• Dr.Ihara(ドクター・イハラ)インタビュー 〜 出演者として、フジロッカーズとして 〜


    今回のインタビューは、DJであり、筋金入りのフジロッカーでもあるDr.Ihara(ドクター・イハラ)さんです。「ロンドン・ナイト」や「グルーヴィー・ロック・キャラバン」などのイベントに参加し、現在は「クラブ・スカ」をメインに活動されています。

    今回のインタビューの決め手は、去年の11月、踊ろうマチルダのワンマンでDJをされていた時でした。突然、キヨシローの”田舎へ行こう”をスピンし、合図を送ったらば、「フジロックに行きてぇんだよ!」と返ってきたことに端を発しています。そんなイハラさんに、フジロックに対する想いを、「出演者」と「お客さん」の両面から語っていただきました。

    ー 最初にフジロックに参加したのはいつですか?

    俺がフジロックに参加したのは天神山の時。といっても、ロンドン・ナイト(以下、ロンナイ)のメンバーと一緒に途中まで行ったんだけど、嵐だったから引き返したんだよ。だから、参加そのものは豊洲が最初だね。苗場もほぼ全部行ってるとは思うけど、あまりはっきりしないな。

    ー ロンナイは、2008年ごろまで毎週金曜日のレギュラーで参加されておられましたよね。3日間開催の苗場であれば、土曜日からの参加になります。

    そう、土曜に着いたとしても、パレス・オブ・ワンダーで酒を飲むくらいっていうか。日曜日も朝から楽しもうとはするんだけど、ほとんど見れなくて帰る感じだったから、フジに関しては少しだけ悔しかった。今は、お客さんだったり、出演者だったり、いろいろと余裕を持っての参加ができるようになったから、楽しくてしょうがないね。DJの活動も、音楽以外のことなどを含めて、フジを軸にして1年間が動いているという感じ。もちろん、フジだけが全てではないけれど、とてつもなく大事なものになってる。

    ー イハラさんは、毎年フジに旗を持ってきていますね。デザインはジョー・ストラマー、キヨシロー、そして去年からは、「SAY NO TO NUCLEAR ENERGY(原子力にNOと言おう)」と書かれた、反核のものが登場しました。

    やっぱり、行ったからにはただ参加するだけじゃなくて、「もうひとつ乗っけてアピールしたい」ってのがあった。あれだけの人がいるんだから、「俺はこう考えている」ということを明らかにしたかった。グラストンバリーの映像を見ても、ステージが隠れるくらいに旗が立ってて、凄いと思ったし。あれは自分の生まれ故郷の紋章だったり、そこにはひとつの主張があるわけじゃん? 主張ができるなら、それがたとえ旗じゃなくてもどんどんやりたいですね。

    ー DJの時だけではなく、お客さんの側にいても、発信しているんですね。アーティストの方に話を聞いた事があるんですが、旗があるとテンションが上がるそうですよ。

    それはあるよね。オブリント・パスの時に旗を振ってて、バンドのメンバーが「盛り上がった!」って言ってくれたので、やってて良かったと思った。ただ、「後ろのお客さんにはちょっと迷惑になっちゃってるかな?」とも思うんだよ。もっと竿を長くして、後ろの人がステージを見やすいようにするとか。だからね、「グラストンバリーのあの長い竿はなんだろう?」って、ずーっと気になってる。生地も変なのを選ぶと、雨で濡れた時に重くなるんだよ。そんなことをいろいろ考えてたりするのも楽しいんだけど(笑)

    ー 人しれない苦労もあるわけですね。今までのフジで、最も記憶に残っている年や、ライヴを教えてください。

    まだパレスが「テント」だった頃に、ロンナイがあったんだよね。俺がDJをやろうとしたら、ファットボーイ・スリムが「1曲だけかけさせてくれ!」って言ってきて、7インチかな、自前のレコードをかけてたね。あとは、同じ年だけど嵐が来てて、ステージの上で、演出かと思うくらいの稲妻が光る……みたいな状況があった。こんなことは普通のライヴでは、まず無いでしょ?

