兵庫県のフェス主催者を集めて座談会実施!フェスを通じて目指すものとは
- 2018/08/27 ● Interview
今年はフジロックが苗場で開催されるようになって20周年の節目でしたが、そこに至るまでには地元住民との関係性の構築が重要であったことは言うまでもありません。
フジロック以降、日本各地で様々な音楽フェスが開催されるようになりましたが、その中でもとりわけローカルフェスと呼ばれるものは地域の協力が必要となります。
今回、兵庫県で行われる3つのローカルフェスの代表者を集めて座談会を開催しましたが、彼らの口から何度も発せられたキーワード、それは「文化」でした。
※このインタビューは7月14日に実施されたものです。
「僕らのフェスを文化に落とし込みたい」
─ 宜しくお願いします。まずは簡単に皆さんの自己紹介からお願いします。
大原:伊丹グリーンジャムというフェスを主催しております大原です。
佐藤:三田市の キャンプインフェス、ONE MUSIC CAMPの佐藤です。僕らは3人のチームで主催しています。
野村:同じくONE MUSIC CAMPの野村です。
深川:ONE MUSIC CAMP深川です。
夏梅:宝塚音楽回廊という…(少しの間)…イベントを実行委員形式のグループでやっておりまして、そのメンバーの1人の夏梅と申します。
大原:今「フェス」っていうのを控えた感ありませんでした?(笑)
一同:爆笑
夏梅:さすが…(苦笑)。今日は皆さんのフェス観って何なのかも聞かせていただきたいなって思います(笑)
─ あとでその辺りのお話も伺いますね(笑)。皆さん、お付き合いは長いんですか?
大原:佐藤さんとは去年Festival TripperというWEBサイトをされている福島さんが「フェス飲み会やってみんなが仲良くなっていったらいいんじゃない?」って言い出して、フジロックにも出店しているBig Cakeというお店にFestival LifeというWEBメディアをされている津田さんや他のフェスの主催者も集まって飲んで。
佐藤:うちからは僕一人が参加したんですけど、そこで大原さんと初めて会いましたね。
深川:うちはそれまで孤立無援で運営していたんですけど、その飲み会がきっかけで色んな縁が繋がって現在に至っています。
大原:夏梅さんとONE MUSIC CAMPは今日が初対面で、僕が夏梅さんと最初に会ったのは宝塚のシチニア食堂というお店でグリーンジャムのメンバーと宝塚音楽回廊のメンバーで飲み会をしたときでしたね。
─ フジロックに初めて参加した年ときっかけを教えてください。
大原:フジロックというものをどうやって知ったかは覚えていないんですけど、僕は昔バンドを組んでいまして「フジロックに一回行っとこうや」ってバンドメンバーと2006年に行ったのが最初でしたね。
深川:あ、私と一緒!レッチリの年!
大原:当時は「野外コンサートに行く」って感覚だったんで、何の装備もしてなくって、もうただの地獄でした(笑)。だから殆どライブの記憶がないんですよね。ただ辛かったという事しか覚えていない(笑)。
佐藤:でも2006年だったらある程度フジロックの情報とかもあったんじゃないですか?
