• “新たな歴史はこうして刻まれた。”
    話題となったYouTubeライブ配信、VR配信のSoftBank担当者たちにインタビュー!


    ─ YouTubeライブ配信に加えて、今回はさらにVRの配信も取り組まれたということでVRも最初からお話があったのでしょうか?

    五十嵐さん(Photo by 白井絢香)

    五十嵐さん(Photo by 白井絢香)

    五十嵐:さっき新井さんからお話がありましたがVRチームとしても、フジロックというかフェスに対して何かやろうという企画は2年前くらいからずっと練っていました。他のフェスでVRコンテンツ制作を取り組んでいく中で「音楽コンテンツとVRってものすごく相性がいいな」という手応えはありました。そのためフジロックについても、同じように(相性が)いいだろうなと感じていました。
    ソフトバンクのVRチームは、主にVR技術を使った映像配信サービスの企画をしています。例えば、プロ野球チームのソフトバンクホークスの試合をコンテンツにしている「ホークスVR」などスポーツを題材にしていくつかやっているのですが、どういったものがVRに合っているのかを試行錯誤しているところになります。アンケート調査からもVRはライブ性があるもの、音楽コンサートやフェスと相性がいいのでは?と期待する声を確認していましたので、何かしたいなという思いがベースにありました。

    ─ そんな時に来たフジロックの話。いかがでしたか?

    五十嵐:やっときました(笑)。先にYouTubeライブ配信が決まっていましたので、このタイミングでVRをやらないわけにはいかないだろうという思いが湧き上がってきました。
    私もフジロックに参加したことのあるフジロッカーでしたので、ここぞとばかりに張り切ました(笑)。

    「フジロックの楽しみはライブだけじゃない、会場の魅力をVRで伝えたい。」

    ─ フジロックに参加したことがあるとのことでしたが、制作を企画する中で特別思い入れなどはありましたか?

    会場の様子(Photo by 白井絢香)

    会場の様子(Photo by 白井絢香)

    五十嵐:音楽コンサートですけど、アーティストのパフォーマンスだけが楽しみではないのがフジロックだと思っています。例えば会場の広さだったり、自然とか会場に散りばめられたアート作品だったり、会場の雰囲気を含めて楽しめるのがフジロックの醍醐味だなと。VRって左右の両目レンズを持ったカメラなので、まるで自分の目でモノを見ているような感覚で映像を見ることができるんですよね。
    だからフジロックの空間を楽しむというコンセプトがVRとすごく合っているなと感じていて、そのコンセプトとずれないように企画を考えていました。

    ─ そういった点もフジロックに行ったことがあるからこそ気付けることだと感じます。

    五十嵐:そうですね、自分で体感しているからこそできた部分はあるかもしれません。
    特に今回コンテンツとして入れたいなと思っていたのは、お客さんが盛り上がっている様子。グリーンステージの前方から後ろを見ると、ものすごい数の人がいるじゃないですか。みんなで同じ方向を向いて「わー!」と言っている光景って他にあまりないので「コンテンツ作り」という視点では絶対入れようと思っていました。これは個人的な想像ですが、アーティストの方達も観客の熱が良いと思っているだろうし、それを伝えられたらフェスの良さを伝えられるだろうなと。あとはカットにもこだわっていて、1曲の中でも人の視線と同じように様々な角度からの映像を散りばめているので面白い仕上がりになったと思います。

    藤田さん(Photo by白井絢香)

    藤田さん(Photo by白井絢香)

    藤田:逆に私は他のフェスには行ったことがあったのですが、フジロックは今回が初めてでした。フジロックって音楽だけじゃなくて、他の楽しみ方をされている人が本当にたくさんいて、しかも家族で来ている人が多いことにすごくびっくりしました。子供も大人も一緒になって楽しんでいるフェスって少ないのではないかなと思います。そういう雰囲気を今回映像として残すことができたので、いろんな人に楽しんで見てもらえるだろうと期待しています。音楽だけが楽しみではない雰囲気が伝えられたんじゃないかなと思っています。

    ─ 今年はキッズ向けのエリアが増えたりと「家族連れ」ということがだんだんとフィーチャーされてきましたよね。

    藤田:私も小さな子供がいますが、帰ってフジロックの話をしたら「来年は家族で行きたい!」なんて話も出ました(笑)。

    「試行錯誤するのもまたフジロックっぽい」運営してみて気付いたこととは?

