「フジロックを目指して始めた」自由なDIYフェス、ボロフェスタ
- 2017/10/15 ● from fujirockers.org
毎年10月、京都で行われる音楽フェスティバル「ボロフェスタ」。フジロックに影響を受け、「手作りでフェスを作ろう」と始めたこのイベントは、京都のインディ・シーンやDIY精神を大切にした個性的なフェスとして根付いている。今回はボロフェスタの主催メンバーであり、ルーキー・ア・ゴーゴー出演経験者でもある飯田仁一郎(Limited Express(has gone?)、音楽配信サイトOTOTOY編集長)に、フジロックとボロフェスタの共通項について話を聞いた。
音楽フェスの概念=フジロック
「フジロックに初めて行ったのは1997年、第1回のときですね。そのとき僕は立命館大学のロックコミューンっていう軽音サークルにいたんですけど、同じサークルのLimited Express(has gone?)のメンバーや、先輩のくるりの皆さんと遊びに行きました。衝撃を受けたのは、出演アーティストの音楽ジャンルに垣根がないこと。何のためらいもなくジャンルを跨いでいるんですよね。今じゃ当たり前の話ですが、音楽フェスって概念が日本にあまり根付いていなかったころだったから、驚きましたね」
ジャンルに垣根がない── その衝撃は、飯田がフジロックから影響を受けた要素のひとつであり、ボロフェスタ最大の特徴となっている。ジャンルを問わず、主催やスタッフが「観たい!呼びたい!」と思ったアーティストをブッキング。ロック以外のジャンルはもちろん、アイドルや落語家、手品やトークショーまでも盛り込まれたタイムテーブルは、ニッチなロック好きはもちろんライトな層にまでも楽しめるラインアップに。アイドルグループ・BiSと非常階段による期間限定ユニット、「BiS階段」にソウル・フラワー・ユニオンを合わせた「ソウルフラワーBiS階段」などコラボレーションを企画するなど、独自の道を築いている。
僕らでも作れるんじゃない?
1997年以降、何度か客として参加しているうちに音楽フェスのシステムを掴んだ飯田は、音楽フェスを作ることを決意する。
「僕らでも作れるんじゃない?と思って。もうお客さんではなく、自分が好きなようにフェスをできないかなと。ちょうどその数年前、京都のインディ・バンドがメジャーレーベルに大量に青田買いされて、京都はやけのはらみたいになってた。やけのはらのど真ん中にいた自分たちは、もう一度京都を注目してもらえるようななにかを起こしてやりたいなと思ったんです」
こうして、2002年に京都大学西部講堂で記念すべき1回目のボロフェスタが開催される。運営会社やイベンターは入れずにブッキングはイチから。看板や装飾も、すべて手作りした。スタッフが段ボールを切り出したり、油性カラーペンで文字を書いたりと、まるで“大人の文化祭”といったよう。それは、ルーキーステージや木道亭に影響を受けたものであるという。
「ルーキーステージは、雰囲気や置いてあるモニュメントとかの演出がいいですよね。僕の感覚では、メインステージの演出よりも感動だったんです。ボロフェスタもお金をかければ、長年使えるいい看板とか装飾とかを作れますけど、そこをあえてイチから自由に作ってます。フジロックはビジネスの側面も持っているのに、あそこまで手作り感をもってできるのはすごいですよね」
物語のあるモッシュピットが見たい
「フジロックで一番感動したアクトは、2011年のアタリ・ティーンエイジ・ライオット。たくさんのお客さんがいるレッドマーキーで、自然発生的にモッシュピットが生まれたんです。フェスってものは大きくなればなるほどオルタナとかパンクのバンドをタイムテーブルに組み込むのが難しくなると思うんですけど、そんな中でも彼らを呼ぶこと、しかも2011年に呼ぶという時点で意味が、物語性があるなって思って。震災の年だからこそ元気づけられたし、音楽の力で人の感情が動いた瞬間だったと思うんですよね。ステージに物語を持たせることができるなんてフジロックはカッコいいし、ブランディングができてるなって思うんです」
飯田がアタリ・ティーンエイジ・ライオットの感動に近い手応えを持ったのは、ボロフェスタ2016のHave a Nice Day!とLimited Express(has gone?)のコラボレーション・ステージだ。彼らを全く知らないお客さんも多いなか、メインステージでのプレイだったが、1200人ほどの規模でモッシュピットが形成され、大きな盛り上がりを見せた。想定以上の反響に、インディの可能性、音楽の可能性を感じるほどの、物語性があったと思う。
