Glastonbury Festivalから感じた5つのこと。
- 2019/07/12 ● Report
去る6月最終週に行われ大盛況のうちに幕を閉じた英国最大級のフェスティバル「Glastonbury Festival 2019」(以下、グラスト)。フジロックのモデルになったとも言われるこのフェスティバルは、フジロッカーにとって”いつかは行きたいフェスティバル”の一つではないだろうか?
筆者は今年が記念すべきグラストデビューの年。「夢見たグラストに行けるなんて!」と行くことが決まった時から生きる糧として過ごしてきた。例年SNSを賑わせるグラストの話題はというと「誰がヘッドライナーなのか」といった音楽性の強い話題が多い。筆者も「え、今年はThe Killersがヘッドライナー?!しかも大好きなDamon AlbarnがUKで拝めるなんてまじで激アツ!」くらいに思っていた(笑)しかし実際にグラストに参加してみると、”音楽フェスティバル”の言葉では片付けられないほど、フェスティバルから学び、考えさせられることが多い素晴らしいものであった。今日はその5つのことを書き記しておきたい。
1. チャリティ精神とともに成長したフェスティバル
始まりは1970年、Worthy Farmという農場で開催された小さな村のフェスティバルであった。当時はわずか£1 (当時のレートで約870円)の入場料で開催され、1,500人ほどの来場者であったんだとか。そこから約半世紀の時を経て今では英国の国営放送BBCで生中継、さらには数十万人を超える参加者を魅了するフェスティバルとなり、主催者のマイケル・イーヴィスがエリザベス女王から大英帝国コマンダー勲章を授与されるほど影響力の高いものまで発展したのだ。
グラストはチャリティ活動に熱心なことでも有名で、1980年代からフェスティバルでの収益を自分たちが支援する慈善団体や組織に寄付しているというのだから驚きだ。その額は2017年で約4億を超える規模である。それゆえ、このフェスの与える社会的影響が計り知れないほど大きなものとなっていることは確かと言って良いであろう。
さらにここで働いているボランティアもこの活動を支持し、自分たちの給料を自主的にチャリティに寄付している人も多いんだとか。昨年ではそのお金で£3,700(約50万円)が集まったそうだ。
実際に会場の清掃活動をしている“リサイクルチーム”のロジャーさんに話を伺ってみると、「リサイクルチームは数千人レベルのメンバーで構成されていて、働いた給料は自分の意志で寄付するかどうか決められるんだ。1971年から参加しているけど、こういうところも、このフェスをずっと好きで入られる理由の一つなんだよ」と。決して強制的ではなく、主体的に支援しようと思う気持ちが主催者だけでなく、ボランティアのメンバーにも引き継がれていることに心打たれたのだった。
2. “Eco-friendly”であり続けるフェスティバル
もう一つグラストを語る上で外せないのが、環境問題への取り組み。とりわけ昨今話題のペッドボトルなどのプラスティック製の製品に対することは例年注意喚起がなされて来ていた。だが特に今年はこの取り組みに大きく舵を切った年といってよいだろう。
それは、
「会場内でのペットボトルの販売禁止」
その代わりに「Water Aid Kiosk」というものが会場内あちこちに点在しており、そこで参加者は自前のタンブラーで水を補給することができる仕組みを導入した。この取り組みが発表された時は「みんながこの活動に賛同して機能するのか?」と思っていたが、会場には本当にペットボトルを販売しているところはなく(飲み物類は缶で販売)、参加者もきちんと各々のタンプラーを用意して水を補給していたことに感動を覚えた。こういった思い切った取り組みが参加者へも波及することで、いつもは数百万本と利用されるであろうペットボトルが節約され、また普段の生活を改めるきっかけを与えるフェスティバルになると思わせてくれた。
また日曜日の午後には英国の有名な動物科学者であるデヴィッド・アッテンボローがメインステージであるピラミッドステージにサプライズで登場。今年の取り組みに賛同してくれた観客たちに大きな感謝を示し、大いに会場を沸かせた。
そういえばスポンサーの一つであるグリーンピースのケビンさんもこう話していた。「グラストが他のフェスティバルと違うところってどこだと思う?」という問いに即座に「このフェスはeco-friendlyなんだ。様々なエンターテインメントもあるけど、自然にも感謝する気持ちを思い出させてくれる場所でもある」と語ってくれた。本当にその通り自然のことを尊重し、共存することを常に考えているフェスティバルだと思う。
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