    ─ 今年は色々ありましたが当日の運営含めて何か苦労されたことはありましたか?

    当日の撮影準備の様子(Photo by HARA MASAMI(HAMA))

    当日の撮影準備の様子(Photo by HARA MASAMI(HAMA))

    五十嵐:やっぱりあの規模で、さらに20年以上と続くフェスになると、すでにある程度決まった運営方法がありますので、カメラ自体は小さくても新しいものが増えることに対してはチャレンジングだったかなと思います。運営の皆さんにも、たくさんのお願いをして撮影を行うことができましたのでご協力していただいたみなさまには本当に感謝しています。
    ただこの試行錯誤する感じもまたフジロックっぽいなと感じました(笑)。

    一同:(笑)

    五十嵐:フジロックのドキュメンタリー番組の中で、地域住民と「20年かけてフジロックをようやく作り上げてきた」みたいなストーリーがあるじゃないですか。やっぱりそういう経験で裏打ちされたというか、みんなで苦労を共にして一歩一歩時間をかけて作り上げたものがフジロックだと。今回初めてVRという形で参加させていただきましたが、同じように「着実に一歩一歩やっていかないといけないんだ」ということを痛感しました。機会があったら来年、再来年と徐々に改良を加えてやっていきたいなと思っています。
    また会場で撮影していると私たちの腕章に気づいて「VR撮影やってるんだ!」という声をいただく場面に多く出くわしました。「感度の高い人たちが集まっているんだな」と感じたのも印象的でしたね。

    ─ フジロックは20年以上という道のりの中でも進化し続けている印象があります。VRの取り組みもその一つですね。

    五十嵐:そうですね。主催者であるSMASH側の「フジロックを進化させ続けよう」という意思とソフトバンクの「チャレンジし続ける」という企業文化が合っていたのかもしれません。

    「VRを知っているけどまだ見たことがない、そんな人にも届けたい。」

    ─ VRの存在はまだまだ先の未来という捉え方をする人もいると思いますが、実際はどういう状況ですか?

    五十嵐:VRの認知度自体は高くなってきていますが、実際に体験したことがある人、何かしらVRゴーグルなどの機材を持っている人はまだほとんどいないという状況です。「なんで体験したことがないのか?」という問いに対しては自分の見たいコンテンツが少ないということが大きく影響していると思っています。
    フジロックはもちろん有名イベントであり、著名なアーティストにも出ていただけたので、VRを知っているけれどもまだ見たことがないという人に届けられるいい機会だなと思っています。「VR界のためにも」って言ったらちょっと大げさですけれども(笑)、より多くの人に届けられればいいなと思っています。

    藤田:あとYouTubeアプリでそのままVRコンテンツが見られるって知らない方がほとんどだと思うんですよね。

    ─ (オルグスタッフ一同)知らなかったです(笑)。

    藤田:そうなんです、実はスマホのYouTubeアプリですぐにVRを楽しめる機能があるんです。そのこともこの機会を通してみなさんに知ってもらえたら、VR界、ソフトバンク、YouTube含めてみんな嬉しいです(笑)。今回フォーマットも前面180度3DのVR180というGoogleの新しい規格を使っていて、従来よりとても高画質な映像を見られるという特徴があります。そのフォーマットに対応する最新機器を使って撮影できたところも今回のよかった点かなと思います。

    五十嵐:このプロダクトを使った作品事例もまだ少ないので、技術的にも良い事例を残すことができたかなと思っています。

    藤田:実はカメラはすごく小さいのですがプロ用のものを使っています。またこの小ささに関してもアーティストのステージを邪魔しないサイズだったなと感じました。

    VR180(Photo by 白井絢香)

    VR180(Photo by 白井絢香)

