ユア・ソング・イズ・グッド、曽我部恵一バンド、サケロック、ボノボ、ザ・ピーズなどなどインディーズバンドファンにとって、嬉しすぎるくらい揃いにも揃った強力なラインナップと、ライブ好きにはお馴染み下北沢の街を一日中練り歩きながらライブを堪能できるサーキットイベント・下北沢インディーファンクラブ(以下、SIFC)が今年も開催されました。チケットは昨年に引き続きソールドアウト。100以上の人気のアーティストが一同に会するイベントだけあって、音楽ファンの注目の高さが伺えます。主催者の1人角張氏の先日のインタビューの中でもありましたが、1回目の昨年のSIFCでは、タイムテーブル、入場規制の問題で反省が多かったということで、1度はイベントの継続を断念しかけたという今回。やはりあれだけの面子で、思い通りに沢山見るっていうのは不可能だろうな、と諦めと期待半々で望んだイベントでした。しかしながら、馴染みある街、行き慣れたライブハウスが会場であるという安心感からとても緩やかな気分で、しかも予想を上回る充実感でいっぱいのイベントでした。
【街の様子】
駅を降りると、普段と変わらない日曜の下北沢の風景。いつも下北でライブに向かう時の気持ちのように、緩やかに気合いも入ります。当日は朝から、いつ雨が降り落ちてもおかしくないようなどんよりとした曇り空でしたが、幸い雨に当たることなく1日過ごせました。熱気ムンムンのライブハウスから地上にでると、涼しい風が吹いていて、汗だくの体をクールダウンさせてくれました。
【リストバンド交換】
まずはチケットを持って、リストバンドを引き換えに北沢タウンホールへ向かいます。受付開始は10:30と、スタートまで2時間の余裕があったこと、北沢タウンホール以外に3つのライブハウスでも交換ができたこと、事前にスタート前の混雑の予想が告知されてたせいもあってか、12:30過ぎに行くと、並んではいたものの動きはスムーズで5〜10分の所要ですみました。
【ツイッターの活用】
フジロッカーズオルグでも一昨年からフジロック開催前や当日にかけてフル活用で情報を発信しているツイッター。スマートフォンも普及してきて、ますますアクセスしやすくなりました。今回もSIFCの公式アカウントでは、入場規制や別の会場で起こってることがリアルタイムでわかるのも嬉しいですし、休憩してる間に、ツイッターを眺めれば「次はどこへ行こうかな」と道しるべ的な役割も果たしてくれます。SIFC当日も#SIFC2011の流れがあまりにも早いとのことで、入場規制用のハッシュタグが新たに追加されるほど、ツイッターの反響が大きかったことが感じられました。
【SIFC2011限定メニュー】
街中イベントなので、フジロックのような屋台エリアはありませんでしたが、新宿思い出横町からはもつ焼きウッチャンが、風知空知ではSIFCの特別メニューを出していました。風知空知はしょっぱな佐藤良成から規制がかかっていましたが、幸運にもSIFC味にありつけた方はいらっしゃいますでしょうか? また、もつ焼きウッチャンのレモンサワーには粋な計らいが!ソルティードッグのようにカップの縁に塩が付いているのですが、これが絶品。ライブ後の水分&塩分補給にぴったりのドリンク。このレモンサワーを飲んだら三輪二郎を見ないわけには行きません。
【街中のイベントのいいところ】
限定メニューも外せませんが、お腹がすいたとき、喉が渇いたとき、一服したい時には、すぐ駆け込めるコンビニやファーストフードがあることが街中イベントのいいところ。最近では電源利用可能なお店もあるので、いざという時に便利です。また、何気なく道を歩いているだけで、楽器を持ったアーティストとすれ違えるのも、ファンにとっては嬉しいポイントです。
【入場規制】
シェルター1発目の撃鉄が早くも入場規制をだしていましたが、今回会場となったライブハウスは15会場。そのうちのほとんどが100~300人のキャパシティで、最大でもガーデンの600人。当然、人気アーティストにはお客さんが早くから殺到するので行列、入場規制はつきものです。開催中は、ツイッターで規制中もしくは規制がかかりそうな会場の情報までかなり親切にツイートされていました。あきらめずにチェックしてると思いがけず、目当ての会場に入れてしまうことも。夕方、星野源のステージは規制のかかった新代田フィーバーに開演5分前に行ったところ、やはり外に数人並んでいて、なかなか動かず断念。すぐ近くにあるお菓子バーに立ち寄ると「今日なんかあるの?1時間前は橋のところまで行列になってたよ。」なんて立ち話が始まったり。
【無料エリアあり】
リストバンドがなくてもSIFCを楽しめるエリアもありました。ワルシャワの近くのレコード&CDショップ、ジェット・セット東京では、サケロックのハマケンやセロの高城晶平ら人気バンドのメンバーによるDJプレイが楽しめたり、キューの隣のビルの3Fにあるデューク・カポではトリバンドの終演後に70~90年代の歌謡曲やJポップをかけまくるというDJ JPS(J-Pop Secial)が遅くまで盛り上がっていたようです。なんとリディムのKCが急遽で弾き語りを披露したんだとか。
【SIFCで起こったドラマ】
満員だったサケロックのライブが終わると同時に、風知空知ラストの前野健太のライブに駆けつけました。おとぎ話のドラム前腰啓輔やこの日3度目の出演の三輪二郎をサポートに迎えており、ルーフテラスのある会場でアコースティックな音がこのイベントのチルアウトにふさわしいなぁと感じたのですが・・・盛り上がりは収束するどころかヒートアップし、なんと2時間近い演奏に発展。お客さんの「あと1曲!」と前野氏の「これでラスト」の相乗効果で終わらないライブはSIFCの熱い余韻をいつまでも残してくれました。次の日が月曜日だということにも関わらず、なかなか帰らないお客さんたち。バルコニーに移動し、前野健太、三輪二郎に後ろで見ていたやけのはらが加わり「東京の空」を大合唱。熱い演奏と下北の空を仰いだこのひと時が今年のベストアクトだったように感じました。
【とても気になったバンド】
各ライブハウスのトリをそうそうたるバンドが名を連ねる中、フジロッ久(仮)というバンドを発見。下北沢屋根裏の小さなステージにぎゅうぎゅうに詰めこまれたメンバーたちは着ぐるみ、前身タイツ、奇抜なメイク、スラッシュ風ヘアーなど自由なスタイルで、叫びまくりの飛び跳ねまくり。急にステージから飛び出したりと、おちおちと傍観することができません(笑)ハードコア・パンクシーンから飛び出してきたもの凄くパンチの効いた踊れる曲満載で、フジロッカーズとしては見逃すわけには行きません。代表曲「はたらくおっさん」が始まるとPVがそのままリアルになったような鮮烈な印象が脳裏に焼き付きます。普段は高円寺を拠点としているようですが、『6.11 新宿・原発やめろデモ!!!!! 』に出演するなど、アグレッシブな彼らの活動には注目です。
たった1日の中に、100組以上のアーティストが集まり、お気に入りのアーティストが一度に見れるという楽しみ以上に、新たな発見や出会いのある下北沢インディーファンクラブ。東京代表の都市型フェスティバルとして、来年の開催も期待したいです。
Text by Chibahara