大阪のみならず、岡山から新潟、仙台、高知と全国どころか、台湾にまで広がったイヴェント、フジロックをこよなく愛する仲間が集まって、音楽を楽しむフジロッカーズ・バーだった。オアシス・エリアにあったJim’s Vinal Nasiumuやそれが発展したBlue Galaxyでみんなが覚えたのはDJが流す音楽で遊ぶ楽しさ。そんな彼らが好き勝手にレコードを持ち寄って遊ぼうという流れになったこのイヴェントで、なんとはなしに話題になったのが、これぞフジロックだと言える「レコードがほしいねぇ」ってことだった。

    「やっぱ、清志郎の『田舎へ行こう』だよなぁ。あれがグリーンから聞こえてくると『始まったぁ!』って気持ちになるじゃん」

     と、そんな感じかしらん。普通なら、それで終わってしまうような話題かもしれない。なにせ、「自分でレコードを出す」なんてやったことがないし、どうしたらいいかもわからない。

    Photo by Fujirockers.org

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     でも、2019年、久々にフジロックに姿を見せたイタリアのバンド、バンダ・バソッティに頼んで、彼らが世界で初めてフジロックをタイトルにした曲のシングル盤を作ってもらったこともある。それも100枚前後が売れたような。それに去年発見されたのが1973年に発表された『苗場音頭』のシングル盤のデッドストック(売れ残り)。わずか50〜60枚ほどしかなかったんだが、それが岩盤で発売され、あっという間に売り切れてしまったこともあった。あれなんぞ、アナログ好きが増えているってことの証なんだろう。そんな売れる、売れないよりなにより、フジロッカーズ・バーに来る仲間が「欲しい」と思ったことが、僕らを突き動かしたんだろう。

    「ダメ元で、話をしてみればいいんじゃないか…」

     と、何枚売れるか、採算が取れるのか? どうやって作るか、なんてことはそっちのけで、アプローチが始まるのだ。まずは、フジロックの公式テーマソングとなった、あの曲の誕生に深く関わっている日高大将に相談。

    「あのぉ〜、『田舎へ行こう』のさぁ、シングル盤を出せないかと思うんだけど」

     というと、

    「事務所、紹介してやるよ。話してみりゃぁいいじゃないか」

    Photo by Fujirockers.org

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     という流れが生まれたのだ。もともとウッドストックに姿を見せたバンド、キャンド・ヒートの「Going Up The Country」から、あの曲を発案したのが大将だったというのはけっこう有名だ。加えて、あとから耳にしたのは、レコーディングに彼がギターで参加する予定だったという話。それはなにかの事情があってドタキャンになったらしいが、バック・コーラスに当時のスマッシュのスタッフの面々が参加しているなんてことも教えてもらっている。しかも、そのアレンジをしたのは元ブームタウン・ラッツのジョニー・フィンガーズ。彼もフジロックを支えるスタッフのひとりなのだ。このプロジェクトを実現させようと動き出して、この曲がフジロックにどれほど重要な役割を果たしているのかがどんどん浮き上がってくる。

    Photo by Fujirockers.org

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     そして、忌野清志郎の事務所にやたら長いメールを書き始めていた。フジロッカーズから『田舎へ行こう』のシングルがほしいという声がいっぱい出てきて、なんとかリリースできないだろうか… ってだけのことなんだけど、その前後には「レコードを聴いて、音楽を楽しむ文化」が広がっているといった背景やあの曲がフジロッカーズにどれほどの意味を持っているのかなんてことを綿々と書き綴っていた。

     すると、「私たちとしてもとても嬉しいことです!」という返事が届く。「やっほ〜」と、文字通り、声を上げて大喜びしたのは言うまででもない。「レコード会社にも話を通しておくので、進めてください」というので、かつてレコード会社に勤めていた仲間にお手伝い願って、詰めの作業に入っていった。