根底にある想いは同じ
「ジャンルの垣根を超えた音楽フェスティバル」という共通項から生まれたボロフェスタとフジロックの関係性。その根底にあるものは同じだと筆者は思う。
「お客さんには、自分の知らない新しいアーティストを見ていってほしい。ボロフェスタは、みんなの音楽の知識を広げられる場所でいたいって思う。必ずどこかのステージの音が聞こえているような、フェスの醍醐味も大事にしていきたい」
飯田が語ったその想いは、スマッシュの代表、日高正博が語っていた内容とリンクするものがある。“通過しようとしていたステージから初めて聴く音楽に捕まっちゃって、自分の目当てのバンドが見れなかったみたいなのが、俺の最高の夢”――というものだ。フェスというリアルタイムな空間で生まれる突発的な出会いや感動、そして生まれるモッシュピット。それぞれの方向性、個性は違えど、互いに「音楽との出会いが広がる場」に収束するのは間違いない。フジロックから受け取った衝撃と感動を生かし、ボロフェスタの歴史は続いていく。
Text by 梶原綾乃
ボロフェスタ2017
開催日時 : 2017年10月20日(金)〜22日(日)@京都KBSホール&京都METRO
10月20日(金)@京都KBSホール
時間 : OPEN 18:00 / START 18:55
出演 : ZAZEN BOYS / LITE / MOROHA / テンテンコ / 愛はズボーン / 台風クラブ / ひとりバレーボウイズ / 花柄ランタン
10月21日(土)@京都KBSホール
時間 : OPEN 11:00 / START 11:55
出演 : クリープハイプ / ペトロールズ / H ZETTRIO / キュウソネコカミ / サイプレ ス上野とロベルト吉野 / YOUR SONG IS GOOD / BRADIO / どついたるねん / メシアと人 人 / WONK / おとぼけビ〜バ〜 / Alfred Beach Sandal / シンガロンパレード / Helsinki Lambda Club / Seuss / JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB / プププランド / カネ コアヤノ / CARD / KOTORI / チッツ / ボギー家族 / ハンブレッダーズ / my letter / 黄倉未来 / 接近!UFOズ / ときめき☆ジャンボジャンボ
10月21日(土) vol.夜露死苦@京都METRO
時間 : OPEN/START 21:30
出演 : KONCOS / Limited Express (has gone?)×ロベルト吉野 / Tempalay / chelmico / ギリシャラブ / HALFBY / TOYOMU / CLUB80′s / マスター航太 / mogran’BAR
10月22日(日)@京都KBSホール
時間 : OPEN 11:00 / START 11:55
出演 : スチャダラパー / 大森靖子 / BiSH / OGRE YOU ASSHOLE / SIX LOUNGE / 虹の コンキスタドール / DAOKO / シャムキャッツ / Age Factory / Amia Calva / jizue / パノラマパナマタウン / MONO NO AWARE / odd eyes / uri gagarn / SEVENTEEN AGAiN / Sundayカミデ(ワンダフルボーイズ/天才バンド) / DEATHRO / 東狂アルゴリズム / 私の 思い出 / unizzz… / ストロベリーパンティース / バレーボウイズ / Summer Rocket / VOGOS / ゆーきゃん / yahyel
PARTY NAVIGATOR : MC土龍 / ミノウラヒロキ
チケットは各プレイガイドにて発売中
1日券[20日(金)] : 前売 3500円 / 当日 4000円
1日券[21日(土) or22日(日)] : 前売り 4800円 / 当日 5300円
2日券[21日(土) &22日(日)] : 8900円
全通し券[3日昼通し券+vol.夜露死苦券] : 14000円
vol.夜露死苦券 : 前売 2800円 当日 3300円 ☆キャッシュバックあり!