週刊フジ 〜名場面編①〜
- 2016/04/06 ● 週刊フジ
忌野清志郎スペシャル・メッセージ・オーケストラ NICE MIDDLE with NewBlue Day Horns(2009)
2009年5月2日。永遠のロックスター忌野清志郎が死んだ。青山葬儀所で行われた青山ロックンロールショーでは、ファンによる献花がなされ、約43,000もの人が故人を偲んだのだった。同年のフジロックでは、グリーンステージに忌野清志郎スペシャル・メッセージ・オーケストラが発表された。正直、清志郎のいない清志郎のステージなんて、傷口に塩を塗るような、そんな気持ちではあったが、自然とその時間にはグリーンステージへと足が向かっていた。苗場ロックンロールショーと名付けられたステージは、青山葬儀所で行われたそれと同じように、気持ちはやはり前を向かない。見たいような見たくないような。そんな思いとは裏腹に、呼び込みが始まったのだった。
「大変長らくお待たせいたしました!」
おなじみのMCとともに始まった曲は、”JUMP”。そしてステージには清志郎が立っていた。大型ビジョンに映し出された清志郎は、生演奏に合わせてステージを縦横無尽に走りながら歌っていた。夢のような光景に僕は涙しながら大声で一緒に歌った。それからは、清志郎にゆかりのあるさまざまなアーティストが代わる代わるステージに立ち、彼の代表する曲の数々を歌い上げていく。忌野清志郎という偉大なミュージシャンの存在の大きさを確信するライブだった。フジロックの常連として、お客さんと一緒にフジロックを作ってきたと言っても過言ではない清志郎。2009年が最後の出演となるのだが、この日のグリーンステージは、そんな彼と僕たちの集大成のような、一丸となってステージを作り上げたと、そんな気がしてならない。
あの日あの場所にいた僕たちは一生忘れられない経験をした。
Text by 紙吉音吉
Photo from fujirockexpress.net
当時の大将インタビューはこちら
http://www.fujirockers.org/09/?p=1422
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