GUNMA ROCK FESTIVAL企画運営、Hoth!COLOSSEUM小池秀明氏インタビュー後編
- 2013/09/09 ● Interview
前編に引き続き、GUNMA ROCK FESTIVAL企画運営、小池秀明氏インタビュー後編です。当日のお楽しみ群馬フェスごはんのこと、地元大好きな若者たちが活動する学生ボランティアのことなど、郷土愛のたっぷり詰まったお話は必見です。
ーーGRFならではで食べられるものってありますか?
1万人規模のイベントになったことで、県外からも色んなケータリング業者さんが出店を希望してくれているけど、県外のお店の出店はしていません。
ーー県内でまかなうってことですか?
遠くから来るお客さんに対して、普段群馬に住んでいる俺らが遊んだりしてる時に食べに行っているおいしいお店とか、楽しい店主さんたちにGRFというお祭りの日にはあの場所に集まって欲しいと思っていて。だから去年より地元の出店店舗数を2割くらい増やして。
ーーとくに美味しいものってありますか?
いわゆるファーストフード的な、揚げ物、ポテトとかそういうものはうんと少ない。そういうものも扱ってはいるけど、やっぱり各店がこだわってるものを出してるんでそういう意味ではバラエティに富んでいて楽しいと思う。あとは地元の食材などを使うということがお客さんにも響くと思う。
ーー群馬って言ったら野菜ですか?
あのね、正直野菜のイメージが強いのは、多分嬬恋のキャベツと下仁田のこんにゃくとねぎのせいで(笑)もちろんそれもすごくいいけど、実は食品でいったら、群馬でレベル高いね。って言われてるのは、肉。
ーー肉!?へえ!
野菜はもちろんだけど、豚、牛、鶏。全部ある。
赤城牛って言うのがいてその赤城牛っていうのが子牛のうちに関西に持っていかれて、
育てられて、松坂牛になっているっていう。だからそのポテンシャルは松坂牛と全然かわらない。近江牛とかあのへんと。でも値段は安いっていうね。
ーーそういうお肉使ったメニューとかも?
あるあるある。あとは正直お肉系で言ったらホルモン類。フェスの話からこっちいっちゃうのもなんですが、実は群馬の内臓処理、食肉処理のレベルって全国でも随一っていうくらいすごいハイレベルで、いわゆる食肉加工場とかを運営する人たちは群馬に視察に研修にくるくらい。
いろんなホルモン系をちょっとよそのホルモンが売りのとことか行っても、高崎で食った方がうまいわーってなる。
ーー全然レベルが違うんですね。
地方に行くとホルモンってミックスなのがあったりするよね、混ぜてあって、臭みを生姜とかにんにくとかで飛ばして味付けしてあって。こっちでいうホルモンって各部位ごとなのね。全部分かれてるし、それによって切り方から味から全部違う。
ーーそれもGRFのフードで出会えますかね?
うんホルモン屋さんも3店舗くらいでるかな。
ーーなるほど。今回のお話を一通り聞いて来てGRFって言うのは群馬の住んでいる人たちが地元っていいとこだよねって再確認できるフェスなのかなとイメージが湧いてきました。
そうしたいです。音響とか進行スタッフの部分では在京のイベンターさんに協力して貰ってはいるけど、基本的に自分たちができることをやりきった上で、作って行きたい。地元の人たちが地元の為に地元の手でやるっていうところがずっと思ってる形で、突き詰めちゃえば、出来る事はまだまだある。あきらめんなよって事だと思う。
誰かが動き出して、失敗したとしても出来ないっていう証明にはならない。でも出来たら出来たって証明になる。もうプラス思考でしかないというかw、ド素人たちが始めたことがここまで来て、地元の理解をもらえたりとか、群馬にそれまで縁の無かった人たちに来てもらえる、行ってみたいって思ってくれる。アーティストも初めてGRFにきて「群馬の人たちってこんなに熱いんだ。群馬最高じゃねーか」って言ってくれるような事があったり。それを通じて、例えば仕事や家庭で悩んでる人、俺らだっておんなじ日々の悩みとか抱えてる。でも、ひとつできると人間って前向きになるじゃない。だから群馬の人が群馬の為に力を合わせたらひとつ何かできたよっていうのを毎回積み上げていきたいっていう気持ちがある。
