• インスペクター・クルーゾ来日公演直前、欧州ツアーの同行レポートを公開!


     フランスの2ピースロックバンド、インスペクター・クルーゾ(以下クルーゾ)が、5月10、12日に東京と大阪で来日公演を行う。それに先駆け、2月にジニー・オップスと共に彼らのフランスツアーに同行した筆者は、移動の車内でフジロックとの深い関わりや、ロックバンドと農場経営者という側面を持つ2人の生活について話を聞くことができた。ここではフランスで撮影した写真と共に、彼らのエピソードを紹介していこうと思う。

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    農場内に自前スタジオを設置
    土にまみれた音楽生活

     ローレント・ラクロウ(ボーカル、ギター)とマシュー・ジョーダン(ドラム)から成るクルーゾは、ミュージシャンとして世界各地を巡る一方、フランス南西部に位置するガスコーニュ地方に根を下ろし、共同で農場経営をしている。敷地内に自らのスタジオを作り、文字通り土にまみれた音楽活動を行っているのだ。音楽生活を支えるために農家をしているわけでもなければ、農場経営の合間に趣味で音楽活動をしているわけでもない。2つが共に欠かすことのできない人生の両輪になっている。

    すべてのきっかけはフジロック
    3度の日本ツアーを実現

     日本と無縁だったバンドが、なぜフジロックという最高の音楽舞台でデビューできたのか。背景を尋ねると、いたずらっ子のような笑みを浮かべたローレントが「ナンブさん、ナンブさん…」とつぶやく。答の主はスマッシュ・ウェストの南部裕一氏。バンドのデビュー前から親交を持ち、デビューCDが送られたことをきっかけにフジロック(2009年)への招聘を決断したそう。前夜祭で鮮烈なデビューを飾ると、苗場食堂オレンジコートでも強烈な印象を残した。翌年には大阪のラジオ局、FM802主催のミート・ザ・ワールド・ビートに出演。この映像では、勢いにノリまくった2人のパフォーマンスを見ることができる。

     年を経ても勢いは衰えることなく増していく。2012年と2014年の国内公演には姉妹サイトのスマッシング・マグ取材班が各地へと飛び、熱気に満ちたレポートを送り出した。

    ◯2012年:東京朝霧ジャム
    ◯2014年:東京大阪名古屋

     このレポート数からも、いかにバンドが見る者を惹きつけてきたのかが伝わるのではないだろうか。

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    強靭な音楽的筋肉を作りあげる
    タフなドサまわり欧州ツアー

     冒頭で述べた通り2月に渡仏し、ジニー・オップスと共にクルーゾのツアーに合流した。アンジェ、ナント、サン・ブリューを巡ったなかで目の当たりにしたのは、予想を遥かに超えるタフなツアー生活と、それによって鍛え上げられた強靭な筋肉を持つミュージシャンの姿だった。
     クルーゾと初対面を果たしたのは、アンジェというフランス西部の小さな町。ステージの印象からやんちゃな荒くれ者を想像していたが、実際の彼らの印象は「紳士」のひと言に尽きる。初めてフランスを訪れるジニー・オップスに対し、機材や車、ホテルなどを手配し、ツアー中も「調子はどうだ」「物販はちゃんと売れているのか」と、ミュージシャン目線で気配りをしてくれる。彼らのこうした余裕は、長年の音楽活動によって培われたものなのだと実感したのは、この出会いから数日後のことだった。

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     アンジェでは2月23日にバンドのドキュメンタリー映像の上映会(記事末尾に詳細有り)と、24日にライブを行った。翌日にはナントでの公演が控えていたが、2人は取材を受けるために早朝から約300km離れたパリへと移動。夕方にナントの会場に到着すると、休む間もなく演奏を開始した。終演後にはメンバー自身が物販に立ち、最後の1人が立ち去るまでファン対応を行う。日付が変わってからようやく機材を車に詰め込み、ようやくホテルに戻った(会場間を常に直行しているため、「チェックインした」が正しい)。

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     26日は正午にナントを経ち、車で3〜4時間ほどの距離にあるサン・ブリューに移動。クルーゾのツアーチームは、メンバーとエンジニアの3人のみ。この数日はジニー・オップスが合流したことで、3人中2人が運転をすることになった。夕方に会場に着くと、開演まで数時間ほど待つことに。この間、2人はパソコンで仕事をしつつ、ひいきのラグビーチームの試合中継に夢中になっていた。22時をまわったころにようやく出番が訪れ、終演時刻はやはり日付が変わる頃。物販に並ぶ長蛇の列への対応が終わったのは、深夜2時頃だったと記憶している。それから機材を詰め込み、ホテルに到着したのは深夜3時。翌日の会場は車で8〜9時間程度かかる場所なので、彼らの睡眠時間が片手でおさまることは安易に想像がつく。1分1秒でも早くベッドにもぐり込みたい状況のなか、最後の晩だからと部屋の前まで別れを告げに来てくれた光景には少し目頭が熱くなった。

    筋トレ(ツアー)明けのパンプアップした体(ライブ)を
    より楽しむための3つのコンテンツを紹介

     約2ヶ月に及んだ激しいツアーを経て、ローレントとマシューが日本に帰ってくる。過酷なツアーを経た2人のテンションはかなり高いことが予想され、これまでの来日公演とは違った次元のパフォーマンスになるのではないだろうか。今のインスペクター・クルーゾに触れることを、心底オススメしたくこの記事の執筆に至った。
     フジロックでのデビューがそうであったように、クルーゾのライブは予備知識無しでも楽しむことができる。しかし、事前に予習しておきたいという人のために、今チェックするべきコンテンツを3つセレクト。これらでしっかりと準備運動をし、今のクルーゾを体感してもらいたい。

    ①ニューアルバム「ロックファーマーズ」

     通算5枚目となる最新作、『ロックファーマーズ』。ミュージックビデオが先行公開された「I’m a Japanese mountain」は、タイトルから日本への深い愛情が感じられる。日本で撮影された映像のほか、日本語のテロップも。フランスツアー中は演奏されなかったものの、「日本ではやるよ!」とのこと。

    ②2人の人生を丸ごと描いたドキュメンタリー映像

     最新アルバムと同タイトルのドキュメンタリー映像。ミュージシャンと農場経営者という、2人の人生が約30分に凝縮されている。フランス語ベースの音声に字幕は無しと少々ハードルは高いが、内容は体感的に理解できる。世界各地での熱演と、農場でのほのぼのとした一幕のバランスが絶妙。クルーゾと日本を繋いだスマッシュの南部氏は13:10過ぎに登場する。

    ③仏ツアーに同行したジニー・オップスによる映像集

     ジニー・オップスによるフランスライブ映像、「Video Clips of France Tour 2016」に、クルーゾの2人もちょっぴり出演。また、自らのバンド名をもじり、クルーゾにプレゼントされたフォアグラを調理する動画「JinnyCooks “The Inspector Cluzo”」からは、ツアーを経た両バンドの関係性が伝わってくる。


    ■インスペクター・クルーゾ来日公演

    5月12日 東京 渋谷 CLUB QUATTRO
    5月14日 大阪 東心斎橋 LIVE HOUSE soma
    w/ UHNELLYS、JinnyOops!
    詳細:http://www.smash-jpn.com/live/?id=2467

    Text & Photo by org-funa

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