• GEZAN | KEEP ON FUJI ROCKIN’ Ⅱ


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    正しさを問われる深夜1時、2021年に差す一筋の光

    2020年1月末にリリースされた新譜『狂(KLUE)』は、革命的であった。日本の音楽は、まだ信じられるのだと思った。しかし、2021年。正月の深夜1時から見るGEZANの50分は、脳天を突かれるようなまさに衝撃的なステージであった。

    暗がりに広がる静かな空間にゆっくりとドラムの音が響き、赤いスポットライトに照らされる。“優陽”だ。マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo)の雄たけびと、何か巨大な生物がうなるようなサウンドは、これからはじまるライブへの期待が確信に変わる。

    「このまま踊り続けろ、GEZAN」というマヒトの声で鳴らされるどこかし怪しいディジュリドゥの音から始められた“赤曜日”には、思わず鳥肌が立つ。この曲は、今の時代を形どっている。「革命なんだよ、これは」とシャウトするように、何かが起こる。今から、何かが変わる。そんな気さえしてくる。気を抜くと見ているこちらがやられそうなほど重いサウンドに息を飲む。人間の根底から湧き上がるような言葉では表現しきれない音に、ゾクゾクする瞬間が何度も訪れた。

    ここからは、ほぼノンストップでアルバム『狂(KLUE)』の曲が演奏される。“EXTACY”、“repricant”、“AGEHA”と、見ているこちらに一瞬たりとも休む隙を与えようとしない。ぶつかり合うような音には、感覚が研ぎ澄まされ、画面の奥にまで吸い込まれそうになる。止まることの知らないような生命力の滲み出る音、その速度に追いつくのに精いっぱいであった。
    台風の目の中にいるような静けさが印象に残る“Soul Material”では、先ほどの大きな暴風雨のような音楽が嘘のよう。その静かな空間が、これからすさまじい攻撃を控えているような気がして恐ろしくもあった。
    イーグル・タカ(Gt)とカルロス尾崎(Ba)がともにドラムを打ち鳴らし、声をいくつも重ねられる“Free Refugees”。そして「この街の曲です」というマヒトのシャウトとともにかき鳴らされるは“東京”だ。命を削るような重い演奏、そして叫びは、私たちに何を問いかけるのだろう。「おめえの曲だよ!」というマヒトの声には、思わず背筋は正される思いがする。正しさとは、一体なんだろう。GEZANのライブはいつもリアルだ。美しくもある。今、この瞬間がステージ上ですぐさま反映され、現実になる。2020年のふがいなかった自分が切り取られたような気がして、思わず泣きそうにすらなってしまう。

    “DNA”では、「令和で一番大切なフレーズを歌うから聞いてくれ」と、「今俺がクソムカついてるのは 最低な政治家その類じゃなくて 誰かを傷つけないと自分でいられない君 僕らは幸せになってもいいんだよ」というどこまでも優しい歌を歌うのだ。「今こういう時期でも笑って過ごすことが大切。音楽を続けていくので、よろしく」というカルロスと、「きれいごとを言えている自分たちが大好きです」というマヒトの姿と重なる。

    「未来で会おう」と、最後は“Absolutely Imagination”で締めくくられた。見る度に、唯一無二の存在になり、好き/嫌いという個人の好みを凌駕し、見ているすべての存在の心を掴んで離さない。今、目を話してはいけない。そう思わされてしまうのだ。生きていていい、幸せになってもいいというのは確かにきれいごとかもしれないが、このライブが、GEZANという大きな存在が正しさを証明してくれる。GEZANは一筋の光だ。私は、彼らのきれいごとを信じた未来を見ていたい。

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    SETLIST

    優陽
    赤曜日
    EXTACY
    replicant
    AGEHA
    Soul Material
    Free Refugees
    東京
    DNA
    Absolutely Imagination

    Text by あたそ
    Photo by 白井絢香

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