     そのプロセスで、また、面白い方向に話が転がっていくのだ。

    「いやぁ、レコード会社でも出せばいいかもしれないですね、フジロックのプロモーションにもなって、もっとたくさんの人達に知ってもらえるし」

     普通なら、これはないだろ。巷の噂で「アナログ復活」が囁かれているとはいえ、45回転のドーナツ盤のマーケットはそれほど大きくはないはずだ。同じものを出したら、売り上げの食い合いになる。でも、フジロッカーズ・オルグにできるのはネット販売程度で全国への流通なんて不可能。日本中にいる、フジロックや忌野清志郎を愛する人達が気軽にレコード屋さんでこのシングルを買うことができるような状況を作りたいと、単純にそう考えたのだ。

     というので、オルグとレコード会社が同時に同じアナログのシングル盤を出すことになるという珍妙な事態になってしまったのだ。といっても、お互いの作品を差別化しようと、オルグ盤は、すでに入手不可能となった『苗場音頭』をカップリングすることに決定。しかも、あくまでフジロッカーズの歌としてA面とB面ではなく、両方共にA盤という発想でリリースすることになる。それに対して、レコード会社からは忌野清志郎のシングルとして発表される。当然、ジャケットもレーベル面も独自にデザイン。と、プロジェクトが動き出すのだ。面白いのは、レコード会社とはその内容に関しては一切打ち合わせをしていないというのに… 双方ともにグリーンのカラー・レコードで行こうと決めていたこと。こちらの発想は、緑に溢れた苗場のイメージ。向こうは、ひょとしてグリーン・ステージかなぁとも思うが、定かではない。

     周辺の人達からのアドバイスは「小規模販売だし、残ったらたいへんだから、限定で300枚ぐらいのプレスがベストじゃないかなぁ」だった。でも、そうすると、単価が高くなって、金に余裕がないと手が出ない定価になる。加えて、数が少ないと転売ヤーの餌食だ。本当に欲しい人が買うチャンスを逃して、超高値の新品をオークション・サイトで買わされることにもなる。それは避けたい。このところアナログの相場がどんどん高くなっているというものの、シングル1枚に出せるお金は2000円ぐらいじゃないかなぁと、会社でもないヴォランティアの集まりであるオルグはレコード会社と同じ定価を設定。おかげで、彼らとほぼ同じ枚数をプレスすることになった。

     というので、みなさんに、お願い。買ってください。周辺の人達が言っている言葉が正しかったとすれば、けっこうな大赤字になること請け合い。でも、どこかで、世間の鼻を明かしてやりたいという思いもある。レコード会社でもないヴォランティアの集まりが、愛情だけで作ってしまったレコードが、限られた販路でどれだけ売れるのか? がむしゃらにやってみようと思っています。まだまだ詳細の発表はこれから。僕らがどんなジャケットを作るのか? どんなレーベル・デザインにするか? 楽しみにしていてください。そこには、フジロックを生み出してくれた日高大将とこよなく愛してくれた忌野清志郎への想いに溢れています。

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     実は、すでに届いているのがテスト・プレス。それを何度も聴きながら思います。なんて素晴らしい歌を作ってくれたんだろう。その言葉ひとつひとつが、フジロックとはなになのかを雄弁に語りかけてくれます。その音を、一番最初に聞かせることになるのは4月8日と9日に開催が決まっている、台湾は台北。そして4月15日の大阪でのフジロッカーズ・バーとなります。お楽しみに。

    —————————————————

    なお、このシングル盤、7インチのアナログ盤の予約注文は下記サイトにて受付中。また、この他、特製Tシャツとの限定セット販売も決定(デザインは6月公開予定)。一般の店舗では購入はできないフジロッカーズ必携の超限定商品となりますのでこの機会に是非ご予約ください。

    ※商品の発売は 2023年7月5日発売となります。発送は発売日以降となります。

    <予約注文サイト>
    https://fujirockers-store.com/collections/cd-lp

    Text by Koichi Hanafusa

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フジロッカーズ・オルグ盤『フジロッカーズの歌』7インチアナログEP

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