• 空と海と、沖縄を祝福する宴。「What a Wonderful World!! 16」


    街ではクリスマスの飾り付けが始まる11月。本州では本格的な冬支度が始まる季節に、「日本で一番遅い夏フェス」が開催されました。沖縄は豊見城(とみぐすく)市に広がる『美らさんビーチ』を舞台に、モンゴル800が主催する「What a Wonderful World!! 16」。4回目となる今年、フジロッカーズ・オルグが取材に行ってきました。

    想像よりも湿気がなく、ときおり涼しい風が吹き抜ける、快適な気候の中、美しいビーチでフェスが開催されました。フェスのゲートもくぐらないうちに、いきなり空と海が視界いっぱいに広がり、美しさに言葉を失います。陽が差すと青く透ける、「これぞ沖縄の海」。

    Photo by Natsumi Arakawa

    Photo by Natsumi Arakawa

    ステージは3つ、隣り合う大型のメインステージと、そして、この場所ならではの、白い砂浜に設えられたビーチステージ。会場の周りは高い建物がないため、海と空に囲まれ、昼も夜も、開放感にあふれたライブが行われました。

    Photo by Natsumi Arakawa

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    会場が飛行機の通り道となっており、頭上すれすれを10分と間を置かず、飛んでいく飛行機には驚きましたが…。ライブにまったく影響がないわけではありませんでしたが、「この光景を名物にしようと思います」と言ったモンゴル800の前向きなMCが、印象的でした。

    Photo by Natsumi Arakawa

    Photo by Natsumi Arakawa

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    会場に施されたデコレーションは、よく見ると、廃材を使用して、工夫を凝らした趣向。色がくすみ、廃材と一目でわかるようなものもあったのですが…強い日差しや、きれいな空と海と不思議に調和し、どこか、懐かしさや親しみを感じました。

    音楽が遠く聞こえるくらい、ステージから離れた砂浜に、こっそりと置かれたような、シンプルな装飾を見たとき、このフェスで一番美しいものは、この空と海なんだろう、それをよく知っている人たちが、景色を邪魔しないようにと、この装飾にしたんだろうと思い至りました。夜には喧騒も遠く、波の音が聞こえて癒され、思わず、そこにじっとしていたくなるほどでした。

    Photo by Natsumi Arakawa

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    「ローカル感が売り」と聞いていた「What a Wonderful World!!」ですが、アーティストは県外からもお客さんを呼び寄せるほど、豪華な顔ぶれ。おまけに、さっきまでステージに出ていたアーティストが、あちこちのステージに顔を出して大騒ぎ。たくさんのバンドが、主催者であるモンゴル800の「小さな恋の歌」を演奏して、果てはお客さんまでもがアンコールの手拍子の代わりに大合唱。出演者同士の仲の良さ、自由さがお客さんにも伝わって、会場全体を巻き込んだ盛り上がりとなっていました。

    そんな中、やはり圧倒的な存在感を放ったのは地元出身のバンド。会場となった豊見城出身のシビリアン・スカンクが、地元の大きなフェスでステージに立てることを嬉しそうに、興奮気味に話して、弾けたライブを見せてくれたと思ったら、純正ハードロックの巨匠・紫は雷のような鋭い演奏を見せつけ、DJのリュウキュウ・ディスコは夜の砂浜をクラブに変えてしまったのでした。

    そして、沖縄民謡のうない組。堂に入った豊かな歌声と、4重に重なって、迫るような音を奏でる三線。オーディエンスは当然のように、指笛、合いの手、カチャーシーの振りを入れます。会場中が集中し、ステージと客席が一体となり、深く根付いた沖縄の歴史と文化そのものが、ここで息をするのを見るような光景がありました。

    Photo by Natsumi Arakawa

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    沖縄ならではの美しいロケーションで開催された、みんなが待ちに待った「What a Wonderful World!!」。モンゴル800がフェス開催によせたメッセージには、「平和的に」の言葉が織り込まれています。数々の歴史があり、今なお怒れる問題が山積みの沖縄で、彼らが盛り込んだその一言は、決して軽いものではないでしょう。

    素晴らしい音楽とサプライズで笑顔が溢れかえった2日間は、どんな背景があったとしても、「今日を楽しむ」明るさと強さの象徴だったと言ったら、言い過ぎでしょうか。沖縄の人たちはいつでも歌い、踊って、昔から悲しさや苦しさを乗り越えてきたといいます。いつでも音楽に酔い、楽しめることは、しなやかな「強さ」だと思うのです。

    きっと地元の人たちは、自然に沖縄そのものを丸ごと誇り、愛しています。このフェスを訪れ、その思いに触れて感動したのはきっと、県外から来たアーティストやお客さんでしょう。フェスのタイトルの読み方に添えられている「ワッター」は、沖縄の言葉で「私たち」という意味だそうですが、このフェスは観光用ではない、「今ここにある」沖縄のためのものでした。

    「What a Wonderful World!!」そんな風に世界を見れますように、と願いを込めたフェスなら、大成功でした。このフェスに来た人は、美しい景色、音楽、深い文化に触れて誇りを思い、幸福で、さらに「幸運」でもあったのだと思います。数年越しで、やっと台風に阻まれずに開催できたことを、付けくわえて。

    Photo by Natsumi Arakawa

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    Text by 高橋舞日


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    沖縄・那覇にて開催された「日本で一番遅い夏フェス」What a Wonderful Worldの会場風景です。2年おきに開催され、4回目を迎えた今年は素晴らしい晴天に恵まれた2日間となりました。今年初となる会場となった美らSUNビーチは沖縄…

    Fujirockersさんの投稿 2016年11月22日

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