サンキューラモーンズ! 著者Yuki Kuroyanagiに電撃取材を敢行
- 2017/10/27 ● Interview
20年目の節目を迎えた2016年のフジロックで注目を集めたのが、前夜祭に出演した「NON STOP PUNK」。日本を代表するロックスターが集結し、前夜祭とは思えない盛り上がりを見せたのは記憶にも新しい。とくにラスト、「ヘイ、ホー! レッツ・ゴー!」と会場全体が拳を突き上げる様は、圧巻だった。その曲こそ、ラモーンズの代表曲とも言える「電撃バップ(Blitzkrieg Bop)」だ。ラモーンズがパンクロックのアイコンとして揺るぎのないものだと実感させられた瞬間でもあり、それだけ、時代を超えて愛され、多くの人を魅了し続けていることを証明してみせたのだった。
2017年10月27日に刊行される『Thank You RAMONES』の著者、yuki kuroyanagi氏も、ラモーンズに魅了され続けている1人である。写真家であり、
ラモーンズ・ファン・クラブ・ジャパンの会長であり、なんと会員を連れて聖地巡礼ツアーまで行ってしまうという、まさに筋金入りのファンだ。その会長だからこそ書くことのできるラモーンズ愛に溢れた同書は、ラモーンズファンに限らず、多くのロックファンに手にしてもらいたい一冊。同書の刊行にあわせて、著者が撮影した写真や貴重なポスターなどを集めた展覧会が開催される。会場には1stアルバム『RAMONES(ラモーンズの激情)』のジャケット写真が撮影された、レンガ壁を再現したフォトスポットも設置されている。開催期間中には、CJラモーンの来日公演もあり、ラモーンズファンならずとも、見逃せないイベントが目白押しとなっている。
著者であり、ラモーンズ・ファン・クラブ・ジャパン会長でもあるyuki kuroyanagi氏に、本作のこと、ラモーンズとの関わりなどを聞いた。
─ 2007年に『I Love RAMONES』を出版されていますが、2作目となる本作を執筆されたきっかけはなんでしょうか
(yuki kuroyanagi氏 以下略)ラモーンズは、22年前に解散したバンドで、すでにオリジナル・メンバーは全員死去しています。それなのにファン・クラブには、まだ若い子が入会してくるんです。会員の半数以上が生のラモーンズを見たことがないので、それならば、ラモーンズのリアリティを伝えるために、2016年に会員を連れてニューヨークまで巡礼ツアーを決行したんです。ラモーンズのいた場所を見てもらうために。それと、以前に刊行した『I Love RAMONES』以降に起きた、CJ ラモーンのベース盗難事件のことなど、ネット上のSNSではなく活字に残しておきたかったことが書こうと思ったのが動機です。
編注:当時のNEWS記事(CJからのメッセージ★Message from CJ / CJからのメッセージ2★Message from CJ 2)
─ 活字に残すにあたって、どんな点に苦労しましたか
ラモーンズを見たことのない10代、現役を知っている世代、両方にどう書いたら伝わるのかが難しい部分でした。
─ 本作の見どころはどんなところでしょうか?