ーー群馬で結集したパワーみたいなものを逆に全国や外に発信して行きたいってことなんですね。
やっぱり震災以降で多分日本人はみんな確信したんだと思うんだよ。誰かが頑張ってる姿って自分の力になる。もちろん直接的に困ってる人を助けることって尊いし大事なことなんだ。だけど共倒れになっちゃったら助けられた人も嬉しくないんだよね。だからまずは自分たちがしっかり生きてる事、夢をもってあきらめない姿を見せることで、あきらめかけてる人を元気にできるんじゃないかな。
ーー県外の人が今年のGRFにきたとき、実感できますかね
そんな気がする。正直去年GRFやる前の空気って半々。頑張れよって言う応援と
超冷ややかな、あーあやっちゃったっていう。どうせこけるでしょっていうのと半々。
もっというとその半々にプラスして、どっちでもいいっていう人たちも居たはず。とりあえずやるから行ってみようかって、なんの期待もしてないし、ダメ出ししてやろうとも思ってない人たちがいて。そういう中で、一番リアクションがでかかったのが、そのどうでもよかった人たちかも知れない。「行ってみたらとんでもねえじゃん」って。
あるメッセージをもらって嬉しかったのが、群馬に10年前くらいに嫁いで来た奥さんのいる人のコメント。「GRFをやるってきいて、カミさんを誘っていきました」と。で「正直結婚してから、幸せで子供にも恵まれて、いい夫婦生活を送れてきたとは思って入たけど、カミさんの評価、群馬に来たってことだけについてはものすごい後悔してるって言われる」って。「なんもないし、楽しくないし、もっと都会に嫁げば良かった」
ーー都会の方なんでしょうね。
わかんないけど、もっと地方でも大都市にいたのかもしれない。だけど、その人が当日奥さん誘ってGRF来て帰りに一言「私、群馬に嫁いでよかったって初めて思った」ってだんなさんが言われたって。「いいとこあるじゃん」ってそれがほんとに嬉しくて、全然予期してないそういう人にそう思ってもらえて、逆に旦那さんはそれが嬉しくて、「僕の結婚生活初の嫁の群馬アゲなんですよ。続けて下さい」って。そういうのひとつずつ感じれるようにやるしかないなって思った。
ーー去年の半々の反響だったところからこんな熱い出来事があったんですね。
うんうん。マイナスイメージで来た人は裏返っちゃったし。中間だった人は期待してた人よりももっと期待してくれているっていうところがあった。
ーー続ける今年はどんな思いでいますか?
続ける今年はある意味2回目だけど、初めての前回は0回目、今回は1回目って言う気持ちでやりたいなっていうふうに思ってる。ていうのは、今年は基本的に毎年やりますって方針を決めてからの発表なので、単発の可能性の高かったものが、継続開催を決めたという意味での第一回。去年がきっかけ、今年がスタートって気持ちでやってる。
ーー本当の意味での1回目という気持ちでいるということですね。
そう、もっといったら去年の出演者スタッフお客さんにはほんとの一回目を生んでもらったというかその恩を今回の開催でお返ししたい。だから正直、大きく打って出ることよりも、しっかりとしたものをちゃんと、お客さんのケアをしながらやっていきたいなっていうのが今回の気持ち。いろんなフリーペーパーとか音楽関係の取材をしてくれるんだけど、「同じ規模の競合フェスとの差別化はどうやってはかるんですか?」みたいな話を聞かれるんだけど、競合フェスなんてありません。
今やってることでちゃんと伝わることの方が全然大事なので、まずは群馬で伝わらなきゃだめだから、その他の地域はどうやってるかとか、もちろん参考にはするけど、そこと勝負とは思ってないし、する気もない。いまだと1万3千人くらいだけど、このまま2万人、5万人になったら薄まっちゃうだろうし、みんなの熱とか空気とかがぎゅっと凝縮されてもうちょっと広がっても、薄まんないよね。っていうのを持ってじわじわ行くのならいいけど、大きくしようという考えは今の所はないです。
ーーいかに根を張っていくかというところに力を感じますね。
今年も学生ボランティアスタッフがいて、3ヶ月前から集まって活動してます。
ーー地元の学生さんなんですか?