    ー ほとんど無いと思います。フジで最も楽しい要素は何だと思いますか?

    フジでは、俺の得意なスカやレゲエのアーティストが出るけれど、それらを求めているかと言えば、違うんだよ。アーティストだけで言えば、今年はトゥーツ(・アンド・ザ・メイタルズ)を見れたら最高なんですよ。でも、フジそのものの楽しみは別のところにあって、自分が見たことも聴いたこともない文化圏のアーティストが出たりするのが面白い。スマッシュがどこからか見つけてきて、紹介してくれるのが楽しいんだよ。毎年出演アーティストを見て、「これは、なに?」って言いながら、掘り下げていくのがね。近年だとナラシラト……あれは最高でしたね! レーヴェンも良かったし、今年チェックしたアーティストでは、ランディゴかな。そんなの、知らないじゃん? で、ちょっと調べて聴いてみたらヤバいんだよ!

    ー ありますね。でも、アーティストのリストをくまなく見て、万全を期したつもりでも、終わってから「こんなアーティストが居たの?」となりませんか?

    そうなんだよ! 後で知って悔しいって、毎年あるよね。「見ときゃ良かったよ、教えてよ!」っていうのがさぁ……。でも、今までの経験からすると、「あぁ、この時はあれを見てた、結局見れなかったな……」ってなるんだよ。事前に決めたことなんて、向こうではほとんど役に立たない(笑)

    ー みなさん同じだと思います(笑)

    だよね。それに、日高さんの想いとかスマッシュの皆さんの想いが、アーティストにしても場所にしても、ちゃんと出てる。それが他のフェスとの違いなんじゃないかな。俺がガキの頃から見ていたライヴをピックアップしてくれてたり。アトミック・カフェにも行ってたしさ。

    ー 行ってらしたんですか? 日高さんはアトミック・カフェに関わっていたたそうですよ。

    行ってたね。こないだ、久々に広瀬隆さんの『危険な話』を開いたらさ、中からアトミック・カフェのチラシが出てきたんだよ。そこにはゼルダとか、じゃがたらの名前が書いてあるんだよね。「あぁ、こんなのあったなぁ……」ってね。そういうさ、スマッシュがまるで兄貴のような立場になってくれて、俺の「今」に繋がるっていうか、パンクやレゲエっていう部分の裏付けをしてくれてるみたいでさ。

    ー なるほど。確かにそうですね。スカが生まれて、オーセンティック、2トーンなどの動きがあって、ラテンと融合した今までの時代が今年のフジに集まっています。

    そうなんだよ。ストーリーが出来てる、つじつまが合ってるんだよね。今年は特に凄いと思う。ここまでくると、俺は「出演者じゃなくて良かった」って思う。バンドをギリギリまで見て、パレスに向かうのは大変だから(笑)

    ー なかなかギリギリまでライヴを見ている出演者はいないと思いますよ(笑) 今年のアーティストがほぼすべて発表されましたが、DJとしての目線でも構いません、見たいというか、チェックするべきアーティストを教えてください。

    今年は最高ですよ、忙しいですよ! 気になるのはね、まずオンダ・バガ。ヤバいですよ。いっぱい出るから、見れるだろうとは思ってるんだけどね。チェ・スダカは去年にリコ(・ロドリゲス)のパーティで見たけど、楽しかった。今回は全員で来るから、さらに楽しそうだよね。あと、メタル・ボックス・イン・ダブは凄いと思うよ。

    ー オレンジが多いですね。そこには、以前にイハラさんが大きく反応されていた、ゴジラ・放射能・ヒカシューが朝イチで出ます。

    あれはねぇー……動画を見たけど、凄いよね。何なのあれは? 元々、ゴジラが好きなんだけど、「伊福部イズム」(※伊福部昭:作曲家)が発揮されたあの曲たちがどうなっていくのか、めちゃめちゃ気になるよ。あとは、バディ・ガイなんてシカゴ・ブルースそのものだし、ダーティ・ダズン・ブラス・バンドも見たい。DDBBからギャラクティックっていう、ニューオーリンズのファンクの流れもちゃんとできてるよね。アメリカ大陸でいったら、ロス・ロンリー・ボーイズもいいですね!

