• 仲間と音楽とビールで復興を!西日本豪雨被災地に支援金を届けてきました


    今年の6月末から7月にかけて西日本を中心に日本を襲った集中豪雨。その被害は平成最悪の水害とも報道され、死者200人を超えるなど、多くの悲しみと被災の爪痕を残していきました。私たちフジロッカーズで何かできることはないだろうか… と、フジロッカーズ・オルグではチャリティー・バッジを作成し、前夜祭からの4日間フジロッカーズ・ラウンジにて販売を行いました。たくさんの支援金が集まりました、本当にありがとうございました。さて、皆さんのご協力により集まった支援金を被災地に届けるために9月16日、フジロッカーズ・オルグ主宰の花房と岡山県倉敷市真備町へ向かいました。災害から2ヶ月以上が経った今でも悲惨な状況は続いていますが、真備町で私たちを待っていたことは今年フジロックにも出演したアーティストとの意外な繋がりでした。

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    岡山県倉敷市真備町へ…

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    まず、私たちは今回の災害で大きな被害を受けた真備町へ案内してもらうために倉敷市内でレコード店「グリーンハウス」を経営している中村泰典さんに会いに行きました。中村さんはNPO法人「倉敷町家トラスト」の代表理事も務めており、花房と長い付き合いのある方です。

    中村さんに案内されて、真備町へ向かう途中も災害の爪痕を何度も目にし、平地から少し坂を上った真備町箭田(やた)地区でも水害の被害を目にしました。近隣の方に話を伺ったところ、床上180センチ以上の水が上がってきたとのこと。水害の恐ろしさを説明してくださいました。

    (写真右)多田伸志さん

    (写真右)多田伸志さん

    その後、私たちは「まきび病院」の精神保健福祉士を行っている多田伸志さんの元を訪ねました。多田さんはNPO法人 岡山マインド「こころ」代表として、グループホームの他に地ビール醸造所、真備竹林麦酒醸造所も営んでいます。岡山大学が開発した大麦を倉敷で栽培・加工した、倉敷生まれの地ビールです。しかし、昨年新築した麦芽を作るプラントを備えた作業所が今回の災害で全壊しました。現在復旧に向けて動いているそうです。

    どこへ支援金を預けるべきか…

    話を伺ったあとは、倉敷市真備町支所を訪問し、どこにお金を預けたら良いのかたくさんの方に話を聞いて回りました。花房曰く「大きな組織にお金を預けると、どこにお金が使われるのかわからない。しっかりと使われ方が見えるところにお金を預けたい」とのことでした。

    弾き語りコンサートのポスター

    弾き語りコンサートのポスター

    そのとき、多田さんのところで撮った支援の呼びかけのチラシの写真を眺めていると「復興のテーマは仲間と音楽とビール」と書いてあるのが目に止まりました。更に10月14日(日)には真備公民館 箭田分館にて弾き語りコンサートが行われるとのことで、出演者の一人に今年フジロックに出演したMONGOL800のメンバー、キヨサクさんの名前が入っていました(キヨサクさんは岡山マインドのビールが気に入っているそうです)。そのことを花房に伝えると「多田さんのところへ戻ろう、彼にお金を預けよう」という話になりました。

    多田さんのところへ戻り、私たちは「フジロックという日本最大の音楽フェスティバルがある」ということ、「そこで今年チャリティー・バッジの販売を行った」ということを伝え、フジロッカーズから預かった支援金をお渡しました。支援金は多田さんが「今、お金を必要とし、今、大きな決断を迫られている人たち」のために公平に使ってくれるとのことです。多田さんや地元の方とお話しましたが、みなさん口々に「真備町のことを忘れないでくれて本当にありがとう」と話してくれ、逆に勇気をいただきました。

    フジロッカーズ・オルグ主宰 花房浩一より

     今回と同じように災害地への支援で、fujirockers.orgが独自にアイデアをひねり出して、協力をお願いしたのは東北大震災の時ではなかったかと思います。あの時に集まったお金は、バンド活動と同時に、阪神大震災以来、幅広く様々な災害に直面する人々への支援を続けている“ソウルフラワー基金”へ渡しています。今回の西日本豪雨に関しても、いち早く彼らが動いていたことはこちらでも報告されていました。というので、当然のように、その中心人物でもある伊丹英子氏にコンタクトを取り、今年の募金で集めたお金を渡そうかと相談をしています。が、彼女からは「うちらだけじゃなくて、いろいろな人たちを支援してあげて」というレスがあり、被災地を実際に訪ねて判断することにしました。その様子は、アリモトシンヤが同行取材をして、書き残してくれた通り。昔からの友人の紹介で、直接お話ができた、NPO法人 岡山マインド「こころ」の代表、多田さんに集まったお金をすべて渡しています。

     あの災害が発生したのはフジロック前の7月頭。その直前、6月には大阪府北部で大規模地震が発生し、同じく大阪を中心に広く近畿地方が観測史上最大の瞬間風速を記録した台風に襲われたと思えば、それからしばらくの後に今度は北海道が大地震に見舞われています。そういった大災害がなぜ続発するのか? いろいろな理由があると想像できますが、それ以前に、日本が地震を始めとした様々な自然災害に直面してきたことは枚挙にいとまがありません。そのたびに、こういった多くの人々の善意が被災者を助けてきたことは確かだと思います。一方で、なぜこういったときのために充分な支援体制が整えられていないんだろう… という疑問がいつもわき起こります。

     今回に関しても、地元を訪ねると、いろいろな情報が耳に入ってきます。ニュースなどで取り上げられた地域の他にも、被災している町がいっぱいあること。そういった場所へはなかなか助けが届かないことなど、いろいろな方から聞いています。加えて、こういった災害の被災者へは、その時々のみならず、長期にわたる支援が必要となります。それに対して、行政が被災者たちの身に沿った支援を続けているんだろうか? 避難所の環境に始まって、その閉鎖の話を聞いたときにも、その結果、見捨てられてきた被災者がいるんじゃないだろうかと、そんなことを考えざるを得ないのです。もちろん、今後も何かがあったときに、救いの手をさしのべることができるような自分たちでいたいと思います。同時に、それだけでは不十分で、行政や政治のあり方さえも変えていかなければいけないんじゃないか、と、今回の訪問ではそんなことを感じました。


    今回フジロッカーズからお預かりした支援金は11万3千円です。その全てをNPO法人 岡山マインド「こころ」さんへお届けしたことをこの記事でご報告致します。被災地の一日も早い復興を心より お祈り申し上げます。

    取材・写真・文:アリモトシンヤ

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