    ─ 今目の前にしてVRカメラの小ささにびっくりしています(笑)。

    五十嵐:(カメラマンの持っている機材を見ながら)そのカメラよりも小さいですからね(笑)。

    藤田:従来は一眼カメラを数台並べてVR映像を撮影していましたが、かなりの重量だったり、コストがかかっていました。ですが今回のものは軽量で質もいいので積極的に使うようにしています。特に3Dというところを推していて、左右二つのレンズで撮ることによって、実際に人間が見ているような立体感ある景色を再現することができます。みなさんにもVRコンテンツを見たときに同じような感覚になっていただければ嬉しいのですが、私は「実際に当日に行った苗場の会場に戻ってきたな!」という感じがして五十嵐とその思いを共有しました(笑)。

    五十嵐:「苗場に帰ってこれた!」って感じね。

    ─ フジロス中なので、その感覚求めてます(笑)。

    五十嵐:タイミング的にもよかったですね(笑)。VRゴーグルに関しても価格が高いものはもちろん画質がいいのですが、100円ショップなどで簡素なものも売っているので、導入のきっかけになればと思っています。

    ─ 最後に今年のソフトバンクの取り組みにあたりフジロッカーに向けて一言をお願いします。

    新井:VRに関しては実際にステージを見た人は当日の感動、興奮、熱狂だったりを思い出して欲しいです。YouTubeでいうと、行きたかったけど行けなかった人にも実際に行ったかのような感動を体験をしていただけだかと思いますので、これをきっかけとしてぜひ苗場に足を運んで欲しいですね

    五十嵐:VRは世の中的によく言われるのですが、昔のショルダーフォンみたいな時代だと。この先どんどん進化して行って使いやすいものになっていくと思いますし、これから先もフジロックVRはやって行きたいと思っています。今回ぜひ楽しんでいただいてこれからの進化にも期待いただきたいです。

    藤田:VRはフジロックと同じようにどんどん進化をしていくと思います。VRは行った人が苗場に帰れるものですし、行ってない人は苗場の空間を疑似体験できるものです。この映像を通してみんなが「来年は行こう!」と思ってくれれば嬉しいですね。

    新井:フェスへの企業の関わり方って色々あると思いますが、ライブ配信もVRもソフトバンクらしいものだと感じています。そういう関わり方ができることは私たちも嬉しいですし、他の企業ができないようなアプローチを今回実現できたかと思っています。今後も音楽フェスや音楽ファンの皆さまをソフトバンクらしくサポートができれば嬉しいです

    ─ 本日は貴重なお話ありがとうございました!


    取材中にVRの映像を少しだけ見せていただいたのですが、目の前に苗場の空間が広がり、まるでフジロック期間中にタイムスリップしたかのような感覚になりました。まさに「苗場に帰ってきた!」という感じ。

    詳しい見方がわからないという方もご安心ください!
    こちらのリンクから視聴方法を確認できますので、フジロスを引きずっているそこのあなた!!
    ぜひ一度、VRを体験してみることをオススメします。

    普段は見ることのできないステージから客席を見た3D映像やドラムの手さばきなど、臨場感たっぷりの映像満載です!

    VRコンテンツはこちらのリンクから

    【アーティスト】

    [PUNPEE -DJ SET-] BIM – BUDDY feat. PUNPEE

     

    5lack / Hot Cake

     

    CHAI / NEO

     

    CHAI / フューチャー

     

    【総集編】

    FUJI ROCK FESTIVAL’18 VR Memories

     

    いかがでしたでしょうか?
    CMのコンセプトにもありましたが、「音楽が連れてきてくれるもの」のように、みなさんがフジロックを通して初めて出会う出来事は今までも、そしてこれからも多くあると思います。そして今回のこの取り組みも多くの人にとって「フジロックが連れてきてくれたもの」になったのではないでしょうか?今後30年周年、50年周年と年月を刻んでいく中で、きっとフジロックは時代やテクノロジーの変化とともに進化し続けることでしょう。
    また主催者側だけではなく、私たちフジロッカーもこの変化や進化を楽しんで受け入れていけたら、「フジロックの可能性って無限大なんじゃないか?」と書きながら1人興奮を隠せずにいるのでした。

    さて来年はどんなフジロックが待っているのでしょうか、来たる2019年7月26日を首をながーくして楽しみに待っていましょう!

    Interview & Text by Masako Yoshioka

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