野村:きっと「えいやー!」で行っちゃったんですね(笑)。
大原:そうそう(笑)。そして一緒に行ったやつとめっちゃ喧嘩しました(笑)。
深川:わかるー!(笑)。私も喧嘩したー!初日に喧嘩するとそのあと長いから気まずくなる(笑)。
大原:それがフジロックとの出会いでした(笑)。
佐藤:僕は2004年ですね。フジロック自体は初年度から知っていたんですけど、当時は高校生だったんで金額的に泣く泣く諦めていました。正直、初年度はフジロックというより「レッチリが来る!」っていうのが本当の理由だったんですけどね。2002年ぐらいに僕タワレコに入ったんですけど、周りはフジロックに行った人ばかりで何で行かないの?って言われまくって、満を持して行ったのが2004年でした。
野村:僕が初めて行ったのはマイブラが復活した2008年ですね。フジロックを知ったきっかけは…洋楽を聴くようになるとYouTubeでライブ映像を観るじゃないですか。それで知りましたね。
大原:僕らの時はYouTubeで知るとか無かったですね。。
野村:当時は他にMySpaceとか…。
一同:MySpace懐かしい!!(笑)
深川:私はさっきも言ったんですけど。大原さんと同じく2006年ですね。当時バンドやってたんですが、私含めメンバーみんなレッチリが大好物で。「フジロック行くか!」ってノリだけで行ったので夜めっちゃ凍えましたね(笑)。
佐藤:みんな初めてのフジロックはそんなもんだよね(笑)。
深川:でもやっぱりフジロックは衝撃的でしたね。それまでも近場のフェスには行っていましたが全然違いました。私の出身はだんじり祭がある岸和田なんですけど、初めてのフジロックが終わる時、祭りが終わる時と同じぐらい悲しかったです。この世の終わりやん?みたいな心境 (笑)。
─ 夏梅さんはどうですか?
夏梅:実は僕さっきからずっと吐き気を催してまして…。実は僕フジロックに行った事がないんですよ…(震)。
─ そうなんですか!?
夏梅:僕もずっと音楽はやっていたんですけど、HIP HOPをやっていたのでフジロックはロック好きのためのイベントだってイメージを持っていて、正直あまり行こうとは全く思っていなくって。去年PUNPEEが出演して、HIP HOPが受け入れられているのを記事で読んで、今は行きたいって思うようになりました!
深川:確かに昔はフェスってロックのものって感じでしたもんね。最近は垣根がなくなってきたけど。
佐藤:今年はケンドリック・ラマーですしね!
一同:観たい!(絶叫)
佐藤:確かに日本のフェスにおけるHIP HOPの立ち位置ってちょっと難しいなって思いますね。でも徐々に変わっていくと思います。それこそ去年PUNPEEがまさかホワイトステージに出るなんて…PSGやっていた頃からすると全然考えられない。
深川:加山雄三さんがグリーンステージで「俺PUNPEEとコラボしてるんだ」って言っててかっこよすぎた!
佐藤:あの年代の方達が出演するのもフジロックの素晴らしいところですよね。
─ それこそ今年はボブ・ディランですからね。
大原:年齢層も幅広くなるでしょうね。
(暫く話が盛り上がる)
─ さて話を戻しまして(笑)、皆さんのベストアクトを教えてください。
大原:僕はやっぱり2006年のレッチリかなぁ。初めてフジロックに行って、アート性と夜という環境とライティングが一枚の絵みたいで…実際に目の前で観ているんですけど、まるで映像を観ているような感覚で…素晴らしかったですね。
野村:僕はUnderworldやマイブラ目当てでフジロックに行ったんですけど、たまたま寄ったオレンジコートでHOCUS POCUSというフランスのHIP HOPグループを観て鳥肌が経ちましたね。知らない音楽と出会えるのが醍醐味ですね。
深川:私は2011年のTHE MUSIC…。
一同:うわーっ!!
佐藤:解散の時のね。
野村:泣いたやつ…。
深川:ステージが終わってお客さんがアンコールするんですけど、メンバーは出てこなくて…。だけどあのアンコールに出なかったメンバーの想いを考えると泣けてきて…。
佐藤:難しいなぁ…2004年のThe White Stripesも良かったけど、去年のTHA BLUE HERBかなぁ。3日目の夜中3時ぐらいの出番だったんですよ。その次の日、僕は昼から仕事だったんで帰るモードにしないとなぁって時に思っていた時に、THA BLUE HERBが出てきて、ライブも凄くアゲて「ハーフタイムは終わったんだよ!明日からお前らの人生が始まるんだよ!」みたいなMCを聞いて何だか胸に凄く沁みて…。そこからテンション上がって朝までずっと踊って、そのまま寝ずに朝から大阪まで帰って昼から出勤したんですよ(笑)。あんな体験はフジロックでしか出来ないと思います。
─ そんなフジロックと皆さんのフェスとの共通項はありますか?
