• cero | KEEP ON FUJI ROCKIN’ Ⅱ


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    すっかり血と肉になった錯綜するリズムを乗りこなして

    サポートメンバーも含めて一つの生命体にまで育った今のceroをしっかり1時間、10曲堪能できる幸せ。苗場現地でもなかなかない濃厚なセットリスト。髙城晶平(Vo/Gt/Fl)は新しい会場の音響に「やりにきー!」を連発していたが、見事なアンサンブルだった。

    コーラスワークがcero流の祝祭感を高める“Yellow Magus(obscure)”は『Obscure Ride』から『POLY LIFE MULTI SOUL』という、例えばUSの新世代ジャズなどと並行しつつ自分たちのリズムや和声、アンサンブルを探す旅路だったと思うが、もう今のceroは実験的なバンドじゃない気がする。ほとんどライブができなかった2020年になんてこった!というのが正直なところだ。さらに大人になってもいつまでも音楽の冒険を続けるバンドの姿が曲の強さを増幅した感じの“レテの子”。野生は宇宙につながっている、そんな感じだ。

    「全員で演奏しながらけん玉したらTwitterのトレンドに入ったかもしれないね」と髙城。画面の向こうのみんなはおそばをすすったりお酒を飲んだりしてると思うので、こちらも半ば打ち上げ気分と言いながら、起伏に富んだ“魚の骨 鳥の羽根”と“WATERS”をシームレスにプレイ。小田朋美(Key/Cho)が放つ戦闘を思わせるシンセのフレーズ、荒内佑(Key/Sampler/Cho)の作り出す手弾きピアノが生み出すループに、角銅真実(Perc/Cho)が繰り出すパーカッション。すべての楽器でファンクやブラジル音楽が混交したリズムを生み出していく。さらに全員が出す音やビートが生み出すポリリズムが心地いい“Buzzle Bee Ride”ですっかり脂が乗る。この3曲でここ数年積み上げてきたceroの探究がいい意味で悦楽的なものにまで昇華されたことを実感。このセットのハイライトだったと言えるだろう。加えて髙城のソロの布石にもなった幻惑的でメロウな“ロープウェー”を披露してくれたのも嬉しい。浮遊するシンセにトランペットがうっすらと乗る様が知らない誰かの郷愁に混ざり込む心地だ。

    ラストのブロックは今のceroを象徴する近作の表題曲でもある“Poly Life Multi Soul”。橋本翼(Gt/Cho)の淡々と刻みつつグルーヴを作り出すリフをはじめとして、このバンドがこの曲名のように生きている感じがする。そして最新曲にしてゲームミュージック風のシンセアレンジも楽しい“Fdf”までたっぷり、真剣な音の遊びに没入させてくれたのだった。

    半ば打ち上げ気分で発した「2021年もDon’t miss it!」。いや、マジでここまでオリジナルなリズムを肉体化したceroの次のチャプターを見逃すわけにはいかない。

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    SETLIST

    Yellow Magus(obscure)
    ベッテン・フォールズ
    レテの子
    魚の骨 鳥の羽根
    WATERS
    Buzzle Bee Ride
    ロープウェー
    TWNKL
    Poly Life Multi Soul
    Fdf

    Text by 石角友香
    Photo by 平川啓子

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