私は作家じゃないのに書いているのですが、その理由は、ラモーンズの事実をきちんと形にして残しておきたいからなんです。自分がいつ死んでも新しいファンに事実が伝わるように、聖地巡礼ツアーの場所、ラモーンズの日本での記録など、1冊持っていれば、いつか1人で誰かがニューヨークに行ってレンガの壁の前に立てるようにしたいと思って。すぐに行けなくても、いつか行けるんだなと夢を抱ける本だと思ってます。『Thank You RAMONES』は前作の『I Love RAMONES』と2つでセット、という感覚なんです。売りたいという意味ではなくて。タイトルはファンが思っている「愛している」「ありがとう」という気持ちをつけたので。
─ 数々の現場撮影を経験されていると思いますが、大変だったことなどありましたか
ラモーンズはSEが鳴る登場の間から、曲の演奏まで3分の間で撮影しなければならなかったので、慌ただしい中での撮影の思い出しかないです。それでも、私はファンクラブの会長だから、私の指示を聞いてやってくれた方じゃないかな(笑)。
─ ラモーンズとの出会いで特に印象深い出来事はありますか
ありすぎて一言では話せないので本を読んでください(笑)。バンド現役の頃のエピソードや楽屋の様子は『I Love RAMONES』にたくさん書きました。その後のこと、そしてこのバンドに帯同したことで、「バンドにとって一番大事なのはファンだ」ということを『Thank You RAMONES』に書きました。ラモーンズを少しでも肌で感じることができると思います。
─ ラモーンズ・ファン・クラブ・ジャパンについて教えてください
1988年にジョニー・ラモーンに出会ったとき、「ラモーンズのファンクラブに入りたい」と言ったんです。そうしたら、「アメリカにはない。おまえにファンクラブをやってほしい」と言われたのがスタートのきっかけです。そこから彼との文通が始まります。最初は面倒くさくて嫌だなと言ってたけど(笑)、”任務”を与えられ、今も続けていることを考えると、私の人生には良い勉強になったと思います。バンドが現役の時そうだったように活発なことはできないけれど、ファンを大事にというジョニーの教えを守って聖地巡礼ツアーを遂行したり、書店に壁作ったりして(笑)。未だに会員は毎月増えています。これがラモーンズのすごいところなんです。
─ 2013に、CJラモーンがフジロックに出演しましたが、印象に残る話があれば教えてください
フジロックの出演には大事な意味が2つありました。1つは、その2年前の来日公演時にベースが盗まれるという事件が起きたこと。本人もファンもとても傷つきました。日本で盗難事件が起きたことをみんな引きずっていたので、フジロック出演は明るいニュースになりました。もう1つは、フジロックを主催しているスマッシュは、1988年からラモーンズが解散するまで、日本に招聘し続けていてくれました。でもラモーンズはフジロックがスタートする前の年に解散したんです。唯一の末っ子ラモーンがフジロックのステージに登場できたことは、CJラモーンも発言していたけど、「ジョーイやジョニーが道を作ってくれた」という意味があったんです。だからCJラモーンにとって、個人の出演ではなく、メンバーの意思を受け継いでグリーン・ステージに上がったということなんです。
─ 最後になりますが、これを読んでいる人にメッセージをお願いします
ラモーンズは今聴いてもクラシックではなく新しいんです。ジョーイの言葉を借りるなら、「パンクは怒りではなく情熱と魂」。それが音にも今も現れているバンドです。まだ聞いたことが無い人も、しばらく聞いていない人も、ぜひラモーンズを聞いてみてください!
展覧会は11月30日(木)まで開催されているので、伝説のバンドの写真、ポスター、あのジャケットを再現できるフォトスポットなど、ぜひ体験して欲しい。そして、開催期間中にはCJラモーンの来日公演もあるので、こちらも見逃さないで欲しい!
Text by fujirockers.org
Photo by 白井絢香
『Thank You RAMONES』 yuki kuroyanagi
発売予定日 2017年10月27日
予定税込価格 1,944円
詳細はこちら
Amazon
イベント情報
yuki kuroyanagi『Thank You RAMONES』刊行記念展
ジュンク堂池袋本店 9F
開催日時:2017年10月21日(土) 〜 2017年11月30日(木)
https://honto.jp/store/news/detail_041000023527.html?shgcd=HB300
トークショー
開催日時:2017年11月11日(土)
※近日詳細発表
http://www.ramonesfanclubjapan.com/
CJ RAMONE 公演情報
CJ RAMONEリターンズ!
【CJ RAMONE JAPAN TOUR 2017】
2017/10/30 (月) 渋谷 CLUB QUATTRO
2017/10/31 (火) 名古屋 CLUB QUATTRO
2017/11/1 (水) 梅田 CLUB QUATTRO
http://smash-jpn.com/live/?id=2695
追加公演:FC特別公演決定!
【ラモーンズ・フェスティバル Vo.1】
2017/11/3(金・祝)福岡 Early Believers
http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1739554