佐藤:うちのONE MUSIC CAMPは最初からコンセプトがオールナイトだったりキャンプだったりで、それは完全にフジロックの影響ですね。
深川:開催当初に私たち主催メンバーで何を大事にしたいかって確かめたんですけど、それは「フジロックで味わった空間の素晴らしさ」とか「知らないアーティストと出会って鳥肌が立つような体験を提供したいよね」って事で一致しました。
─ なるほど。
深川:フジロックといえばクリーンなフェスの代表ですが、うちのお客さんもフジロックに行かれている方が多くて、だからわざわざ「ゴミ捨てたらあかんで」って私たちが言わなくても常識やモラルをわきまえて楽しんでくれています。かっこいい大人!
佐藤:フジロックの良いところって、ちゃんと文化を根付かせるってところだと思うんですよね。ただ単に野外で盛り上がったりラインナップが豪華であったりとかじゃなくて、そこでしか味わえない空間とか…。
深川:嬉しいことに、うちもラインナップに関係なくあの空間に行こうって思ってくださるお客さんも多いみたいで…。
佐藤:ONE MUSIC CAMPのTwitterとかで「今年のメンツ誰も知らんけど今年も行く」とか書いてある事があるんですけど…。
─ それって最高の褒め言葉じゃないですか
深川:そうなんですけど…。
佐藤:ブッキングしている立場から言うとまぁまぁショックなんですけどね(笑)。
一同:爆笑
大原:フェスあるあるですね(笑)
佐藤:うちはアジアからもアーティストを呼ぶんですけど、ほとんどのお客さんが知らないんです。だけど観たら絶対かっこいいって思ってもらえる自信があるから呼ぶわけで。お客さんに彼らを観てびっくりしてほしいですね。
大原:フジロックから音楽とアートとアウトドアとかが一緒になって…っていう流れの延長線上に僕らもいるんですけど、最後はお客さんに完成させて貰うというのが理想ですね。
一同:おー。
大原:ゴミを持ち帰る話にも繋がりますけど親切にしすぎないと言うか、不便がちょうどいいぐらいの感じを目指していますね。僕らは無料フェスなので色んな企業さんに協賛して戴いているんですけど、その中には「ゴミ回収させてください」って申し出てくれる企業さんもいるんです。ただ僕はそれを「みんなでゴミ拾いをしよう」って形に変えさせて貰えませんか?ってお願いしています。
野村:ゴミ回収だったら企業がやって終わりですもんね。
大原:みんなでゴミを拾うことでお客さんも育っていくというか…。
野村:完全に日高マインドですね(笑)。
大原:完全に影響を受けています(笑)。
佐藤:うちのフェスでそういう申し出があったら、有り難く受け入れちゃいそうだけどなぁ(笑)。スタッフに臭いゴミの分別をさせなくて済むしなぁ、とか思っちゃう。
大原:うちは無料フェスだから企業の協賛があってこそ開催できるんです。もし仮に今年ゴミ回収を協賛企業さんに任せたとしても、その企業が来年もゴミ回収という形で関わって下さる保証はないんです。だけどお客さんは翌年以降ゴミ回収して貰えるイベントって思っちゃうから、結果的に絶対にゴミの量が増えるんです。そうなるといくら協賛金を貰っても翌年以降ゴミ処理費用がどんどん高くなって消えてしまうんです。だから長い目で見るとお客さんにゴミは持ち帰るっていう意識を持って貰う方がイベントにとってはプラスなんです。
佐藤:そういう深いところまで考えているんですね…。
─ 夏梅さんのところはいかがでしょう?
夏梅:僕らは無料で公共スペースを使わせて貰っているんですけど、行政や自治会や商工会議所などにも関わってもらわないといけない中で、やりたいことと一定の公共性も保たないといけない制約があってやりたいことができないジレンマがあります。フジロックが移転しないといけなくなった時に日高さんが地元の方に時間をかけて話をして開催できて…フジロックっていうあれだけ大きいイベントでもそういうことを大切にやってるっていうのは、僕らも影響を受けたというか背中を押して貰っている感があります。
─ なるほど。皆さんのフェスで差別化している点というのは?