群馬出身で県外に住んでいて、東京の大学に通ってるのに、このボランティアには事前の準備から参加してるって言う女の子も居て、彼女にとっては郷土愛っていうのかな、普段実家からは離れちゃっているんだけど「GRFだけはやりたいんです」って。
世の中も変わって来てて、ボランティアスタッフやると単位をくれる大学とか授業がたくさんあるみたいだけど、GRFはもちろん単位だけを目当てで来てる子はほぼいないなって思う。
ーーそれだけ活動的な方が集まっているんですね。
ボランティアスタッフが使われちゃうイベントだと、バイトだかボランティアだかわかんない。だけどコロシアムのころからやってるCOLO-HEADSっていうGRFのボランティアたちは何か得るものを求めて来ていて、彼らは自分たちがまずどんな仕事を担当するかっていうのを決めたら、やり方も自分たちで決める。例えばごみの回収、清掃、分別あとは場内の誘導とか、お客さんに対する案内とかっていうのをどうやるかって言うのを俺たちは指示をしない。チーム編成から、やり方からタイムスケジュールから、ミーティングの場所抑えとかまで全部自分たちでやる。
自分たちでルールをつくっていくんで、正直トラブった時に各パートのリーダーとか俺とかいなくてもみんな自分で考えて、行動できる。だから頼もしい。
ーー地元の若者を育てるというところに関しても音楽やフェスを通じて役立てているんですね。
そうしたいよね。俺らが先輩たちを見てきたけど、ベテランが威張っているのって会社だろうが、趣味のサークルだろうが新しいものが入ってこないだろうし。どんどん新しいものがでてきて俺らが追い出されるくらいの環境になったら自分たちは幸せだなって思ってる。いつかお客さんになれるし、逆にいったら回り回って未来の今そのときに頑張ってる現役の人たちを協力して支えたりとかそういうことができたらいいなって思っていて。
当日ボランティアやるってかなりの労力がいる。たしかに力は発揮してもらうんだけど、それを3ヶ月間とか長い時には4ヶ月半一緒にやるその労力っていうのは、かけるべきものだと思っているし、一緒に活動する意味があるものだと思ってるし、そこはずっと変わらない。うん。
あと今年広げたいことのひとつは、前橋の街の人たちとのつながり。去年、ポスター持って駅から、ドーム(グリーンドーム前橋)まで歩く道すがらを全部ボラスタたちがまわったけど、なかなか貼ってもらえない。「そういうのはさ、いいよ」って。
県外からきた人は不安になると思う。新前橋の駅を降りて「いいの?いいのここでほんとにあってる?」ってw 「シャトルバスあった、ああよかったよかった!」みたいな。で、会場ついてやっとほっとするみたいな。だけどフジロックなら行く道すがらの空気でも感じられるというか。
ーー今のところで前橋、裏テーマで前橋、ひいては県内各地を盛り上げていこうっていうのがあるんですね
そうです。前回も終ってから、街の飲食点とかコンビニがパニクるくらい人が溢れて、一万数千人が同時に出てくるイベントってそうそうないから。知名度も周知不足もあって、前橋の街の人にもまだ届いていなかった。だから今年はそういうところ、会場外も楽しくなるようなことを仕掛けたいなって思ってます。今はアフターフェスキャンペーンっていってGRFのリストバンドをクーポンにしてくれるお店を募集していて、ちょうど先週募集をはじめたところ。それがどのくらいになるかによって、今年の街の認知度もよくも悪くもわかってしまう。ただそれがほんとに面白くなってくると、例えばアフターステイというか、GRFのお客さんでその日帰らないで伊香保温泉に泊まったり。30分で車で行けるところだから。例えば宿泊料がサービスになったりとか。ほんとに地域ぐるみでGRFの来場者へのおもてなしをしてくれるようになったら、GRFは続けられるんじゃなかって。
■GUNMA ROCK FESTIVAL
開催:2013年9月20日(土)/グリーンドーム前橋
公式ウェブサイト
Facebook
Twitter
■INFO
【ローソンチケット】http://l-tike.com/
TEL:0570-084-003(要Lコード:76406)
【イープラス(e+)】 http://eplus.jp/
【チケットぴあ】http://t.pia.jp/
TEL:0570-02-9999(要Pコード:206-288)
【CNプレイガイド】http://www.cnplayguide.com/
※チケット店頭販売は終了しております。
写真:佐俣美幸 取材:千葉原宏美