    ー その勢いだと、アーティストをチェックするだけでタイムテーブルが真っ黒になっちゃいますね。

    そうなんだよ! 今まで俺があまり行かなかったグリーンでも、キンクスのレイ・デイヴィスがいて、2トーンのスペシャルズがいて、トゥーツがいて、シェウン・クティって……なかなか見れない人たちばかり。見たいでしょ。それに、井上陽水は見ないと! 次はいつになるかわからないよ? 他にヤバいと言えば、フライング・ダッチマンだね。彼らのように、言葉や主張を持ってるアーティストはどんどんやって欲しいですね。

    あと、俺が個人的にずーっと待ってるのは、ブルース・スプリングスティーン。Eストリート・バンドで来てほしい。そこにパティ・スミスが入ってきて、”ビコーズ・ザ・ナイト“とか……。毎年のことなんだけど、実は、フジロックの日程と、スプリングスティーンのツアー日程を見比べてるんだよね。

    ー 妄想するのは、完全にフジロック中毒です(笑)

    そうだよ! もうね、年末くらいが一番楽しくて。アーティストがほとんど発表されてしまうと、あれこれ考えることがなくなっちゃって、苗場に向けて家を出発するまでがやたら哀しいんだよ(笑)

    __________________________________________

    Dr.Iharaインタビュー、いかがだったでしょうか? 出演の経験もありますが、根底には、いちフジロッカーズとしての気持ちが流れています。現地で声をかれば、きっと応えてくれると思いますよ!

    ■Dr. Ihara出演情報

    □レギュラーイベント

    CLUB SKA(偶数月第三火曜日開催)

    ホームページ:http://clubska.jp/

    □ゲスト出演

    2012.7.25(wed) RADICAL MUSIC NETWORK 2012 @ AOYAMA CAY
    Open/Start DJs: 18:30 / Start: 19:00
    Tickets:Adv ¥4,000 / Door ¥4,500 (+1D)
    22時以降は20歳未満の方はご入場出来ません。入場時にIDチェックを実施します。
    LAWSON TICKETS/CAY/JAPONICUS/ZOOT SUNRISE SOUNDS/NOW ON SALE!
    Info:CAY 03-3498-5790 / http://www.spiral.co.jp/f_guide/cay/

    MIMI MAURA (アルゼンチン・プエルトリコ)
    CHE SUDAKA (アルゼンチン・コロンビア)
    DJ SCRATCHY (U.K)
    石川道久セッション
    渡辺俊美 (TOKYO No1 SOUL SET・THE ZOOT 16)
    etc…

    イベントの詳細はこちら→http://www.japonicus.com/rmnspe7.html

    2012年8月02日(thu) TOKYO・SHIBUYA @ NOSTYLE 「CLANDESTINO SP」

    DJ SCRATCHY
    CLANDESTINO DJ Set・Special Guest DJs: 大貫憲章・ROKMAN (L.F.C/MIMI MAURA)・Dr.IHARA
    RESIDENT DJs: 藤井悟・TETZ MATSUOKA (CLUB SKA)・SDKZ (EL SHUFFLE)・AMEMIYA KSK (PACHAMAMA)
    etc…

    イベントの詳細はこちら→http://www.japonicus.com/scratchy2012.html

    写真:深野輝美(ASIAN DUB FOUNDATION)
       西野太生輝(インタビュー)
    文章:西野太生輝

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