佐藤:僕らは三田アスレチックっていうキャンプ場を管理して来たお母さんがいて、その方がずっと守って来た場所を僕らは貸して貰っているんですけど。プールもキャンプサイトもあるしBBQも出来るし、こんなに素晴らしい空間があるよってことを「個人が所有している場所」だからこそ、フェスという形で打ち出せています。もしかしたら音楽というより遊び場として来るお客さんの方が多いかもしれない。親子連れなんかは特にそうかも。どんな有名なアーティストが来て親が喜んでいても子供からしたら知ったことじゃないし。それよりもプールで暴れた方が子供は楽しいだろうし(笑)。
深川:お父さんとお母さんのどちらかがライブを見てる間はもう一人が子供をプールに入れたり、ワークショップもあるから夏休みの宿題を兼ねて楽しんでもらったりとか。
野村:うちのフェスはコンパクトで自由度が高い。あと厄介なお客さんがいない。毎年ほぼノークレームなんですよ。お客さんのモラルに助けられていますね。
夏梅:僕は今年ONE MUSIC CAMPに遊びに行くんですけど、うちの娘も「私も行きたい!」って言ってて。プール、アスレチック、BBQって最高ですよね(笑)。
佐藤:音楽もちょっとだけ付け加えといてください(笑)。
─ そんな夏梅さんのところはどうですか?
夏梅:うちはマルシェに力を入れていますね。美味しい野菜を提供してくれる食堂で全国のフェスにも出店しているシニチア食堂のメンバーも実行委員にいて、その方達の力で飲食ブースっていうのは関西では有名なお店さんが出店して来てくれるんです。音楽目当てで来場してくださった方々が「え!こんな美味しいお店あるの?」みたいな感じで広がっていけたらいいなぁって考えています。
深川:わかる!フジロックでヘブンに行ったら必ずピザ食べる、みたいな(笑)。
大原:うちは村祭りかなぁ。村祭りをフェスの形でやろうよって感じですね。僕は色んなところで言っているんですけど「みんなで作るフェス」みたいなのって大っ嫌いなんですよね。
佐藤:おっとー?(笑)
大原:みんなで作った時点でフェスじゃないんですよ。みんなで作るのは市民祭りなんですよ!笑。
一同:笑
大原:フェスは「個」の集まりじゃないといけないんですよ。個が自分で考えて自由にしないといけないんですよ。自由があるってことは同時に責任もあるわけで、その個人が数百、数千、数万人が集まった空間がフェスだと思っているんですよ。「みんなでこうしようよ」って集まるのは祭りなんですよ!なるべく色んな人に関わってもらうんだけど、ちゃんとフェスになるようにディレクションするというか。さっきのゴミ分別の話も出ましたけど、思考と行動の動線をやりすぎてしまうとフェスじゃなくなるんですよ。
─ なるほど、ではここで最初に話に挙がった「フェスの定義」をお聞かせいただければ。
夏梅:僕ら宝塚音楽回廊のコンセプトが「みんなのために、みんなでつくる、やさしい音楽祭」なので今まさにdisられたなぁって思っています(笑)。
一同:爆笑
夏梅:こんな直球でdisられることあるんだなぁって(笑)。
大原:いやいやそんなことないですって!(笑)。
夏梅:でも大原さんのいうこともわかるので、実は僕も最初に「フェス」っていうのを躊躇したんですけど…。
佐藤:でもそれはフェスの捉え方でしょう?だから敢えてフェスって呼ばずに「音楽回廊」なんでしょう?
夏梅:そうなんですよね。先ほども話したようにどうしても色んな人が関わっていかないといけなくて、だけどそれはネガティブな言い方であって、ポジティブに捉えると色んな人と関わっていけるんですよね。僕は市役所に勤めているんですけど、普段では関われないデザイナーや設計士、アーティストとかから色んな感性や知識を得たり、人の繋がりが出来て次のビジネスが生まれたりとか。またコンテンツで自立できるように各ブースに名前を付けています。たとえば飲食ブースだと「あわよくBAR」って名前をつけて、宝塚音楽回廊以外でも「あわよくBAR」の名前だけでイベント出店できるように収支を考えて、そこで評価されたら次は自分たちだけでイベント呼ばれるようになるし。今年は新たに「小川木立のギャラリー」っていうインスタレーション・エリアも設けます。いつか小川木立のギャラリーで自立できるようになって欲しくて。まずはきっかけ作りというか、公共スペースを使うために宝塚音楽回廊の看板使ていいから自由にやってもらって、そして結果が出れば絶対次に声がかかるからと思っています。だからセクションごとにリーダーを決めて、彼らにやることは任せています。僕たちはこういうやり方なんで音楽フェスって言い切っていいのかなって思って躊躇しました。
大原:ちょっとここで補足させて欲しいんですけど!このままだと僕が誤解されそうなんで!(笑)。僕は自治会祭りとか音楽祭とかをdisってるわけではないんですよ!(笑)
一同:(笑)
大原:僕らが目指しているのはそれこそさっき話に出てきただんじり祭りなんですよ。要は地域の文化に落とし込みたくて。これは僕個人の考えなんですけど日本人は個を許容する幅が狭い国民性だと思ってるんですよ。だから文化に落とし込むときに「みんなで」という要素が必要になってくるとは思ってますし、実際にその要素は大切です。でもその点と「あくまでフェスは個の集まりなんだ」という点とのせめぎ合いが僕らがやっていること。だから決してdisっているわけではないんで!(笑)。
佐藤:でも言っていることはめっちゃわかる。僕らは「みんなであそぶ」っていうコンセプトを大事にしていて。「あそぶ」って自由と責任を象徴していると思っていて、そのコンセプトを理解してくれない人は来てくれなくていいんです。アーティストもお客さんも。あと、フェスって祭りとしてのダイナミズムみたいなものが凄いなって思う。例えばだんじり祭りって死者が出ても翌年も中止にならないじゃないですか。
深川:あ、でも不幸が出た町はその後と翌年は出られない決まりはありますよ。転んでも綱だけは離すなって小さい頃から教わります、だんじりに轢かれちゃうから。
大原:ある種、自己責任方式ですよね。責任と引き換えに自由を手にしている。
佐藤:ヨーロッパでもレイブカルチャーがあって、皆が異常にテンションがあがって死者まで出る。だけど中止にならない。
深川:私は小さい頃から祭のリズムを叩き込まれているからあのリズムを聞くとレイブと同じでアガってくる。
佐藤:祭りのビートって本当に日本のレイブだと思う。ヨーロッパって貴族文化が入っちゃったことで原始的なビート感が野蛮だって思われた影響で、ビートのないクラシックが流行って。でも本当は皆原始的なビートを求めていたからレイブが生まれたんだって思う。最近の日本のお祭りってCDで祭りビートを流しているでしょ。でも昔はちゃんと生で太鼓を叩いて、それをひたすらずっと反復させてみんなどんどんハイになっていくという。祭りが持っているそういうパワーをこのないだ「橋の下世界音楽祭」で感じました。
深川:リアルって大事ですよね。だんじり祭は生、だから練習が必要。本番は9月だけど、練習は6月ぐらいから皆でつくり上げる感じです。信じられないかもですが、岸和田の人は車の中で祭囃子の録音を聞いてたりします(笑)。どこの町が良かったとか、リズムもたっていたとか。そういうのはフェスと似てるって思う。どのバンドがよかったとか言うのと同じで。
佐藤:お祭りに夜店が出てただお金を使って終わりではなく、何か熱狂するものであったり、普段の生活とは違う非日常的なことをわざわざ無駄なことを、効率とかと真逆なことをやるっていう。
深川:だんじり祭は1億数千万ほどする地車を引っ張って壊れたりしちゃうって言う(笑)。
佐藤:(笑)。そういう原始的なエネルギーが失われつつある中で、僕らはそれを求めてて、だからこそ非日常をフェスに求めているのかもしれない。だからわざわざ大変だと分かっているフジロックに行ってあの夢みたいな3日間を過ごして。多分昔の人にとっての祭りもそういうものだったと思うんですよ。ただ昔と違って今はみんな蛇口が出れば水が出ること、電気があることとか便利に慣れすぎちゃってるから、そこから例えば急に無人島にぶちこまれたとしたら「クーラーかけてくれー」「水くれー」ってなると思うんですけど、それはしんどいだけだから、その中間点として日高さんが言っている「不便を楽しむ」、それをフェスというものの中にコンセプトとして入れちゃうことで、その不便の中でどう工夫するだとか、どう仲間意識を持つかとか。そういう感覚を取り戻すことって大事じゃないかな。ONE MUSIC CAMPはそういうところを現代に再現したい。
─ 日高さんも「フェス」じゃなくて「フェスティバル」って言いますもんね。祭り。
佐藤:フェスとはだんじり祭りだと(笑)。
深川:不便を強いられることによって逆にフェスに行って五感が研ぎ澄まされるというのはあると思います。普段苦労しないことをするんで身体が新しいことしてるって感じて吸収しやすくなっているというか。そういうところに身を置いたところで音楽とかアートとかに触れることは凄く意義があると思います。
野村:僕らも地元の方には最初は得体の知らないイベントをやってるぞって思われてて(笑)。
深川:地域と繋がりたいって思っていたけど、今まではイベントを成功させることに必死でなかなか取り組めていなかったんです。今年からやっと行政や地元の方とお話ができるようになって。地域の良い部分って地元の人だからこそ気づかないことあるじゃないですか。でも私たちはそこに魅了されているわけだから、逆に詳しいと言うか。なのでそこを活かして地域PRをしたり地元の方に喜んでもらえることができれば最高だなと思っています。三田のお米や野菜って超美味しいんですけど、じゃあそれをどうやってアピールしていけば…ということを実際農家さんからお話いただいたりしていて。だったらうちでこんな企画やってみてはどうだろう!とか、とても楽しい。
夏梅:うちは去年中止になったので今年はリベンジしたいです。
大原:僕らが目指すところはグリーンジャムを地域文化に落としこみたいっていうのがあったので今年は盆踊りをやります!地元の盆踊り団体さん呼んで、櫓も組んで。
佐藤:何してもグリーンジャムだから仕方ないなって思われるようになったら最高ですよね。
大原:今ね、伊丹市内の幼稚園や保育園がグリーンジャムのキッズエリアの装飾を作ってくれているんですよ。
野村:え!それもはや文化じゃないですか!
大原:幼少からグリーンジャムに触れて貰いたいと。
深川:そうやって脈々と受け継がれる、と。
大原:フジロックみたいに三代揃って参加できるフェスを目指すというか、そういう地域文化イベントにしていきたいですね。
取材・文・写真:つちもり
【ITAMI GREENJAM 2018】
日程:2018年9月1日(土)・2日(日) 10:00〜17:00
会場:兵庫県伊丹市昆陽池公園 多目的広場/草生地広場
入場料:無料
主演者:真心ブラザーズ、MOROHA、カジヒデキ、ホフディラン、踊ってばかりの国、majiko、FIVE NEW OLD、他
公式HP:http://itamigreenjam.com/
【ONE MUSIC CAMP 2018】
日程 :2018年8月25日(土)〜26日(日) ※キャンプインフェス
会場 :兵庫県三田市三田アスレチック野外ステージ
チケット:全券種SOLD OUT
主演者:THE BAND APART(naked)、Polaris、KING BROTHERS、WONK、シャムキャッツ、カネコアヤノ(BAND SET)、CLUB SNOOZER(DJ)、他
公式HP:http://www.onemusiccamp.com/
【宝塚音楽回廊2018】
日程:2018年10月27日(土)
会場:兵庫県宝塚市末広中央公園
入場料:無料
出演者:後日発表
公式HP:http://zukaon.jp/
※詳細は各公式HPにてご確認ください